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#3 燃え上れ情熱。春の宵の夫婦和合に猫の雄叫びのBGMを添えて
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「あっ……! ン……は……あ…………!」
「くっ……」
思った以上の狭さに、フルカスは苦しげに眉を寄せた。このままではうっかり達してしまいそうになるのを、フルカスは大きく息を吐いてなんとかこらえる。
「アニー、アニー……」
「んっ……あ……は…………旦那様……?」
「もう少し力を抜いて」
「無理ぃ……っ」
「深呼吸して」
「すー、はー、すー、はああああああ」
挿入の刺激に知らずに強ばってしまっていた身体に気がついて、アニーはゆっくりと深呼吸をして身体を緩めていく。
フルカスはそのままの体勢でしばらく動かずに呼吸を整えた。
最後にふーっと大きく息を吐いて、おもむろに前のめりになってアニーを見下ろした。
「アニー、動くぞ……」
「はぁい……」
アニーの返事を聞くと同時に、フルカスはゆっくりと律動を始めた。
先ほどからの愛撫にすっかり潤ってしまっている上、フルカス自身の興奮による先走りにて結合部分はあふれるほ潤いのるつぼと化していて、動きの妨げには全くならない。
一度先端近くまで引き抜いておいて、すぐに根元まで埋める。焦らしと瞬間の快感がない交ぜになって、アニーはひっきりなしに喘いだ。
「んっ……あ、ん……は、あっ……ん」
それでも心なしか声を押さえて、両手を口に当てていた。未だに外の発情期の猫たちみたいになりたくなくて気にしているようだった。何を猫に対抗しているのか知らないけれども。
フルカスはアニーのそんな姿に少し眉を寄せると、一度引いてから次の瞬間にいきなり勢い良く突き入れた。
「っ! あ、あぁんっ!」
アニーのひと際大きな喘ぎに満足げに微笑むと、先ほどまでのゆっくりした動作から、息もつかせぬほどに速度を上げた律動へと移行する。その度にフルカスの長い髪が大きく揺れるのを、アニーはまるで現実ではないような感覚で見ていた。
内壁を擦るような水音と肌と肌が当たる音が響き渡り、お互いの汗と体液の匂いが立ち籠めるのがひどく淫猥な情景を醸し出していた。
アニーは最早口を押さえるのも忘れてフルカスの腕にすがりついた。
「あ、あっ……だめ、いや……あっ……!」
「は……何が…?」
「も、もうこれ以上は……あっ! ゆ、許し、て……! あ、あ、いや…!」
「ふ……素直じゃないな……嫌じゃ……ないくせに…! 厭らしい子だね、アニー?」
「そ、そんなことないですってば……! あーっ! いや、そんな」
「こんなに美味しそうに私のを咥え込んでるのに? きゅうきゅう吸い付いて離したくないって言ってるみたいだよ」
「い、言わなくていいっ……!」
言いながらも律動の勢いを緩めないフルカス、さらに全て分かっているような言葉責めにアニーは図星を刺されて、羞恥の為に電流が走ったようにぞくぞくと身体を震わせた。そのために夫のモノを締め付ける力が急激に増し、それまで余裕の表情を見せていたフルカスの眉を寄せさせた。
「くっ……! あっ……アニー……!」
「だめ……イく……! あ、あああんっ!」
絶頂を迎えて息も絶え絶えのアニーの様子に、フルカス自身も熱に浮かされていた身体に電流が走った。そしていっそう強い突き上げを数度繰り返し、アニーの耳元にそっと囁く。
「ああ、すごくいいよ、アニー……私も気をやりそうだ」
色を含んで半分かすれたようなフルカスの声と、耳にかかる息吹に、アニーの鼓動はドクンと一度大きく跳ね上がり、続いて今までにないほどフルカスを締め付けた。
「あっ、は、あんっ、あ……あぁあ……ッ!」
「ああ、ああ、愛してるよ、私の……っ、はあ、可愛い可愛い、私の奥さん……!」
「だ、んなさま……っ、あっ! あぁんっ! 激しいっ……! いく、いきます、からぁ……!」
「う…………くっ……!!」
貪欲なまでに全てを搾り取るかのようなアニーの締め付けに、フルカスはこれが最後とばかりに思い切り大きく突き上げ、欲望のままに煮えたぎった白濁をアニーの中へと吐き出した。
弛緩してゆくアニーを満足そうに見下ろして、フルカスはその上に崩れ落ちるように臥し、そのままアニーの熱い身体を抱きしめた。
射精を終えてもまだフルカスの昂りは治まらない。剛直と化したまま、柔らかく蕩けた女の膣内でびきびきと脈打ちながら次の射精を待っている状態だった。
弛緩してくたりと力なく横たわるアニーの身体を器用にひっくり返し、うつ伏せになった彼女の腰のみを持ち上げて、立ち膝をしてゆっくりゆっくりと律動させていく。
「……ぁあっ……いけませ、まだ、イッ……あ、ひぃっ……!」
「はは、それがイイんだろう? イッたばかりの敏感な部分に、はあ、奥まで、ガンガン突かれるのが……っ!」
「ああっ……! ダメ、ダメ、ひあぁっ!」
「おっと……」
一度絶頂を迎えて敏感になっていたアニーは、フルカスのゆるやかな律動を何度か繰り返しただけでまたしても絶頂を迎えてしまった。内側をゆるやかに擦られてびくびくと打ち震えながら、フルカス自身をその身に納めたままぷしゅりと小さく潮をふく。
「はぁーっ……はぁーっ……あ、んんっ……」
息も絶え絶えといったアニーがとろんとした表情で放心している。すっかり快楽に打ち伏されて意識まで飛ばそうとしていた。
だがそれを許してやるほどフルカスにも余裕はない。目の前でひくつく菊穴の皺にそっと指をはわせ、下半身の律動とともに愛撫を加え始める。すでに飛び散った愛液とフルカス自身の精が混ざり合った液体がそちらにも流れていたので、ぬるついてひくひくと蠢くそこに指を添えるだけでくぷりと第一関節が埋まってしまう。
意識を飛ばしかけていたアニーもこれにはビクリと目を見開いた。
「んッ……、ぁ、うぅっ……そこ、おしり……あぁっ、ダメェッ!」
「寂しがっていたからね、ん、もっと奥?」
「あ、やあっ……き、きたない、からぁ……!」
「ん……ふ、大丈夫、綺麗だよアニー。ああほら、前も後ろもひくひくして、ああ、可愛いね」
「あっ! んぁあ、は、あ、やあっ……う、動かしちゃ……っ!」
後ろに埋没させた指をさらに侵入させて内側を擦って、膣側からもフルカスの雄茎でごりごり擦り上げる。両方の刺激にアニーは抑えていた嬌声が止められない。
「あああっ! ダメ、ダメェッ!」
ダメダメと言いながら、ついた膝をがくがく言わせて再度訪れた絶頂に打ち震えるアニーの姿にますます興奮したフルカスは、ぬぷりと後ろ孔から指を引き抜いて腰を両手でしっかりと押さえつけた。
ゆっくりした律動からやや性急な動きに変化させていく。お互いの厭らしい混合液で結合部をびっちゃびっちゃと濡らしながら、ただただ獣のようにまぐわう。ただそれだけだった。
「あ、ああっ……っ、気持ちいいな、アニー。最高だ」
「んぁッ……きもちィ、きもち、…ひぃッ……!」
フルカスは妻の床についた手首を無理矢理に後ろに引っ張り起こして、前のめりに膝立ちしている状態で後ろから思いきり突き上げた。アニーのほうもまだ足りないとばかりに自ら腰をへこへこ拙くも自分で動かしてフルカスの雄茎を何度も何度も飲み込んでいる。
「あッ、はふ、あぁっ、ん、……んあああっ!」
「あはは、今の声、猫ちゃんみたいだったよ、アニー……!」
「も、もうっ……は、ん……っ、そういう、の、いいですからぁっ……あ、ああんっ!」
「いいね、今のは……はぁ、アニーか、猫ちゃんか、どっちかわからないなあ」
「何言って……っ、あーーーーーっ! 奥、当たって……っ、ひぅ、あ、ひぃっ……!」
ばちんばちんと肌を打ち付け合う打擲音にぐっちょぐっちょと厭らしい水音、荒々しい息遣いと嬌声にしばし支配された淫猥な空間。
もう何も考えられなくなるまで本能に忠実になっていると、そのうちぞくぞくと絶頂が訪れる瞬間の気配に、アニーはびくびくと震えながらフルカスのものを締め上げる。
圧迫感にフルカスも低い呻き声をあげ、更に追い込むように腰を強く打ち付けた。
「あぁっ……ん、あああ、ダメ、もう……!」
「ああ、いく? アニー、いいよ、いつでもいって?」
「旦那様ぁっ! あぁあっ、いく、いくぅっ!」
「ああ、アニー、アニー、愛してるよ、私の奥さん、かわいい、かわいいっ……!」
「おく、……に、奥にぃっ……! 欲しい、欲しい、です……! あ、あぁっ!」
「んー? いいよ、ママにしてあげるからねえ……っ!」
「んんっ、なる、ママに、なるから……ぁっ……!」
もちろんそんなのは、科学的な面から言えば排卵日じゃない日よりも確率は低いのだけれど、何せ子宝の神様のご神木からの花粉にあてられた感じだし、もしかしたら、があるかもしれない。
まだ新婚夫婦のようなものだし、アニーだって子供ができるなら欲しい。何せ恋愛結婚だ。なんだかんだ言いつつ、アニーもフルカスのことを心の底から愛している。
優しいけど意地悪で、風来坊みたいなしょうもない人だけど。
「だんなさま、フルカス、ああッ! フルカス、好き、愛してるっ……!」
ああ。神様が関わっていて、確率性が上がるなら……。
あわよくば、孕みたい。
そう思った瞬間に、無意識に下腹に力が入ってぐぐぐ……と膣がフルカスを圧迫する。
「はは、ああ、いい、最高だ……! ん、ぐぅっ……!」
強い膣の締め付けにより興奮してさらに力強く突き入れたのち、フルカスは妻の最奥に精を放った。何度か律動を繰り返してようやく収まるほど長い長い射精に自分でも呆れた。
うつ伏せでぐったりとしながらも、まだ夫のモノをこれでもかと締め付けて離さないアニーに、フルカスは、はっ、はっ、と短い息を吐きながら、もう何も出ないというところまでアニーの中に吐き出した。
熱いものが胎内いっぱいに流し込まれてその訳の分からない感覚に、アニーは目の前にチカチカと星が散るのを覚えた。
挿入したまま突っ伏しているアニーに覆いかぶさり、フルカスはお腹のほうに手を入れて抱きしめると、よろよろとこちらに顔だけ向けてきた。その頬にちゅっちゅとキスをしてやるとくすぐったそうにふふふと笑う妻が愛しくてならない。
「ごめんねアニー、疲れた?」
「はあ……あの……ごめんね旦那様、ちょっと休ませて……」
「うん。じゃあじっとしてる」
「いや、抜いてよ……」
「嫌ですけども?」
「だーんーなーさーまー?」
「冗談。……ん、っと」
「あー……」
ごぽっと大きい音がしてフルカスが出ていき、すっかり慣らされてしまった膣孔から粘性の白い物が滴り落ちていくのを感じながら、もう指一本動かせないほど疲れ切ったアニーは、開放感から完全に寝落ちした。
遠くなるBGMはやっぱり発情した猫ちゃんのギャオオオオという雄叫びで。本当にいつまで鳴いとんねんと心の中でアニーはツッコミを入れながら睡魔に身を委ねた。
目が覚めるともうすっかり朝で、昨夜の営みでぐっちょぐちょのどっろどろになっていたはずの身体は綺麗に拭われていて、あっという間に脱がされたはずの夜着がちゃんと着せられており、普通に寝室のベッドで何事もなかったかのように寝ていた。
あれだけ夜更かしをしたにも関わらず、習慣で早朝には目が覚めてしまったアニー。
農家出身の娘だし体力勝負の医者の妻であるため、体力だけは自信があり、それだけにあれほど激しい行為の翌日であっても、立ち上がれないような疲れはなかった。それがなんだか悔しい。いっそ寝込んでしまえたらとさえ思う。
アニーは、隣でこと切れたみたいに眠り込んだ夫フルカスの顔を見て、とたんに赤面する。
「この人は本当にもう」
あれだけ酷かったくしゃみ鼻水鼻詰まりもないらしい。きちんと鼻で呼吸している。
昨夜の、ご神木の魔法の花粉による発情のギラギラしたものとは比べ物にならないくらいの穏やかなフルカスの寝顔に、だんだんと腹が立って来て、思わずフルカスの頬をぷに、とつねってみる。
「……ううー、ん……アニー」
「はい?」
「……おっぱい」
「何を言うとん」
しまった、寝言だった。寝言と口喧嘩して負けたら死ぬんだっけ、と謎の都市伝説が頭によぎるアニーをよそに、おかしな寝言を言いながらも一向に目覚める気配のないフルカスにアニーは一気に怒りが収まってしまう。すぐに手を離して、そっとその頬をなでた。
そういえば、隣町で患者の治療にあたって疲れているうえに、発情症状のある花粉症を患って戻ってきてからのアニーとの濃厚な睦み合いだ。フルカスが疲れ切っていても仕方ない。
まあ、なんというか。
あの状況において発情したのはフルカスだけじゃなかったわけで、アニーも途中から本気で夫を受け入れたのだから、フルカスを一方的に怒るのもおかしいと思った。もちろん夫婦であるからには、夫のフルカスと肌を重ねることに羞恥心はあっても嫌悪感などなかった。
惚れた弱み、というものだ。
「まあ、そういう意味では、隣町のご神木に感謝しないといけないかしらね」
アニーはふーっと大きくため息をついてから、そそくさとバツが悪そうに脱ぎ捨てられたガウンを身に纏った。
――着替えなおして、朝ごはん作って、お風呂のお湯もためておかなくちゃ。
家の外では「ウェイウェイウェイウェアアアアアアッ!」と雌猫をめぐる雄猫同士の啖呵の切り合いの声がしている。雌猫の発情の雄叫びとともに、これも春の風物詩だ。
うるさいなあと思いながら、これほど猫の声がうるさいのにまだ目覚める気配のない憎たらしい寝坊助のために、アニーは朝食の準備を始めるのだった。
FIN
「くっ……」
思った以上の狭さに、フルカスは苦しげに眉を寄せた。このままではうっかり達してしまいそうになるのを、フルカスは大きく息を吐いてなんとかこらえる。
「アニー、アニー……」
「んっ……あ……は…………旦那様……?」
「もう少し力を抜いて」
「無理ぃ……っ」
「深呼吸して」
「すー、はー、すー、はああああああ」
挿入の刺激に知らずに強ばってしまっていた身体に気がついて、アニーはゆっくりと深呼吸をして身体を緩めていく。
フルカスはそのままの体勢でしばらく動かずに呼吸を整えた。
最後にふーっと大きく息を吐いて、おもむろに前のめりになってアニーを見下ろした。
「アニー、動くぞ……」
「はぁい……」
アニーの返事を聞くと同時に、フルカスはゆっくりと律動を始めた。
先ほどからの愛撫にすっかり潤ってしまっている上、フルカス自身の興奮による先走りにて結合部分はあふれるほ潤いのるつぼと化していて、動きの妨げには全くならない。
一度先端近くまで引き抜いておいて、すぐに根元まで埋める。焦らしと瞬間の快感がない交ぜになって、アニーはひっきりなしに喘いだ。
「んっ……あ、ん……は、あっ……ん」
それでも心なしか声を押さえて、両手を口に当てていた。未だに外の発情期の猫たちみたいになりたくなくて気にしているようだった。何を猫に対抗しているのか知らないけれども。
フルカスはアニーのそんな姿に少し眉を寄せると、一度引いてから次の瞬間にいきなり勢い良く突き入れた。
「っ! あ、あぁんっ!」
アニーのひと際大きな喘ぎに満足げに微笑むと、先ほどまでのゆっくりした動作から、息もつかせぬほどに速度を上げた律動へと移行する。その度にフルカスの長い髪が大きく揺れるのを、アニーはまるで現実ではないような感覚で見ていた。
内壁を擦るような水音と肌と肌が当たる音が響き渡り、お互いの汗と体液の匂いが立ち籠めるのがひどく淫猥な情景を醸し出していた。
アニーは最早口を押さえるのも忘れてフルカスの腕にすがりついた。
「あ、あっ……だめ、いや……あっ……!」
「は……何が…?」
「も、もうこれ以上は……あっ! ゆ、許し、て……! あ、あ、いや…!」
「ふ……素直じゃないな……嫌じゃ……ないくせに…! 厭らしい子だね、アニー?」
「そ、そんなことないですってば……! あーっ! いや、そんな」
「こんなに美味しそうに私のを咥え込んでるのに? きゅうきゅう吸い付いて離したくないって言ってるみたいだよ」
「い、言わなくていいっ……!」
言いながらも律動の勢いを緩めないフルカス、さらに全て分かっているような言葉責めにアニーは図星を刺されて、羞恥の為に電流が走ったようにぞくぞくと身体を震わせた。そのために夫のモノを締め付ける力が急激に増し、それまで余裕の表情を見せていたフルカスの眉を寄せさせた。
「くっ……! あっ……アニー……!」
「だめ……イく……! あ、あああんっ!」
絶頂を迎えて息も絶え絶えのアニーの様子に、フルカス自身も熱に浮かされていた身体に電流が走った。そしていっそう強い突き上げを数度繰り返し、アニーの耳元にそっと囁く。
「ああ、すごくいいよ、アニー……私も気をやりそうだ」
色を含んで半分かすれたようなフルカスの声と、耳にかかる息吹に、アニーの鼓動はドクンと一度大きく跳ね上がり、続いて今までにないほどフルカスを締め付けた。
「あっ、は、あんっ、あ……あぁあ……ッ!」
「ああ、ああ、愛してるよ、私の……っ、はあ、可愛い可愛い、私の奥さん……!」
「だ、んなさま……っ、あっ! あぁんっ! 激しいっ……! いく、いきます、からぁ……!」
「う…………くっ……!!」
貪欲なまでに全てを搾り取るかのようなアニーの締め付けに、フルカスはこれが最後とばかりに思い切り大きく突き上げ、欲望のままに煮えたぎった白濁をアニーの中へと吐き出した。
弛緩してゆくアニーを満足そうに見下ろして、フルカスはその上に崩れ落ちるように臥し、そのままアニーの熱い身体を抱きしめた。
射精を終えてもまだフルカスの昂りは治まらない。剛直と化したまま、柔らかく蕩けた女の膣内でびきびきと脈打ちながら次の射精を待っている状態だった。
弛緩してくたりと力なく横たわるアニーの身体を器用にひっくり返し、うつ伏せになった彼女の腰のみを持ち上げて、立ち膝をしてゆっくりゆっくりと律動させていく。
「……ぁあっ……いけませ、まだ、イッ……あ、ひぃっ……!」
「はは、それがイイんだろう? イッたばかりの敏感な部分に、はあ、奥まで、ガンガン突かれるのが……っ!」
「ああっ……! ダメ、ダメ、ひあぁっ!」
「おっと……」
一度絶頂を迎えて敏感になっていたアニーは、フルカスのゆるやかな律動を何度か繰り返しただけでまたしても絶頂を迎えてしまった。内側をゆるやかに擦られてびくびくと打ち震えながら、フルカス自身をその身に納めたままぷしゅりと小さく潮をふく。
「はぁーっ……はぁーっ……あ、んんっ……」
息も絶え絶えといったアニーがとろんとした表情で放心している。すっかり快楽に打ち伏されて意識まで飛ばそうとしていた。
だがそれを許してやるほどフルカスにも余裕はない。目の前でひくつく菊穴の皺にそっと指をはわせ、下半身の律動とともに愛撫を加え始める。すでに飛び散った愛液とフルカス自身の精が混ざり合った液体がそちらにも流れていたので、ぬるついてひくひくと蠢くそこに指を添えるだけでくぷりと第一関節が埋まってしまう。
意識を飛ばしかけていたアニーもこれにはビクリと目を見開いた。
「んッ……、ぁ、うぅっ……そこ、おしり……あぁっ、ダメェッ!」
「寂しがっていたからね、ん、もっと奥?」
「あ、やあっ……き、きたない、からぁ……!」
「ん……ふ、大丈夫、綺麗だよアニー。ああほら、前も後ろもひくひくして、ああ、可愛いね」
「あっ! んぁあ、は、あ、やあっ……う、動かしちゃ……っ!」
後ろに埋没させた指をさらに侵入させて内側を擦って、膣側からもフルカスの雄茎でごりごり擦り上げる。両方の刺激にアニーは抑えていた嬌声が止められない。
「あああっ! ダメ、ダメェッ!」
ダメダメと言いながら、ついた膝をがくがく言わせて再度訪れた絶頂に打ち震えるアニーの姿にますます興奮したフルカスは、ぬぷりと後ろ孔から指を引き抜いて腰を両手でしっかりと押さえつけた。
ゆっくりした律動からやや性急な動きに変化させていく。お互いの厭らしい混合液で結合部をびっちゃびっちゃと濡らしながら、ただただ獣のようにまぐわう。ただそれだけだった。
「あ、ああっ……っ、気持ちいいな、アニー。最高だ」
「んぁッ……きもちィ、きもち、…ひぃッ……!」
フルカスは妻の床についた手首を無理矢理に後ろに引っ張り起こして、前のめりに膝立ちしている状態で後ろから思いきり突き上げた。アニーのほうもまだ足りないとばかりに自ら腰をへこへこ拙くも自分で動かしてフルカスの雄茎を何度も何度も飲み込んでいる。
「あッ、はふ、あぁっ、ん、……んあああっ!」
「あはは、今の声、猫ちゃんみたいだったよ、アニー……!」
「も、もうっ……は、ん……っ、そういう、の、いいですからぁっ……あ、ああんっ!」
「いいね、今のは……はぁ、アニーか、猫ちゃんか、どっちかわからないなあ」
「何言って……っ、あーーーーーっ! 奥、当たって……っ、ひぅ、あ、ひぃっ……!」
ばちんばちんと肌を打ち付け合う打擲音にぐっちょぐっちょと厭らしい水音、荒々しい息遣いと嬌声にしばし支配された淫猥な空間。
もう何も考えられなくなるまで本能に忠実になっていると、そのうちぞくぞくと絶頂が訪れる瞬間の気配に、アニーはびくびくと震えながらフルカスのものを締め上げる。
圧迫感にフルカスも低い呻き声をあげ、更に追い込むように腰を強く打ち付けた。
「あぁっ……ん、あああ、ダメ、もう……!」
「ああ、いく? アニー、いいよ、いつでもいって?」
「旦那様ぁっ! あぁあっ、いく、いくぅっ!」
「ああ、アニー、アニー、愛してるよ、私の奥さん、かわいい、かわいいっ……!」
「おく、……に、奥にぃっ……! 欲しい、欲しい、です……! あ、あぁっ!」
「んー? いいよ、ママにしてあげるからねえ……っ!」
「んんっ、なる、ママに、なるから……ぁっ……!」
もちろんそんなのは、科学的な面から言えば排卵日じゃない日よりも確率は低いのだけれど、何せ子宝の神様のご神木からの花粉にあてられた感じだし、もしかしたら、があるかもしれない。
まだ新婚夫婦のようなものだし、アニーだって子供ができるなら欲しい。何せ恋愛結婚だ。なんだかんだ言いつつ、アニーもフルカスのことを心の底から愛している。
優しいけど意地悪で、風来坊みたいなしょうもない人だけど。
「だんなさま、フルカス、ああッ! フルカス、好き、愛してるっ……!」
ああ。神様が関わっていて、確率性が上がるなら……。
あわよくば、孕みたい。
そう思った瞬間に、無意識に下腹に力が入ってぐぐぐ……と膣がフルカスを圧迫する。
「はは、ああ、いい、最高だ……! ん、ぐぅっ……!」
強い膣の締め付けにより興奮してさらに力強く突き入れたのち、フルカスは妻の最奥に精を放った。何度か律動を繰り返してようやく収まるほど長い長い射精に自分でも呆れた。
うつ伏せでぐったりとしながらも、まだ夫のモノをこれでもかと締め付けて離さないアニーに、フルカスは、はっ、はっ、と短い息を吐きながら、もう何も出ないというところまでアニーの中に吐き出した。
熱いものが胎内いっぱいに流し込まれてその訳の分からない感覚に、アニーは目の前にチカチカと星が散るのを覚えた。
挿入したまま突っ伏しているアニーに覆いかぶさり、フルカスはお腹のほうに手を入れて抱きしめると、よろよろとこちらに顔だけ向けてきた。その頬にちゅっちゅとキスをしてやるとくすぐったそうにふふふと笑う妻が愛しくてならない。
「ごめんねアニー、疲れた?」
「はあ……あの……ごめんね旦那様、ちょっと休ませて……」
「うん。じゃあじっとしてる」
「いや、抜いてよ……」
「嫌ですけども?」
「だーんーなーさーまー?」
「冗談。……ん、っと」
「あー……」
ごぽっと大きい音がしてフルカスが出ていき、すっかり慣らされてしまった膣孔から粘性の白い物が滴り落ちていくのを感じながら、もう指一本動かせないほど疲れ切ったアニーは、開放感から完全に寝落ちした。
遠くなるBGMはやっぱり発情した猫ちゃんのギャオオオオという雄叫びで。本当にいつまで鳴いとんねんと心の中でアニーはツッコミを入れながら睡魔に身を委ねた。
目が覚めるともうすっかり朝で、昨夜の営みでぐっちょぐちょのどっろどろになっていたはずの身体は綺麗に拭われていて、あっという間に脱がされたはずの夜着がちゃんと着せられており、普通に寝室のベッドで何事もなかったかのように寝ていた。
あれだけ夜更かしをしたにも関わらず、習慣で早朝には目が覚めてしまったアニー。
農家出身の娘だし体力勝負の医者の妻であるため、体力だけは自信があり、それだけにあれほど激しい行為の翌日であっても、立ち上がれないような疲れはなかった。それがなんだか悔しい。いっそ寝込んでしまえたらとさえ思う。
アニーは、隣でこと切れたみたいに眠り込んだ夫フルカスの顔を見て、とたんに赤面する。
「この人は本当にもう」
あれだけ酷かったくしゃみ鼻水鼻詰まりもないらしい。きちんと鼻で呼吸している。
昨夜の、ご神木の魔法の花粉による発情のギラギラしたものとは比べ物にならないくらいの穏やかなフルカスの寝顔に、だんだんと腹が立って来て、思わずフルカスの頬をぷに、とつねってみる。
「……ううー、ん……アニー」
「はい?」
「……おっぱい」
「何を言うとん」
しまった、寝言だった。寝言と口喧嘩して負けたら死ぬんだっけ、と謎の都市伝説が頭によぎるアニーをよそに、おかしな寝言を言いながらも一向に目覚める気配のないフルカスにアニーは一気に怒りが収まってしまう。すぐに手を離して、そっとその頬をなでた。
そういえば、隣町で患者の治療にあたって疲れているうえに、発情症状のある花粉症を患って戻ってきてからのアニーとの濃厚な睦み合いだ。フルカスが疲れ切っていても仕方ない。
まあ、なんというか。
あの状況において発情したのはフルカスだけじゃなかったわけで、アニーも途中から本気で夫を受け入れたのだから、フルカスを一方的に怒るのもおかしいと思った。もちろん夫婦であるからには、夫のフルカスと肌を重ねることに羞恥心はあっても嫌悪感などなかった。
惚れた弱み、というものだ。
「まあ、そういう意味では、隣町のご神木に感謝しないといけないかしらね」
アニーはふーっと大きくため息をついてから、そそくさとバツが悪そうに脱ぎ捨てられたガウンを身に纏った。
――着替えなおして、朝ごはん作って、お風呂のお湯もためておかなくちゃ。
家の外では「ウェイウェイウェイウェアアアアアアッ!」と雌猫をめぐる雄猫同士の啖呵の切り合いの声がしている。雌猫の発情の雄叫びとともに、これも春の風物詩だ。
うるさいなあと思いながら、これほど猫の声がうるさいのにまだ目覚める気配のない憎たらしい寝坊助のために、アニーは朝食の準備を始めるのだった。
FIN
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