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83 自明の理 ※R18

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「かわいい、かわいい、アビー……」
「あっ、あん、ありがとう、ございます……? ってか、何のお礼言ってんのあたし……」
「ん、ちゅ……はあ、おっぱいも、甘い……」
「そんなことな……っ、は、あん、あぁ、アレク、さまぁ……っ」
「嫌……? おっぱい、気持ちくない? アビー……?」
「いえ、あの……いいんですよ。いいんですけど……恥ずかしくて……」
「恥ずかしがってるアビーも、かわいい……」
「あ、あ、あ~~~~~っ」

 ホルターネックの部分も肩から下ろされて、すっかり上をはだけられてしまって素肌にネックレスだけという淫靡な姿にされてしまったアビゲイルは、今ここに到着した旨の知らせをジェフらが持ってきたらどうしようという心配をする傍ら、一方ではもうこのまま流されてもいいような気もする自分も居て、なんだかどちらが正しいのか分からなくなってきた。
 
 酔ったせいで子供返りしているようなたどたどしい言葉ながらも、そこは二十五歳の成人男性らしく、その愛撫は女をその気にさせるに十分なテクニックを持っているから始末が悪い。
 アレキサンダーのとろんとした表情はもう酔っているからだけでなく、すっかり情欲に濡れた雄の色香を醸し出していた。
 雄の色香に充てられたら、女は体の火照りを鎮めるにはもう抱かれてしまう以外に道が見えなくなるから困ってしまうのに。
 
 アビゲイルは下半身のぴちゃりとした生温い水の感触に、アレキサンダーの身体の下でもぞもぞと膝を擦り合わせた。下着の中が蕩けだしたのが自分でも分かって、羞恥に頬を染めて顔を背けてしまう。
 
 アレキサンダーがそれに気づいたかは定かではないけれど、片方の手がアビゲイルのドレスの裾を捲り上げてスカートの中に侵入し、膝を閉じてもぞもぞしている太ももの間にするりと入って来た。
 
 そのままクロッチを押し広げて蜜壺の表面をぬるぬると撫で付け始めた。膣、尿道、陰核まで満遍なく擦られる。
 くちゅくちゅと卑猥な音が馬車内に響き渡って、その音だけで恥ずかしさを伴う快感が底上げされるような気がした。
 
「……いっぱい、濡れてる。気持ちぃ? 気持ちぃ、アビー?」
「は、はい……ん、あ、あぁ……」
 
 少し指を曲げてくにくにと弄ばれては、ほんの少し膣に埋没するアレキサンダーの指の感触に、アビゲイルは顔を仰け反らせて喘いだ。
 
「あっ、あっ、あ、あぁんっ! 駄目、一度に、そんなぁっ……あ、あああんっ」
 
 胸への愛撫と同時にそれをされるともうどうしていいかわからなくなる。酔っ払いのくせにアレキサンダーの指の動きは緩急を付けながらそこを擦り上げるという芸当をしてみせるものだから、アビゲイルは簡単に絶頂への階段へと導かれてしまう。本当に酔ってるのか? そんな疑問さえ覚えるほどに。
 
 指先だけだった埋没が、ぐぷぐぷと沈みはじめる。アレキサンダーの手は大きいうえに指も長いので、あっという間に最奥近くまで到達してしまった。そのまま内壁をぐりゅ、と擦り上げられれば、妙な鈍い痛みとともに、おかしな部分が刺激されて変な気分になってしまう。
 
「あーっ! そこ、あ、あまり擦ったら……!」
「いい? 気持ちいい?」
「気持ち、ぃ、ですけどもぉっ……!」
「もっと気持ちくしてやる」

 そう言って、隘路に侵入させた指を増やして、腹側の内壁を擦り上げながら出し入れを繰り返す。下着はもう愛液でぐしょぐしょだ。
 その間もアレキサンダーはアビゲイルの胸をふにふにと揉みしだいてその先端に吸い付いて愛撫するのを忘れない。
 
「あぁん……や、あぁ……っ、い、いっちゃうよぉ……! 駄目ぇ、アレク様、アレク様ぁ……!」
「ん……俺も、気持ちいい……はあ、上も、下も、やわらかい……気持ちいい……ふわふわ……あったかい……気持ちいい…………気持ち……………………」
「あ、はぁっ……ん、……あれく、さま……?」

 情欲に興奮していたアレキサンダーの動きが突如として止まる。あと少しで絶頂というところで止められて、アビゲイルは恥ずかしいけれども物足りなさを感じておそるおそるアレキサンダーを見遣った。
 
「…………気持ち…………悪い……!」
「え……」
「吐く……」
「えええええ」

 口を押さえて青い顔をしてしまっているアレキサンダーに、雄の色香に充てられて酩酊状態だったアビゲイルは一気に覚醒して起き上がった。はだけたドレスの胸元をさっと正してから、口を押さえて俯いているアレキサンダーの背中をさすってやった。
 
 さすがに酒に酔った状態で馬車に揺られながらあんなことをしていたら気持ち悪くなるに決まっている。
 いくら騎士として馬車や馬になど乗りなれていても、アレキサンダーは下戸なくせに強い酒を一杯飲んだ上に、何故かプラシーボ効果で雰囲気酔いをしているから尚更である。
 
「だ、大丈夫ですか? 今ジェフさんを呼びますからね!」

 御者台のほうにある小窓のほうに足元に気を付けながら向かい、小窓を叩いてからスライドして開けると、ジェフが振り向いてくれた。
 
「どうされました姫君?」
「ジェフさん、お邸にはまだ着かない? アレク様が吐きそうって……」
「なんと、そうでしたか。もうまもなく到着しますので、申し訳ありませんが姫、殿にはそこの棚にあるタオルと、それから……」
「わかりましたわ!」

 ジェフも慌てた様子でアビゲイルに指示をしてくれる。御者台からこちらの座席のほうまでは直接来れないからだ。
 
 令嬢がすることではないかもしれないが、とりあえずジェフの指示通りにそこの棚にあるタオルを持ってアレキサンダーの口に充ててあげた。吐いてもいいようにバケツが欲しかったけれど、馬車内には無かったのでワインクーラーで代用することにした。洗えばなんとかなる!
 
 と思ったものの、ワインクーラーをバケツ代わりに使う間もなくタウンハウスに到着したようだった。
 がたりと馬車が停止して、座席側のドアがガチャリと開けられる。顔を出したのはもちろんジェフだ。
 
「殿! 姫君! 到着いたしました。どうぞこちらへ……と申しましても殿はその元気もありませんか」
「いえ、連れて行きますね。ほら、アレク様おつかまりになって」
「うん……」

 青い顔をして口にタオルを押し当てたままよろよろと立ち上がるアレキサンダー。おつかまりになって、とは言ったものの、アビゲイルの細い体で大柄なアレキサンダーの身体を支えられるはずもなく、すぐさまジェフが近寄ってきてアレキサンダーに肩を貸した。
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