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77 お話しましょ!
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綺麗なコントラチェックでワルツを踊り終えた二人が脇にはけてこちらに戻って来る。
ラリマールは相変わらず澄ました顔をしているけれど、ラクリマのほうは薄っすらと頬を上気させて足元は少しふら付いてしまっている。
探りを入れてくるとラリマールが言っていたから、きっとダンスの最中に二、三会話したのかもしれない。そのままアビゲイルたちのほうにやって来たのを見て、彼女をアビゲイルたちに正式に紹介するつもりなのだろう。
伯爵令嬢であるラクリマが侯爵一家に話しかけるには目上の者からの正式な紹介か、向こうから話しかけてくれるのを待つしかない。
しかしここで隣国だが王族であるラリマールが仲介をしてくれれば、ラクリマもアビゲイルたちフォックス侯爵家もお互いに角が立たない。
そういえば、建国記念の舞踏会でも、一介の貴族令嬢のアビゲイルが辺境伯という身分の高いアレキサンダーにどうやって話しかけようかと思っていたときにも、こうしてラリマールが仲介してくれたっけ、とアビゲイルはなんだか可笑しくなってしまった。
魔族という気難しい種族ではあれども、ラリマールは何処までも社交的だ。アビゲイルは前世での記憶という共通点があるから、尚更とても親近感がわいてしまう。あまり親し気にし過ぎても不敬にあたるのだろうが、ラリマール自身があまり気にしていないから境界線が分かりづらい。
「やあフォックス侯爵家ご一家、それにアレックスも。こちら紹介するね。ローランド家のラクリマちゃん」
ラリマールにかかれば、どんな姫君も「〇〇ちゃん」だ。
ラクリマは綺麗な所作で礼をして、少々震えた声で自己紹介をした。
「ラクリマ・ネリー・ローランドと申します。どうぞお見知りおきくださいませ」
割と意外なくらいのハスキーボイスだった。見た目の可愛らしさとのギャップがあって、妙にセクシー感がある。
アビゲイルが前世の記憶の中で覚えている彼女の前世「ゆりり」はアイドルグループ「ベル・フラーメ」でもソロパートがあるくらい声の上のほうの音域が広かったから、これは意外だった。
「ローランド家の姫というと……」
「だ、旦那様、ほら、ヴィクターに釣書が送られてきた方ですわ。ほら宰相様のお血筋の」
「おお! そうかそうか! こちらこそラクリマ姫。フォックス侯爵ローマン・アイン・フォックスです。こちらが妻のニーナ、そして娘のアビゲイルと息子のヴィクターです」
「わ、わわわ、姉上、何をなさるんですか!」
アビゲイルはぼさっと立っていたヴィクターを後ろからずいずいとラクリマの前に押し出した。
目の前に宝石の令息と呼ばれるヴィクターに立たれて、ラクリマはやや面食らっていたが、すぐさま頭を下げる。
アビゲイルはヴィクターに「挨拶なさい」と突っついて、ようやくヴィクターは渋々と言った様子でラクリマに挨拶をした。
「……ヴィクター・ダルトン・フォックスと申します。初めまして姫」
「よ、よろしくお願いいたします」
礼をしてから顔を上げたラクリマがアビゲイルのほうを見て顔に緊張感を走らせる。アビゲイルは慌てて自己紹介をした。
「ラクリマ姫、あたしはヴィクターの姉のアビゲイルと申します。そして、こちら、こ、こ、婚約者の……!」
「アレキサンダー・ヴィンス・ヘーゼルダインと申します」
婚約者として紹介するだけで顔を真っ赤にしてしどろもどろになるアビゲイルに対して、アレキサンダーは落ち着いたものだった。アビゲイルが「婚約者」として紹介してくれたことでやや眉間の皺が取れて優し気な表情になっていたので、ラクリマ姫をあまり怖がらせることはなかったらしい。ラクリマも緊張しながらも「よろしくお願いいたします」ときちんと挨拶を返してくれた。
さてさて、折角ラリマールが紹介してくれたのだから、彼女と話してみたいアビゲイルだったが、どうやって話したものかと思案する。
一応、彼女にはアビゲイルが何者であるかをラリマールから話してもらっているけれど、今まで前世のことでアビゲイルに会わせる顔がないと避けてきた彼女に、どうやって怯えさせずに話ができるかを良く考えなければならない。
今こうして目の前に立っていても少し怯えているのに、いきなり核心に迫ってもなおのこと怖がらせるし嫌がられて帰られてはたまらない。せっかくラリマールが与えてくれたチャンスだというのにだ。
アビゲイルが悶々と考えている横で、母のニーナがアビゲイルの気も知らず満面の笑みでラクリマに話しかけていた。
「まあ~! 可愛らしい姫君ですこと! 釣書と一緒に送られてきた肖像画よりもずっとずっと愛らしくていらっしゃるわあ」
「いえ、そ、そのようなことは……」
可愛い物や人に目がない母は、このひと時だけでラクリマを気に入ったようだ。しきりに「うちのヴィクターってどう思う?」とラクリマに応えづらい質問を浴びせては、ヴィクターに叱られている。
そんな三人を見ながら、人の好さげな表情をしたローマンがヴィクターに提案をする。
「ヴィクター、姫が落ち着いたら、あとでダンスを踊ってきたらどうだい?」
「……っ、し、しかし父上」
「あら、いいじゃない。ねえラクリマ姫、うちのヴィクターはこれでもダンスは上手いのよ、しっかりリードしてくれるわ。何せダンス狂いの姉のアビーがしっかり教えましたからね」
「お母様、ダンス狂いって」
「あら、ほほほほ」
「もう……。あ、でもラクリマ姫、無理にとは言いませんが、できればヴィクターと踊ってやってくださいませんか?」
「母上、姉上、あまり無理に勧めたらご迷惑ですよ。今しがたラリマール殿下とのダンスを終えられたばかりの姫君をつかまえて何を」
「…………あ、あの!」
少し大きな声で話しかけたものの、会話を遮ってしまったことを素直に詫びたラクリマは、一度「申し訳ございません」と謝ってから、顔を上げてアビゲイルを上目遣いで見た。
「あの、あたし、アビゲイル姫様と、お、お話をさせて頂きたくて」
「えっ」
「す、少しだけ、お話をさせていただけませんか?」
こちらからどう行こうかと思案していたところで、向こうの方からの願ってもない申し出だった。
「もちろんですわ。あちらの席でお話しましょうか」
「は、はい」
「姉上、何を……」
「大丈夫よヴィクター。彼女にしっかり貴方の良いところをアピールしてきてあげるわ」
「うわあ、嫌な予感しかしません……」
「あ、アレク様、少しだけ御前を離れてよろしくて? あちらの席で少しお話して参ります」
二人で話すと言っても、今いる場所からそれほど離れていない壁際の席だから、アレキサンダーにも見えやすい位置だし、女二人だけでいたところで何かあればすぐに彼も家族も駆けつけてくれるはずだ。
それを踏まえて場所を指差すと、アレキサンダーは眉間の皺の取れた優しい顔をして「行っておいで」と言ってくれた。
アビゲイルとラクリマがそちらのほうへ向かってすぐ、反対側の広間の方からアレキサンダーに近づいてくる数人の男たちがいた。
「これはこれは~、ヘーゼルダイン西辺境伯とお見受けいたします~」
「おいやめろって!」
「すみません、閣下。こいつ酔っぱらってて」
一人が赤い顔をした貴族令息で、その周りを三人ばかりで囲んで彼を制しているように見えた。真ん中の彼はすっかり出来上がっているらしいけれど、その姿を見て冷めてしまったのか、周りを囲む令息たちは割とまともだ。
アレキサンダーはふと眉間にまた皺が戻ってきてしまって、まともな令息たちはその表情にたじろいだけれど、すっかり出来上がってしまっている真ん中の男はトロンとした目でアレキサンダーを面白くもなさそうに真っ向から見据えていた。
困惑するアレキサンダーに、ヴィクターが助け舟を出す。「お耳を」と言って、アレキサンダーに小声で話しかける。
「義兄上。放蕩時代の姉とよく一緒にいた方たちです。いずれも伯爵位から子爵位くらいまでの方々です」
「む……そうか」
「ご安心くださいと言っていいのかわかりませんが……放蕩時代の姉は彼らとは表面上の付き合いしかしていませんでした。今では彼らの話すら聞きませんから、心配はいりません」
「そうか……わかった。ありがとう」
「何ごちゃごちゃ話してるんですかあ~? ヘーゼルダイン西辺境伯閣下ぁ。貴方にちょっと話があるんですけどねえ」
すっかり酔っぱらって身分もわきまえず横柄な態度で話す令息に、彼を囲む仲間らしき令息たちがアレキサンダーに平謝りをしている。
今ここで無礼だなんだと言ったところで、酔っ払いは酔いが冷めないと聞く耳も持たないに違いなかった。
「……聞こうか。話とは何かな」
ラリマールは相変わらず澄ました顔をしているけれど、ラクリマのほうは薄っすらと頬を上気させて足元は少しふら付いてしまっている。
探りを入れてくるとラリマールが言っていたから、きっとダンスの最中に二、三会話したのかもしれない。そのままアビゲイルたちのほうにやって来たのを見て、彼女をアビゲイルたちに正式に紹介するつもりなのだろう。
伯爵令嬢であるラクリマが侯爵一家に話しかけるには目上の者からの正式な紹介か、向こうから話しかけてくれるのを待つしかない。
しかしここで隣国だが王族であるラリマールが仲介をしてくれれば、ラクリマもアビゲイルたちフォックス侯爵家もお互いに角が立たない。
そういえば、建国記念の舞踏会でも、一介の貴族令嬢のアビゲイルが辺境伯という身分の高いアレキサンダーにどうやって話しかけようかと思っていたときにも、こうしてラリマールが仲介してくれたっけ、とアビゲイルはなんだか可笑しくなってしまった。
魔族という気難しい種族ではあれども、ラリマールは何処までも社交的だ。アビゲイルは前世での記憶という共通点があるから、尚更とても親近感がわいてしまう。あまり親し気にし過ぎても不敬にあたるのだろうが、ラリマール自身があまり気にしていないから境界線が分かりづらい。
「やあフォックス侯爵家ご一家、それにアレックスも。こちら紹介するね。ローランド家のラクリマちゃん」
ラリマールにかかれば、どんな姫君も「〇〇ちゃん」だ。
ラクリマは綺麗な所作で礼をして、少々震えた声で自己紹介をした。
「ラクリマ・ネリー・ローランドと申します。どうぞお見知りおきくださいませ」
割と意外なくらいのハスキーボイスだった。見た目の可愛らしさとのギャップがあって、妙にセクシー感がある。
アビゲイルが前世の記憶の中で覚えている彼女の前世「ゆりり」はアイドルグループ「ベル・フラーメ」でもソロパートがあるくらい声の上のほうの音域が広かったから、これは意外だった。
「ローランド家の姫というと……」
「だ、旦那様、ほら、ヴィクターに釣書が送られてきた方ですわ。ほら宰相様のお血筋の」
「おお! そうかそうか! こちらこそラクリマ姫。フォックス侯爵ローマン・アイン・フォックスです。こちらが妻のニーナ、そして娘のアビゲイルと息子のヴィクターです」
「わ、わわわ、姉上、何をなさるんですか!」
アビゲイルはぼさっと立っていたヴィクターを後ろからずいずいとラクリマの前に押し出した。
目の前に宝石の令息と呼ばれるヴィクターに立たれて、ラクリマはやや面食らっていたが、すぐさま頭を下げる。
アビゲイルはヴィクターに「挨拶なさい」と突っついて、ようやくヴィクターは渋々と言った様子でラクリマに挨拶をした。
「……ヴィクター・ダルトン・フォックスと申します。初めまして姫」
「よ、よろしくお願いいたします」
礼をしてから顔を上げたラクリマがアビゲイルのほうを見て顔に緊張感を走らせる。アビゲイルは慌てて自己紹介をした。
「ラクリマ姫、あたしはヴィクターの姉のアビゲイルと申します。そして、こちら、こ、こ、婚約者の……!」
「アレキサンダー・ヴィンス・ヘーゼルダインと申します」
婚約者として紹介するだけで顔を真っ赤にしてしどろもどろになるアビゲイルに対して、アレキサンダーは落ち着いたものだった。アビゲイルが「婚約者」として紹介してくれたことでやや眉間の皺が取れて優し気な表情になっていたので、ラクリマ姫をあまり怖がらせることはなかったらしい。ラクリマも緊張しながらも「よろしくお願いいたします」ときちんと挨拶を返してくれた。
さてさて、折角ラリマールが紹介してくれたのだから、彼女と話してみたいアビゲイルだったが、どうやって話したものかと思案する。
一応、彼女にはアビゲイルが何者であるかをラリマールから話してもらっているけれど、今まで前世のことでアビゲイルに会わせる顔がないと避けてきた彼女に、どうやって怯えさせずに話ができるかを良く考えなければならない。
今こうして目の前に立っていても少し怯えているのに、いきなり核心に迫ってもなおのこと怖がらせるし嫌がられて帰られてはたまらない。せっかくラリマールが与えてくれたチャンスだというのにだ。
アビゲイルが悶々と考えている横で、母のニーナがアビゲイルの気も知らず満面の笑みでラクリマに話しかけていた。
「まあ~! 可愛らしい姫君ですこと! 釣書と一緒に送られてきた肖像画よりもずっとずっと愛らしくていらっしゃるわあ」
「いえ、そ、そのようなことは……」
可愛い物や人に目がない母は、このひと時だけでラクリマを気に入ったようだ。しきりに「うちのヴィクターってどう思う?」とラクリマに応えづらい質問を浴びせては、ヴィクターに叱られている。
そんな三人を見ながら、人の好さげな表情をしたローマンがヴィクターに提案をする。
「ヴィクター、姫が落ち着いたら、あとでダンスを踊ってきたらどうだい?」
「……っ、し、しかし父上」
「あら、いいじゃない。ねえラクリマ姫、うちのヴィクターはこれでもダンスは上手いのよ、しっかりリードしてくれるわ。何せダンス狂いの姉のアビーがしっかり教えましたからね」
「お母様、ダンス狂いって」
「あら、ほほほほ」
「もう……。あ、でもラクリマ姫、無理にとは言いませんが、できればヴィクターと踊ってやってくださいませんか?」
「母上、姉上、あまり無理に勧めたらご迷惑ですよ。今しがたラリマール殿下とのダンスを終えられたばかりの姫君をつかまえて何を」
「…………あ、あの!」
少し大きな声で話しかけたものの、会話を遮ってしまったことを素直に詫びたラクリマは、一度「申し訳ございません」と謝ってから、顔を上げてアビゲイルを上目遣いで見た。
「あの、あたし、アビゲイル姫様と、お、お話をさせて頂きたくて」
「えっ」
「す、少しだけ、お話をさせていただけませんか?」
こちらからどう行こうかと思案していたところで、向こうの方からの願ってもない申し出だった。
「もちろんですわ。あちらの席でお話しましょうか」
「は、はい」
「姉上、何を……」
「大丈夫よヴィクター。彼女にしっかり貴方の良いところをアピールしてきてあげるわ」
「うわあ、嫌な予感しかしません……」
「あ、アレク様、少しだけ御前を離れてよろしくて? あちらの席で少しお話して参ります」
二人で話すと言っても、今いる場所からそれほど離れていない壁際の席だから、アレキサンダーにも見えやすい位置だし、女二人だけでいたところで何かあればすぐに彼も家族も駆けつけてくれるはずだ。
それを踏まえて場所を指差すと、アレキサンダーは眉間の皺の取れた優しい顔をして「行っておいで」と言ってくれた。
アビゲイルとラクリマがそちらのほうへ向かってすぐ、反対側の広間の方からアレキサンダーに近づいてくる数人の男たちがいた。
「これはこれは~、ヘーゼルダイン西辺境伯とお見受けいたします~」
「おいやめろって!」
「すみません、閣下。こいつ酔っぱらってて」
一人が赤い顔をした貴族令息で、その周りを三人ばかりで囲んで彼を制しているように見えた。真ん中の彼はすっかり出来上がっているらしいけれど、その姿を見て冷めてしまったのか、周りを囲む令息たちは割とまともだ。
アレキサンダーはふと眉間にまた皺が戻ってきてしまって、まともな令息たちはその表情にたじろいだけれど、すっかり出来上がってしまっている真ん中の男はトロンとした目でアレキサンダーを面白くもなさそうに真っ向から見据えていた。
困惑するアレキサンダーに、ヴィクターが助け舟を出す。「お耳を」と言って、アレキサンダーに小声で話しかける。
「義兄上。放蕩時代の姉とよく一緒にいた方たちです。いずれも伯爵位から子爵位くらいまでの方々です」
「む……そうか」
「ご安心くださいと言っていいのかわかりませんが……放蕩時代の姉は彼らとは表面上の付き合いしかしていませんでした。今では彼らの話すら聞きませんから、心配はいりません」
「そうか……わかった。ありがとう」
「何ごちゃごちゃ話してるんですかあ~? ヘーゼルダイン西辺境伯閣下ぁ。貴方にちょっと話があるんですけどねえ」
すっかり酔っぱらって身分もわきまえず横柄な態度で話す令息に、彼を囲む仲間らしき令息たちがアレキサンダーに平謝りをしている。
今ここで無礼だなんだと言ったところで、酔っ払いは酔いが冷めないと聞く耳も持たないに違いなかった。
「……聞こうか。話とは何かな」
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