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75 いつでもどこでも二人の世界(周りは迷惑)
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エドガー王太子殿下に挨拶に行くと、頭を上げよと言われて立ち上がったアレキサンダーの、人より頭一つは大きな姿は遠くからでもよく目立つ。
別の壇上に居て有力貴族の挨拶を受けていた皇帝オーガスタ陛下とその夫である皇婿ジョナサン殿下が、アレキサンダーの姿を見つけてわざわざ来てくれた。
形式に則り頭を下げてオーガスタ陛下とジョナサン殿下に王太子殿下の生誕と成人の祝いの言葉を述べると、「妾とお主の仲ではないか」と、オーガスタ陛下はアレキサンダーの堅苦しい挨拶をカラカラと笑い飛ばす。
婚約の報告に拝謁させて頂いた時に聞いたが、アレキサンダーと皇帝皇婿ご夫婦は家族ぐるみの付き合いなのだそうで、アレキサンダーの今は亡き父である前ヘーゼルダイン西辺境伯はお二人の同期の親友だったという。親友の息子は自分の息子も同じで、お二人にしてみれば、アレキサンダーは息子のようなものらしいし、アレキサンダーが小さなころから目をかけてくれていたそうだ。
そういった付き合いがあったのなら、成程アレキサンダーの結婚に対して心配もするはずで、今回のアビゲイルとの婚約も二つ返事で後押ししてくれたのだ。
勿論、アビゲイルのことを幼少時から今現在にかけてのことを、独自に探偵や影を使って徹底的に調べ上げた上で、過去に放蕩していたこともあったけれど、ここ最近の功績などを鑑みてくれた。
まあ、放蕩していたとしても、ヘーゼルダイン領に嫁いでしまえば、あの帝都から五日かかる距離と過酷な辺境地帯で逃げられない生活するうちに更生するに違いないと、明らかに打算的な物があったのは否めないけれど。
それでも、婚約の報告に二人そろって挨拶に来たアレキサンダーとアビゲイルの様子を見て、その相思相愛的かつ、特にアビゲイルのアレキサンダーを見る目がまさに惚れて惚れて仕方ないのだと如実に物語っていたので、二人のことを認めるしかなかったというのもある。
愛は惜しまず、恋は盲目、天使の仕業じゃしょうがない、過去の偉人はよく言ったものである。
辺境伯と侯爵家の姫なら身分的に釣り合うのだし、政治的な面から言っても政略結婚としては申し分ない。そのうえ相思相愛ならもう何も言うまいということだ。
王太子殿下が開口一番にバカップルと称したのも納得の溺愛っぷりであった。二人の恋路を云々言ったとして、馬に蹴られても馬鹿らしいと思った皇帝一家は、ダンスフロアの音楽が変わったのをきっかけに、さっさと行けと言わんばかりに二人をフロアへ追いやった。
ムードのある四拍子のメロウな旋律の中、周りのカップルがブルースをゆったりと踊っているのを見て、二人は視線を合わせて「スローフォックストロット!」と言って笑いあってから組む。そして次小節まで待って予備歩からフェザーステップに入った。
もともとブルースとスローは同じ曲が使われることが多いので、ブルースの中にスローで入ってもリズムの違和感はないからかえって楽しい。
大きくゆっくりと中央に歩み寄り、リバースターンで方向を変えるだけで、周りのブルースよりもよく目立つ。スリーステップで別方向の角まで行き、ナチュラルターンでまた方向を変え角でクローズドインピタス、フェザーステップで中央に戻る……。
決して難しいステップではないし、あくまで何の打ち合わせもない、その場の音楽に合わせた動きなのだが、大きくゆったりと、うまいこと他のカップルの合間を潜り抜けてフロアを大きく使うことで、周りから一目置かれるような存在に映る。
やはり騎士だけにアレキサンダーはダンスが上手い。ダンスカップルを組むにはかなり優秀なリーダーである。
上背もあるし足も長いから、スローに大きく踏み出すステップなどではかなり見栄えがする。アビゲイルは自分もかなりの物だと自負しているけれども、上には上がいるものだ。
そういえば、ラリマールのダンスがクイックステップで、アレキサンダーがスローフォックストロット、まさに動と静、どちらも豪快であるけれども、あまりに正反対な二人のステップにアビゲイルは思わずふふっと笑ってしまう。
「思い出し笑いか、アビー?」
「あら、失礼しました。なんだか嬉しくて」
「……俺も嬉しい。初めて踊った時を思い出す」
「ああ、あのとき」
「ラストダンスに俺を選んでくれたこと、本当に嬉しかった」
「あら……」
「それに、こうしてファーストダンスを共にできて、夢がまた一つ叶った。……嬉しくて、たまらない」
アレキサンダーの低い声がやけに色っぽい。眉間の皺もすっかり取れて、アビゲイルにとっての大好きなテディベアがそこに居て、耳元で囁いている。アビゲイルの大好きな彼のウルトラマリンブルーの瞳がやけに潤んでいるような気もする。
「も、もう……今宵はやけに饒舌ですこと」
「柄にもないと笑ってくれてかまわない。本当に愛しくてたまらないんだアビー」
「あん……そ、そんな悩ましいこと仰っちゃ、腰が砕けてしまいそう」
「その時は支えるから安心していい」
「あらまあ、支えてどこに連れて行ってくださるの」
「どこがいいかな。このままヘーゼルダインに連れ去ってしまおうか」
「はぁん……もう」
そんなことを言われてしまっては、本当に腰砕けになってしまいそうだ。惚れた弱みというのは本当に恐ろしい。
婚約が決まってからのアレキサンダーはアビゲイルの攻略法を覚えてしまったらしく、こうして二人の世界になると(ダンスフロアだが)、口下手ないつもの彼は鳴りを潜めて、アビゲイルの脳の一点を刺激するような言葉をくれるから、嬉しいんだか困るんだか分からなくなる。
実を言うと、ここに来るまでの馬車の中でも、アレキサンダーはずっとこの調子だったものだから、アビゲイルはもう魅了魔法でもかけられてしまったかのように目はトロンとして、彼の言動にいちいちドキドキしっぱなしであった。
一応馬車にはアレキサンダーの執事であるジェフも乗っていたのだが、執事というものは主人が恋人とイチャイチャしていようと、必要と判断した時以外は邪魔をせず気配を消して控えているものなので、アレキサンダーは気にしていないらしかった。
しかもジェフは、何も知らぬアビゲイルを一度アレキサンダーの寝室に待機させて、あわよくば既成事実を作らせようと画策したことがあるくらいだから、ジェフ自身はこのくらいなんともないのだろう。
お陰でアレキサンダーには散々口説かれてあと少しで陥落してしまうところを、「到着した模様です」と告げられて事なきを得た。奥手が本気を出すとこうなるのかと思わずにいられない。
貴族女性は本来なら原則として純潔で結婚するのが望ましいが、最近の若者の風潮では、お腹が大きくなり始めて慌てて結婚を早めた、なんて話もあるくらいで、そうなったら「まあ、婚約者だし、愛し合ってんだからいいか」ともう諦め半分笑い話になることもあるそうである。
子供が生まれてから髪の色が違うだの瞳の色が誰だこれなどというトラブルも時々あるそうだが、流石にそこまでの問題は最近聞かない。
もう両親公認の婚約者なのだから、まあ、少しくらい結婚前に体を許してもいいかなと思ってはいるアビゲイルなのだが、流石に場所はわきまえたいのだ。初めてはオーシャンビューのステキな部屋で、などという贅沢は言わないから、せめてシンプルでも清潔な寝室で、と思う。
目をトロンと蕩けさせてアレキサンダーを盗み見ながら(基本、モダンダンスの時は視線は合わせないものだ)、そんなことを悶々と考えていると、いつの間にか曲が終わって拍手喝采を浴びていた。
アレキサンダーの何時にない積極的な言動に反応して、アビゲイルが上ずった声で話すものだから、回りまわってアレキサンダー自身も少し官能に火が付いていたことを、アビゲイルは知らない。
腰砕けにするのはお前の声だと、アレキサンダーは心の中でアビゲイルにツッコミを入れるのであった。
別の壇上に居て有力貴族の挨拶を受けていた皇帝オーガスタ陛下とその夫である皇婿ジョナサン殿下が、アレキサンダーの姿を見つけてわざわざ来てくれた。
形式に則り頭を下げてオーガスタ陛下とジョナサン殿下に王太子殿下の生誕と成人の祝いの言葉を述べると、「妾とお主の仲ではないか」と、オーガスタ陛下はアレキサンダーの堅苦しい挨拶をカラカラと笑い飛ばす。
婚約の報告に拝謁させて頂いた時に聞いたが、アレキサンダーと皇帝皇婿ご夫婦は家族ぐるみの付き合いなのだそうで、アレキサンダーの今は亡き父である前ヘーゼルダイン西辺境伯はお二人の同期の親友だったという。親友の息子は自分の息子も同じで、お二人にしてみれば、アレキサンダーは息子のようなものらしいし、アレキサンダーが小さなころから目をかけてくれていたそうだ。
そういった付き合いがあったのなら、成程アレキサンダーの結婚に対して心配もするはずで、今回のアビゲイルとの婚約も二つ返事で後押ししてくれたのだ。
勿論、アビゲイルのことを幼少時から今現在にかけてのことを、独自に探偵や影を使って徹底的に調べ上げた上で、過去に放蕩していたこともあったけれど、ここ最近の功績などを鑑みてくれた。
まあ、放蕩していたとしても、ヘーゼルダイン領に嫁いでしまえば、あの帝都から五日かかる距離と過酷な辺境地帯で逃げられない生活するうちに更生するに違いないと、明らかに打算的な物があったのは否めないけれど。
それでも、婚約の報告に二人そろって挨拶に来たアレキサンダーとアビゲイルの様子を見て、その相思相愛的かつ、特にアビゲイルのアレキサンダーを見る目がまさに惚れて惚れて仕方ないのだと如実に物語っていたので、二人のことを認めるしかなかったというのもある。
愛は惜しまず、恋は盲目、天使の仕業じゃしょうがない、過去の偉人はよく言ったものである。
辺境伯と侯爵家の姫なら身分的に釣り合うのだし、政治的な面から言っても政略結婚としては申し分ない。そのうえ相思相愛ならもう何も言うまいということだ。
王太子殿下が開口一番にバカップルと称したのも納得の溺愛っぷりであった。二人の恋路を云々言ったとして、馬に蹴られても馬鹿らしいと思った皇帝一家は、ダンスフロアの音楽が変わったのをきっかけに、さっさと行けと言わんばかりに二人をフロアへ追いやった。
ムードのある四拍子のメロウな旋律の中、周りのカップルがブルースをゆったりと踊っているのを見て、二人は視線を合わせて「スローフォックストロット!」と言って笑いあってから組む。そして次小節まで待って予備歩からフェザーステップに入った。
もともとブルースとスローは同じ曲が使われることが多いので、ブルースの中にスローで入ってもリズムの違和感はないからかえって楽しい。
大きくゆっくりと中央に歩み寄り、リバースターンで方向を変えるだけで、周りのブルースよりもよく目立つ。スリーステップで別方向の角まで行き、ナチュラルターンでまた方向を変え角でクローズドインピタス、フェザーステップで中央に戻る……。
決して難しいステップではないし、あくまで何の打ち合わせもない、その場の音楽に合わせた動きなのだが、大きくゆったりと、うまいこと他のカップルの合間を潜り抜けてフロアを大きく使うことで、周りから一目置かれるような存在に映る。
やはり騎士だけにアレキサンダーはダンスが上手い。ダンスカップルを組むにはかなり優秀なリーダーである。
上背もあるし足も長いから、スローに大きく踏み出すステップなどではかなり見栄えがする。アビゲイルは自分もかなりの物だと自負しているけれども、上には上がいるものだ。
そういえば、ラリマールのダンスがクイックステップで、アレキサンダーがスローフォックストロット、まさに動と静、どちらも豪快であるけれども、あまりに正反対な二人のステップにアビゲイルは思わずふふっと笑ってしまう。
「思い出し笑いか、アビー?」
「あら、失礼しました。なんだか嬉しくて」
「……俺も嬉しい。初めて踊った時を思い出す」
「ああ、あのとき」
「ラストダンスに俺を選んでくれたこと、本当に嬉しかった」
「あら……」
「それに、こうしてファーストダンスを共にできて、夢がまた一つ叶った。……嬉しくて、たまらない」
アレキサンダーの低い声がやけに色っぽい。眉間の皺もすっかり取れて、アビゲイルにとっての大好きなテディベアがそこに居て、耳元で囁いている。アビゲイルの大好きな彼のウルトラマリンブルーの瞳がやけに潤んでいるような気もする。
「も、もう……今宵はやけに饒舌ですこと」
「柄にもないと笑ってくれてかまわない。本当に愛しくてたまらないんだアビー」
「あん……そ、そんな悩ましいこと仰っちゃ、腰が砕けてしまいそう」
「その時は支えるから安心していい」
「あらまあ、支えてどこに連れて行ってくださるの」
「どこがいいかな。このままヘーゼルダインに連れ去ってしまおうか」
「はぁん……もう」
そんなことを言われてしまっては、本当に腰砕けになってしまいそうだ。惚れた弱みというのは本当に恐ろしい。
婚約が決まってからのアレキサンダーはアビゲイルの攻略法を覚えてしまったらしく、こうして二人の世界になると(ダンスフロアだが)、口下手ないつもの彼は鳴りを潜めて、アビゲイルの脳の一点を刺激するような言葉をくれるから、嬉しいんだか困るんだか分からなくなる。
実を言うと、ここに来るまでの馬車の中でも、アレキサンダーはずっとこの調子だったものだから、アビゲイルはもう魅了魔法でもかけられてしまったかのように目はトロンとして、彼の言動にいちいちドキドキしっぱなしであった。
一応馬車にはアレキサンダーの執事であるジェフも乗っていたのだが、執事というものは主人が恋人とイチャイチャしていようと、必要と判断した時以外は邪魔をせず気配を消して控えているものなので、アレキサンダーは気にしていないらしかった。
しかもジェフは、何も知らぬアビゲイルを一度アレキサンダーの寝室に待機させて、あわよくば既成事実を作らせようと画策したことがあるくらいだから、ジェフ自身はこのくらいなんともないのだろう。
お陰でアレキサンダーには散々口説かれてあと少しで陥落してしまうところを、「到着した模様です」と告げられて事なきを得た。奥手が本気を出すとこうなるのかと思わずにいられない。
貴族女性は本来なら原則として純潔で結婚するのが望ましいが、最近の若者の風潮では、お腹が大きくなり始めて慌てて結婚を早めた、なんて話もあるくらいで、そうなったら「まあ、婚約者だし、愛し合ってんだからいいか」ともう諦め半分笑い話になることもあるそうである。
子供が生まれてから髪の色が違うだの瞳の色が誰だこれなどというトラブルも時々あるそうだが、流石にそこまでの問題は最近聞かない。
もう両親公認の婚約者なのだから、まあ、少しくらい結婚前に体を許してもいいかなと思ってはいるアビゲイルなのだが、流石に場所はわきまえたいのだ。初めてはオーシャンビューのステキな部屋で、などという贅沢は言わないから、せめてシンプルでも清潔な寝室で、と思う。
目をトロンと蕩けさせてアレキサンダーを盗み見ながら(基本、モダンダンスの時は視線は合わせないものだ)、そんなことを悶々と考えていると、いつの間にか曲が終わって拍手喝采を浴びていた。
アレキサンダーの何時にない積極的な言動に反応して、アビゲイルが上ずった声で話すものだから、回りまわってアレキサンダー自身も少し官能に火が付いていたことを、アビゲイルは知らない。
腰砕けにするのはお前の声だと、アレキサンダーは心の中でアビゲイルにツッコミを入れるのであった。
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