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閑話 弟の淫夢1 ※R18/若干SM描写有
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※若干SM描写があります。ご注意ください。
――――――――――――――――――――――
ふわりふわりと誰かに手を引かれながら、ヴィクターは赤いベロアのカーテンで作られた通路を歩む。
案内人が誰なのかはもうこの際どうでも良かったし、気にもならない。
ふわふわと揺れているのはカーテンなのか自分の頭なのか。
案内人の姿が霞むくらいに赤いカーテンが目について、この先の何かを表現しているようで落ち着かない。頭は酩酊状態だがひどく興奮しているような気もしていた。
カーテンの通路の向こうで行き止まりになると、案内人はヴィクターの手をそっと放し、一度じっとヴィクターを見てから、おもむろに背後のカーテンをさっと開いてから横にずれて、無言で手で指し示すように中へと誘導した。
ヴィクターはそれが当然のような気がして促されたカーテンの中へと入る。
前方にある天蓋付きのベッド、そこにはそれしかない。周りは分厚い赤のカーテンのみ、その向こうがどうなっているのかはとくに気にもならないし、確かめる気もなかった。
天蓋付きベッドにもカーテンがかけられていて、透ける素材ではないので中を伺い知ることはできない。けれど、密やかな呼吸音がしていて、中に誰かがいるのが分かった。
しばらく何もせずにそのままベッド脇に立っていると、中に居るらしい人物の呼吸音が浅く早くなっていく様子がわかる。
はっ、はっ、という短く浅い呼吸音に、時折あ、とか、ん、とかの短い声も聞こえてきた。声音からどうやら女のようで、酩酊する頭の中なれど、聞き覚えのある声にどきりと鼓動が大きく脈打った。
覗いてはいけない気もしたが、手は勝手に動いて、その閉じられたカーテンを両側にさっと開け放った。
ベッドの中央で蠢く何か。それは一人の全裸の女で、黒い鞣革のロープで複雑に縛られていた。菱縄縛りという複雑な縛り方だと、背後に居た案内人が静かな声で教えてくれた。結び目が多いので肌に当る刺激がより強くて、女の快感を早く引き出すのだと、聞いてもいないことを教えてくる。
女はプラチナブロンドの長い髪をしていて、その垂れさがる前髪の下、黒い布で目隠しをされているので、その瞳の色は残念ながらわからなかった。
ロープの食い込みが柔肌を刺激するのか、呼吸するというそれだけの行為での身じろぎだけでびくびくと震えていて、ロープの間から剥き出しになっているボリュームのある乳房の先端が既に立ち上がっているのがわかる。
じゅくじゅくと何やら蠢く音がするのが気になり、ふと女の足の間から何かがうごめいているのが分かった。
案内人が女の両足をぐいと広げて見せると、女はたまらないと言った様子で大きく息を吐きだした。
女のそこをまじまじと見るのはこれが初めてで、ヴィクターは心臓のドラムがやたらと耳について、その振動ごとに熱が体のある一点に集中していくのが抑えられなかった。
恥毛の一本すら生えていない女のそこからぶしゅぶしゅと半透明な液体が間欠泉のように噴き出しているのがひどく淫猥に見えたが、よく見ると間欠泉のむこうで何かが蠢いているのがわかって、ヴィクターは動揺する。
股の間で蠢くもの、それは半透明なスライム状の物で、ロープの隙間からコの字になって女の二つの孔に出入りをしている。上の方に入ったものが先端を分け、孔のすぐ上にある蕾を包みこんでぶるぶると振動して刺激を与えている。
「はぁっ、あ、ふ、ひぁあああっ……!」
ひどく我慢していたらしく、女の悲鳴じみた声は少し掠れてしまっていた。快楽の拷問によりだらしなく開いた口からは物欲しそうな赤い舌が見えていて、犬のように口を開けてはっはっと短い息を吐いている。しかしその声に妙に聞き覚えがあって、思わずその女の目隠しを取ってしまっていた。
涙に濡れたその瞳の色は自分と同じアメジスト。姉によく似ている。というよりも姉そっくりだった。それだけでヴィクターは興奮して喉の奥から熱い息が漏れた。
傾国と呼ぶにふさわしい美貌を快楽に歪めて肌を赤く染め、縛られて恥ずかしげもなく剥き出しの乳房を震わせて、ねだるようにその先端を痛いほど尖らせて。大きく開いた両足の間、二つの孔に出入りするスライムに何度も何度も潮を吹かせられながら「嫌」とも「やめて」とも言わない。嬌声をあげる口元には笑みが浮かんでいるほど、この享楽的で淫靡な行為に没頭している。
こちらを見ているが焦点が合っていない。おそらく見えていないのだ。
血を分けた弟がその痴態をそばでまじまじと見ていることもわからず、ただただ、与えられるロープの食い込みと、スライムによる二つの孔と蕾への刺激に、間欠泉のような潮を噴き上げながらへらへらと快楽に身を委ねている姉。
このような姉の姿など見たこともないし、これから見る機会もないはずで、それならこの女は姉のようだけれども単なるよく似た女なのかもしれない。
ふと案内人が「ここは夢」と言った。その言葉でようやくここが淫靡な夢の中であることを思い出す。
よく夢の中でこれは夢であるとはっきり言える明晰夢というものがあるが、これがそうか、とヴィクターは心の中にあった何かの枷がポロリと外れる音が聞こえた気がした。
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ふわりふわりと誰かに手を引かれながら、ヴィクターは赤いベロアのカーテンで作られた通路を歩む。
案内人が誰なのかはもうこの際どうでも良かったし、気にもならない。
ふわふわと揺れているのはカーテンなのか自分の頭なのか。
案内人の姿が霞むくらいに赤いカーテンが目について、この先の何かを表現しているようで落ち着かない。頭は酩酊状態だがひどく興奮しているような気もしていた。
カーテンの通路の向こうで行き止まりになると、案内人はヴィクターの手をそっと放し、一度じっとヴィクターを見てから、おもむろに背後のカーテンをさっと開いてから横にずれて、無言で手で指し示すように中へと誘導した。
ヴィクターはそれが当然のような気がして促されたカーテンの中へと入る。
前方にある天蓋付きのベッド、そこにはそれしかない。周りは分厚い赤のカーテンのみ、その向こうがどうなっているのかはとくに気にもならないし、確かめる気もなかった。
天蓋付きベッドにもカーテンがかけられていて、透ける素材ではないので中を伺い知ることはできない。けれど、密やかな呼吸音がしていて、中に誰かがいるのが分かった。
しばらく何もせずにそのままベッド脇に立っていると、中に居るらしい人物の呼吸音が浅く早くなっていく様子がわかる。
はっ、はっ、という短く浅い呼吸音に、時折あ、とか、ん、とかの短い声も聞こえてきた。声音からどうやら女のようで、酩酊する頭の中なれど、聞き覚えのある声にどきりと鼓動が大きく脈打った。
覗いてはいけない気もしたが、手は勝手に動いて、その閉じられたカーテンを両側にさっと開け放った。
ベッドの中央で蠢く何か。それは一人の全裸の女で、黒い鞣革のロープで複雑に縛られていた。菱縄縛りという複雑な縛り方だと、背後に居た案内人が静かな声で教えてくれた。結び目が多いので肌に当る刺激がより強くて、女の快感を早く引き出すのだと、聞いてもいないことを教えてくる。
女はプラチナブロンドの長い髪をしていて、その垂れさがる前髪の下、黒い布で目隠しをされているので、その瞳の色は残念ながらわからなかった。
ロープの食い込みが柔肌を刺激するのか、呼吸するというそれだけの行為での身じろぎだけでびくびくと震えていて、ロープの間から剥き出しになっているボリュームのある乳房の先端が既に立ち上がっているのがわかる。
じゅくじゅくと何やら蠢く音がするのが気になり、ふと女の足の間から何かがうごめいているのが分かった。
案内人が女の両足をぐいと広げて見せると、女はたまらないと言った様子で大きく息を吐きだした。
女のそこをまじまじと見るのはこれが初めてで、ヴィクターは心臓のドラムがやたらと耳について、その振動ごとに熱が体のある一点に集中していくのが抑えられなかった。
恥毛の一本すら生えていない女のそこからぶしゅぶしゅと半透明な液体が間欠泉のように噴き出しているのがひどく淫猥に見えたが、よく見ると間欠泉のむこうで何かが蠢いているのがわかって、ヴィクターは動揺する。
股の間で蠢くもの、それは半透明なスライム状の物で、ロープの隙間からコの字になって女の二つの孔に出入りをしている。上の方に入ったものが先端を分け、孔のすぐ上にある蕾を包みこんでぶるぶると振動して刺激を与えている。
「はぁっ、あ、ふ、ひぁあああっ……!」
ひどく我慢していたらしく、女の悲鳴じみた声は少し掠れてしまっていた。快楽の拷問によりだらしなく開いた口からは物欲しそうな赤い舌が見えていて、犬のように口を開けてはっはっと短い息を吐いている。しかしその声に妙に聞き覚えがあって、思わずその女の目隠しを取ってしまっていた。
涙に濡れたその瞳の色は自分と同じアメジスト。姉によく似ている。というよりも姉そっくりだった。それだけでヴィクターは興奮して喉の奥から熱い息が漏れた。
傾国と呼ぶにふさわしい美貌を快楽に歪めて肌を赤く染め、縛られて恥ずかしげもなく剥き出しの乳房を震わせて、ねだるようにその先端を痛いほど尖らせて。大きく開いた両足の間、二つの孔に出入りするスライムに何度も何度も潮を吹かせられながら「嫌」とも「やめて」とも言わない。嬌声をあげる口元には笑みが浮かんでいるほど、この享楽的で淫靡な行為に没頭している。
こちらを見ているが焦点が合っていない。おそらく見えていないのだ。
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このような姉の姿など見たこともないし、これから見る機会もないはずで、それならこの女は姉のようだけれども単なるよく似た女なのかもしれない。
ふと案内人が「ここは夢」と言った。その言葉でようやくここが淫靡な夢の中であることを思い出す。
よく夢の中でこれは夢であるとはっきり言える明晰夢というものがあるが、これがそうか、とヴィクターは心の中にあった何かの枷がポロリと外れる音が聞こえた気がした。
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