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21 本当に郵便事故?
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二人で話したいというラリマールに応じて、アビゲイルは応接室に通した。彼は、ソファーセットを勧められてドカリと座った。
「おっと、君はこっち」
その向かい側に座ろうとしたアビゲイルに指でちょいちょいと促されて横に座らされた。
驚いて立ち上がろうとしたものの、ラリマールはアビゲイルの後ろの背もたれに腕を回して横から顔も近く覗き込むように座られてしまい、アビゲイルはそのまま動けなくなってしまった。
「ほら、こっちのほうが親密に話ができる」
線の細い見た目なのに背は高く、女性的にも見える整った顔立ちのラリマールは、意外にも男性的な色気が駄々洩れで、その声色もどこか色を含んでいて、アビゲイルは背筋がぞくぞくとしてきてしまう。
ここはスルーしなければ。こういうのにいちいちクラクラ来ているようでは社交界ではやっていけない、そういう女優根性が沸き上がる。
「ほほほ、殿下ったら少々お戯れが過ぎましてよ。ちょ、ちょーっと近うございます。殿下のファンの姫たちに睨まれてしまいますわあ」
「あーらら、お得意の仮面だねえ。何枚の仮面を持っているのかな、アビゲイルちゃんは」
「あら、ほほほほほほ。一体何のことやら、勉強不足で申し訳ございません」
「う~ん、どうしたらその仮面を外してくれるのかな? 素の君が見てみたいものだよ」
言い寄る男性に対しての張り付けた笑顔でするりと躱す方法はラリマールには通じていない。
アビゲイルが社交で使いこなしている淑女の仮面は、前世でキャバ嬢だった友人から役作りのために学んだ処世術で、かなり完璧に演じられて居ると自負していたのに、このラリマールの言う「仮面」とはそのことだろう。
彼にかかれば、アビゲイルは自分を出さずにホスト役を演じているのがバレバレであった。
そんなことより。
妙齢の未婚の男女(ラリマールは寿命が果てしない魔族のため年齢は定かではないが)少々馴れ馴れしいのではないかとか、色々言いたいことがあっても、「あの、ちょっと落ち着いてくださいませ」としか言えない。
侍女らがお茶の準備をしてさっとテーブルセッティングをしてから脇に下がる。部屋から出て行かないのは、アビゲイルとラリマールを二人きりにはしないためだ。
二人は王族と侯爵令嬢、身分差としては十分釣り合う。しかし種族の差は如何ともしがたいので、倫理的観点から間違いが起こることはないとは思うけれども、できないことはないから一応の警戒だった。
この部屋に来る前、姉に近すぎるラリマールをちょっと警戒したような目で見て居たヴィクターが、すぐにアビゲイルの腕をとって引きはがせる位置に立っていたのが分かって、アビゲイルは弟に「その剣呑な目、しまって! しまって!」と目で訴えたっけ。
もしかしたら扉の前で聞き耳を立てているかもしれないが、そんなことしたらラリマールに不敬にあたるので、一応侍女たちにさりげなく見にいかせたけれど、廊下には誰も居なかったようだ。
「ラ、ラリマール殿下、お話とは……」
アビゲイルはおずおずと隣の大魔導士に尋ねる。ラリマールは出された紅茶を一口飲んで口を潤してから、おもむろに話し始めた。
「まあちょっとした行き違いかもしれないから、確認のためなんだけどね。ねえアビゲイルちゃん、僕とアレックスからの最後の手紙はいつの日付のもの?」
「は、はい。ええと……」
最後の手紙というとアレキサンダーからの手紙のやり取りで心配する婚約者やその候補らはいないのかという内容と、同じ時期に届いたラリマールからの現魔王の嫁選びが進まないとの愚痴を言っていた内容のものだ。
アビゲイルはその二通の手紙の書かれた日付と、返事を出したアビゲイルの手紙の日付を伝える。
「ん~、そうすると僕たちの手紙は届いているのに、アビゲイルちゃんの手紙がどこかに行っちゃったわけか」
「そう……なりますね」
「まさかとは思うけど、出したと思い込んで抽斗に忘れてたりしないよね?」
「ほほ、殿下……いくら不束なあたしでもそこまでは」
「まあそうだよねえ、以前の君ならともかくね」
「あらまあ、耳が痛いお話。ですがちゃんとルイカに出すようにと渡しましたし。ねえ、ルイカ」
アビゲイルは後ろに控えていた自分の侍女に振り返って訪ねた。
「もちろんですわ。ちゃんと郵便の集荷の者に渡して、領収書も家令様に提出しております。確認いたしますか」
「一応、お願いできる?」
「かしこまりました。少々お待ちくださいませ」
ルイカは郵便の履歴の書かれた帳簿を取りに行き、ほどなくして戻ってきた。
帳簿には郵便でもらった集荷の領収書が貼りつけてあって、その中にはアレキサンダーとラリマールの宛先が書かれていた。
それを見てラリマールは「ふーん……」と言いながら紅茶を一口飲んだ。
「となると、郵便事故ってわけか」
「そうですね……あたしの手紙がお二人以外に見られているとか考えると、恥ずかしくてたまりませんが仕方がありませんね」
「はは、恥ずかしいことを書いていたの?」
「いえ、そうではありませんが、他愛ない話といえど、あたしの内輪の話も書いていたのに、それを読まれたら恥ずかしくて」
出来心でイラストなんかもちょこっと描いて送ったから、それを見られたら恥ずかしいなあと思う。
「集荷の局員が何か知っているかもしれませんね。うちの誰も手紙がこないとかそういうことはありませんし」
アビゲイルは何でもないことのように努めて明るく振舞った。
この世界では貴族の郵便物は二、三日に一度、その家専属の郵便局の集荷担当の局員が出向いてくれる。
もちろんフォックス家の担当の郵便局員がいて、直接のやり取りは使用人がするので接触は無くても、その者とも家族全員が顔見知り程度には知り合いであった。
「きっと郵送途中に落としてしまったとか、風に飛ばされてしまったとか、何かの手違いで間違って送られてしまったとか、そういうことじゃないでしょうか? 間違いや失敗は誰にでもありますから」
今回の二通だけだから、そんな目くじら立てることでもないと思った。
郵便事故であって、アレキサンダーとラリマールに不敬なことを書いて怒らせてしまったのでなければ、アビゲイル的には問題はなかった。
ラリマールはアビゲイルをじっと見つめてからふう、とため息をつく。見透かすような縦線瞳孔のアイスブルーの瞳に見つめられて、一瞬ドキリとしてしまったが、その次の瞬間にラリマールの目がふにゃりと笑いの形に細くなったので、ちょっとだけ安心した。
「君の手紙だけが紛失するなんて、何者かの意図に見えるよねえ」
「え」
そう言うと、ラリマールはアビゲイルの耳元にそっと手と口を寄せて、ひそひそと小声で話し始めた。
「気を悪くしないでもらえたらいいんだけど、僕はフォックス侯爵か弟君が、アビゲイルちゃんの手紙を抜き取っているんじゃないかと思ってた」
「え」
耳を離してからまじまじとラリマールの顔を見ると、彼はシニカルに口角を片方上げた笑顔になっていた。
とりあえず、彼に倣って声を潜めて話すことにした。
「……な、何故です? 彼らがそんなことするはずありません」
「そうかな? だって君を愛しているじゃない?」
「はい……? そ、それはそうでしょうけど、一体それの何が関係あるんでしょうか」
「可愛い娘、大好きな姉に文通とはいえ男の影があったら邪魔したくもなるんじゃない?」
クスクスと笑いながら言うラリマールは、明らかに父と弟をアビゲイルの手紙を抜き取った犯人だと疑っているらしい。
「おっと、君はこっち」
その向かい側に座ろうとしたアビゲイルに指でちょいちょいと促されて横に座らされた。
驚いて立ち上がろうとしたものの、ラリマールはアビゲイルの後ろの背もたれに腕を回して横から顔も近く覗き込むように座られてしまい、アビゲイルはそのまま動けなくなってしまった。
「ほら、こっちのほうが親密に話ができる」
線の細い見た目なのに背は高く、女性的にも見える整った顔立ちのラリマールは、意外にも男性的な色気が駄々洩れで、その声色もどこか色を含んでいて、アビゲイルは背筋がぞくぞくとしてきてしまう。
ここはスルーしなければ。こういうのにいちいちクラクラ来ているようでは社交界ではやっていけない、そういう女優根性が沸き上がる。
「ほほほ、殿下ったら少々お戯れが過ぎましてよ。ちょ、ちょーっと近うございます。殿下のファンの姫たちに睨まれてしまいますわあ」
「あーらら、お得意の仮面だねえ。何枚の仮面を持っているのかな、アビゲイルちゃんは」
「あら、ほほほほほほ。一体何のことやら、勉強不足で申し訳ございません」
「う~ん、どうしたらその仮面を外してくれるのかな? 素の君が見てみたいものだよ」
言い寄る男性に対しての張り付けた笑顔でするりと躱す方法はラリマールには通じていない。
アビゲイルが社交で使いこなしている淑女の仮面は、前世でキャバ嬢だった友人から役作りのために学んだ処世術で、かなり完璧に演じられて居ると自負していたのに、このラリマールの言う「仮面」とはそのことだろう。
彼にかかれば、アビゲイルは自分を出さずにホスト役を演じているのがバレバレであった。
そんなことより。
妙齢の未婚の男女(ラリマールは寿命が果てしない魔族のため年齢は定かではないが)少々馴れ馴れしいのではないかとか、色々言いたいことがあっても、「あの、ちょっと落ち着いてくださいませ」としか言えない。
侍女らがお茶の準備をしてさっとテーブルセッティングをしてから脇に下がる。部屋から出て行かないのは、アビゲイルとラリマールを二人きりにはしないためだ。
二人は王族と侯爵令嬢、身分差としては十分釣り合う。しかし種族の差は如何ともしがたいので、倫理的観点から間違いが起こることはないとは思うけれども、できないことはないから一応の警戒だった。
この部屋に来る前、姉に近すぎるラリマールをちょっと警戒したような目で見て居たヴィクターが、すぐにアビゲイルの腕をとって引きはがせる位置に立っていたのが分かって、アビゲイルは弟に「その剣呑な目、しまって! しまって!」と目で訴えたっけ。
もしかしたら扉の前で聞き耳を立てているかもしれないが、そんなことしたらラリマールに不敬にあたるので、一応侍女たちにさりげなく見にいかせたけれど、廊下には誰も居なかったようだ。
「ラ、ラリマール殿下、お話とは……」
アビゲイルはおずおずと隣の大魔導士に尋ねる。ラリマールは出された紅茶を一口飲んで口を潤してから、おもむろに話し始めた。
「まあちょっとした行き違いかもしれないから、確認のためなんだけどね。ねえアビゲイルちゃん、僕とアレックスからの最後の手紙はいつの日付のもの?」
「は、はい。ええと……」
最後の手紙というとアレキサンダーからの手紙のやり取りで心配する婚約者やその候補らはいないのかという内容と、同じ時期に届いたラリマールからの現魔王の嫁選びが進まないとの愚痴を言っていた内容のものだ。
アビゲイルはその二通の手紙の書かれた日付と、返事を出したアビゲイルの手紙の日付を伝える。
「ん~、そうすると僕たちの手紙は届いているのに、アビゲイルちゃんの手紙がどこかに行っちゃったわけか」
「そう……なりますね」
「まさかとは思うけど、出したと思い込んで抽斗に忘れてたりしないよね?」
「ほほ、殿下……いくら不束なあたしでもそこまでは」
「まあそうだよねえ、以前の君ならともかくね」
「あらまあ、耳が痛いお話。ですがちゃんとルイカに出すようにと渡しましたし。ねえ、ルイカ」
アビゲイルは後ろに控えていた自分の侍女に振り返って訪ねた。
「もちろんですわ。ちゃんと郵便の集荷の者に渡して、領収書も家令様に提出しております。確認いたしますか」
「一応、お願いできる?」
「かしこまりました。少々お待ちくださいませ」
ルイカは郵便の履歴の書かれた帳簿を取りに行き、ほどなくして戻ってきた。
帳簿には郵便でもらった集荷の領収書が貼りつけてあって、その中にはアレキサンダーとラリマールの宛先が書かれていた。
それを見てラリマールは「ふーん……」と言いながら紅茶を一口飲んだ。
「となると、郵便事故ってわけか」
「そうですね……あたしの手紙がお二人以外に見られているとか考えると、恥ずかしくてたまりませんが仕方がありませんね」
「はは、恥ずかしいことを書いていたの?」
「いえ、そうではありませんが、他愛ない話といえど、あたしの内輪の話も書いていたのに、それを読まれたら恥ずかしくて」
出来心でイラストなんかもちょこっと描いて送ったから、それを見られたら恥ずかしいなあと思う。
「集荷の局員が何か知っているかもしれませんね。うちの誰も手紙がこないとかそういうことはありませんし」
アビゲイルは何でもないことのように努めて明るく振舞った。
この世界では貴族の郵便物は二、三日に一度、その家専属の郵便局の集荷担当の局員が出向いてくれる。
もちろんフォックス家の担当の郵便局員がいて、直接のやり取りは使用人がするので接触は無くても、その者とも家族全員が顔見知り程度には知り合いであった。
「きっと郵送途中に落としてしまったとか、風に飛ばされてしまったとか、何かの手違いで間違って送られてしまったとか、そういうことじゃないでしょうか? 間違いや失敗は誰にでもありますから」
今回の二通だけだから、そんな目くじら立てることでもないと思った。
郵便事故であって、アレキサンダーとラリマールに不敬なことを書いて怒らせてしまったのでなければ、アビゲイル的には問題はなかった。
ラリマールはアビゲイルをじっと見つめてからふう、とため息をつく。見透かすような縦線瞳孔のアイスブルーの瞳に見つめられて、一瞬ドキリとしてしまったが、その次の瞬間にラリマールの目がふにゃりと笑いの形に細くなったので、ちょっとだけ安心した。
「君の手紙だけが紛失するなんて、何者かの意図に見えるよねえ」
「え」
そう言うと、ラリマールはアビゲイルの耳元にそっと手と口を寄せて、ひそひそと小声で話し始めた。
「気を悪くしないでもらえたらいいんだけど、僕はフォックス侯爵か弟君が、アビゲイルちゃんの手紙を抜き取っているんじゃないかと思ってた」
「え」
耳を離してからまじまじとラリマールの顔を見ると、彼はシニカルに口角を片方上げた笑顔になっていた。
とりあえず、彼に倣って声を潜めて話すことにした。
「……な、何故です? 彼らがそんなことするはずありません」
「そうかな? だって君を愛しているじゃない?」
「はい……? そ、それはそうでしょうけど、一体それの何が関係あるんでしょうか」
「可愛い娘、大好きな姉に文通とはいえ男の影があったら邪魔したくもなるんじゃない?」
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