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15 早速一通目のおたより
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弟ヴィクターは急遽氷嚢を用意してもらって一晩寝させたら、次の日の朝すっかり熱は下がっていた。
一応医者にも診てもらったが、気疲れによる心因性の発熱だろうということだった。
「皇帝陛下にご挨拶に伺ったときに後継者としてご紹介したからなあ。緊張したのだろう」と、父。
「よその姫君たちに引っ張りだこでしたものね」と母。
アビゲイルはその意見とともに、ロクデナシの姉を持つ気疲れもあったのだろうと思って弟に申し訳なくなった。
ヴィクターは今年寄宿学校を卒業して、父の後継者として、父の仕事について回っているのだが、昨日の建国記念の舞踏会は、そのフォックス侯爵の後継者としてのお披露目の場でもあった。
そのため、舞踏会の次の日に届いた手紙には、フォックス家に娘を嫁がせたい貴族たちからの見合いの申し込みの手紙がわんさか届いていた。
父よりも母のほうが、こちらは○○家の姫君ね、こちらはまあ××家の姫君じゃないのと、贈られてきた冊子ぐらいの大きさの肖像画を見比べて楽しんでいた。
アビゲイルは弟のお嫁さんなら仲良くできるといいなあなんて呑気に考えていたが、彼女のほうこそ結婚適齢期であるため、どこぞに貰ってくれる人はいないものかと両親の悩みの種でもあった。
しかし、あのシズ侯爵の麻薬乱交サロンの摘発で、いち功労者としてどん底から浮上したアビゲイルの評判はおおむね良い方向に捉えられているようだが、それでも放蕩娘という過去は消えるものではなく、年頃の子息のいる格式高い名貴族からの見合いの話はまだ来ない。
正式には、来てはいる。しかし四十代~六十代の妻に先立たれて、前妻との間にできた子供がアビゲイルよりも年上といった、後妻を探している男性だったりするので、さすがに父が断ってくれている。
しかも、過去のアビゲイルの誰彼構わずかる~く付き合ってきた交友関係のせいで、こうした中高年男性からの後妻の申し込みがアビゲイルには異常に多かったので、父は断るのに苦労しているらしい。
どうしようもない放蕩娘とはいえ、馬鹿な子ほどかわいいとはよく言ったもので、父ローマンにしてみれば、アビゲイルは目に入れても痛くない可愛い娘であるらしい。
それが今のアビゲイルには申し訳なくてたまらない。
今ならもしご縁があるなら父の決めた人に文句を言わずに嫁いでもいいと思っている。
でも、できれば、禿げは百歩譲ってもいいけれど、高血圧高脂血症の腹の出たデブオヤジじゃないといいなーとか思うけれども。
理想で言えば、あの西辺境伯アレキサンダーのような、がっちり体型で男らしい人がいい。
強面で女性からは怖がられているらしいけれども、そんなに女性受けしないというなら、自分がアプローチしても問題は無いのではないか? などという恐れ多いことを考えて笑ってしまった。
一方、弟のヴィクターが十六歳の成人を迎えてからは、彼への姫君たちのアプローチと、その親からの見合いの申し込みは日々増えている。
身内にアビゲイルのような放蕩娘がいたとして、もともとフォックス侯爵家はロズ・フォギアリア帝国建国当時から続く名門の貴族。
その子息であるヴィクターも成人したての十六歳とはいえ、聡明でしっかりした優秀な青年である。
多少アビゲイルのような黒歴史があったとしても、彼女をいないものと考えれば、貴族たちにとって娘の嫁ぎ先候補としては上位の優良物件なのだ。
母が、その何通もある見合いの申し込みの手紙と肖像画を取捨選択をしてからヴィクターにどの子と会ってみたいかを聞くが、ヴィクターは憮然とした表情になる。
「……どの姫にも会いません」
「そんなこと言って、いつまでもお嫁さん候補を決めないのはいけませんよヴィクター」
「そういう気になれないのです。結婚なんて……急には考えられません」
怒ったようにそっぽを向く弟に、母は困ったような顔をしている。
アビゲイルは母に助け舟を出すようにして、母の選んだ女性たちの釣書を読んでからヴィクターに話してきかせた。
「こちらの女性は現宰相閣下の妹姫が嫁いだ先のローランド伯爵の末の姫君ね。家柄もお血筋もいいし、以前お見掛けしたことがあるけれど、とても清楚で淑やかな姫君だったわよ」
「あら、アビーは知っているの?」
「ええ。放蕩時代に」
「あらまあ」
「あたしは悪く言われて当然の人間でしたが、その悪口大会をしていた姫君たちの中には参加していなかった方ですわ。だから覚えておりました」
夜会というのは、貴族たちのいわば悪口大会の場とも言える。その中でそんな悪口大会が始まると、すっと立ってその場から離れる噂嫌いの人間も居るのだ。彼女はそんな一人だと覚えていた。もちろんそれは、放蕩をやめたのちに紳士録と照らし合わせてどこのご令嬢かと肩書を調べたから知っていることである。
「まあ、じゃあこの人にしたらヴィクター。さっそくお返事を書いて差し上げましょうよ」
「……嫌だと言っているでしょう!」
「まあヴィクター、ちょっと……」
「ヴィクター、お母様にそんな風に言ってはいけないわ」
「姉上……申し訳ありません母上。でも、本当に今は考えたくないんです!」
何に癇癪をおこしたのか、これで話は終わりだとばかりにヴィクターは立ち上がってその場を去ろうとしたのだが、そこに家令がやってきて先ほど届いたのだという手紙を持ってきたので、ヴィクターは思いとどまってそこに再び座った。
「おひい様宛でございます」
「あたし?」
またどこかのパーティーの招待状かと思って一応受け取って、何気なくその差出人の名を見ると、アビゲイルは目を見開いた。
そこには、アレキサンダーとラリマールの連名で差出人の名が書いてあった。
手紙を書くと言った昨日のこと、どんな手紙を書いて送ろうか、便せんはどれにしようかといろいろと考えている最中だったのだが、まさか昨日の今日で向こうから送ってきてくれるとは思いもしなかった。
「アビー、どなたから?」
「アレキサンダー閣下とラリマール殿下からよ、お父様、お母様。昨日楽しかったっていうご挨拶が書いてあるわ」
「なんと、あのお二方からか」
「まあ、お忙しいでしょうに、わざわざ?」
建国記念の舞踏会が終われば速攻に西辺境地へと帰ってしまうと言っていた彼らであるから、もう帰り支度に忙しいだろうのに、そんな時間をさいてこうして手紙を送ってくれたのだろう。
その心遣いがなんともニクイ。
「あたしがお二人に手紙を出しますって強引に言ってしまったのだけど、気を利かせて向こうから送ってきてくれたみたい。あ、ヴィクターのことも大丈夫かって書いてあるわ。良かったね、ヴィクター」
「……姉上。嬉しそうですね……」
「ええ、もちろんよ」
「…………なんで、そんなに……」
急にしょんぼりしてしまうヴィクターに気付かずに、アビゲイルは貰った手紙を嬉しそうに畳んで胸に充てていた。
まだ領地に戻っていないのにも関わらず、こうして手紙を送ってくれるなんて、なんと律儀な人たちなのだろうか。
アレキサンダーの手紙にラリマールが自分の手紙を同封するのなんのと言っていたが、一応便せんは別々だがちゃんと一緒の封筒で連名で送ってきたあたり、昨日のことを実践してみたらしくてちょっと面白い。
「早速お返事を書かないと。あたし、これで失礼いたしますわ」
家族に一礼をしてから、踵を返して侍女のルイカとともに部屋を出て行ったアビゲイルの後ろ姿を眺めやりながら、母は父に言う。
「ねえ貴方。アビーったら、もしかしてあのお二方のどちらかに好意を寄せているのかしら? あんなに嬉しそうに」
「え? いや、どうかな。ヴィクターはどう思う?」
「……知りません。失礼します」
急に不機嫌になってしまったヴィクターは、ツカツカと靴音も高く肩を怒らせて今度こそ部屋を出て行ってしまった。
一応医者にも診てもらったが、気疲れによる心因性の発熱だろうということだった。
「皇帝陛下にご挨拶に伺ったときに後継者としてご紹介したからなあ。緊張したのだろう」と、父。
「よその姫君たちに引っ張りだこでしたものね」と母。
アビゲイルはその意見とともに、ロクデナシの姉を持つ気疲れもあったのだろうと思って弟に申し訳なくなった。
ヴィクターは今年寄宿学校を卒業して、父の後継者として、父の仕事について回っているのだが、昨日の建国記念の舞踏会は、そのフォックス侯爵の後継者としてのお披露目の場でもあった。
そのため、舞踏会の次の日に届いた手紙には、フォックス家に娘を嫁がせたい貴族たちからの見合いの申し込みの手紙がわんさか届いていた。
父よりも母のほうが、こちらは○○家の姫君ね、こちらはまあ××家の姫君じゃないのと、贈られてきた冊子ぐらいの大きさの肖像画を見比べて楽しんでいた。
アビゲイルは弟のお嫁さんなら仲良くできるといいなあなんて呑気に考えていたが、彼女のほうこそ結婚適齢期であるため、どこぞに貰ってくれる人はいないものかと両親の悩みの種でもあった。
しかし、あのシズ侯爵の麻薬乱交サロンの摘発で、いち功労者としてどん底から浮上したアビゲイルの評判はおおむね良い方向に捉えられているようだが、それでも放蕩娘という過去は消えるものではなく、年頃の子息のいる格式高い名貴族からの見合いの話はまだ来ない。
正式には、来てはいる。しかし四十代~六十代の妻に先立たれて、前妻との間にできた子供がアビゲイルよりも年上といった、後妻を探している男性だったりするので、さすがに父が断ってくれている。
しかも、過去のアビゲイルの誰彼構わずかる~く付き合ってきた交友関係のせいで、こうした中高年男性からの後妻の申し込みがアビゲイルには異常に多かったので、父は断るのに苦労しているらしい。
どうしようもない放蕩娘とはいえ、馬鹿な子ほどかわいいとはよく言ったもので、父ローマンにしてみれば、アビゲイルは目に入れても痛くない可愛い娘であるらしい。
それが今のアビゲイルには申し訳なくてたまらない。
今ならもしご縁があるなら父の決めた人に文句を言わずに嫁いでもいいと思っている。
でも、できれば、禿げは百歩譲ってもいいけれど、高血圧高脂血症の腹の出たデブオヤジじゃないといいなーとか思うけれども。
理想で言えば、あの西辺境伯アレキサンダーのような、がっちり体型で男らしい人がいい。
強面で女性からは怖がられているらしいけれども、そんなに女性受けしないというなら、自分がアプローチしても問題は無いのではないか? などという恐れ多いことを考えて笑ってしまった。
一方、弟のヴィクターが十六歳の成人を迎えてからは、彼への姫君たちのアプローチと、その親からの見合いの申し込みは日々増えている。
身内にアビゲイルのような放蕩娘がいたとして、もともとフォックス侯爵家はロズ・フォギアリア帝国建国当時から続く名門の貴族。
その子息であるヴィクターも成人したての十六歳とはいえ、聡明でしっかりした優秀な青年である。
多少アビゲイルのような黒歴史があったとしても、彼女をいないものと考えれば、貴族たちにとって娘の嫁ぎ先候補としては上位の優良物件なのだ。
母が、その何通もある見合いの申し込みの手紙と肖像画を取捨選択をしてからヴィクターにどの子と会ってみたいかを聞くが、ヴィクターは憮然とした表情になる。
「……どの姫にも会いません」
「そんなこと言って、いつまでもお嫁さん候補を決めないのはいけませんよヴィクター」
「そういう気になれないのです。結婚なんて……急には考えられません」
怒ったようにそっぽを向く弟に、母は困ったような顔をしている。
アビゲイルは母に助け舟を出すようにして、母の選んだ女性たちの釣書を読んでからヴィクターに話してきかせた。
「こちらの女性は現宰相閣下の妹姫が嫁いだ先のローランド伯爵の末の姫君ね。家柄もお血筋もいいし、以前お見掛けしたことがあるけれど、とても清楚で淑やかな姫君だったわよ」
「あら、アビーは知っているの?」
「ええ。放蕩時代に」
「あらまあ」
「あたしは悪く言われて当然の人間でしたが、その悪口大会をしていた姫君たちの中には参加していなかった方ですわ。だから覚えておりました」
夜会というのは、貴族たちのいわば悪口大会の場とも言える。その中でそんな悪口大会が始まると、すっと立ってその場から離れる噂嫌いの人間も居るのだ。彼女はそんな一人だと覚えていた。もちろんそれは、放蕩をやめたのちに紳士録と照らし合わせてどこのご令嬢かと肩書を調べたから知っていることである。
「まあ、じゃあこの人にしたらヴィクター。さっそくお返事を書いて差し上げましょうよ」
「……嫌だと言っているでしょう!」
「まあヴィクター、ちょっと……」
「ヴィクター、お母様にそんな風に言ってはいけないわ」
「姉上……申し訳ありません母上。でも、本当に今は考えたくないんです!」
何に癇癪をおこしたのか、これで話は終わりだとばかりにヴィクターは立ち上がってその場を去ろうとしたのだが、そこに家令がやってきて先ほど届いたのだという手紙を持ってきたので、ヴィクターは思いとどまってそこに再び座った。
「おひい様宛でございます」
「あたし?」
またどこかのパーティーの招待状かと思って一応受け取って、何気なくその差出人の名を見ると、アビゲイルは目を見開いた。
そこには、アレキサンダーとラリマールの連名で差出人の名が書いてあった。
手紙を書くと言った昨日のこと、どんな手紙を書いて送ろうか、便せんはどれにしようかといろいろと考えている最中だったのだが、まさか昨日の今日で向こうから送ってきてくれるとは思いもしなかった。
「アビー、どなたから?」
「アレキサンダー閣下とラリマール殿下からよ、お父様、お母様。昨日楽しかったっていうご挨拶が書いてあるわ」
「なんと、あのお二方からか」
「まあ、お忙しいでしょうに、わざわざ?」
建国記念の舞踏会が終われば速攻に西辺境地へと帰ってしまうと言っていた彼らであるから、もう帰り支度に忙しいだろうのに、そんな時間をさいてこうして手紙を送ってくれたのだろう。
その心遣いがなんともニクイ。
「あたしがお二人に手紙を出しますって強引に言ってしまったのだけど、気を利かせて向こうから送ってきてくれたみたい。あ、ヴィクターのことも大丈夫かって書いてあるわ。良かったね、ヴィクター」
「……姉上。嬉しそうですね……」
「ええ、もちろんよ」
「…………なんで、そんなに……」
急にしょんぼりしてしまうヴィクターに気付かずに、アビゲイルは貰った手紙を嬉しそうに畳んで胸に充てていた。
まだ領地に戻っていないのにも関わらず、こうして手紙を送ってくれるなんて、なんと律儀な人たちなのだろうか。
アレキサンダーの手紙にラリマールが自分の手紙を同封するのなんのと言っていたが、一応便せんは別々だがちゃんと一緒の封筒で連名で送ってきたあたり、昨日のことを実践してみたらしくてちょっと面白い。
「早速お返事を書かないと。あたし、これで失礼いたしますわ」
家族に一礼をしてから、踵を返して侍女のルイカとともに部屋を出て行ったアビゲイルの後ろ姿を眺めやりながら、母は父に言う。
「ねえ貴方。アビーったら、もしかしてあのお二方のどちらかに好意を寄せているのかしら? あんなに嬉しそうに」
「え? いや、どうかな。ヴィクターはどう思う?」
「……知りません。失礼します」
急に不機嫌になってしまったヴィクターは、ツカツカと靴音も高く肩を怒らせて今度こそ部屋を出て行ってしまった。
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