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本編
117 幸福宣言
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「おはようございます母さん」
「おはよう、エミリオにスイさん。その様子だとゆっくり休めたようね」
「お、おはようございます……お、お義母さん、昨日は、ありがとうございました」
「ふふふ、いいのよ。大事無くて本当に良かったわ。さあ、リビングでシュクラ様がお待ちよ」
ドラゴネッティ邸の本館に戻ったスイとエミリオ。エミリオの母ニコール夫人が使用人とともに出迎えてくれた。案内されたリビングで既に支度を済ませて待っていたシュクラがこちらに向かって手を挙げて挨拶してきた。
「おはよう、スイ。おお、すっかり回復したみたいじゃな~!」
「お、おはようシュクラ様」
ソファーにふんぞり返って茶を飲みながら、使用人たちに甲斐甲斐しく世話をされていたシュクラ。相変わらずそんな姿も貴公子然として美しい。
スイはシュクラをもてなしていたドラゴネッティ子爵夫妻、小子爵夫妻、使用人一同を見回して「シュクラ様が何か粗相をしませんでしたか」と聞いたが、昨夜はヴィンテージワインを飲みながらビール事業のことを事細かに話し合って終始楽し気な雰囲気で、夜十一時頃にお開きとなってそれぞれ部屋に解散したと、皆ニコニコしながら言うので、スイはほっと胸を撫でおろした。
「またぜひいらしてくださいましね、シュクラ様、スイさん」
「うむ! 世話になったぞ」
「ありがとうございました。またぜひ」
「今度はお互いに家族が増えてるかもしれないなあ」
玄関先で見送ってくれたドラゴネッティ夫妻と長男夫婦。
エミリオの父ロビン・ドラゴネッティがそんなことを言いだすと、エミリオとスイは二人してボッと顔を赤くする。いや、そりゃあ家長であるから昨日エミリオとスイが離れに泊ったことは知っているのだろうけれども。
「き、気が早いですよ、父さん!」
「あらあら、エミリオったら照れてるわ。大丈夫よ、家族が増えるのはこちらもですからね。ねえ、トラヴィス」
「そうそう。今度はこっちがシャガに行くよ。シャンテルと、その弟か妹も連れてね」
兄トラヴィスが、妻のパメラのお腹を触って満面の笑みでそんなことを言うものだから、ドラゴネッティ家はそろって幸せそうで本当に和んでしまう。
そんなこんなで朝七時半、まだ起きてこないというシャンテルにはまた遊ぼうねと伝えてもらい、ドラゴネッティ子爵家の皆に見送られて、スイとエミリオ、シュクラの三人はドラゴネッティ子爵家を後にしてメノルカ神殿に向かった。
エミリオは今日も有給休暇を取っているらしく、スイたちの出立を見送ってくれるとのことだが、朝言っていたように、騎士団の寮を引き払って、騎士団退団の日よりフライングでシャガに引っ越してくると言っている。
ドラゴネッティ家が用意してくれた馬車で数分揺られながらメノルカ神殿に到着すると、ロビーからシュクラ神殿の聖人聖女たちがこちらに手を振って出迎えてくれた。
滞在先として借りていたメノルカ神殿の頓宮は既に片付いて、スイの私物やらの荷物も天馬の馬車に運び終えて、帰宅の支度はもう既に出来ているらしいので、シュクラとスイがここを立ったのちに、聖人聖女たちもそれぞれ五日かけてゆっくりシャガへ戻るとのことだ。
もう一日伸ばしてもいいのだとシュクラは言っていたけれど、流石にシュクラ不在のシャガでは神殿でシュクラの代行者としての聖人聖女たちの仕事量が増えて大変なことになっているだろうとのことで、名残惜しいけれど、もう行かなければならない。
「メノルカ、吾輩らはもう帰るでな。挨拶に来たぞ!」
「おう、シュクラか」
一応メノルカに挨拶に工房へ行くと、あの豪快に笑う朗らかな感じでメノルカは迎えてくれた。先日の爆発事故のときの、若干意気消沈していた感じとは打って変わっての明るい感じに、何となくホッとした。
その理由は、昏睡状態だったセドル・アーチャーが今日の早朝に目を覚ましたとのことだそうだ。寝ずの看病でセドルに付きっ切りだった部下の聖人たちが、いち早く教えてくれたらしい。怪我は酷かったが、医師団の手術と治療、回復魔法でなんとか持ち直したとのことだ。
それで目が覚めてすぐに手負いの身体を引きずってメノルカに直接事の真相を伝えにきたそうで、スイたちがバビちゃんキャッスルを観光中に襲われたことも聞いて、メノルカはその大きな身体を曲げてスイたちに謝ってきた。
「本当にすまん。俺の監督不行き届きだった」
「いえ、そんな……」
「その通りじゃ! おかげでスイとこのドラゴネッティ卿は魔力枯渇を起こして大変だったのじゃぞ!」
「シュクラ様、そういうのいいからさ……」
「マジか。……本当にすまん」
「いやいやいやいや! 本当にもういいんで! 大丈夫でしたんで! ……ほらあ、シュクラ様が余計な事を言うから!」
「……メノルカ様は今回の件に直接関係ありませんので謝罪は必要ないかと思いますが、セドル様には謝っていただきたいですね」
「エミさんまで何言ってんの?」
「俺は……スイを危険にさらしたことが許せないから……」
あくまで自分のことよりスイのこと、そんなエミリオにはきゅんとするものの、今穏便に納められると思ったところに爆弾投下するのは止めて欲しい。フレンドリーとはいえ、相手は神様だというのを忘れていないか。
ハラハラしているスイをよそに、そんなエミリオのむっとした表情を見て、メノルカは怒るでもなく苦笑して、横の抽斗から一つの封筒を取り出してスイに手渡してくれた。
「いや、彼の言うとおりだ。それでな、これを……スイに渡してくれとセドルに言われてな」
「えっ?」
「謝りたいけど、合わせる顔が無いから、とも言ってたぜ。受け取ってやってくれ。読むか読まないかは好きにしてかまわないってよ」
一応受け取りはしたけれど、これを持ち帰りたくないような気がしたので、スイはその場で読むことにした。
手紙には挨拶文のあと、まず謝罪の言葉が書かれていた。そして、今回の事件のことが綴られていて、その根本的な原因が、二十五年もの死んだと思っていたスイへの恋慕の気持ちと罪悪感、そして稀人特有の高い自分の魔力だったと書かれていた。
亡き人と思っていたスイへの想いを込めて作った人形が、まさか己の魔力で意思を持つにいたるとは、自分でも思わなかったという。
そして、これからはスイのことは思い出として考えて、自分を律してもう迷惑をかけないようにする、どうか幸せになってほしい、君の幸せを祈っていると書かれていた。
読み終えて、手紙をメノルカに返した。返されて目を丸くしたメノルカだったが、「謝罪は受け入れます。読みましたのでこれはもう必要ありません」と言うと、メノルカは苦笑しながら「そうか」と受け取ってくれた。
これで、蜂谷悟とは完全に縁は切れた。これからは二人は別々の道を歩くのだ。
一度は愛した男だから、色々思う所はあるけれど、心は本当に凪といった感じでとても穏やかなものだ。人と人との別れって、悲しいものばかりじゃないはずだ。自分たちは、これでいい。
スイは顔を上げて、メノルカに向き合う。
「ただ、一つだけ伝言をお願いできますか?」
「おう、任せろ。一体何だ?」
スイはニッコリ笑いながら、隣にいるエミリオの腕に自分の腕を絡ませる。
「『貴方の言う通りに、あたし、ちゃんと幸せになります』って。『この人と一緒に、ずっとずっと幸せに暮らすので、心配しないでください』って伝えてください!」
「ス、スイ……!」
「ね、幸せになろうね、エミさん!」
「スイ……ああ、絶対に……!」
感極まって抱き合うバカップルな二人を見て、シュクラはニヤニヤ笑っていて、メノルカは一度呆けた顔になったが、次の瞬間に大爆笑しながら「わかったわかった」と了承してくれた。
「おはよう、エミリオにスイさん。その様子だとゆっくり休めたようね」
「お、おはようございます……お、お義母さん、昨日は、ありがとうございました」
「ふふふ、いいのよ。大事無くて本当に良かったわ。さあ、リビングでシュクラ様がお待ちよ」
ドラゴネッティ邸の本館に戻ったスイとエミリオ。エミリオの母ニコール夫人が使用人とともに出迎えてくれた。案内されたリビングで既に支度を済ませて待っていたシュクラがこちらに向かって手を挙げて挨拶してきた。
「おはよう、スイ。おお、すっかり回復したみたいじゃな~!」
「お、おはようシュクラ様」
ソファーにふんぞり返って茶を飲みながら、使用人たちに甲斐甲斐しく世話をされていたシュクラ。相変わらずそんな姿も貴公子然として美しい。
スイはシュクラをもてなしていたドラゴネッティ子爵夫妻、小子爵夫妻、使用人一同を見回して「シュクラ様が何か粗相をしませんでしたか」と聞いたが、昨夜はヴィンテージワインを飲みながらビール事業のことを事細かに話し合って終始楽し気な雰囲気で、夜十一時頃にお開きとなってそれぞれ部屋に解散したと、皆ニコニコしながら言うので、スイはほっと胸を撫でおろした。
「またぜひいらしてくださいましね、シュクラ様、スイさん」
「うむ! 世話になったぞ」
「ありがとうございました。またぜひ」
「今度はお互いに家族が増えてるかもしれないなあ」
玄関先で見送ってくれたドラゴネッティ夫妻と長男夫婦。
エミリオの父ロビン・ドラゴネッティがそんなことを言いだすと、エミリオとスイは二人してボッと顔を赤くする。いや、そりゃあ家長であるから昨日エミリオとスイが離れに泊ったことは知っているのだろうけれども。
「き、気が早いですよ、父さん!」
「あらあら、エミリオったら照れてるわ。大丈夫よ、家族が増えるのはこちらもですからね。ねえ、トラヴィス」
「そうそう。今度はこっちがシャガに行くよ。シャンテルと、その弟か妹も連れてね」
兄トラヴィスが、妻のパメラのお腹を触って満面の笑みでそんなことを言うものだから、ドラゴネッティ家はそろって幸せそうで本当に和んでしまう。
そんなこんなで朝七時半、まだ起きてこないというシャンテルにはまた遊ぼうねと伝えてもらい、ドラゴネッティ子爵家の皆に見送られて、スイとエミリオ、シュクラの三人はドラゴネッティ子爵家を後にしてメノルカ神殿に向かった。
エミリオは今日も有給休暇を取っているらしく、スイたちの出立を見送ってくれるとのことだが、朝言っていたように、騎士団の寮を引き払って、騎士団退団の日よりフライングでシャガに引っ越してくると言っている。
ドラゴネッティ家が用意してくれた馬車で数分揺られながらメノルカ神殿に到着すると、ロビーからシュクラ神殿の聖人聖女たちがこちらに手を振って出迎えてくれた。
滞在先として借りていたメノルカ神殿の頓宮は既に片付いて、スイの私物やらの荷物も天馬の馬車に運び終えて、帰宅の支度はもう既に出来ているらしいので、シュクラとスイがここを立ったのちに、聖人聖女たちもそれぞれ五日かけてゆっくりシャガへ戻るとのことだ。
もう一日伸ばしてもいいのだとシュクラは言っていたけれど、流石にシュクラ不在のシャガでは神殿でシュクラの代行者としての聖人聖女たちの仕事量が増えて大変なことになっているだろうとのことで、名残惜しいけれど、もう行かなければならない。
「メノルカ、吾輩らはもう帰るでな。挨拶に来たぞ!」
「おう、シュクラか」
一応メノルカに挨拶に工房へ行くと、あの豪快に笑う朗らかな感じでメノルカは迎えてくれた。先日の爆発事故のときの、若干意気消沈していた感じとは打って変わっての明るい感じに、何となくホッとした。
その理由は、昏睡状態だったセドル・アーチャーが今日の早朝に目を覚ましたとのことだそうだ。寝ずの看病でセドルに付きっ切りだった部下の聖人たちが、いち早く教えてくれたらしい。怪我は酷かったが、医師団の手術と治療、回復魔法でなんとか持ち直したとのことだ。
それで目が覚めてすぐに手負いの身体を引きずってメノルカに直接事の真相を伝えにきたそうで、スイたちがバビちゃんキャッスルを観光中に襲われたことも聞いて、メノルカはその大きな身体を曲げてスイたちに謝ってきた。
「本当にすまん。俺の監督不行き届きだった」
「いえ、そんな……」
「その通りじゃ! おかげでスイとこのドラゴネッティ卿は魔力枯渇を起こして大変だったのじゃぞ!」
「シュクラ様、そういうのいいからさ……」
「マジか。……本当にすまん」
「いやいやいやいや! 本当にもういいんで! 大丈夫でしたんで! ……ほらあ、シュクラ様が余計な事を言うから!」
「……メノルカ様は今回の件に直接関係ありませんので謝罪は必要ないかと思いますが、セドル様には謝っていただきたいですね」
「エミさんまで何言ってんの?」
「俺は……スイを危険にさらしたことが許せないから……」
あくまで自分のことよりスイのこと、そんなエミリオにはきゅんとするものの、今穏便に納められると思ったところに爆弾投下するのは止めて欲しい。フレンドリーとはいえ、相手は神様だというのを忘れていないか。
ハラハラしているスイをよそに、そんなエミリオのむっとした表情を見て、メノルカは怒るでもなく苦笑して、横の抽斗から一つの封筒を取り出してスイに手渡してくれた。
「いや、彼の言うとおりだ。それでな、これを……スイに渡してくれとセドルに言われてな」
「えっ?」
「謝りたいけど、合わせる顔が無いから、とも言ってたぜ。受け取ってやってくれ。読むか読まないかは好きにしてかまわないってよ」
一応受け取りはしたけれど、これを持ち帰りたくないような気がしたので、スイはその場で読むことにした。
手紙には挨拶文のあと、まず謝罪の言葉が書かれていた。そして、今回の事件のことが綴られていて、その根本的な原因が、二十五年もの死んだと思っていたスイへの恋慕の気持ちと罪悪感、そして稀人特有の高い自分の魔力だったと書かれていた。
亡き人と思っていたスイへの想いを込めて作った人形が、まさか己の魔力で意思を持つにいたるとは、自分でも思わなかったという。
そして、これからはスイのことは思い出として考えて、自分を律してもう迷惑をかけないようにする、どうか幸せになってほしい、君の幸せを祈っていると書かれていた。
読み終えて、手紙をメノルカに返した。返されて目を丸くしたメノルカだったが、「謝罪は受け入れます。読みましたのでこれはもう必要ありません」と言うと、メノルカは苦笑しながら「そうか」と受け取ってくれた。
これで、蜂谷悟とは完全に縁は切れた。これからは二人は別々の道を歩くのだ。
一度は愛した男だから、色々思う所はあるけれど、心は本当に凪といった感じでとても穏やかなものだ。人と人との別れって、悲しいものばかりじゃないはずだ。自分たちは、これでいい。
スイは顔を上げて、メノルカに向き合う。
「ただ、一つだけ伝言をお願いできますか?」
「おう、任せろ。一体何だ?」
スイはニッコリ笑いながら、隣にいるエミリオの腕に自分の腕を絡ませる。
「『貴方の言う通りに、あたし、ちゃんと幸せになります』って。『この人と一緒に、ずっとずっと幸せに暮らすので、心配しないでください』って伝えてください!」
「ス、スイ……!」
「ね、幸せになろうね、エミさん!」
「スイ……ああ、絶対に……!」
感極まって抱き合うバカップルな二人を見て、シュクラはニヤニヤ笑っていて、メノルカは一度呆けた顔になったが、次の瞬間に大爆笑しながら「わかったわかった」と了承してくれた。
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