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本編
59 揉みしだけ神のおっぱい
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そういえば魔力枯渇、魔力交換の詳しいことをしっかり聞いていなかったなあと思い出す。
この世界にやってきて、ここで暮らしていくにあたって、シュクラ神殿の聖人のおっちゃんと聖女のおばちゃんらからきちんと説明を受けたけれど、異世界転移という宇宙的に超絶特殊すぎる状況に頭が追い付かなくて、結構聞き流していたかもしれない。しかもおっちゃんおばちゃんの話は大学の眠かった講義を思い出す。
人間というものは、差し迫った状況に身を置かれないと、こうして右から左へ話が聞き流されてしまうのだなあとしみじみ思う。
電気圧力鍋のミニハリバットの煮付けが出来上がったので、皿にとって食卓に出し、枡の中にグラスを入れた「もっきりスタイル」のノーザンホマーレを、シュクラの前で注いでいく。
グラスから零れて枡に注がれていく酒を、シュクラが「もうちょい、あとちょい」と言いながらわくわくした目でそれを眺めている。
そのまま手に持たずに、テーブルの縁に手を置いて、表面張力でなみなみ注がれた米酒にちゅっと口をつけて飲むシュクラ。イケメン神様可愛い。
自分にはお酒を入れないレモン炭酸水を食卓に出し、自分もシュクラの前に座ると、改めてシュクラからの魔力交換についての講義をされた。食事しながら話す内容ではないと思うが。
魔力交換は通常のセックスと違って、あの激しいエネルギーは全て枯渇した魔力にどんどん補われていくらしい。精子が卵子に到達して受精するあのエネルギーすらも。つまり魔力が満タンになるまではどんなに中出ししても受精しないそうだ。つまり妊娠の可能性は低い。
逆にいえば妊娠を希望しているカップルは、魔力が万全な状態じゃないと妊娠しづらいため、子作り前はせっせと栄養補給と休養をしっかり摂ることが大事だという。そうでないと、減っている魔力のほうにどんどん生殖エネルギーが奪われてしまうから。その間に現実の肉体疲労のほうが蓄積されていくので、エミリオほど絶倫だったり回復魔法をかけたりが無ければ続かないわけで。
「満タンになった合図が無かったか? 鬼火が二人の周囲を舞ったはずじゃが」
「……あ、見た見た! あの心霊現象みたいなやつ」
「見たのに続けたのか。はははははは! そこまで体力が続くとはいやあ若いのう! 良きかな良きかな」
「えー、これって知らなかったのあたしだけ? エミさん知ってたのかな」
「魔術師じゃろ。知ってて当然だと思うがのう」
「じゃあ知っててやってたってわけ」
「単なる男子の性欲じゃな。多めにみてやれ」
――じゃあなんだ。エミさんは本気で妊娠させるつもりであんな何度も何度も……。
エミリオだってあの光の玉が舞う光景は視界に入っていたはずだ。しかもそれが何なのかわかっていたはずなのに、それでもまだセックスに没頭したということは、あの瞬間からスイを孕ませるつもりでガツンガツン行ったのだろう。
黒髪の子供が欲しいとか言って、オレンジ髪の子がいいと言うスイに、じゃあ二人以上作らないとな、とかも言っていたし。
もう魔力交換から付き合いたての恋人の愛情確認セックス通り越して、本気の夫婦の子作りセックスに移行していたということか。
――まじでか。じゃあますます妊娠してるかもしれないじゃん。
まあでも、生まれてもいいかも、と思う自分もいる。エミリオと自分のどちらにもよく似たベビーちゃんが生まれたら、それはきっと猫可愛がりしてしまいそうだ。
エミリオの王都での手続きがどうなるかわからないけれど、彼が本気で騎士団を辞めてこちらに移住する気なら、きっとしばらくは贅沢できないだろう。いくら王都で名のある魔術師でこちらで冒険者登録したとしても、軌道に乗るまでは結構かかるだろうから、そうなるとスイが色々支えてやらないといけない。
元お貴族様とあって、あの一週間でのエミリオの財布のひもの緩さを思うと、しばらくは「無駄遣い厳禁」を言い渡しておくべきか。
まあ冒険者ギルドに支払った金とか、葬式代とか遺品の郵送代とかは騎士団から経費で戻ってくるらしいけれど、あの温泉旅館でのスイートルームの豪遊は明らかに彼のポケットマネーだし、そういう特別でもない日の散財は今後は厳禁だ。
だから二人で暮らしていくとしてもしばらくは一.五馬力弱かな。
まあ現代日本で悟との時間削ってまで貯め込んだ貯金は、こちらの世界のレートで換金しても、二十代のOLが持つ金額よりは多少多めにあったわけだし、慎ましく身の丈にあった暮らしをしていけば何とかなりそうな気がしないでもない。
――うん、エミさんとベビちゃん二人くらい、あたしが養ってやる! 的な気概がないとならんな。仕事人間だった自分を思い出せ!
悟程度の男のために頑張れたんだから、それより極上にいい男なエミリオの為に頑張れない自分ではないと、スイは決意する。スイの中ではエミリオと悟ではモチベーションが雲泥の差である。
問題はといえば、シュクラとシュクラ神殿の皆に迷惑が掛からないか。子供のいる家の騒音問題とかそういうことは世界が変わってもきっと存在するだろうし。
「もしね、もしよ? あたしがここで子供を産んだら、シュクラ様たちに迷惑かかっちゃわない?」
ミニハリバットの煮付けをつまみながら、枡のふちで零れた分をぬぐった米酒のグラスを傾けていたシュクラに、スイはおずおずと聞いてみる。
もしエミリオと一緒になって子供が生まれても、しばらくはマッピングの仕事を続けて兼業主婦になるだろうから、エミリオが在宅していなければ子供の面倒はきっとシュクラ神殿の皆にお願いしてしまうかもしれない。
そういったことで迷惑がかかるようなら……と聞いてみたのだが、シュクラは「なんだそのようなこと」とカラカラと笑った。
「スイの子なら吾輩には孫、うちの者らにも我が子同然なスイの子じゃ。何も心配せずとも良い。我らはスイの家族じゃ、子供は家族全員で育てようではないか。ああ、もちろんドラゴネッティ卿もいれば心強いじゃろうが」
しかし子供は果たしてドラゴネッティ卿と我らのどちらにより懐くかのう、とやや悪戯気味に笑うシュクラに、目頭が熱くなるのをなんとかこらえた。
「……ありがとう、シュクラ様」
「何、毎夜旨い馳走を施してくれるスイへの礼じゃ。ところでこれ旨いのう」
「ホント? 甘辛い味好き?」
「うむ。酒に合う」
「うーん、ちょっと羨ましい。妊娠の心配がなければ、あたしも飲むんだけどな」
味染み染みのミニハリバットの煮付けを頬張って、手前みそだが美味しいなあと思いつつ、シュクラの酒を眺めやる。まだ料理の風味付けでしかこちらの米酒を味わっていない。
夕方からシュクラの晩酌に付き合っていて、酒も飲まずに魔力交換について詳しく講義をしたり考えたりしていたら、いつの間にか夜十時を過ぎている。酒も飲まないのに時間が過ぎるのが早すぎないか。それほど真剣に悩んでいたのかと思うスイ。
「うーむ。それほどなら、調べてやろうか?」
「え?」
「孕んでいるかどうか」
「……え、そんなのわかるの?」
「わかるぞ。ちぃと、腹に触らせてもらえば」
「え、ほんとに?」
「おおさ」
「えっと、じゃあ……」
それならと立ちあがったスイにシュクラも立ち上がり、リビングのソファーに移動する。横に並んで座って向かい合う。そこまではよかったのだが。
「ではスイ、服を脱げ」
「は?」
「脱がないと触れんぞ」
「服の上からじゃ」
「できぬ」
「神様なのに?」
「医学の神ではないからの」
医学が得意な土地神というのもいるにはいるらしい。北の地方の土地神様らしいのだが、その人は肌どころか何も触らずに内視できるそうだ。しかし神々にも得手不得手があるそうで、シュクラは専門的な医学の力がないため、触診じゃないとわからないという。
しかし、シュクラは男神だ。
勝手知ったるうえにこの世界での父親みたいな存在のシュクラは見た目は若い男なのだ。
神様が人間の女に対してなんて全然大したことじゃないのかもしれないが、スイのほうは色々問題がある。エミリオ以外の男に肌を見せることなんてできないし、そんなことしようものなら浮気みたいなものじゃないか。あの悟と一緒だ。
しかもお腹だけ診せればいいのかと思ったら上半身全部脱げというのだ。
「いや、無理無理無理! だってシュクラ様男じゃない」
「は?」
「は? じゃなくて」
「なんだ、そういうのをスイは気にする方なのか」
「普通するから!」
「まあ、そんなに言うなら……これならどうじゃ」
「え?」
一瞬シュクラの身体がきらりんと光って、シュクラがうーんと伸びをした瞬間、スイの目の前にはなぜか膨らんだシュクラの胸元があった。
「吾輩は腐っても神じゃぞ。女体に変化することなぞ造作もない」
若干甲高くなった声でシュクラは絶世の美女的スマイルでにかっと笑う。ぽかんと口を開けたスイは、シュクラを上から下まで全身見回してから、色々と頭の中をぐるぐるする考えをうっちゃってから、目の前のたわわな膨らみをがしっと掴んだ。
「シ、シュクラ様に! シュクラ様に!」
「お、おう、どうしたスイ?」
「おっぱいが、おっぱいがあるぅー!」
シュクラは男神だったのに、女神になっていた。肩幅も男神だったときよりちょっと華奢になって、全体的に身体も丸い。Fカップのスイと同じくらいの結構なボリュームのある胸が手の中でむにむにきゅっきゅと形を変える。
「そりゃあ、あるじゃろう、女の身体じゃし……って、こら、手の動きが怪しいぞ」
「まじ? まじで? 柔らかさも弾力も女の子のおっぱいそのもの……!」
「あっ、あぁっ……! こ、こら、スイ……!」
興奮のあまりシュクラの胸を揉みしだいてそのまま押し倒してしまった。そのとき、部屋の中央にばちばちと魔法陣があらわれたのでフリーズする。胸を揉みしだかれたシュクラの天罰かと思ったが、魔法陣の中央に居たのは天罰によって現れた怪物とかではなかった。
オレンジブロンドの長髪、ターコイズブルーの瞳、ややラフな服装を少しはだけたような姿の、二日前に王都へ戻っていったはずの彼、エミリオ・ドラゴネッティその人であった。
顔を上げたエミリオの目の前に飛び込んできた光景。それは。
ソファーでシュクラを押し倒し、彼になぜか存在しているたわわな乳房を揉みしだいて、こちらを見てフリーズしているスイ。そのスイの手に乳房を揉みしだかれてちょっと顔の赤い、やや華奢な絶世の美女にしか見えないシュクラ。
突然部屋の中央に現れたエミリオと同様、三者三様でしばらくフリーズした。
この世界にやってきて、ここで暮らしていくにあたって、シュクラ神殿の聖人のおっちゃんと聖女のおばちゃんらからきちんと説明を受けたけれど、異世界転移という宇宙的に超絶特殊すぎる状況に頭が追い付かなくて、結構聞き流していたかもしれない。しかもおっちゃんおばちゃんの話は大学の眠かった講義を思い出す。
人間というものは、差し迫った状況に身を置かれないと、こうして右から左へ話が聞き流されてしまうのだなあとしみじみ思う。
電気圧力鍋のミニハリバットの煮付けが出来上がったので、皿にとって食卓に出し、枡の中にグラスを入れた「もっきりスタイル」のノーザンホマーレを、シュクラの前で注いでいく。
グラスから零れて枡に注がれていく酒を、シュクラが「もうちょい、あとちょい」と言いながらわくわくした目でそれを眺めている。
そのまま手に持たずに、テーブルの縁に手を置いて、表面張力でなみなみ注がれた米酒にちゅっと口をつけて飲むシュクラ。イケメン神様可愛い。
自分にはお酒を入れないレモン炭酸水を食卓に出し、自分もシュクラの前に座ると、改めてシュクラからの魔力交換についての講義をされた。食事しながら話す内容ではないと思うが。
魔力交換は通常のセックスと違って、あの激しいエネルギーは全て枯渇した魔力にどんどん補われていくらしい。精子が卵子に到達して受精するあのエネルギーすらも。つまり魔力が満タンになるまではどんなに中出ししても受精しないそうだ。つまり妊娠の可能性は低い。
逆にいえば妊娠を希望しているカップルは、魔力が万全な状態じゃないと妊娠しづらいため、子作り前はせっせと栄養補給と休養をしっかり摂ることが大事だという。そうでないと、減っている魔力のほうにどんどん生殖エネルギーが奪われてしまうから。その間に現実の肉体疲労のほうが蓄積されていくので、エミリオほど絶倫だったり回復魔法をかけたりが無ければ続かないわけで。
「満タンになった合図が無かったか? 鬼火が二人の周囲を舞ったはずじゃが」
「……あ、見た見た! あの心霊現象みたいなやつ」
「見たのに続けたのか。はははははは! そこまで体力が続くとはいやあ若いのう! 良きかな良きかな」
「えー、これって知らなかったのあたしだけ? エミさん知ってたのかな」
「魔術師じゃろ。知ってて当然だと思うがのう」
「じゃあ知っててやってたってわけ」
「単なる男子の性欲じゃな。多めにみてやれ」
――じゃあなんだ。エミさんは本気で妊娠させるつもりであんな何度も何度も……。
エミリオだってあの光の玉が舞う光景は視界に入っていたはずだ。しかもそれが何なのかわかっていたはずなのに、それでもまだセックスに没頭したということは、あの瞬間からスイを孕ませるつもりでガツンガツン行ったのだろう。
黒髪の子供が欲しいとか言って、オレンジ髪の子がいいと言うスイに、じゃあ二人以上作らないとな、とかも言っていたし。
もう魔力交換から付き合いたての恋人の愛情確認セックス通り越して、本気の夫婦の子作りセックスに移行していたということか。
――まじでか。じゃあますます妊娠してるかもしれないじゃん。
まあでも、生まれてもいいかも、と思う自分もいる。エミリオと自分のどちらにもよく似たベビーちゃんが生まれたら、それはきっと猫可愛がりしてしまいそうだ。
エミリオの王都での手続きがどうなるかわからないけれど、彼が本気で騎士団を辞めてこちらに移住する気なら、きっとしばらくは贅沢できないだろう。いくら王都で名のある魔術師でこちらで冒険者登録したとしても、軌道に乗るまでは結構かかるだろうから、そうなるとスイが色々支えてやらないといけない。
元お貴族様とあって、あの一週間でのエミリオの財布のひもの緩さを思うと、しばらくは「無駄遣い厳禁」を言い渡しておくべきか。
まあ冒険者ギルドに支払った金とか、葬式代とか遺品の郵送代とかは騎士団から経費で戻ってくるらしいけれど、あの温泉旅館でのスイートルームの豪遊は明らかに彼のポケットマネーだし、そういう特別でもない日の散財は今後は厳禁だ。
だから二人で暮らしていくとしてもしばらくは一.五馬力弱かな。
まあ現代日本で悟との時間削ってまで貯め込んだ貯金は、こちらの世界のレートで換金しても、二十代のOLが持つ金額よりは多少多めにあったわけだし、慎ましく身の丈にあった暮らしをしていけば何とかなりそうな気がしないでもない。
――うん、エミさんとベビちゃん二人くらい、あたしが養ってやる! 的な気概がないとならんな。仕事人間だった自分を思い出せ!
悟程度の男のために頑張れたんだから、それより極上にいい男なエミリオの為に頑張れない自分ではないと、スイは決意する。スイの中ではエミリオと悟ではモチベーションが雲泥の差である。
問題はといえば、シュクラとシュクラ神殿の皆に迷惑が掛からないか。子供のいる家の騒音問題とかそういうことは世界が変わってもきっと存在するだろうし。
「もしね、もしよ? あたしがここで子供を産んだら、シュクラ様たちに迷惑かかっちゃわない?」
ミニハリバットの煮付けをつまみながら、枡のふちで零れた分をぬぐった米酒のグラスを傾けていたシュクラに、スイはおずおずと聞いてみる。
もしエミリオと一緒になって子供が生まれても、しばらくはマッピングの仕事を続けて兼業主婦になるだろうから、エミリオが在宅していなければ子供の面倒はきっとシュクラ神殿の皆にお願いしてしまうかもしれない。
そういったことで迷惑がかかるようなら……と聞いてみたのだが、シュクラは「なんだそのようなこと」とカラカラと笑った。
「スイの子なら吾輩には孫、うちの者らにも我が子同然なスイの子じゃ。何も心配せずとも良い。我らはスイの家族じゃ、子供は家族全員で育てようではないか。ああ、もちろんドラゴネッティ卿もいれば心強いじゃろうが」
しかし子供は果たしてドラゴネッティ卿と我らのどちらにより懐くかのう、とやや悪戯気味に笑うシュクラに、目頭が熱くなるのをなんとかこらえた。
「……ありがとう、シュクラ様」
「何、毎夜旨い馳走を施してくれるスイへの礼じゃ。ところでこれ旨いのう」
「ホント? 甘辛い味好き?」
「うむ。酒に合う」
「うーん、ちょっと羨ましい。妊娠の心配がなければ、あたしも飲むんだけどな」
味染み染みのミニハリバットの煮付けを頬張って、手前みそだが美味しいなあと思いつつ、シュクラの酒を眺めやる。まだ料理の風味付けでしかこちらの米酒を味わっていない。
夕方からシュクラの晩酌に付き合っていて、酒も飲まずに魔力交換について詳しく講義をしたり考えたりしていたら、いつの間にか夜十時を過ぎている。酒も飲まないのに時間が過ぎるのが早すぎないか。それほど真剣に悩んでいたのかと思うスイ。
「うーむ。それほどなら、調べてやろうか?」
「え?」
「孕んでいるかどうか」
「……え、そんなのわかるの?」
「わかるぞ。ちぃと、腹に触らせてもらえば」
「え、ほんとに?」
「おおさ」
「えっと、じゃあ……」
それならと立ちあがったスイにシュクラも立ち上がり、リビングのソファーに移動する。横に並んで座って向かい合う。そこまではよかったのだが。
「ではスイ、服を脱げ」
「は?」
「脱がないと触れんぞ」
「服の上からじゃ」
「できぬ」
「神様なのに?」
「医学の神ではないからの」
医学が得意な土地神というのもいるにはいるらしい。北の地方の土地神様らしいのだが、その人は肌どころか何も触らずに内視できるそうだ。しかし神々にも得手不得手があるそうで、シュクラは専門的な医学の力がないため、触診じゃないとわからないという。
しかし、シュクラは男神だ。
勝手知ったるうえにこの世界での父親みたいな存在のシュクラは見た目は若い男なのだ。
神様が人間の女に対してなんて全然大したことじゃないのかもしれないが、スイのほうは色々問題がある。エミリオ以外の男に肌を見せることなんてできないし、そんなことしようものなら浮気みたいなものじゃないか。あの悟と一緒だ。
しかもお腹だけ診せればいいのかと思ったら上半身全部脱げというのだ。
「いや、無理無理無理! だってシュクラ様男じゃない」
「は?」
「は? じゃなくて」
「なんだ、そういうのをスイは気にする方なのか」
「普通するから!」
「まあ、そんなに言うなら……これならどうじゃ」
「え?」
一瞬シュクラの身体がきらりんと光って、シュクラがうーんと伸びをした瞬間、スイの目の前にはなぜか膨らんだシュクラの胸元があった。
「吾輩は腐っても神じゃぞ。女体に変化することなぞ造作もない」
若干甲高くなった声でシュクラは絶世の美女的スマイルでにかっと笑う。ぽかんと口を開けたスイは、シュクラを上から下まで全身見回してから、色々と頭の中をぐるぐるする考えをうっちゃってから、目の前のたわわな膨らみをがしっと掴んだ。
「シ、シュクラ様に! シュクラ様に!」
「お、おう、どうしたスイ?」
「おっぱいが、おっぱいがあるぅー!」
シュクラは男神だったのに、女神になっていた。肩幅も男神だったときよりちょっと華奢になって、全体的に身体も丸い。Fカップのスイと同じくらいの結構なボリュームのある胸が手の中でむにむにきゅっきゅと形を変える。
「そりゃあ、あるじゃろう、女の身体じゃし……って、こら、手の動きが怪しいぞ」
「まじ? まじで? 柔らかさも弾力も女の子のおっぱいそのもの……!」
「あっ、あぁっ……! こ、こら、スイ……!」
興奮のあまりシュクラの胸を揉みしだいてそのまま押し倒してしまった。そのとき、部屋の中央にばちばちと魔法陣があらわれたのでフリーズする。胸を揉みしだかれたシュクラの天罰かと思ったが、魔法陣の中央に居たのは天罰によって現れた怪物とかではなかった。
オレンジブロンドの長髪、ターコイズブルーの瞳、ややラフな服装を少しはだけたような姿の、二日前に王都へ戻っていったはずの彼、エミリオ・ドラゴネッティその人であった。
顔を上げたエミリオの目の前に飛び込んできた光景。それは。
ソファーでシュクラを押し倒し、彼になぜか存在しているたわわな乳房を揉みしだいて、こちらを見てフリーズしているスイ。そのスイの手に乳房を揉みしだかれてちょっと顔の赤い、やや華奢な絶世の美女にしか見えないシュクラ。
突然部屋の中央に現れたエミリオと同様、三者三様でしばらくフリーズした。
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