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本編

27 逆もまたしかりなのだ ※R18注意

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 小さな布を一枚隔ててヌメヌメした舌が性器を這いまわる感覚は、思った以上にぞくぞくとしたものが背筋を走る。
 スイの太ももを両方指が柔肌に食い込むくらいしっかり手で押さえつけて固定し、オレンジブロンドの長髪を乱しながら、エミリオはそこを舌で愛撫している。

「あ……ふぁ、エ、エミ、さん、やだ、そんな……あぁ~……ダメ」

 ショーツ越しのもぞもぞした感覚にじわじわ湿ってくるのはエミリオの唾液なのかスイの愛液なのかよくわからない。
 立ち上がって自己主張を始めたクリトリスに布越しに口ではむ、と咥えてはチュクチュクと緩急をつけて吸引してくるものだから、スイはそのうち気持ちいいのだけれど、どこかもどかしいようなやるせなさを感じ始めて、口元に手をやってわなわなと身体を震わせる。

 物足りなさを感じたのはスイだけじゃなかったようで、エミリオもやけに興奮して息を荒げながら、ショーツのクロッチ部分をぐいと横にずらしたかと思うと、スイが静止の声を上げる暇もなく、そこに直接口をつけてきた。
 熱くてぬらりとした舌が直接触れて這いまわる感触はそれまで以上のリアルさでスイの脳を官能に痺れさせていく。

「ひッ……あぅっ、……ん、ん、ぁ、あぁんっ! ベロすご……エミさんエロすぎ……はぁああっ……」
「ああ、スイ、すごい、溢れてくる……!」

 愛液の淫猥な匂いが濃厚すぎて、エミリオの声ももはや酩酊感があるように聞こえる。スイが弱いと自覚しているクリトリスを舌で器用にこね回しては、ぢゅ、ぢゅぢゅっ、と強めに吸引されて、スイは目の前に星が散ったようなチカチカとした感覚で何度も高みに上り詰めた。

「気持ちい、あぅ、やば、クリ、やば……エミさん、エミさんいっちゃう、やば、クンニやばっ」

 とどめとばかりに、愛液があふれて引くついている膣穴に節くれだった長い指をいきなり二本挿入して内側の凸凹した壁をぐりぐりと擦り上げる。
 エミリオの指先で昨日見つけたと言われたGスポットをごりごり擦られながら、先端のクリトリスは舌で嬲るように愛撫されて、スイはまたしてもさらなる高みに上る階段を駆け足で上り詰める。

「あぁーっ! やぁっ、こんな、あッあッエミさ、ダメ、いく、いっちゃう、いっちゃうからぁ!」
「……ん、いい、いけ、いってしまえ、スイ……っ!」

 両方の太ももでエミリオの頭を挟み込み、彼の乱れまくったオレンジブロンドをかき回しながら、四肢をぎゅっと縮こませてゾクゾクビクビク悶えてスイは達した。
 同時に噴き出す熱い潮に、エミリオは膣に口をあててそれを口で受け止めた。
 ゴキュッ、と嚥下の音が聞こえてきたのを、スイはピヨりながら目の前に舞う星々を眺めつつ耳にした。

「ん……んん、はあ、スイ、いったな……すごい可愛かった……ああ、やはり俺からスイにしても魔力交換は有効なんだな……少しだが回復している気がする」

 そんなことを言うエミリオをよそに、スイのほうも、本番でないにしろ、こういった行為は結構体力を消耗するというのに、と、頭がやけに冴えてきたことを感じるスイ。欲求不満を解消したかったのは自分もなのか。
 
 それが、エミリオとのオーラルセックスにより彼の回復だけでなく、スイのほうも魔力交換による魔力回復の恩恵を受けていることなど、スイにはわからない。今はただ歯抜けババアのようにはふはふと気の抜けた声しか出せていない。

「はー……っ、はぁ……っ、んん、ふえぇ……はひぃ……えみしゃん」
「はぁ……、ん、何、スイ……?」
「ケダモノ」
「ははは」

 スイの覇気のない憎まれ口に笑いながら、エミリオは紅潮したスイの頬にキスを落とした。キスは軽いもの以外は好まないらしいスイに気遣っている。
 本当はエミリオも、スイの桜色をした唇に、かぶりつくような深いキスができたらと思っているのだが、スイはそれはまだ許してくれない。
 嫌われても何なので、無体にならないようにエミリオも我慢しているけれど。

「んっ」
「……?」
「起こして」

 エミリオに向かって両手を伸ばすスイに苦笑して、エミリオはリクエスト通り彼女の背中に腕を回して起こしてやった。そのまま胡坐をかいたエミリオの上に跨って座る形になるスイ。彼女の汗ばんだ背中に腕を回し、エミリオはスイの肩に嬉しそうに顔を埋めた。

「……今何時?」
「ええと……午後六時前かな」

 ベッドサイドのテーブルに備え付けてある飾り時計を手繰り寄せたエミリオが時刻を告げる。大浴場から帰ってきたのが三時過ぎだったはずなので、気が付けば三時間弱こうしてニャンニャンしていたことになる。
 スイのお腹がくう、とわめき始めた。そういえば西シャガ村に来る前に、シャガ中町の屋台で買ったサンドイッチを軽く食べてそれっきりだ。

 今日エミリオが取ってくれたこの部屋のプランには、リオノーラ嬢が彼氏と行って絶賛していた、宿付属レストランの個室席での豪華な夕食と朝食が付いているはずだったのを思い出す。

「……お腹すいた。夕食何時までだっけ」
「確か、七時までだったかな」
「げ、あと一時間しかないじゃん。リオさんの言ってた海の幸山の幸のおいしいご飯が!」
「ルームサービスを取ろうか?」

 正直ニャンニャンでくたびれているし、色んな液体でお互いに体中ヌチョヌチョしている気がするので、レストランへ出向かずに済むルームサービスはちょっと魅力的だけれど、この部屋もスイートルームだし、会計はエミリオ持ちのようだから、宿泊金額が気になる小市民のスイ。
 それに何より、今日の午前中にシャガ中町の冒険者ギルドで、エミリオは二百万パキュー近くも報酬と必要経費に払わねばならない依頼をしてきたばかり。

「うーん……いや、余計なお金使わないでおこうよ。エミさんこれからギルドに大金払わないといけないじゃない」
「そうだけど、結局は騎士団から出るから問題はない。それに一応俺の懐はそこまで寒くはないよ。これでも師団長だからね。第三師団だけど」
「騎士団ってお給料いいんだね」
「命がけの仕事だからなあ……」

 まあ今はその命がけで立派に頑張ってきていた仕事が、魔力枯渇によってまったくできないでいる状態だけれども。

 しかしスイのためにお金を使おうとするエミリオを制して、夕食はレストランのほうに食べに出向くことになった。
 それに何より、一度休憩を挟まないとまた長時間淫行に耽りそうな気がした。

 濡れタオルで身体をざっと清拭して、そこらに取っ散らかった衣服を拾い上げて着る。ブラを身に着ける時、なかなか後ろのフックが引っかからないで四苦八苦していると、服をさっさと着終わったエミリオがとめてくれた。
 そのままスイの黒髪をひと房手に取ってちゅ、とキスを一つ落としながら目だけはこちらを見ているエミリオ。

「スイ」
「な、なに?」
「戻ってきたら……今度こそ、一緒に入ろうな、露天風呂」

 またしても情欲が宿ってきた悩ましい流し目でエミリオにそう言われたものだから、スイも思わず、

「い、いいよ……」

 と答えてしまった。一度大浴場へ逃げたスイであるから、申し訳なさもあって頷くしかなかったのだ。
 果たして風呂だけで済むだろうかと思ったのは言うまでもない。
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