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第2章:商会の始まり

第38話:新たな2人の奴隷

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 翌日、俺はカティアと話し合った結果、再び奴隷市場に足を運ぶことにした。以前カティアを購入した際の市場は、比較的良質な労働力が揃っていることで評判だったため、今回も信頼して人材を探すことができるだろう。

 市場に到着すると、以前と同じように雑多な雰囲気が漂っていた。様々な人々が行き交い、商談や取引が行われている。俺はカティアのサポートもあって、この市場に不慣れではなくなったが、やはりこの場所に来ると、どこか複雑な感情が湧き上がる。

「カティア、今回も良い人材を見つけたいな」

 俺はカティアに話しかけながら、彼女と共に市場の中心部へ向かった。今日の目標は、店舗運営をサポートできる信頼できる人材を見つけることだ。

 市場の端の方で、一際目立たないが整然としたテントが目に入った。以前カティアを購入したのも、このエリアの一角だった。俺はそちらに向かい、いつもの取引担当者と顔を合わせた。

「お久しぶりです、タケル様。今回も良質な人材をお探しでしょうか?」

 担当者は俺を見て、すぐに話を切り出してきた。俺は軽く頷き、今回の目的を伝えた。

「店の運営を手伝える人材を探しているんだ。前回カティアを雇った時のように、真面目で信頼できる者がいれば、ぜひ紹介してほしい」

 担当者は一瞬考え込み、すぐにうなずいてくれた。

「かしこまりました。ちょうどお探しの条件に合いそうな者たちがおります。こちらへどうぞ」

 担当者の案内で、俺はテントの奥へと進んだ。そこには、若い獣人の兄妹が座っていた。兄はしっかりした体格で、妹はまだ幼さを感じさせるが、どちらも獣人特有の耳と尾が目立つ。

「この二人は兄妹で、最近こちらに来たばかりです。兄は力仕事に向いており、妹は細かい作業に適しているかと思います。真面目で従順な性格で、店の運営にも十分役立つはずです」

 俺は兄妹を見つめ、彼らの表情に注目した。兄の方は俺に向かって鋭い目を向けていたが、それは敵意ではなく、責任感と決意のようなものが感じられた。一方で妹は少し怯えたように、兄の後ろに隠れている。

「お兄さん、君の名前は?」

 俺は優しく話しかけた。すると、兄は少し躊躇した後、低い声で答えた。

「……レン、です。そして妹はティナ。俺たち兄妹で、力を尽くします」

 レンの言葉には強い覚悟が感じられた。妹のティナを守りつつ、新たな雇い主のために尽力するという決意だろう。

「なるほど。店の仕事を手伝ってもらうことになるけど、よろしく頼むよ」

 俺は兄妹に向かって微笑んだ。レンは緊張した表情のままだったが、頷いてくれた。

「それでは、この二人と契約したい」

 俺が担当者にそう伝えると、すぐに手続きを進めてくれた。やがて契約が完了し、レンとティナは正式に俺の店で働くことが決まった。

「カティア、これからはこの二人が加わることになる。彼らの指導を頼むよ」

「かしこまりました、タケル様。私も彼らが早く馴染むようにしっかりサポートいたします」

 奴隷市場でレンとティナの兄妹に出会い、契約を交わした後、俺はそのまま彼らの今後の役割について考え始めた。兄のレンはしっかりした体格で、明らかに護衛や戦闘向きだった。一方で、妹のティナは華奢で繊細な動きをしており、店の仕事に向いているように見えた。

 俺はレンを見つめながら、決断した。

「レン、君には店の護衛を兼ねて、冒険者としても活動してもらいたい。ティナが店で働く間、君には店の安全を守りつつ、俺と一緒に冒険者ギルドでの依頼をこなしてもらうことになるが、大丈夫か?」

 レンは少し驚いた表情を浮かべたが、すぐに真剣な表情に戻り、力強く頷いた。

「はい、タケル様。俺は戦うことが得意です。妹を守りながら、あなたのお役に立てるなら、全力を尽くします」

 その決意に満ちた言葉を聞いて、俺は安心した。レンの力があれば、店の護衛としても、冒険者としても十分に頼りになりそうだ。彼を信じて、共に働けることに期待を持った。

「よし、それならこれからも一緒に頑張ろう。カティア、レンとティナがスムーズに店に馴染むよう、しっかりサポートしてくれ」

「もちろんです、タケル様。任せてください。レンさんにも護衛としての基本をお教えしますし、ティナさんには店の業務を丁寧に指導いたします」

 こうして、レンとティナの兄妹が新たに加わり、店の体制が強化された。レンは護衛兼冒険者として、俺やルナと共に戦いに挑む一方、ティナはカティアと協力して店をしっかりと支えてくれるだろう。

 これで店舗運営と冒険者活動の両方がさらに円滑に進むはずだ。

 新しいメンバーを迎え、俺はこの異世界での生活がますます充実したものになる予感を感じていた。
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