異世界で等価交換～文明の力で冒険者として生き抜く

第2章：商会の始まり

第37話：新たな人員の必要性

　朝の静けさが店内に広がる中、俺はカティアと向き合って、これからの店舗運営について話すための時間を取っていた。店の成長は順調で、売上も上がっているが、今後さらに大きく展開するためには準備が必要だ。

　等価交換で仕入れた高品質な商品は確かに魅力的で、客からの評価も上々だ。しかし、品ぞろえを増やし、お客様に満足してもらえるサービスを提供し続けるためには、人手が不足していることが気がかりだった。

「カティア、今のところ店はうまく回っているようだが、今後のことを考えると人手が必要だと思うんだ」

　俺の言葉に、カティアは一瞬考え込むように視線を下げたが、すぐに真剣な表情でうなずいた。

「そうですね、タケル様。商材の増加やお客様の対応を考えると、私一人では負担が大きくなっていくでしょう。今のところは何とかやりくりしていますが、特にタケル様が店を離れる時間が増えると難しくなります。長期的に見ても、追加のスタッフがいることで、より円滑に運営を進められると思います」

　カティアの冷静な判断力に、俺は同意せずにはいられなかった。彼女の仕事ぶりは完璧だが、だからこそ彼女一人に負担をかけたくないという気持ちがある。

　香辛料や高級食器だけでなく、今後はタオルや日用品の取り扱いも増やす予定だ。これらの商品が増えることで、客層も増え、対応すべき業務も増加するのは明らかだ。

「だよな。特に俺が冒険者としての活動も続ける以上、どうしても店にいられない時間が増えるから、今のうちにもう一人か二人、信頼できるスタッフを迎えたいと思っている。カティア、採用についても協力してもらえるか？」

　カティアは、俺の言葉に一瞬驚いたようだったが、すぐに真剣な表情でうなずいた。

「もちろんです、タケル様。店舗の運営に関しては、私にお任せください。必要な人員を確保し、しっかりと指導を行いますので、タケル様が安心して冒険者活動に専念できるようサポートいたします」

　彼女の力強い言葉を聞いて、俺は改めて彼女が信頼できるパートナーであることを実感した。冒険者としての活動に注力するためにも、彼女のサポートは必要不可欠だ。

　俺がいない間にしっかりと店を回してくれる人員を増やすことが、商売の次のステップに進むための大事な一歩となるだろう。

「ありがとう、カティア。君がいなければ、この店もここまで順調に進んでいなかったと思う。新しいスタッフの面接や教育も君に任せる。もちろん俺もサポートするけど、メインは君にお願いする」

「はい、タケル様。しっかりと役目を果たし、信頼できるスタッフを見つけて、店をさらに成長させてみせます」

　カティアの力強い返答を聞いて、俺も決意を新たにした。従業員の増員は、商売を次のレベルに引き上げるために必要な大きなステップだ。

　新たな人材を迎えることで、カティアの負担も軽減され、店舗運営がさらに円滑に進むだろう。

「よし、今日も頑張ろう。次の商業ギルドとの取引に向けて、新しい商材も揃えつつ準備を進めることにするよ。香辛料だけでなく、他の商品ラインナップも拡充し、さらに多くの客層に応えられるようにしたい」

「はい、タケル様。お客様に喜んでいただける品を揃え、店の評判を高めていきましょう。一緒に店を成功させるために、精一杯お手伝いさせていただきます」

　カティアの言葉に胸が熱くなった。彼女と共に築き上げた店が、さらに発展していく未来が目に浮かぶ。顧客からの信頼を獲得し、少しずつ評判を広げることで、この異世界での商売の基盤を強固なものにしていきたい。

　そして、等価交換の力を活用しながら、ここにしかない特別な商品を扱うことで、さらなる発展を目指す。

　俺とカティアの会話は終わり、店を開ける準備に取り掛かる。彼女と共に、店内の清掃や商品の並び替え、棚の補充などを行っていると、早くも扉の外に客の気配が現れ始めた。

　開店と同時に、訪れた客が目を輝かせながら商品を手に取り、嬉しそうに見つめている様子が見て取れる。

　今後も、俺とカティアは共に店を支え、さらなる発展に向けて全力を尽くしていく。