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2020年2月23日※
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あのバレンタインデーの夜から、英介の芹を思わせるような言動がぱったりと止んだ。その代わり、毎晩のように深夜に布団から抜け出して、一人窓辺でぼうっと物思いにふけるようになった。ずっと吸わなかった煙草の匂いをさせるようになった。そして、純平を抱かなくなった。
潮時、という言葉が純平の頭をよぎった。日々の言動に芹を感じさせるような行為はなくなったが、それはまた芹のことを再び忘れてしまったというわけではない。今まで無意識に思い出しかけていたものが、表層に現れてきたことで、言動に現れることがなくなっただけのことだ。
それでもまだ、純平は楽観的に考えていた。英介が全てを思い出すまでにはまだ、まだもう少し時間があるだろうと。
そして、その日は唐突にやってきた。
土曜の昼下がり、珍しく朝から起きていた英介に誘われて、二人で近所に散歩に出かけた。ここのところあまり寝ていない様子の英介を少しでも寝かせてやりたかったが、誘われると嫌とは言えなかった。
少し頰の痩けた英介は、元の顔の彫りの深さも相まって精悍さが増したようだった。純平のあげた洒落たシャツとシンプルなパンツに身を包み、純平の隣をゆったりとした歩調で歩く。
もうこんな機会は何度もないかもしれない。そう思うと、こんな何でもない散歩ですら、大事に思えた。英介が完璧に記憶を取り戻したら、こんな風に優しい目を向けてくれることは2度とないだろう。純平は手を伸ばし、ポケットに入った英介の手を握り締めた。英介はふっと笑って、純平の指に自分の指を絡めた。
河原を歩く2人の後ろ姿に、呆然としたような女性の声がかけられたのは、その時だった。
「英介さん…?」
その瞬間、純平はすべての時がゆっくりと過ぎていくように感じた。英介が振り返り、声の先にいる人物とーー芹と、視線を合わせるのが、何百秒にも思えた。
芹は買い出しにでも出かけていたのだろう。店のエプロンをつけたまま、両手に大きな袋を二つ抱えていた。前にあった時よりもさらに一回り痩せ、上から羽織ったコートの中で体が泳いでいた。
芹は今にも泣き出しそうな顔をしていた。今までずっと気丈に振る舞っていて、純平の前では涙の気配すら見せなかった彼女が。そして英介はーー純平のことなど忘れてしまったかのように、芹だけを見つめて立ちすくんでいた。
英介の目がゆらゆらと揺れていた。何かを思い出すように頭に手を当て、そして一度固く目を閉じた。次に英介が目を開いた時、その視線は真っ直ぐと芹を向いていた。
純平はその目を見てわかってしまった。もう戻れないのだ、と。
英介の口から運命の言葉が零れ落ちた。
「芹…?」
純平は逃げ出した。文字通りなす術もなく、走ってその場からがむしゃらに逃げ出したのだった。
走って走って飛び乗った電車をまた乗り継いで、特急に乗って知らない町の知らない終点までたどり着いた。逃げたってどうにもならないことはわかっていたが、運命の再会を期した二人をそれ以上見ていられなかった。
結局悪役は成敗され、物語はハッピーエンドを迎えるのだ。ポケットの中でまたスマホがぶるぶると震え、やがて静かになった。電車に乗っている時からからずっと数分おきに電話がかかってきていた。見るまでもない。英介からだろう。純平はポケットの中に手を突っ込んで、スマホの電源を切った。
駅から出て、その辺の商店街をぶらぶら歩いた。ずいぶん遠くまで来たと思っていたが、隣の県でしかなかったことが皮肉に思えた。遠くに逃げることすら満足にできず、帰るタイミングも掴めず、このまま行方をくらます勇気もない。
商店街を抜けると、そこはどうやら海岸線のようだった。ようだ、というのは高い堤防に阻まれて海の姿が一切見えなかったからだ。目の前にそそりたった大きなコンクリートの壁が、自分の今を表しているようで、純平はその壁を背に地面に座り込んだ。
「帰らなきゃな…」
帰って、説明して、謝って、もしかしたら殴られて…。煩わしい事ばかりだ。感傷に浸る時間さえない。
純平は膝に顔を埋めて、独りごちた。
「そもそも、英介が忘れたのが悪い…」
「俺が、なんだって?」
聞こえるはずのない声だった。
びくり、と肩を震わせた純平は、幻聴だろうか、とそろそろと腕の隙間から目の前の地面を見た。見慣れたスニーカーが目に入って、目の前がくらくらした。どうして。なんで。
「河野さんは…」
思わず漏れた名前に、その声は反応しなかった。
「ん? なんのこと?」
とぼけているような声色ではなかった。見慣れたスニーカーが近づいてきて、純平の前にしゃがみこんだ。嗅ぎ慣れた柔軟剤の匂いに混じって煙草の匂いがした。低い落ち着いた声が頭の上から優しく降ってきた。
「急に走り出すからびっくりしただろ。今日は俺とデートしてくれるんじゃなかったの?」
俯いたままの純平の頭を、温かい手が撫でた。
「帰ろう、純平」
電話番号でその人の居場所を突き止めることが出来るサイトがある、らしい。帰りの電車の中で、英介がどうやって純平を見つけたのかを教えてくれた。
「純平、途中で電源切っちゃったから見つけるのに時間かかっちゃった」
「違法だろ、そのサイト…」
「そうかもね、でも必要だったから」
互いに芹のことは話題に出さなかった。そしてそのことこそが、英介が記憶を取り戻した証拠だと純平には思えた。
英介がどんなつもりで純平を迎えにきたのかはわからなかったが、少なくとも頭ごなしに純平を責めるつもりはないのだろうと思えた。2人で電車に揺られながら、ぽつぽつとどうでもいい話をした。さっきの商店街は海辺なのに魚屋がなかったとか、前で寝ているおじさんのチャックが開いているとか、そんな話だ。そんな話をしたまま、駅について、家まで帰ってきてしまった。
正直、純平は戸惑っていた。いつ話を切り出されるのか、今か今かと待っていたのに、なんの話もしないまま家に着いてしまった。駅についてからは途中どこかで芹が待ち受けていて、話し合いが始まるのではと伺っていたが、芹はどこにも待っていなかったし、英介の足は真っ直ぐ家の方へ向かっていた。そのくせ英介の手はしっかりと純平の手を握っていて、純平を逃してはくれなかった。
玄関の扉を後ろ手に閉めた英介の隣で、純平は途方に暮れて立ちすくんだ。すでに日は落ちかけていて、部屋の中は薄暗かった。
「え、英介」
「純平」
熱い腕に引き寄せられたかと思うと、そのまま唇を重ねられた。純平は驚きのあまり体をこわばらせたが、英介は構わず歯列を割って純平の口の中を蹂躙した。逃げようとする純平の頭を両腕で固定し、舌を絡ませる。
「待っ、な、なんで…」
混乱した純平は息継ぎの合間に腕を突っ張って隙間を取り、疑問の声を上げる。
「なにが?」
英介は構わずまた唇を寄せてきたが、純平はそれを受け入れなかった。
「だって、河野さんが…」
「誰の話してるの、純平」
言いつのる純平の前で、英介の顔が歪んだ。英介の真っ黒な瞳には、純平の顔だけがうつっていた。
「俺だけを見てよ」
その瞬間、純平は全てを理解して、ぶつかるように激しく英介にキスをした。英介は苦しくなるほどしっかりと純平を抱きしめ、同じようにキスを返してくれた。
縺れ合うように雪崩れ込んだベッドの上で、二人はとにかくがむしゃらに交じわりあった。英介のモノが体内に入ってくるたび、気絶しそうな愉悦に襲われた。汗だくになった英介の横顔が、月明かりに照らされて、ほのかに光っていた。
「英介…」
互いに向かい合って繋がりながら、純平は英介の方へ手を伸ばした。
「好きって、言って…」
英介はその手をつかみ、純平の体を引き起こして抱き寄せた。体内で深く繋がりあった場所が切なく疼いた。
「好きだよ」
しっかりと抱きしめられていたので、英介の顔は見えなかった。くっついた胸から響いてきたその言葉に、純平は英介の体を夢中で抱きしめ返した。
「俺も…俺も、好き…」
初めて伝えた言葉は、薄闇に溶けて消えていった。英介の純平を抱きしめる腕に力がこもり、息苦しささえ感じた。今この時死んでもいいと思えるほどに幸せだった。
純平の頬を、一筋の涙がつたった。
明日、君は僕を愛さない。
潮時、という言葉が純平の頭をよぎった。日々の言動に芹を感じさせるような行為はなくなったが、それはまた芹のことを再び忘れてしまったというわけではない。今まで無意識に思い出しかけていたものが、表層に現れてきたことで、言動に現れることがなくなっただけのことだ。
それでもまだ、純平は楽観的に考えていた。英介が全てを思い出すまでにはまだ、まだもう少し時間があるだろうと。
そして、その日は唐突にやってきた。
土曜の昼下がり、珍しく朝から起きていた英介に誘われて、二人で近所に散歩に出かけた。ここのところあまり寝ていない様子の英介を少しでも寝かせてやりたかったが、誘われると嫌とは言えなかった。
少し頰の痩けた英介は、元の顔の彫りの深さも相まって精悍さが増したようだった。純平のあげた洒落たシャツとシンプルなパンツに身を包み、純平の隣をゆったりとした歩調で歩く。
もうこんな機会は何度もないかもしれない。そう思うと、こんな何でもない散歩ですら、大事に思えた。英介が完璧に記憶を取り戻したら、こんな風に優しい目を向けてくれることは2度とないだろう。純平は手を伸ばし、ポケットに入った英介の手を握り締めた。英介はふっと笑って、純平の指に自分の指を絡めた。
河原を歩く2人の後ろ姿に、呆然としたような女性の声がかけられたのは、その時だった。
「英介さん…?」
その瞬間、純平はすべての時がゆっくりと過ぎていくように感じた。英介が振り返り、声の先にいる人物とーー芹と、視線を合わせるのが、何百秒にも思えた。
芹は買い出しにでも出かけていたのだろう。店のエプロンをつけたまま、両手に大きな袋を二つ抱えていた。前にあった時よりもさらに一回り痩せ、上から羽織ったコートの中で体が泳いでいた。
芹は今にも泣き出しそうな顔をしていた。今までずっと気丈に振る舞っていて、純平の前では涙の気配すら見せなかった彼女が。そして英介はーー純平のことなど忘れてしまったかのように、芹だけを見つめて立ちすくんでいた。
英介の目がゆらゆらと揺れていた。何かを思い出すように頭に手を当て、そして一度固く目を閉じた。次に英介が目を開いた時、その視線は真っ直ぐと芹を向いていた。
純平はその目を見てわかってしまった。もう戻れないのだ、と。
英介の口から運命の言葉が零れ落ちた。
「芹…?」
純平は逃げ出した。文字通りなす術もなく、走ってその場からがむしゃらに逃げ出したのだった。
走って走って飛び乗った電車をまた乗り継いで、特急に乗って知らない町の知らない終点までたどり着いた。逃げたってどうにもならないことはわかっていたが、運命の再会を期した二人をそれ以上見ていられなかった。
結局悪役は成敗され、物語はハッピーエンドを迎えるのだ。ポケットの中でまたスマホがぶるぶると震え、やがて静かになった。電車に乗っている時からからずっと数分おきに電話がかかってきていた。見るまでもない。英介からだろう。純平はポケットの中に手を突っ込んで、スマホの電源を切った。
駅から出て、その辺の商店街をぶらぶら歩いた。ずいぶん遠くまで来たと思っていたが、隣の県でしかなかったことが皮肉に思えた。遠くに逃げることすら満足にできず、帰るタイミングも掴めず、このまま行方をくらます勇気もない。
商店街を抜けると、そこはどうやら海岸線のようだった。ようだ、というのは高い堤防に阻まれて海の姿が一切見えなかったからだ。目の前にそそりたった大きなコンクリートの壁が、自分の今を表しているようで、純平はその壁を背に地面に座り込んだ。
「帰らなきゃな…」
帰って、説明して、謝って、もしかしたら殴られて…。煩わしい事ばかりだ。感傷に浸る時間さえない。
純平は膝に顔を埋めて、独りごちた。
「そもそも、英介が忘れたのが悪い…」
「俺が、なんだって?」
聞こえるはずのない声だった。
びくり、と肩を震わせた純平は、幻聴だろうか、とそろそろと腕の隙間から目の前の地面を見た。見慣れたスニーカーが目に入って、目の前がくらくらした。どうして。なんで。
「河野さんは…」
思わず漏れた名前に、その声は反応しなかった。
「ん? なんのこと?」
とぼけているような声色ではなかった。見慣れたスニーカーが近づいてきて、純平の前にしゃがみこんだ。嗅ぎ慣れた柔軟剤の匂いに混じって煙草の匂いがした。低い落ち着いた声が頭の上から優しく降ってきた。
「急に走り出すからびっくりしただろ。今日は俺とデートしてくれるんじゃなかったの?」
俯いたままの純平の頭を、温かい手が撫でた。
「帰ろう、純平」
電話番号でその人の居場所を突き止めることが出来るサイトがある、らしい。帰りの電車の中で、英介がどうやって純平を見つけたのかを教えてくれた。
「純平、途中で電源切っちゃったから見つけるのに時間かかっちゃった」
「違法だろ、そのサイト…」
「そうかもね、でも必要だったから」
互いに芹のことは話題に出さなかった。そしてそのことこそが、英介が記憶を取り戻した証拠だと純平には思えた。
英介がどんなつもりで純平を迎えにきたのかはわからなかったが、少なくとも頭ごなしに純平を責めるつもりはないのだろうと思えた。2人で電車に揺られながら、ぽつぽつとどうでもいい話をした。さっきの商店街は海辺なのに魚屋がなかったとか、前で寝ているおじさんのチャックが開いているとか、そんな話だ。そんな話をしたまま、駅について、家まで帰ってきてしまった。
正直、純平は戸惑っていた。いつ話を切り出されるのか、今か今かと待っていたのに、なんの話もしないまま家に着いてしまった。駅についてからは途中どこかで芹が待ち受けていて、話し合いが始まるのではと伺っていたが、芹はどこにも待っていなかったし、英介の足は真っ直ぐ家の方へ向かっていた。そのくせ英介の手はしっかりと純平の手を握っていて、純平を逃してはくれなかった。
玄関の扉を後ろ手に閉めた英介の隣で、純平は途方に暮れて立ちすくんだ。すでに日は落ちかけていて、部屋の中は薄暗かった。
「え、英介」
「純平」
熱い腕に引き寄せられたかと思うと、そのまま唇を重ねられた。純平は驚きのあまり体をこわばらせたが、英介は構わず歯列を割って純平の口の中を蹂躙した。逃げようとする純平の頭を両腕で固定し、舌を絡ませる。
「待っ、な、なんで…」
混乱した純平は息継ぎの合間に腕を突っ張って隙間を取り、疑問の声を上げる。
「なにが?」
英介は構わずまた唇を寄せてきたが、純平はそれを受け入れなかった。
「だって、河野さんが…」
「誰の話してるの、純平」
言いつのる純平の前で、英介の顔が歪んだ。英介の真っ黒な瞳には、純平の顔だけがうつっていた。
「俺だけを見てよ」
その瞬間、純平は全てを理解して、ぶつかるように激しく英介にキスをした。英介は苦しくなるほどしっかりと純平を抱きしめ、同じようにキスを返してくれた。
縺れ合うように雪崩れ込んだベッドの上で、二人はとにかくがむしゃらに交じわりあった。英介のモノが体内に入ってくるたび、気絶しそうな愉悦に襲われた。汗だくになった英介の横顔が、月明かりに照らされて、ほのかに光っていた。
「英介…」
互いに向かい合って繋がりながら、純平は英介の方へ手を伸ばした。
「好きって、言って…」
英介はその手をつかみ、純平の体を引き起こして抱き寄せた。体内で深く繋がりあった場所が切なく疼いた。
「好きだよ」
しっかりと抱きしめられていたので、英介の顔は見えなかった。くっついた胸から響いてきたその言葉に、純平は英介の体を夢中で抱きしめ返した。
「俺も…俺も、好き…」
初めて伝えた言葉は、薄闇に溶けて消えていった。英介の純平を抱きしめる腕に力がこもり、息苦しささえ感じた。今この時死んでもいいと思えるほどに幸せだった。
純平の頬を、一筋の涙がつたった。
明日、君は僕を愛さない。
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