真珠の泪は毒か媚薬か

NEO ZONE

文字の大きさ
上 下
6 / 13
千年の終わり

槐樹。

しおりを挟む
槐樹えんじゅーーっ!!」
 思い切り叫んだ
 一瞬、しーーんと静まり返る。まぁ呼んだからってスグに来るもんじゃないだろう
 数分後、奏が入って来た窓から槐樹が現れた。多分あそこが門になっているんだろう
 バリンっ……派手な破壊音

 百九十は超えるであろう長身で派手な紅い髪と紅い瞳。ちゃんと人型をした妖だ
 ただし槐樹は奏と違って丁寧に窓を開けて入って来なかった……散乱するガラスの破片に珍しくリュウロから怒りのオーラが……
 ……当たり前か(笑)
「呼ばれたから来たぜ?水無瀬?」
 未だ食べ物をモグモグしながら槐樹を見る
「食べ終わるまで待って」
 …………
「だったら食べ終わってからにすればよかったろう」
 槐樹とリュウロが口を揃えて言った。二人は顔を見合わせて睨み合いになる
 もしかしたらこの二人根本は似ているのかもしれない。大河のように一見穏やかに見えるリュウロと業火の如く感情の起伏が手に取るように分かる槐樹
 先に言葉を返したのはやっぱり槐樹
「水無瀬、お前なんて所に呼び出すんだよ?俺ぁまだ死にたくないぜ?」
 まぁ《管理者》に会ったからと言って即座に始末される訳じゃないが……
「今度の管理者も水妖なのか?相性悪ぃなぁ」
 その言葉にリュウロが眉をひそめる。
「お前は何を何処まで知っている?」
 怒りがこもった物言いだった。珍しく感情的?に言葉を続ける
「前の管理者を知っているのか?水無瀬とはどんな関係だ?」
 そう、普通の妖の‪α‬はどんなに長命とは云っても五百年程度のはず。
「簡単な話だ。お前が選ばれた、そうして俺は選ばれなかった。それだけだ」
 その言葉に水無瀬が口を挟む
「槐樹、頭悪そうだもんな」
「……」
「…………」
 珍しくリュウロが笑いを堪えている。そりゃそうだ普通は思ってても口にはすまい
「お前そりゃないだろうがっ!せっかく来てやったのに」
「食べ終わったから行こ槐樹。頭悪そうだけどリュウロと同じくらい力は有ると思ってるよ」
 その言葉に嬉しそうに「ん」っと返事をして水無瀬を抱える。馬鹿じゃないけど単純なんだろうな多分
「一つだけ聞かせろ」
 リュウロもやっと連れて来た水無瀬をみすみす逃す訳には行かない
「水無瀬を何時から知っている?」
 槐樹とリュウロが顔を見合わせる
「心配すんな、百年くらい前に妖の街で瑞稀に会った…気が合ったから一緒にいた。それだけだ」
 しばらくの沈黙の後リュウロは屋敷の結界を緩めた…
「おっ、管理者サマのお許しが出たみたいだな?」
「勘違いするな、これ以上屋敷を壊されたくないだけだ。水無瀬が何か問題を起こしたらすぐさま処罰する」
 その言葉に水無瀬がべ~っと舌を出しす
「恐い恐いw大丈夫だよ。俺が生きてるうちは無茶はさせねぇ」
 それだけ言うと笑い声をあげて壊れた窓から去って行った

「……あの…リュウロさま、いいんですか?」
 今までソファの陰に隠れていた奏が口を開いた。
「別に。水無瀬をコントロール出来るなら任せて構わない」
 何か腑に落ちない言い方だ
「奏…お前も向こうに着くなら行けばいい」
奏はハッとして「大丈夫です!!僕はリュウロさまの味方ですっ!」と続ける
リュウロはうっすら微笑むと奏を置いて部屋を出て行った


しおりを挟む
感想 9

あなたにおすすめの小説

王道にはしたくないので

八瑠璃
BL
国中殆どの金持ちの子息のみが通う、小中高一貫の超名門マンモス校〈朱鷺学園〉 幼少の頃からそこに通い、能力を高め他を率いてきた生徒会長こと鷹官 仁。前世知識から得た何れ来るとも知れぬ転校生に、平穏な日々と将来を潰されない為に日々努力を怠らず理想の会長となるべく努めてきた仁だったが、少々やり過ぎなせいでいつの間にか大変なことになっていた_____。 これは、やりすぎちまった超絶カリスマ生徒会長とそんな彼の周囲のお話である。

アルバイトで実験台

夏向りん
BL
給料いいバイトあるよ、と教えてもらったバイト先は大人用玩具実験台だった! ローター、オナホ、フェラ、玩具責め、放置、等々の要素有り

愛がなければ生きていけない

ニノ
BL
 巻き込まれて異世界に召喚された僕には、この世界のどこにも居場所がなかった。  唯一手を差しのべてくれた優しい人にすら今では他に愛する人がいる。  何故、元の世界に帰るチャンスをふいにしてしまったんだろう……今ではそのことをとても後悔している。 ※ムーンライトさんでも投稿しています。

目が覚めたら囲まれてました

るんぱっぱ
BL
燈和(トウワ)は、いつも独りぼっちだった。 燈和の母は愛人で、すでに亡くなっている。愛人の子として虐げられてきた燈和は、ある日家から飛び出し街へ。でも、そこで不良とぶつかりボコボコにされてしまう。 そして、目が覚めると、3人の男が燈和を囲んでいて…話を聞くと、チカという男が燈和を拾ってくれたらしい。 チカに気に入られた燈和は3人と共に行動するようになる。 不思議な3人は、闇医者、若頭、ハッカー、と異色な人達で! 独りぼっちだった燈和が非日常な幸せを勝ち取る話。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

美人に告白されたがまたいつもの嫌がらせかと思ったので適当にOKした

亜桜黄身
BL
俺の学校では俺に付き合ってほしいと言う罰ゲームが流行ってる。 カースト底辺の卑屈くんがカースト頂点の強気ド美人敬語攻めと付き合う話。 (悪役モブ♀が出てきます) (他サイトに2021年〜掲載済)

家族になろうか

わこ
BL
金持ち若社長に可愛がられる少年の話。 かつて自サイトに載せていたお話です。 表紙画像はぱくたそ様(www.pakutaso.com)よりお借りしています。

ド平凡な俺が全員美形な四兄弟からなぜか愛され…執着されているらしい

パイ生地製作委員会
BL
それぞれ別ベクトルの執着攻め4人×平凡受け ★一言でも感想・質問嬉しいです:https://marshmallow-qa.com/8wk9xo87onpix02?t=dlOeZc&utm_medium=url_text&utm_source=promotion 更新報告用のX(Twitter)をフォローすると作品更新に早く気づけて便利です X(旧Twitter): https://twitter.com/piedough_bl

処理中です...