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千年の終わり
奏が…?!
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むにっ。むにむに。
半覚醒状態で腕の中にいるはずの奏に触る……おかしい、奏はこんなに大きくなかったはず。それに全然毛皮の感触がない
コレはーーー人間っ?!
バッと飛び起きてソコにいる《人間》を確かめた。びっくりしすぎてまだドキドキしている
ソコに眠っているのは小さな子供。黒髪ですっぽんぽん…十歳くらいの見た目だろうか?
「まさか…奏…?」
それ以外に有り得ない…まさか…
「アレ?水無瀬さま、起きたんですか…」
相変わらず能天気な言葉に怒る気持ちも薄れる
「起きたんですか?…じゃねーよ。お前また俺の顔舐めたろっ!!」
怒る気持ちも薄れたはずだけど やっぱり頭に来る。何度言ったら分かるんだ?こいつはっ!!
「だ、だ、だって水無瀬さままた泣いてたから…」
「泣いてたから…じゃねーって舐めたらダメだって言ったろ?もしこれ以上お前に何かあったら…」
何かあったら本当に一人になってしまう。一人は嫌だ、一人は怖い
「多分、大丈夫ですよぅ」
根拠の無い自信に今度こそ本当に怒りが薄れる
「とりあえず黒猫に戻って」
そう言ったものの自在に変容出来るのかどうか、当の奏も困惑している
「うぇーん水無瀬さま~」
泣き付かれても困る。俺だってそんなの分からないし
そんな様子を何時から見ていたのかいつの間にかリュウロが部屋にやってきていた
そして
コツンっと指先で奏の額を小突くと一瞬にして元の黒猫に戻った
「難しい事じゃない。目を瞑ってふっと今の自分を弾く感じだ」
キョトンとした奏にはよく分かってないようだ
「ちょっと待って。それも聞きたいけど論点そこじゃねーから」
口を挟む……もリュウロはちらりと見ただけで近くのテーブルの上に料理を並べる。料理を作って持って来るのは普通の人間でここで働いているような事を言っていた気がする
「大丈夫だ。奏は適応者だ、お前の涙や血を舐めても死んだりしない……死んだりしないが舐めすぎてどんな化け物になるかは知らんがな」
「えっ?……」その言葉に頭の奥がチリチリ痛む。何か大事な、大変な事を忘れている気がする…必死に思い出そうとするけれど濃い霧がかかったように何も思い出せない
「わーい!じゃあ舐めても大丈夫なんですね?」
空気を読まない奏の言葉に思考が一気にクリアになる。何時もこんな調子で思い出そうとするのを邪魔する。仕方なくガックリと肩を落として目の前の食事を食べ始めた
傍でリュウロと奏が言い合いしているが何時もの事なんだろう
食事は有難くいただくけどここから逃げ出す事を考えなきゃな……あぁそうだ
「リュウロ、一つ聞いていい?この館は人間側にあるのか?それとも妖魔側?」
不意に質問されたリュウロは水無瀬の真意を探ろうとしていたが小さくため息をついて諦めた
「どちら側でもない。丁度狭間だ」
「狭間って、どちら側からでも来れるって事?」
「理論上はな。だが実際はここに居る者が招かねば入って来る事は出来ない」
「ソレは俺が呼んでも?」
「……」
あ、答えない。答えないって事は俺が呼んでも来る可能性があるんだろう
すっかり忘れてたけどもう一人水無瀬の味方がいる
ニッと笑ってアイツの顔を思い浮かべる…要領は界を渡る時と同じだろう。目の前の壁が無くなる感じ
そしてアイツの名前を思い切り呼んだ
半覚醒状態で腕の中にいるはずの奏に触る……おかしい、奏はこんなに大きくなかったはず。それに全然毛皮の感触がない
コレはーーー人間っ?!
バッと飛び起きてソコにいる《人間》を確かめた。びっくりしすぎてまだドキドキしている
ソコに眠っているのは小さな子供。黒髪ですっぽんぽん…十歳くらいの見た目だろうか?
「まさか…奏…?」
それ以外に有り得ない…まさか…
「アレ?水無瀬さま、起きたんですか…」
相変わらず能天気な言葉に怒る気持ちも薄れる
「起きたんですか?…じゃねーよ。お前また俺の顔舐めたろっ!!」
怒る気持ちも薄れたはずだけど やっぱり頭に来る。何度言ったら分かるんだ?こいつはっ!!
「だ、だ、だって水無瀬さままた泣いてたから…」
「泣いてたから…じゃねーって舐めたらダメだって言ったろ?もしこれ以上お前に何かあったら…」
何かあったら本当に一人になってしまう。一人は嫌だ、一人は怖い
「多分、大丈夫ですよぅ」
根拠の無い自信に今度こそ本当に怒りが薄れる
「とりあえず黒猫に戻って」
そう言ったものの自在に変容出来るのかどうか、当の奏も困惑している
「うぇーん水無瀬さま~」
泣き付かれても困る。俺だってそんなの分からないし
そんな様子を何時から見ていたのかいつの間にかリュウロが部屋にやってきていた
そして
コツンっと指先で奏の額を小突くと一瞬にして元の黒猫に戻った
「難しい事じゃない。目を瞑ってふっと今の自分を弾く感じだ」
キョトンとした奏にはよく分かってないようだ
「ちょっと待って。それも聞きたいけど論点そこじゃねーから」
口を挟む……もリュウロはちらりと見ただけで近くのテーブルの上に料理を並べる。料理を作って持って来るのは普通の人間でここで働いているような事を言っていた気がする
「大丈夫だ。奏は適応者だ、お前の涙や血を舐めても死んだりしない……死んだりしないが舐めすぎてどんな化け物になるかは知らんがな」
「えっ?……」その言葉に頭の奥がチリチリ痛む。何か大事な、大変な事を忘れている気がする…必死に思い出そうとするけれど濃い霧がかかったように何も思い出せない
「わーい!じゃあ舐めても大丈夫なんですね?」
空気を読まない奏の言葉に思考が一気にクリアになる。何時もこんな調子で思い出そうとするのを邪魔する。仕方なくガックリと肩を落として目の前の食事を食べ始めた
傍でリュウロと奏が言い合いしているが何時もの事なんだろう
食事は有難くいただくけどここから逃げ出す事を考えなきゃな……あぁそうだ
「リュウロ、一つ聞いていい?この館は人間側にあるのか?それとも妖魔側?」
不意に質問されたリュウロは水無瀬の真意を探ろうとしていたが小さくため息をついて諦めた
「どちら側でもない。丁度狭間だ」
「狭間って、どちら側からでも来れるって事?」
「理論上はな。だが実際はここに居る者が招かねば入って来る事は出来ない」
「ソレは俺が呼んでも?」
「……」
あ、答えない。答えないって事は俺が呼んでも来る可能性があるんだろう
すっかり忘れてたけどもう一人水無瀬の味方がいる
ニッと笑ってアイツの顔を思い浮かべる…要領は界を渡る時と同じだろう。目の前の壁が無くなる感じ
そしてアイツの名前を思い切り呼んだ
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