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第4章
第179話
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結果から言えば……第2次スタンピードは全く拍子抜けという他は無かった。
オレが守護者を務めている最寄りのダンジョンに関して言えば出来レースのようなモノだし、ド田舎ダンジョンにしたって兄、妻、マチルダ、父、柏木兄妹、自警団、警官隊……と過剰なまでの戦力を投入して、しかも前回よりも入念な陣地作成をして臨んだのだ。
万が一など有ろう筈も無かった。
普通に探索していたのでは何日も掛かるだろう量の食材系ドロップアイテムの収集が、高効率かつ短時間で行えたのだから、かえって手間が省けたというものだ。
今は祝勝会の真っ最中。
皆、勝利の美酒に酔いしれている。
前回は途中で離脱したり、戦力外のような状態
におかれていた時間が長かった面々も、今回は最初から最後までスタンピードを乗りきったのだ。
喜びもひとしおだろう。
貴重な【鍛冶】スキルを持つ柏木さんや、高齢の二階堂さんも、ド田舎ダンジョン前の防衛戦には参加していないが、もちろん祝勝会には呼んでいた。
幸い、彼らの出番が来ることは無かったが、万が一の時には貴重な防衛戦力として、別荘地を守るべく残留していたのだから、それも当然だろう。
だいぶ酒も進んで、祝勝会の会場となった市民センターの大会議室は、かなり騒がしい。
今や酒も食料も貴重品ではあるが、こういう時ぐらいは羽目を外すべきだと思う。
◆ ◆
翌日、オレはド田舎ダンジョンの深層まで足を伸ばしていた。
このダンジョンの踏破経験のある面々……妻やマチルダ、柏木兄妹も一緒だ。
間引きしに出掛けた一昨日、帰りが遅いと思っていたら、どうやらしっかり最後まで踏破していたらしい。
兄は最寄りのダンジョンで修行中……いや、ウェポンスクロールの収集中というべきか。
兄は得物を新調するつもりが無いらしいので、ウェポンスクロールの収集は非常に重要な強化課題だ。
一応、ミスリル製とオリハルコン製の刀を作って貰ってはいるみたいだが、それはあくまでも予備なのだという。
材質が理由で傷付けられない敵に遭遇した時にしか、持ち換えるつもりが無いようだ。
兄には昔から、そういったところが有る。
気に入ったら、とことん同じ物を使い続けるし、ラーメンを食べるならここ。
焼き肉を食べたい時はあそこ……贔屓の店も絶対に変えない。
まぁ、それは良いとして……兄のためにスタンピード終了後、オレはダンジョンの魔素配分を再び調整しにいく破目になったのだ。
しっかりと目的を果たして貰おう。
妻達とともにド田舎ダンジョンを、どんどん進んでいくが、やはりというべきかモンスターの数は極めて少ないし、時折オレ達の行く手を阻むモンスターが現れても、オレの出番が来る前にアッサリと戦闘が終了してしまうため、戦闘面に関しては何とも手持ち無沙汰だ。
そもそも、ド田舎ダンジョンのモンスターは深層でも圧倒的な強さを持つものはいない。
極めて常識の範囲内のダンジョンモンスターばかりだ。
『無理ゲー』呼ばわりされるダンジョンとは、そもそも難易度が違いすぎる。
そんなダンジョンに何で、こんな大人数で押し寄せたかというと、ド田舎ダンジョンの道案内を妻に頼んだらマチルダが対抗意識を燃やして、名乗りをあげた……というのがきっかけだ。
どうせなら、一昨日は間引きに集中していて片手間にしか出来なかった、ド田舎ダンジョンならではの食材アイテム採集も楽しもうなどと妻が言い出して、勝手に沙奈良ちゃんにも声を掛けてしまった。
右京君は、妻やマチルダに巻き込まれただけだと思う。
沙奈良ちゃんの見送りだけのつもりが……というヤツだ。
妻達は嬉々としてモンスターを狩り、木々に生っている果物や、地面に生えているキノコなどを採集していく。
浅い層では手に入らないアケビやビルベリーであるとか、香茸や本しめじであるとか、珍しいところだと自然薯なども手に入るため、これもある意味では必要な作業ではあるだろう。
レジャー感覚で楽しめばストレス発散にもなるだろうし、オレが【調剤】スキルを持っているせいか、自生植物のうち薬草に分類されるものや、食用になるものを次々と発見出来ている。
妻達には判別が出来ないものも多々有ったので、それだけでもオレが来た意味は有るというものだ。
まぁ、そういったものの採集は主にオレと右京君が担当していて、分かりやすく食べられるものの採集やモンスター退治は女性陣がキャッキャ言いながら楽しそうに請け負ってくれているのだが……。
しかし、出現するモンスターが弱いせいか、時折発見した宝箱の中身のクオリティは、最寄りのダンジョンのそれとは比べ物にならなかった。
当たりの部類で各種ドーピング剤や、スクロール(魔)なのだから、この点では何度も来る意義は薄いと言わざるを得ない。
食料問題を緩和するためには極めて有効なのだが、逆に言えば強化目的で来るのには向かないダンジョンであることが、今回の探索でよく分かった。
さて……今回の本命は、もちろんアイテム収集や食料集めでは無い。
スタンピードには姿を現さなかったというが、妻達が踏破した時には、その劣化コピーを撃破しているため、ここにどんな守護者が居るかは判明しているのだ。
そしてオレの勘が正しければ、ここの守護者もマチルダや腐れバンパイアと同じく、望んでここに居るわけではないだろう。
妻達には採集作業を続けて貰っておいて、オレは1人でド田舎ダンジョン最終階層のボス部屋の扉を開けた。
オレが守護者を務めている最寄りのダンジョンに関して言えば出来レースのようなモノだし、ド田舎ダンジョンにしたって兄、妻、マチルダ、父、柏木兄妹、自警団、警官隊……と過剰なまでの戦力を投入して、しかも前回よりも入念な陣地作成をして臨んだのだ。
万が一など有ろう筈も無かった。
普通に探索していたのでは何日も掛かるだろう量の食材系ドロップアイテムの収集が、高効率かつ短時間で行えたのだから、かえって手間が省けたというものだ。
今は祝勝会の真っ最中。
皆、勝利の美酒に酔いしれている。
前回は途中で離脱したり、戦力外のような状態
におかれていた時間が長かった面々も、今回は最初から最後までスタンピードを乗りきったのだ。
喜びもひとしおだろう。
貴重な【鍛冶】スキルを持つ柏木さんや、高齢の二階堂さんも、ド田舎ダンジョン前の防衛戦には参加していないが、もちろん祝勝会には呼んでいた。
幸い、彼らの出番が来ることは無かったが、万が一の時には貴重な防衛戦力として、別荘地を守るべく残留していたのだから、それも当然だろう。
だいぶ酒も進んで、祝勝会の会場となった市民センターの大会議室は、かなり騒がしい。
今や酒も食料も貴重品ではあるが、こういう時ぐらいは羽目を外すべきだと思う。
◆ ◆
翌日、オレはド田舎ダンジョンの深層まで足を伸ばしていた。
このダンジョンの踏破経験のある面々……妻やマチルダ、柏木兄妹も一緒だ。
間引きしに出掛けた一昨日、帰りが遅いと思っていたら、どうやらしっかり最後まで踏破していたらしい。
兄は最寄りのダンジョンで修行中……いや、ウェポンスクロールの収集中というべきか。
兄は得物を新調するつもりが無いらしいので、ウェポンスクロールの収集は非常に重要な強化課題だ。
一応、ミスリル製とオリハルコン製の刀を作って貰ってはいるみたいだが、それはあくまでも予備なのだという。
材質が理由で傷付けられない敵に遭遇した時にしか、持ち換えるつもりが無いようだ。
兄には昔から、そういったところが有る。
気に入ったら、とことん同じ物を使い続けるし、ラーメンを食べるならここ。
焼き肉を食べたい時はあそこ……贔屓の店も絶対に変えない。
まぁ、それは良いとして……兄のためにスタンピード終了後、オレはダンジョンの魔素配分を再び調整しにいく破目になったのだ。
しっかりと目的を果たして貰おう。
妻達とともにド田舎ダンジョンを、どんどん進んでいくが、やはりというべきかモンスターの数は極めて少ないし、時折オレ達の行く手を阻むモンスターが現れても、オレの出番が来る前にアッサリと戦闘が終了してしまうため、戦闘面に関しては何とも手持ち無沙汰だ。
そもそも、ド田舎ダンジョンのモンスターは深層でも圧倒的な強さを持つものはいない。
極めて常識の範囲内のダンジョンモンスターばかりだ。
『無理ゲー』呼ばわりされるダンジョンとは、そもそも難易度が違いすぎる。
そんなダンジョンに何で、こんな大人数で押し寄せたかというと、ド田舎ダンジョンの道案内を妻に頼んだらマチルダが対抗意識を燃やして、名乗りをあげた……というのがきっかけだ。
どうせなら、一昨日は間引きに集中していて片手間にしか出来なかった、ド田舎ダンジョンならではの食材アイテム採集も楽しもうなどと妻が言い出して、勝手に沙奈良ちゃんにも声を掛けてしまった。
右京君は、妻やマチルダに巻き込まれただけだと思う。
沙奈良ちゃんの見送りだけのつもりが……というヤツだ。
妻達は嬉々としてモンスターを狩り、木々に生っている果物や、地面に生えているキノコなどを採集していく。
浅い層では手に入らないアケビやビルベリーであるとか、香茸や本しめじであるとか、珍しいところだと自然薯なども手に入るため、これもある意味では必要な作業ではあるだろう。
レジャー感覚で楽しめばストレス発散にもなるだろうし、オレが【調剤】スキルを持っているせいか、自生植物のうち薬草に分類されるものや、食用になるものを次々と発見出来ている。
妻達には判別が出来ないものも多々有ったので、それだけでもオレが来た意味は有るというものだ。
まぁ、そういったものの採集は主にオレと右京君が担当していて、分かりやすく食べられるものの採集やモンスター退治は女性陣がキャッキャ言いながら楽しそうに請け負ってくれているのだが……。
しかし、出現するモンスターが弱いせいか、時折発見した宝箱の中身のクオリティは、最寄りのダンジョンのそれとは比べ物にならなかった。
当たりの部類で各種ドーピング剤や、スクロール(魔)なのだから、この点では何度も来る意義は薄いと言わざるを得ない。
食料問題を緩和するためには極めて有効なのだが、逆に言えば強化目的で来るのには向かないダンジョンであることが、今回の探索でよく分かった。
さて……今回の本命は、もちろんアイテム収集や食料集めでは無い。
スタンピードには姿を現さなかったというが、妻達が踏破した時には、その劣化コピーを撃破しているため、ここにどんな守護者が居るかは判明しているのだ。
そしてオレの勘が正しければ、ここの守護者もマチルダや腐れバンパイアと同じく、望んでここに居るわけではないだろう。
妻達には採集作業を続けて貰っておいて、オレは1人でド田舎ダンジョン最終階層のボス部屋の扉を開けた。
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