34 / 48
第1章
第34話
しおりを挟む
「おかしいなぁ……ジャン君の話を聞いた限りじゃ、多分この階層だと思ってたんだけど」
カール先生が訝しげに呟く。
カール先生が探しているのは、いわゆる【ゲート】だ。
アンノウンがこことは違う世界の住人だと仮定するなら、どこかに有って当然なモノ。
あちらとこちらを繋ぐ扉。
カール先生の知る限りアンノウンが現れた場所では、必ずそうしたモノが有ったらしい。
サンダース先生とアリシア師範が倒したアンノウンの時は、今は廃墟になっている例の屋敷の客間の暖炉が『ゲート』と化していたという。
カール先生が実際に目にしたアンノウンは、先生が訪ねた魔導師の自宅の書斎の扉が変質していたとのことだ。
この世界の歴史上、アンノウンが引き起こしたと見られる事件の多くにも、そうした『ゲート』らしきモノの記述や口伝が残っているらしいから、恐らく今回も同様のモノが有るのだろう。
それが……見つからない。
現在地は第三階層。
ボク達が先日アンノウンに遭遇したのは第二階層。
先行していた冒険者パーティが補食されたのを、ミオさんが自慢の耳で聞いたのも第二階層だ。
つまり、アンノウンが現れた初期段階でボク達は遭遇したハズだと思っていたし、ボクの話を聞いたカール先生も同様の感想だったらしい。
ならば『ゲート』は第二階層……もしくは第三階層に出来たと見るのが、確かに自然だろう。
なのに……無い。
それどころかカール先生が偵察型ガーゴイルでいくら探しても、この第三階層にはアンノウンの姿自体が見つからないのだという。
マハマダンジョンは、数有るダンジョンの中でもかなり小規模な部類に入る。
既に幾多の冒険者パーティが踏破しているダンジョンだ。
詳細な地図も冒険者ギルドで売られているぐらいだし、探し洩らしは考えにくい。
「第四階層に入ってすぐの場所という可能性は?」
「う~ん。まぁ、それは有るかもしれないね。今回かなり大規模な襲来みたいだし、ゲートがどこに出来たとしても、第二階層にヤツらが足を踏み入れるまでに掛かった時間が極めて短時間だった可能性は、決して否定出来ないよ。でもなぁ……」
「でも……何ですか?」
「それだとさ。何でヤツらがダンジョンの外に出てこなかったのかが不思議だよね」
「なるほど。確かに変ですね」
「だいたいさ。あんなに数が多いなら、ダンジョン内部のモンスターなんて、それこそ初日で喰い尽くしちゃっててもおかしくないと思うよ? それが、今の今までダンジョン内部に留まっている」
「有り得そうなのは、最初はあまり数が多くなかった……とかでしょうか?」
「うん、そうだね。それが最も可能性が高いと思うよ。でも、それだとやっぱりゲート位置は第二階層か第三階層が自然なんだよね。まずは周囲の冒険者やモンスターを喰い尽くして、それから足を伸ばすってのがヤツらの予測行動
パターンだ。もし最初はヤツらの数が少なかったんなら、第四階層から第二階層に至るまでにはそれなりの時間が掛かっているハズだろう? なんかさ、何もかもが不自然なんだよね~」
「なるほどねぇ。オレなんかには難しい話だけどよ。坊主とカール先生様が話してるの聞いてたら、何だか妙に納得しちまいましたよ。それはそうと……ボス部屋に着いちまいましたぜ? このまま突入しますかい? それとも、またゴーレムを作って突っ込ませるんで?」
カール先生のガーゴイルは扉の前でお役御免だ。
途中の小部屋なんかもそうだが、小型過ぎる弊害として偵察型ガーゴイルに扉を開ける能力は無い。
セルジオさんが慎重に扉を開けて、カール先生の創ったゴーレムを先に突入させる。
この手法で扉の向こうに潜むアンノウンが居ないかどうか確かめることを繰り返して来た。
「そうだねぇ。な~んか、また空振りしそうな気がするけど念のため、またゴーレム作るよ。いや、さっきそれでボス部屋の安全確認に時間が掛かったんだっけか。今回は違うのを創ろう」
言うなり身にまとったローブに手を突っ込んで、大きな水晶柱を取り出したカール先生。
……あのローブの中、一体どうなってるんだろう?
「よし、準備オーケー。セルジオ君、開けちゃって良いよ~?」
カール先生の手にした水晶柱は、みるみる奇怪な怪物にその姿を変えていく。
額には鋭い角。
そしてコウモリのような翼が背中に生えている。
水晶そのまま綺麗な透き通ったボディなのに、どこか邪悪さを感じさせる姿。
言うなれば、おとぎ話の悪魔のような姿だ。
色やサイズこそ違えど、小さな黒石が姿を変えた真っ黒な小型ガーゴイルとそっくりだった。
今度は水晶で出来ているから、クリスタルガーゴイルとでも言うべきだろうか?
セルジオさんも目を丸くしているが、それでまも自分の仕事はきっちりとこなしていた。
セルジオさんによって開け放たれた扉の中に透明なガーゴイルが侵入していく。
ガーゴイルが見たものは、創り出したカール先生にも見えるらしい。
それでいてガーゴイルには生命が無いから、アンノウンには見向きもされない。
見向きもされないのはゴーレムも同じだけれど、ゴーレムはあいにく動きが遅い。
広いボス部屋の中を確認するにはガーゴイルの方が良いだろう。
偵察だけなら、さっき仕舞った小型のガーゴイルでも充分な気がするけど……。
「うん。やっぱり居ないか……仕方ないね。感覚共有に使う魔力が惜しいから、次の階層はこのままコレ一体で偵察させるよ。細かい見落としは多くなるかもしれないけど、ボクの勘が正しければ次の階層にも、どうせヤツらは居ないだろうしね」
なるほど。複数体の小型ガーゴイルを操る方が魔力消費が多いってことか。
そして……実は、ボクもカール先生と同じ意見だ。
何だか次の階層にもヤツらは居ない気がしてならない。
上手く言葉に出来ないのがもどかしくて仕方ないんだけれど、それでも敢えて言うならコレは『勘』としか言いようが無い感覚だ。
アンノウンの軍勢が、ダンジョンの最奥で何らかの目的のために蠢いている。
そんな根拠らしい根拠も無いハズの想像は、何故かボクの背筋を不意に冷やした。
「ジャン君、大丈夫?」
気付いた時にはアネットさんが、ボクの顔をまじまじと見ていた。
「大丈夫です。ちょっと考えごとをしていました」
「ジャン君、なんだか凄く顔色が悪いよ? その考え事ってなぁに?」
「ヤツら……アンノウンの目的を考えていました。さっきの戦闘で逃げるアンノウンって居ましたか?」
「言われてみれば居なかったね。どうしてだろう?」
そう。
多分それが、ずっと引っ掛かっていたんだ。
「最後の一兵まで……なんて言うと聞こえが良いですけど、実際にそんなことって戦場でも中々無いって習いました。なのにアンノウンは逃げませんでしたよね。まるで、ボク達を足止めすることしか考えていないかのように」
「……うん。奇襲の失敗。戦闘が進むにつれての明らかな劣勢。これ、普通なら退却するよね。もし最初は食欲に駈られていたんだとしても、確かに一体も逃げなかったのは異常過ぎる」
「おいおい……マジかよ、坊主。それじゃあ、連中は明確な意志を持って死んでったってのか? 何のために?」
「さっぱり分かりません。さっきは、それを考えていたんです。でも、無意味に死にに来る生き物なんていないと思うんですよね。しかも明らかに連中は連携して行動していたし、待ち伏せといい武器の扱いといい知性の高さを感じさせる行動が多いんです。なのに、さっきの足止めの目的が全く分からない。これって、何だか凄く不気味だと思いません?」
「……そして、この静寂か。そこまで説明してもらえば勘の鈍い僕にも分かるよ。ヤツらはこの階層を整然と撤退していったんだろう」
「だとしたら……次の階層にもヤツらが居ないだろうっていうランバート師の勘って、かなり高い確率で当たっているかもしれないわね」
そう言って自分の身体を抱き締めるような仕草をしているミオさんも、何だか顔色が悪くなってきた。
アレックさんもセルジオさんも、いつも明るいアネットさんまでもが表情を曇らせている。
そんな中、カール先生は一人だけ不敵な態度を崩していない。
「ジャン君、さすがだね。ボクもそれを考えていたんだ。だけどね……やっぱりボクにも連中の目的は分からない。情報が少なすぎて、イヤになっちゃうよね。こうなったら連中が何を企んでいようと、最後は力業で踏み潰してやるしかないと思わない? さぁ、そろそろ進もうか。ここからは急ぐからね?」
「はい!」
カール先生の言う通りだ。
アンノウンの目的が何であれ、それを阻止するためには強引にでも何でも今は前に進むしかない。
前に。
ただ、ひたすらに前に。
カール先生が訝しげに呟く。
カール先生が探しているのは、いわゆる【ゲート】だ。
アンノウンがこことは違う世界の住人だと仮定するなら、どこかに有って当然なモノ。
あちらとこちらを繋ぐ扉。
カール先生の知る限りアンノウンが現れた場所では、必ずそうしたモノが有ったらしい。
サンダース先生とアリシア師範が倒したアンノウンの時は、今は廃墟になっている例の屋敷の客間の暖炉が『ゲート』と化していたという。
カール先生が実際に目にしたアンノウンは、先生が訪ねた魔導師の自宅の書斎の扉が変質していたとのことだ。
この世界の歴史上、アンノウンが引き起こしたと見られる事件の多くにも、そうした『ゲート』らしきモノの記述や口伝が残っているらしいから、恐らく今回も同様のモノが有るのだろう。
それが……見つからない。
現在地は第三階層。
ボク達が先日アンノウンに遭遇したのは第二階層。
先行していた冒険者パーティが補食されたのを、ミオさんが自慢の耳で聞いたのも第二階層だ。
つまり、アンノウンが現れた初期段階でボク達は遭遇したハズだと思っていたし、ボクの話を聞いたカール先生も同様の感想だったらしい。
ならば『ゲート』は第二階層……もしくは第三階層に出来たと見るのが、確かに自然だろう。
なのに……無い。
それどころかカール先生が偵察型ガーゴイルでいくら探しても、この第三階層にはアンノウンの姿自体が見つからないのだという。
マハマダンジョンは、数有るダンジョンの中でもかなり小規模な部類に入る。
既に幾多の冒険者パーティが踏破しているダンジョンだ。
詳細な地図も冒険者ギルドで売られているぐらいだし、探し洩らしは考えにくい。
「第四階層に入ってすぐの場所という可能性は?」
「う~ん。まぁ、それは有るかもしれないね。今回かなり大規模な襲来みたいだし、ゲートがどこに出来たとしても、第二階層にヤツらが足を踏み入れるまでに掛かった時間が極めて短時間だった可能性は、決して否定出来ないよ。でもなぁ……」
「でも……何ですか?」
「それだとさ。何でヤツらがダンジョンの外に出てこなかったのかが不思議だよね」
「なるほど。確かに変ですね」
「だいたいさ。あんなに数が多いなら、ダンジョン内部のモンスターなんて、それこそ初日で喰い尽くしちゃっててもおかしくないと思うよ? それが、今の今までダンジョン内部に留まっている」
「有り得そうなのは、最初はあまり数が多くなかった……とかでしょうか?」
「うん、そうだね。それが最も可能性が高いと思うよ。でも、それだとやっぱりゲート位置は第二階層か第三階層が自然なんだよね。まずは周囲の冒険者やモンスターを喰い尽くして、それから足を伸ばすってのがヤツらの予測行動
パターンだ。もし最初はヤツらの数が少なかったんなら、第四階層から第二階層に至るまでにはそれなりの時間が掛かっているハズだろう? なんかさ、何もかもが不自然なんだよね~」
「なるほどねぇ。オレなんかには難しい話だけどよ。坊主とカール先生様が話してるの聞いてたら、何だか妙に納得しちまいましたよ。それはそうと……ボス部屋に着いちまいましたぜ? このまま突入しますかい? それとも、またゴーレムを作って突っ込ませるんで?」
カール先生のガーゴイルは扉の前でお役御免だ。
途中の小部屋なんかもそうだが、小型過ぎる弊害として偵察型ガーゴイルに扉を開ける能力は無い。
セルジオさんが慎重に扉を開けて、カール先生の創ったゴーレムを先に突入させる。
この手法で扉の向こうに潜むアンノウンが居ないかどうか確かめることを繰り返して来た。
「そうだねぇ。な~んか、また空振りしそうな気がするけど念のため、またゴーレム作るよ。いや、さっきそれでボス部屋の安全確認に時間が掛かったんだっけか。今回は違うのを創ろう」
言うなり身にまとったローブに手を突っ込んで、大きな水晶柱を取り出したカール先生。
……あのローブの中、一体どうなってるんだろう?
「よし、準備オーケー。セルジオ君、開けちゃって良いよ~?」
カール先生の手にした水晶柱は、みるみる奇怪な怪物にその姿を変えていく。
額には鋭い角。
そしてコウモリのような翼が背中に生えている。
水晶そのまま綺麗な透き通ったボディなのに、どこか邪悪さを感じさせる姿。
言うなれば、おとぎ話の悪魔のような姿だ。
色やサイズこそ違えど、小さな黒石が姿を変えた真っ黒な小型ガーゴイルとそっくりだった。
今度は水晶で出来ているから、クリスタルガーゴイルとでも言うべきだろうか?
セルジオさんも目を丸くしているが、それでまも自分の仕事はきっちりとこなしていた。
セルジオさんによって開け放たれた扉の中に透明なガーゴイルが侵入していく。
ガーゴイルが見たものは、創り出したカール先生にも見えるらしい。
それでいてガーゴイルには生命が無いから、アンノウンには見向きもされない。
見向きもされないのはゴーレムも同じだけれど、ゴーレムはあいにく動きが遅い。
広いボス部屋の中を確認するにはガーゴイルの方が良いだろう。
偵察だけなら、さっき仕舞った小型のガーゴイルでも充分な気がするけど……。
「うん。やっぱり居ないか……仕方ないね。感覚共有に使う魔力が惜しいから、次の階層はこのままコレ一体で偵察させるよ。細かい見落としは多くなるかもしれないけど、ボクの勘が正しければ次の階層にも、どうせヤツらは居ないだろうしね」
なるほど。複数体の小型ガーゴイルを操る方が魔力消費が多いってことか。
そして……実は、ボクもカール先生と同じ意見だ。
何だか次の階層にもヤツらは居ない気がしてならない。
上手く言葉に出来ないのがもどかしくて仕方ないんだけれど、それでも敢えて言うならコレは『勘』としか言いようが無い感覚だ。
アンノウンの軍勢が、ダンジョンの最奥で何らかの目的のために蠢いている。
そんな根拠らしい根拠も無いハズの想像は、何故かボクの背筋を不意に冷やした。
「ジャン君、大丈夫?」
気付いた時にはアネットさんが、ボクの顔をまじまじと見ていた。
「大丈夫です。ちょっと考えごとをしていました」
「ジャン君、なんだか凄く顔色が悪いよ? その考え事ってなぁに?」
「ヤツら……アンノウンの目的を考えていました。さっきの戦闘で逃げるアンノウンって居ましたか?」
「言われてみれば居なかったね。どうしてだろう?」
そう。
多分それが、ずっと引っ掛かっていたんだ。
「最後の一兵まで……なんて言うと聞こえが良いですけど、実際にそんなことって戦場でも中々無いって習いました。なのにアンノウンは逃げませんでしたよね。まるで、ボク達を足止めすることしか考えていないかのように」
「……うん。奇襲の失敗。戦闘が進むにつれての明らかな劣勢。これ、普通なら退却するよね。もし最初は食欲に駈られていたんだとしても、確かに一体も逃げなかったのは異常過ぎる」
「おいおい……マジかよ、坊主。それじゃあ、連中は明確な意志を持って死んでったってのか? 何のために?」
「さっぱり分かりません。さっきは、それを考えていたんです。でも、無意味に死にに来る生き物なんていないと思うんですよね。しかも明らかに連中は連携して行動していたし、待ち伏せといい武器の扱いといい知性の高さを感じさせる行動が多いんです。なのに、さっきの足止めの目的が全く分からない。これって、何だか凄く不気味だと思いません?」
「……そして、この静寂か。そこまで説明してもらえば勘の鈍い僕にも分かるよ。ヤツらはこの階層を整然と撤退していったんだろう」
「だとしたら……次の階層にもヤツらが居ないだろうっていうランバート師の勘って、かなり高い確率で当たっているかもしれないわね」
そう言って自分の身体を抱き締めるような仕草をしているミオさんも、何だか顔色が悪くなってきた。
アレックさんもセルジオさんも、いつも明るいアネットさんまでもが表情を曇らせている。
そんな中、カール先生は一人だけ不敵な態度を崩していない。
「ジャン君、さすがだね。ボクもそれを考えていたんだ。だけどね……やっぱりボクにも連中の目的は分からない。情報が少なすぎて、イヤになっちゃうよね。こうなったら連中が何を企んでいようと、最後は力業で踏み潰してやるしかないと思わない? さぁ、そろそろ進もうか。ここからは急ぐからね?」
「はい!」
カール先生の言う通りだ。
アンノウンの目的が何であれ、それを阻止するためには強引にでも何でも今は前に進むしかない。
前に。
ただ、ひたすらに前に。
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
〖完結〗その子は私の子ではありません。どうぞ、平民の愛人とお幸せに。
藍川みいな
恋愛
愛する人と結婚した…はずだった……
結婚式を終えて帰る途中、見知らぬ男達に襲われた。
ジュラン様を庇い、顔に傷痕が残ってしまった私を、彼は醜いと言い放った。それだけではなく、彼の子を身篭った愛人を連れて来て、彼女が産む子を私達の子として育てると言い出した。
愛していた彼の本性を知った私は、復讐する決意をする。決してあなたの思い通りになんてさせない。
*設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
*全16話で完結になります。
*番外編、追加しました。
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
王が気づいたのはあれから十年後
基本二度寝
恋愛
王太子は妃の肩を抱き、反対の手には息子の手を握る。
妃はまだ小さい娘を抱えて、夫に寄り添っていた。
仲睦まじいその王族家族の姿は、国民にも評判がよかった。
側室を取ることもなく、子に恵まれた王家。
王太子は妃を優しく見つめ、妃も王太子を愛しく見つめ返す。
王太子は今日、父から王の座を譲り受けた。
新たな国王の誕生だった。
私はいけにえ
七辻ゆゆ
ファンタジー
「ねえ姉さん、どうせ生贄になって死ぬのに、どうしてご飯なんて食べるの? そんな良いものを食べたってどうせ無駄じゃない。ねえ、どうして食べてるの?」
ねっとりと息苦しくなるような声で妹が言う。
私はそうして、一緒に泣いてくれた妹がもう存在しないことを知ったのだ。
****リハビリに書いたのですがダークすぎる感じになってしまって、暗いのが好きな方いらっしゃったらどうぞ。
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
(完結)私は家政婦だったのですか?(全5話)
青空一夏
恋愛
夫の母親を5年介護していた私に子供はいない。お義母様が亡くなってすぐに夫に告げられた言葉は「わたしには6歳になる子供がいるんだよ。だから離婚してくれ」だった。
ありがちなテーマをさくっと書きたくて、短いお話しにしてみました。
さくっと因果応報物語です。ショートショートの全5話。1話ごとの字数には偏りがあります。3話目が多分1番長いかも。
青空異世界のゆるふわ設定ご都合主義です。現代的表現や現代的感覚、現代的機器など出てくる場合あります。貴族がいるヨーロッパ風の社会ですが、作者独自の世界です。
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
アルバートの屈辱
プラネットプラント
恋愛
妻の姉に恋をして妻を蔑ろにするアルバートとそんな夫を愛するのを諦めてしまった妻の話。
『詰んでる不憫系悪役令嬢はチャラ男騎士として生活しています』の10年ほど前の話ですが、ほぼ無関係なので単体で読めます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる