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終章

その先へ

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初めて会った日のように、そっと唇を触れ合わせた。とたんに、激しい情動がぶり返す。
お互いの頬に触れ、首に腕を巻き付けて、突き動かされるように深く唇で繋がりあった。

昴の滑らかで柔らかな舌に、自分のそれを絡めた。

昴の唾液からは、ベルジャンホワイトのほのかな苦味とオレンジの香りがした。
夢中で昴の唇を味わううち、酔いが回ったのか、甘やかなけだるさに体の力が抜けていった。

昴は大切なものを運ぶように、優しく私の体をベッドに横たえた。


「いやだったら言ってね。すぐにやめるから」

口では言うけど、私を見下ろす目の奥にたぎるような欲情の色が見える。

「いやになんてなるわけない。はやく、いっぱい昴と繋がりたい」

昴はベッドの横に立ち、Tシャツを脱ぎ捨て、ジーンズとパンツを足から抜き取った。

程よく筋肉がついた体は、ルームライトの弱い光を受けて艶っぽく光っている。足の付け根では、昴のものが力強く反り返っている。

私は着ていた服をすべて脱ぎ、ベッドの上で昴に全裸を晒した。
昴の視線が体を這うだけで、びっしょりに濡れてしまう。

「そんなにじっと見ないで」

「だって、すごくきれいだから」

そう言いながら昴はベッドに上がって私を組み敷いた。

唇から口蓋まで舐めまわすような口づけをしながら、私の潤みを、固く膨張した先端で突いて来る。


唇からも、秘所からも、くちゅっ、くちゅっ、と粘り気のある水音がする。昴につつかれた花芽が、むくむくと鬱血して膨らんでくる。


「ん…あっ」


ずぶ…っと昴の肉茎が差し込まれ、その圧迫感に背中を反らせた。あたたかな昴の肉茎を、隙間なく花壺の柔肉で包み込む。

抽挿を始めた昴の熱くて硬いものを、肉襞がうごめくようにさすり上げる。


「咲良のここ、もう完全に俺の形だ」


引き抜いて挿入を浅くすると、きゅぷ…っとおしゃぶりを外した赤ちゃんの唇のような音がする。

昴は深くうずめたり、浅い場所に先端をこすりつけたりして、つぎつぎと甘い刺激を送り込んでくる。そのたびに私は顎を跳ね上げて喘いだり、か細い声をあげて啼いたりしてしまう。

「いい?咲良」

「いい、いい…昴…」

禁断の事実を知ってしまったあとなのに、気づけば私たちはかつてのように無邪気に求めあっていた。


「ああっ…咲良のナカ、熱くなってぐじゅぐじゅだ…ハァ」

「昴…いきそ…」

蜜壺をかき回されるうち、全身から腰のあたりに快楽が押し寄せ、破裂してしまいそうな感覚に襲われる。

「一回いこっか、咲良」

昴は花蕾の裏側に当たる一点を執拗に先端で擦ってくる。そこは私の、とっても弱い場所で、刺激されるたびに、体がヒクヒクと跳ね上がってしまう。

「あんっ‥あんっ…」

呼吸が浅くなる。快楽の絶頂が見える。昴は規則的にぐちゅぐちゅとそこを責め立てながら、甘い微笑みで私を見下ろしている。

「いいよ…いっていいよ」

「ああっ…いく、いく、いくぅぅっ」

枕の角をぎゅっと握り締め、股間を天井に突き上げた。

ずるっと昴のものが抜け、同時に花蕾の付け根のあたりから、ぶしゃっと大量の潮を吹いた。

「あっ…あっ…」

規則的に放たれるほとばしりを、昴が口で受け止めた。

「いき顔も、めちゃくちゃ可愛い」

呆けた顔の私に、濡れた唇を重ねてくる。

「もう一回入れるよ…いい?」

私は朦朧としながらもうなずく。こわれるほどに昴が欲しい。

固く反り返った太い肉棒が再び押し込まれた。

「ああっ…」

一度絶頂に達した蜜壺は感度が増していて、少しの抽挿で喘いでしまう。

「いいよ、いっぱい声出していいよ…だれも俺たちを見てないから」

「あああっ…あああっ…」

背筋を反らせ、昴に貫かれ、あられもない声を漏らす。

ここは、今までの私たちの繋がりを知る人は一人もいない。

私たちにとってここは、私たちのこれまでを見た人は誰もいない、月の裏側。


「すっごい感じてる…咲良ぁ、まじ可愛い」


上半身を立て、細かく腰を動かしながら、私の両足をめいっぱい開いて、つなぎ目を甘い顔つきで見下ろしながら昴は微笑む。


「すご…まだびしゃびしゃ出てるよ咲良」


「だって、ずっと気持ち…よくて…ああああっ、だめっ」


切れ切れに言うと、むき出しになっていた花蕾を優しくつねられて、思わず声が漏れた。


「あああっ、そこだめ、おかしくなっちゃう」


ナカの一番感じる場所と花蕾を同時に刺激されて、引きちぎられるほどの快感に襲われる。あまりの刺激に体が壊れてしまいそうだ。


「あああっ…またいっちゃう、いっちゃうう」


「いけ…咲良…あああっ…俺も、出る…」


わなわなと腰を震わせて、二人同時に果てた。


昴の熱いものが、体の奥にねっとりと吐き出されるのが分かった。痙攣が収まらない。
繋がりあったまま、またキスをした。

唇や舌を甘く吸い合っていると、昴のものが再び私のナカでむくむくと質量を増してきた。

乳房をすくい上げるように揉みながら、柔らかな突起を口に含んだ。温かくぬめっとした昴の舌が、乳首を転がす。


「あっ…」


乳首はすぐにキュッと突き立って、昴の舌が与える刺激に敏感に応えた。


昴が再び腰を動かし始める。じゅぷ、じゅぷ、っと滴るような水音を立てながら、昴は私のナカをかき回した。先ほど放った体液で、肉壺のなかはずるずると滑るように濡れて熱い。

「溶けてるみたいだ…」

昴の肉棒が、熱い沼をかき回す。

「あぁっ…」

指先で乳首を摘ままれて反応した肉壺が、ぎゅっと収縮してしまう。

「んあっ…締まる、きつっ」

昴が腰を動かしながら喘いだ。

昴が上半身をたおし、胸と胸がぴったりと重なり合った。

「いい?昴」

「いいよ…咲良」

抱きしめあって、微笑んだ。




本気の恋はしないと決めて、心の壁を作っていた。

昴によって破られたその壁の向こう側には、私がこれまで知らなかった途方もない快楽と恍惚が待っていた。


さらに立ちふさがった禁断の壁を、昴はやすやすと蹴破って私を抱き留めた。そこにはさらに、私が感じたことのない恍惚の世界が広がっていた。


背中に腕を回し、首筋にキスをした。肌と言う肌を密着し合い、一つの生き物になったように体をゆする。
昴の茶色い目に、私の顔が映っている。



記憶が戻る前、昴が語る恋愛話に地団太を踏むほどに嫉妬した自分がいた。

昴の語る「その人」が、私だとしたらどんなにいいか、そう切に願って昴の話に聞き入った。

まさか「その人」が自分だったなんて。


目に涙が滲んだ気がしたけど、涙をこぼしているのは昴だった。昴の瞳から落ちた滴が私の目を濡らしたのだ。


「咲良、好きだよ、愛してる」

昴は呟くと激しい律動を繰り出して絶頂へと上り詰めて行った。

私も激しく体を揺さぶられながら、目の奥に光を灯す絶頂に向かって体を委ねた。


「ああっ‥いくうぅ」


どちらともなく叫んで、抱き合う腕に力を込めた。
花壺が、奥まで引きこむように昴を締め上げ、そのリズムに合わせて昴が精を放った。

互いの性器が密着し合ったままひくひくと痙攣するのを感じながら、荒々しいキスを交わした。




私たちの選択を咎める人もいるだろう。でも、そんなことは構わない。

昴に出会った瞬間に私はすでに気づいていたのだから。

生まれたときすでに、私は昴と出会うことが、決められていた、と。




<完>
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