【R18】恋をしないと決めたはずなのに、30歳にして最高の相性の男の子と巡り逢いました

長門美侑

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怒り

追跡

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以舞のことを報告しようと、急いで倉庫部屋にもどって昴の帰宅を待った。

深夜、一向に戻ってこないので心配になり始めたその時、電話が鳴った。昴からだった。

「母さんが十八歳の時にバイト先で撮った写真が見つかった。ファミレスだったよ」

「もしかして昴、以舞さんの働いていた場所を探して歩いてるの?」

私が尋ねると、昴は当たり前のことのように、そうだよと答えた。

「いろいろ考えて、調べたんだ。母さんが十八歳の頃通っていた短大は女子大だった。当時は教授も講師も全員、女だったんだ。てことは、母さんと男が接触したとすれば、バイト先だろ」

私は息を呑んだ。昴は以舞さんをレイプした犯人を捜し出そうとしているのだ。

「昴お願い。すぐに帰ってきて」

私は半ば叫ぶように昴に言った。


深夜二時半ごろ興奮気味に倉庫部屋に戻った昴を、私はひっつかむようにして抱きしめた。

「咲良、どうしたの」

「遠くへ行かないで」

「遠くって言ったって、東京じゃないか。大げさだな」

「そうじゃない」

気持ちが離れてしまいそうで怖かった。昴の心の奥に芽吹いた復讐心が、消えてなくなるすべはないのだろうかと、昴の瞳の奥を見つめて考えた。

「ねえ昴、しよ?この世に私たち二人だけみたいに、しよ」

私はしがみついた。せめて体だけは、ぴったりと寄り添っていなければならない、昴が遠くへ行ってしまわないように。

壊れそうなものでも扱うように優しく頬を両手で挟み、昴は私にそっと口づけた。柔らかな髪からは、排気ガスと風の混じった香りがした。

「咲良は、俺と会えて幸せ?」

そうやって瞳を覗き込まれ、私はじっと見つめ返し、頷いた。

「幸せ。この幸せを失いたくないの」


私の方から口づける。ふわりとした昴の唇の感触に、膝が頽れそうになる。舌を絡めあい、濡れた唇をつないだ唾液の糸が月明かりに光った。

昴の服を脱がせ、ベッドに倒れ込む。あおむけになった昴に覆いかぶさって、そのきれいな顔にキスを落としながら服を脱がし、やわらかな彼のものに触れた。

付け根からさすり上げると、ひくんと跳ねるように硬さを増した。手を上下させるうちに、力強く突き立った。


「咲良、ちょっと待って」

「だめなの?昴だってこんなに硬くなってるのに」

片手で扱き続けながら顔を昴に寄せると、私の髪をくしゃくしゃとなで回しながら、うっとりと甘い声で言った。

「これじゃ俺ばっかり気持ちいいじゃん」

体の向きを変え、昴の舳先にキスをする。小さな割れ目に舌を挿してチロチロとなめ、付け根からくびれまで丁寧にさすり上げる。

「昴に感じてもらいたいの。たくさん」

昴を深々と呑み込んだ。喉奥に当たるのを感じながら、唇をすぼめて上下に動かした。

「あ、あっ」

昴がか細く啼いた。その声が可愛くて、昴の手をぎゅっと握る。頭を激しく上下させて唇で扱いた。

昴の中に渦巻き始めた負の感情が、溶けて消えてなくなるのを願った。

くちびるをちゅぽっと外して昴の上にまたがった。頬と頬と重ね合わせて囁く。

「昴の中を、あたしのことだけでいっぱいにしたいの」

「すでにいっぱいだよ」

「ん、だめ」

首をフルフルと横に振りながら昴のものを根元から支えるように持ち、割れ目に突き当てた。


花びらがじゅぶっと先端を迎え入れてのみこむように開いた。すでに熱く濡れた沼を、ぐずぐずっと分け入って昴が入ってきた。

吐息を漏らしながら奥までのみこんで、上半身を立てた。

腰を動かして昴を花壺でしごく。


「きもちっ・・・」


昴が喘いで顎を跳ね上げた。両手はきつく結び合って、お互いの気持ちがもっと深く結ばれるのを願うかのように。

腰を振りおろすたび、中の敏感の場所に昴のものが突き当たる。そのたびに声が漏れてしまう。


「あっ、あっ、あっ」


「自分で腰振って、やらしいよ咲良」


「だってっ・・・気持ちっ・・・」


昴にすべてを忘れさせるどころか、昴のものがあまりにも気持ちよくて、我を失って腰を振り続けた。


「たまんないよ咲良」


昴が上半身を起こして、無心に腰をくねらせる私を抱き寄せてキスをした。

昴の首に腕を回し、対面座位の姿勢になって、唇を甘く舐めとられ、花壺を甘くえぐられ、背筋が蕩けそうになる。

「んんん・・・っ」

乳首を摘ままれ、乳房のふくらみをやわやわと愛撫され、頬に汗で濡れた髪を貼り付けながら私は喘いだ。

そのまま上半身を倒され、繋がりあったまま、正常位へ。上から甘い表情で見下ろされ、脳の奥がスパークするような、快楽の塊がはじけ飛んで体を満たしていくような感覚に襲われた。

全身が、昴への思いであふれてる。

「昴、好き」

腰を打ち付けられながら、喘ぐように私は叫んだ。


「俺もっ」

昴の杭が、肉壺をずちゅずちゅと攻めたてるたび、つなぎ目から飛沫が噴き出る。

「あああああっ、気持ちい、いく・・・」

腰のあたりにモヤモヤと絶頂の予兆が広がり、次第に集まり、濃厚に収縮して体を震わせ始める。熱い絶頂のエネルギーが、私の背骨を溶かし始める。

「あああああ、いくぅ」

わなわなと手足が震え、背中が反り返る。甘い蜜の瓶が割れるような、取り返しがつかないと思うくらいの快感と、とろとろとあふれ出る恍惚感が体を満たしていく。

つなぎ目からだらだらと温かい汁が流れて止まらない。

「ああ・・・やだあたし、お漏らししてる」

腰の動きを止めないまま、昴はくすっと笑って頬に口づけた。

「可愛い」

「昴、もっとして?」

私がねだると昴は激しく腰を振り始めた。

一層敏感になった花壺が襞を蠢かせて昴の肉茎を絡めとる。

「ああああっ、キツっ・・・それに、熱いっ」

はあはあと息を荒げながら、さらに激しい律動を繰り出す。

「溶けてるみたいだ、ああ、だめだ、いく、いく」

腰を激しく打ち付けながら昴が目を閉じた。激しく突かれるうち、意識が遠のいていく。

「ああっ」

がくがくっと腰を動かし、昴が引き抜いた。
わなわなと震える私のお腹の上に、たっぷりとほとばしりを溢し、昴は私の上に体を重ねるようにうつ伏せになった。


熱い息が耳にかかる。

「咲良、愛してる」

昴は言って唇を重ね合わせた。熱く濡れた柔らかな唇と、私は永遠に味わっていたいと思った。





昴としばらく抱き合って、余韻に浸った。

体の火照りが冷めたあと、喉の渇きを潤そうと、Tシャツを着てガスコンロの前に立った。

コーヒーを落としながら、背中の方にいる昴に言った。

「以舞さんが生んだ子、どこかで幸せに暮らしているそうよ。産院に行って、話しを聞いてきた。・・・それを伝えたら以舞さん、とってもいい状態に戻ったよ」

昴からは返事がなかった。振り返るとベッドに座った姿勢で私をじっと見つめている。

「なんのためにそんなことを?」

「なんのためってそれは、以舞さんが穏やかに過ごせたらいいと思って」

「俺は母さんの産んだ子を探してるんじゃないんだ。母さんを内側から壊した男が許せない。俺たち家族をバラバラにした男が許せないんだよ」

「けど昴・・・いまさらそんなこと言ったって、どうするつもりなの」

昴は立ち上がって荒々しくシャツを着た。

「いまさらって何だよ。母さんは過去の記憶に怯えながら暮らしてきたんだぞ。なのにその夫は薄情に母さんを捨ててのんきに田舎暮らしだ。母さんは今も昔も、俺の方なんか見向きもしないで、流産した子供のことばっかり話す。俺の居場所はどこだ? どこにあるんだ? こんなふうに誰がしたんだ。レイプ犯が全部悪いだろ」

重苦しい声で昴は言って、冷蔵庫に向かった。

以舞が流産した子供の話ばかりを昴に聞かせていることを、私はこの時初めて知った。こんなにも母に尽くしているのに、以舞はその昴の姿を見てこなかったのだ。付き合って早々に、私を紹介したいと言って以舞のもとに連れていかれた理由がやっとわかった。昴は何とかして母に振り向いて欲しかったのかもしれない。


昴は冷蔵庫を開けてビールを取り出した。

「まって、朝から仕事だよ?今飲んだら運転できないよ」

その手を止めた私の腕を振り払って、昴が言った。


「余計なお世話だよ」


「復讐なんて、考えちゃダメ。そんなことしても家族は戻らない」


私は昴の襟元を掴んで揺すった。どうか目を覚まして欲しい。

私の腕を掴んで引き離すと、昴は背中を向けた。

「もう、黙ってよ。咲良は他人なんだからさ」

「そうよ。結局他人よ。昴だってあたしの気持ちわからないんだから」

めちゃくちゃに昴の背中をこぶしで叩いた。


昴が間違いを犯すようなことがあれば、正すのは自分だと思っていた。悲しいことがあったら慰めるのも、辛いことを一緒に受け止めるのも、私しかいないと思っていた。

けれども昴は、一緒に立ち向かおうとする私を受け入れようとしない。

いいことも悪いことも昴とともに受け止めたいという思いは私の勝手な自己満足で、昴にとっては迷惑な話なのだった。

けれども、復讐心だけは、昴の中から取り除きたかった。復讐などしても、傷はいえない。それどころか、さらに傷つく人を増やすだけだ。復讐と称して昴が誰かに傷を与えれば、また昴に復讐の矛先が向かうことだってあり得る。

「レイプ犯なんかに固執するのはもうやめて、どうか前を向いて欲しい」

その想いだけは昴に分かってほしかった。


「『なんか』ってなんだよ」

昴はうつむいたまま、呻くように言った。その声は地の底から沸き起こるような重さをはらんでいた。

私は思わず口走った言葉を手繰り戻すように息を吸い込んだ。

言ってしまった言葉はもう、無かった事にすることはできない、そう感じた瞬間に血の気が引いた。

「ごめん」


「咲良には解んないよ。温かい家族に愛されて育ったやつには。俺と咲良は決定的に違う。わかってもらおうとは思わない。もう、出てって」

背を向けたまま、昴が言った。



長い沈黙が流れた。しばらく立ちすくんでいる間に、もう言葉で打ち破ることができないくらいに沈黙は強固なものに変わっていった。



私は黙って荷物をバッグに詰め込み、倉庫の前のスペースに駐車している自家用車に乗り込んだ。

昴は追ってこなかった。でももう、今更後戻りはできない。エンジンをかけ、畑にぽつんと立つ倉庫を後にし、そのまま職場へと向かった。
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