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第三十一夜 屍姫
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骸の兵たちを刀の一撃で斬り払う。
一条は薄暗い洞窟を走り続けていた。狭く、どこまでも長いトンネルは両端に取りつけられた蝋燭の火が道しるべのように何処までも続いている。一体どれほど空間を拡張したのか、この異界に果てはないのではとも思ってしまう。だがそれも後少し。綾人たちが誘を見つけてくれたお陰で、一条は迷うことなく、彼女を目指すことが出来た。
先導のため、一条の前には綾人が描いた墨絵の猫が走っている。猫の動きは素早く、骸の兵たちの攻撃も難なく躱して、壁や地面を自由自在に駆けていく。その墨の猫が壁に取り付けられた蝋燭の側で止まった。まるでその壁の奥に求めるものがあると示すように。
「その先にいるってか? ったく、こっちもガス欠寸前なのに何度も壁を破らせやがって」
「そんなに辛いなら、楽になるのを手伝おうか?」
一条は直感的に体を前のめりに倒した。寸前まで頭があった場所に刃が走る。一条は振り向きざまに黒刀を振るった。だがすでに相手はおらず刀は空を切る。その直後、頭上に気配を感じ、一条はすぐさま背後に引いた。ほぼ同時に、一条がいた場所に秋水が骨刀を振り下ろした。
空間転移。曼荼羅ではなく、如意宝珠の願望機としての力の一端だ。もう何度目かもわからぬ転移のせいで、一条の全身は傷だらけになっていた。だが、最初の戦闘では使わなかった宝
珠を利用しているということは、秋水もそれなりの危機感を抱いているということだ。
「随分必死だな。宝珠に溜めた霊力は、曼荼羅を広げるために使うんじゃなかったか?」
「相方が死んで少し苛立っているだけさ。それにいい加減、君との戦いにも飽きてきてね!」
一条の斜め左の空間が歪む。その歪みから、四つの骨の弾丸が飛び出した。一条は刀で弾くが、一発弾き損ない肩に被弾してしまう。痛みに耐えながら、もう何度目になるかもわからない概念供犠を開始する。黒刀に赤黒い火が灯ると同時に、洞窟の壁に刃を一閃する。
壁は一秒も持たずに焼き溶かされ、洞窟の向こう側への風穴を空ける。
一条はその風穴へ向けて、全速力で走る。数秒ほど進むと、広い空間に出た。
地面は菖蒲の花に埋め尽くされ、壁際には数え切れない藤の木があった。
どうやらここは、呪術に使用する植物を育てる場所らしい。
その空間の奥、藤の木の根元に誘はいた。藤の蔓が彼女を縛るように巻き付いている。
実際、あれは彼女専用の拘束具だ。あの藤蔓を剥がさなければ彼女は目覚めない。
紫に彩られた空間を走り、彼女を目指す。だがあと数メートルという所で、再び秋水が空間を転移した。正面に現れた秋水の一閃を、一条は危うい所で防ぐ。だがその衝撃に踏みとどまれず、一条は菖蒲の花のなかに転がった。すぐに起き上がろうとするが、秋水の呪術か、花の蔓が体中に絡んで動きを止められた。
秋水が骨刀を地面に突き立てると、一条は祭壇の時のように骨による拘束を受けた。
「イザナ様のモデルになった神は、かの天津神、伊耶那美でね、彼女が本来命のないものにまで生物としての機能を付与出来るのは、あらゆる神を産んだ伊耶那美の力に由来しているからでもある。そして伊耶那美は国産みの神であると同時に、黄泉の国の主宰神だ。その影響もあって彼女も、この手の冥界に似た場所だと霊的干渉力が上がるんだ」
おまけに誘は紫堂家の土地神だ。自分たちの家の技術の結晶、純粋に格だけを問うなら、秋水自身より格上の存在を相手取らなければならなくなる。
「分霊とはいえ、ここでイザナ様と戦うのは面倒だからね。少しヒヤヒヤしたよ。けど君もガス欠。逃げる余力もない。惜しかったね一条。あと一歩足りなかった」
今度こそ、トドメを刺そうと秋水は骨刀を振り上げた。
もう戦えるだけの力はない。それでも最後まで抵抗しようと一条は、拘束を引き剥がそうと足掻いた。だがその時、視界の端をちらりと何かが走ったのが見えた。それが何かわかったとき、一条は思わず笑みを浮かべた。
「そりゃこっちの台詞だぜ、秋水。お前こそ、あと一歩足りなかった」
秋水は一瞬不可解そうな顔をしたが、すぐに意図に気づき、誘の方へと顔を向けた。
「うちのバイトと蓮司の奴は良くやってくれたよ」
彼女を拘束する藤蔓に、一匹のイモリが張り付いていた。呪術により形作られた墨絵のイモリだ。別の道か、それとも先程の黒猫から分けて造るかしたのだろう。墨絵のイモリは解けるようにその身を崩すと、肉体を構成していた墨は新たに文字となって藤蔓へ広がる。
墨が広がるごとに藤蔓は焼け、誘の拘束は弱まっていく。
秋水は駆け出し、彼女が解放されるのを止めようとする。
だが遅い。秋水の刃が届くよりも先に、誘は目覚め、彼女の周囲にあった藤の蔓は意志を持ったかのように秋水を弾いた。
余波で生まれた砂埃のなかから、紅揚羽が飛来したかと思うと、一条の拘束を解いた。
「ったく、正樹の時みたいになるなって言ったよな」
「申し訳ありません。まさかあんな形で止めに来るとは思わなかったので。これから全力で挽回しますので、どうか大目に見てください」
砂埃が晴れると共に、誘は両手から百を越える程の紅揚羽を発生させた。紅い揚羽蝶はまるで桜吹雪のように舞ったかと思うと、藤や菖蒲に触れ、同化していく。
たったそれだけのことで、彼女は周囲の草木を屍鬼に造りかえ、自身の支配下に置いてしまった。誘の本来の力は、あらゆる工程を省き、任意の対象を新たな生命に作り替えること。
屍魂の術とは、本来死者を蘇らせる術ではない。
命の流れの工程を短縮し、人為的に新たな命を産み出そうとする試みだ。恐らく、初代当主はその力を宿す誘を使い、死という終わりのない、新たな人間を造ろうとしたのだろう。
もう古い、千年も前の名残、その欠片が妄執と化した理想に終止符を討とうとしていた。
誘の支配下に置かれた草木が、繊維にまで解け、黒と赤の混じる着物を編み上げながら彼女へと纏わり付いていく。膨大な霊力と共に編み上げられたあの着物は、驚くべきことに生きている。ある種の共生生物のように彼女から命を貰い、彼女に力を与えている。
誘は一本の菖蒲の花を摘むと、それを屍鬼化し、刀の形に変貌させた。
菖蒲の花を鍔のようにした緑色の剣。その剣の形をした生命を秋水へと向けた。
「終わらせましょう、秋水。紫堂家の歴史を見続けた者として、貴方を処断させてもらいます」
秋水は疲れたようにため息を吐くと、くしゃくしゃと髪を梳いた。
「千年。長い時間だ。その時間のなかで、あの家の者たちの生き死にを見続けたあんたなら良くわかるだろ。僕たち
が死を取り除くために、どれだけの犠牲を払ったかを!」
秋水は骨刀を地面に突き刺し、誘へ向けて幾つもの骨の刃を出した。誘は緑の剣を振るう。菖蒲から造られた剣は先端から分かれ、鞭のようにしなって骨の刃を寸断した。
「そのあんたが、何故僕の邪魔をする! 何故彼らの犠牲を無駄にしようとする!」
「無駄になんてなっていませんよ。歪んだ形ではあるかもしれないけれど、わたしたちが培った技術は社会に取り入れられています。怪異という危機から人を守るという形で」
「……公彦と同じことを言うんだな、あんたは。やるための土台も、チャンスだってある。実行するための技術も、才能もあった。なのにあの男は屍法曼荼羅を広げようとしなかった。あの男は臆病者だ。悲願を成すことよりも保身を選んだのさ」
彼が理解出来ないことを哀れむように誘は首を横に振った。
「違います。公彦は臆病ではありません。彼は賢明だったんです。公彦は紫堂家が求めたものが、もう古い夢だということを理解していた。死がなくなった所で人は変わらない。幸福の形が増えたように、悲劇を生み出す理由も昔より多様になった。今あなたの勝手で人々から死を取り除けば、生まれるのは新たな混乱です。それは本来、段階を踏んで人々が自ら選択すべきこと。あなたの身勝手で変えて良いものではない」
「……笑えるね。あんたのいう選択で何が変わった? 何も変わってないさ。環境が変わっただけで、人間は本質的には何一つ成長していない。僕はずっと過去を見続けた。かつての当主たちの経験を見続けたんだ。けど幾ら遡っても、幾ら昔と今を比較しても、人間は変わらなかった。死も病も争いも、同じ悲劇を延々繰り返すだけだった。自分たちで成長出来ない生き物に、これ以上何を期待すればいい。それなら何時か成長するのを待つよりも、ここで強引にでも成長を促した方がマシだ。肉体はより強靭に、精神はより社会性に富むものに。あんたの言う混乱も、曼荼羅の力を使えば抑え込むことは可能だ。あらゆる悲劇は苦悩から生まれる。なら僕はその芽を摘むことに専念するだけだ」
秋水の構えた骨刀から成長するように骨が生まれる。
その骨が、鎧となって秋水の体を覆っていく。
「僕たちの過去を蔑ろにするあんたは、もう家の守り神でもなんでもない。一族の首を斬り続けたただの疫病神だ。ここにいるあんたも、里にいるあんたも、僕が必ず壊してやる」
白の鎧が完全に形成されると、秋水は一歩踏み込み、一瞬で誘の背後に移動した。
宝珠による転移。この場の支配を奪われても、彼にはまだ多くを成す力が残されている。
秋水は彼女の首を断とうと、骨刀を振り抜いた。だが彼の刃が届くよりも速く、誘の足下の草花が急激に成長する。草花は寄り、強靭な盾となって秋水の一撃を防いだ。
草木の成長は彼女の足下だけに留まらない。この一帯の草花が驚くべき速度で成長し、菖蒲と藤の花に彩られた薄紫の森を造り上げていく。
誘の力で屍鬼化した植物は、もはや地上のどの植物にも当て嵌まらない怪物となった。
巨木と化した藤の蔓が、一斉に秋水を襲う。だが彼に当たる直前、蔓は自らその身をくねらせ、最後には捩じ切られてしまった。死霊の力を強化して行った念動力。曼荼羅の無面を操る機能を実体化ではなく、現世への干渉力のみを与えた攻撃だ。
「あんたが幾らこの場を掌握しようが、まだこっちには曼荼羅がある。そう簡単に僕の異界を食い破れると思うなよ」
洞の壁や床が法曼荼羅で埋め尽くされていく。曼荼羅の粛清機能による霊力と生命力の略奪。本来、個人に使用するそれを、秋水は空間そのものに使用した。
動物のように自在に蔓をしならせていた藤が一気に朽ちていく。誘の付与した生命力が枯渇したのか地面を飾る菖蒲の花も次々に萎れていく。
さらに秋水は曼荼羅によるバックアップで自身の身体能力と霊的干渉力を強化した。
再び、彼は転移で間合いを詰める。彼女に振り下ろされた一撃は、最初のものより遥かに重い。衝撃で地面は割れ、誘は地面に膝をつく。
そのまま彼女を叩き潰そうと、秋水は刀に込める力を強めた。
曼荼羅による略奪は、彼女自身にも影響を与えている。刀は重く、力は今も奪われ続けている。時間の経過とともに、彼女の力は弱まっていくのだ。
長期戦になれば負ける。それを理解してか、誘は周囲の草木に干渉した。
菖蒲や藤の木から、先程宿った紅揚羽たちが花が咲くように現れる。元々紅揚羽の能力は、命の付与ではなく、霊力と生命力の略奪にある。誘はこの場にある命が完全に枯渇するより前にそれを利用しようとしたのだ。
数千はいる紅揚羽のうちの数十羽が誘のもとへ戻る。周囲の草木から奪った生命力が還元され、再び彼女に力が戻る。その力で、誘は秋水を弾き、大きく後退させた。
秋水は舌を打ち、骨刀に霊力を込める。骨刀に鮫の牙じみた鋭利な骨が次々に造り出される。刀を振ると、牙の骨が弾丸となって一斉に射出された。宙を突き進むなか、骨の牙は残りの霊力で数十センチにまで成長する。その刃が次々に誘へと降り掛かる。
誘は洞の壁へと跳躍し、牙の群れを躱す。壁に緑の剣を突き立て、剣から成長させた根で全身を固定すると、洞に舞う蝶たちへと干渉した。
数千羽の紅い蝶が一斉に秋水へと向かう。紫色で塗り潰されていた場所が、絵の具をぶちまけたかのように赤色へと変わっていく。
これほどの蝶の略奪を受ければ、例え曼荼羅を手中に納める秋水でも必ず絶命する。
だが秋水は一切動じることなく、骨刀を地面に突き刺した。彼の足下を中心に、骨の刃が次々に地面から顔を出す。紅揚羽と同じく、数千はあるであろうその刃は、曼荼羅の強化を受けると同時に、一斉に射出された。
下から上へと突き上げる刃の嵐。狙いなど付けずに放たれた刃は、圧倒的な物量で紅い蝶たちを串刺しにしていく。羽を身体を頭を貫かれ、蝶たちは次々に失墜する。数秒の後には、数千羽いた筈の蝶は、一羽たりともいなくなっていた。
「終わりだ。あんたが操れる命は全て尽きた。これで……」
秋水の言葉はそれ以上続かなかった。音が出ないのだ。幾ら声を出そうとしても、パクパクと鯉のように口が動いただけで、言葉は発さない。
それどころか僅かに残る傷痕から、沸騰したかのように血液が蒸発していく。
よく見れば、空中には紅揚羽の鱗粉のようなものが漂っていた。
この空間にある生命力は消えてなどいない。誘は、この空間にある大気を屍鬼化し、自身の支配下に置いていた。数千の蝶は、生命力を大気に移すための媒介に過ぎない。
誘のモデルとなったのは、天津神・伊耶那美。あらゆる万象に命を宿した神話と同じく、彼女もその力を宿している。洞を満たす大気が、渦巻くようにして誘のもとへと集っていく。真空となった空間に大気が戻ろうとするが、彼女は力づくで大気を操り、緑の剣に集中させた。
紅い鱗粉を含む風は、圧縮・加速され、まるで台風のように回転速度を上げていく。小型の台風に僅かに触れた壁が、容易く削られ、粉微塵となった。
秋水は身を守るため、自身の周囲に曼荼羅により強化した結界を張った。さらに、骨刀に力を注ぎ、数十メートルはある巨大な骨の武者を権限させる。
武者の肋骨が、彼を守るようにして閉じ、さらにその上から鎧が形作られていく。
誘は極小の台風を宿した刃を骨の武者へと向け、全力で壁を蹴った。
風の流れを操り、跳躍を加速させ、流星のように真空のなかを直進する。
武者が誘に向けて、その巨大な太刀を振り下ろす。
誘は極小の台風を、武者の太刀に叩き付けた。
圧縮と加速を続けた風は、削岩機のように骨の刀を削っていく。
だが曼荼羅の力も利用して造られた武者の強度は凄まじい。
削られると同時に、穿たれた泥が元の形に戻るように再生を続ける。
誘は追い風をさらに強くし、台風の回転速度をさらに上げ続けた。
雄叫びとともに、骨の武者へと極小の台風を押し込んでいく。
削られ、巻き取られた骨の破片が、周囲へと飛び散っていく。
極小の嵐は回転を続け大きくなり、やがて巨大な嵐となり、空間を包み込んだ。
一条は薄暗い洞窟を走り続けていた。狭く、どこまでも長いトンネルは両端に取りつけられた蝋燭の火が道しるべのように何処までも続いている。一体どれほど空間を拡張したのか、この異界に果てはないのではとも思ってしまう。だがそれも後少し。綾人たちが誘を見つけてくれたお陰で、一条は迷うことなく、彼女を目指すことが出来た。
先導のため、一条の前には綾人が描いた墨絵の猫が走っている。猫の動きは素早く、骸の兵たちの攻撃も難なく躱して、壁や地面を自由自在に駆けていく。その墨の猫が壁に取り付けられた蝋燭の側で止まった。まるでその壁の奥に求めるものがあると示すように。
「その先にいるってか? ったく、こっちもガス欠寸前なのに何度も壁を破らせやがって」
「そんなに辛いなら、楽になるのを手伝おうか?」
一条は直感的に体を前のめりに倒した。寸前まで頭があった場所に刃が走る。一条は振り向きざまに黒刀を振るった。だがすでに相手はおらず刀は空を切る。その直後、頭上に気配を感じ、一条はすぐさま背後に引いた。ほぼ同時に、一条がいた場所に秋水が骨刀を振り下ろした。
空間転移。曼荼羅ではなく、如意宝珠の願望機としての力の一端だ。もう何度目かもわからぬ転移のせいで、一条の全身は傷だらけになっていた。だが、最初の戦闘では使わなかった宝
珠を利用しているということは、秋水もそれなりの危機感を抱いているということだ。
「随分必死だな。宝珠に溜めた霊力は、曼荼羅を広げるために使うんじゃなかったか?」
「相方が死んで少し苛立っているだけさ。それにいい加減、君との戦いにも飽きてきてね!」
一条の斜め左の空間が歪む。その歪みから、四つの骨の弾丸が飛び出した。一条は刀で弾くが、一発弾き損ない肩に被弾してしまう。痛みに耐えながら、もう何度目になるかもわからない概念供犠を開始する。黒刀に赤黒い火が灯ると同時に、洞窟の壁に刃を一閃する。
壁は一秒も持たずに焼き溶かされ、洞窟の向こう側への風穴を空ける。
一条はその風穴へ向けて、全速力で走る。数秒ほど進むと、広い空間に出た。
地面は菖蒲の花に埋め尽くされ、壁際には数え切れない藤の木があった。
どうやらここは、呪術に使用する植物を育てる場所らしい。
その空間の奥、藤の木の根元に誘はいた。藤の蔓が彼女を縛るように巻き付いている。
実際、あれは彼女専用の拘束具だ。あの藤蔓を剥がさなければ彼女は目覚めない。
紫に彩られた空間を走り、彼女を目指す。だがあと数メートルという所で、再び秋水が空間を転移した。正面に現れた秋水の一閃を、一条は危うい所で防ぐ。だがその衝撃に踏みとどまれず、一条は菖蒲の花のなかに転がった。すぐに起き上がろうとするが、秋水の呪術か、花の蔓が体中に絡んで動きを止められた。
秋水が骨刀を地面に突き立てると、一条は祭壇の時のように骨による拘束を受けた。
「イザナ様のモデルになった神は、かの天津神、伊耶那美でね、彼女が本来命のないものにまで生物としての機能を付与出来るのは、あらゆる神を産んだ伊耶那美の力に由来しているからでもある。そして伊耶那美は国産みの神であると同時に、黄泉の国の主宰神だ。その影響もあって彼女も、この手の冥界に似た場所だと霊的干渉力が上がるんだ」
おまけに誘は紫堂家の土地神だ。自分たちの家の技術の結晶、純粋に格だけを問うなら、秋水自身より格上の存在を相手取らなければならなくなる。
「分霊とはいえ、ここでイザナ様と戦うのは面倒だからね。少しヒヤヒヤしたよ。けど君もガス欠。逃げる余力もない。惜しかったね一条。あと一歩足りなかった」
今度こそ、トドメを刺そうと秋水は骨刀を振り上げた。
もう戦えるだけの力はない。それでも最後まで抵抗しようと一条は、拘束を引き剥がそうと足掻いた。だがその時、視界の端をちらりと何かが走ったのが見えた。それが何かわかったとき、一条は思わず笑みを浮かべた。
「そりゃこっちの台詞だぜ、秋水。お前こそ、あと一歩足りなかった」
秋水は一瞬不可解そうな顔をしたが、すぐに意図に気づき、誘の方へと顔を向けた。
「うちのバイトと蓮司の奴は良くやってくれたよ」
彼女を拘束する藤蔓に、一匹のイモリが張り付いていた。呪術により形作られた墨絵のイモリだ。別の道か、それとも先程の黒猫から分けて造るかしたのだろう。墨絵のイモリは解けるようにその身を崩すと、肉体を構成していた墨は新たに文字となって藤蔓へ広がる。
墨が広がるごとに藤蔓は焼け、誘の拘束は弱まっていく。
秋水は駆け出し、彼女が解放されるのを止めようとする。
だが遅い。秋水の刃が届くよりも先に、誘は目覚め、彼女の周囲にあった藤の蔓は意志を持ったかのように秋水を弾いた。
余波で生まれた砂埃のなかから、紅揚羽が飛来したかと思うと、一条の拘束を解いた。
「ったく、正樹の時みたいになるなって言ったよな」
「申し訳ありません。まさかあんな形で止めに来るとは思わなかったので。これから全力で挽回しますので、どうか大目に見てください」
砂埃が晴れると共に、誘は両手から百を越える程の紅揚羽を発生させた。紅い揚羽蝶はまるで桜吹雪のように舞ったかと思うと、藤や菖蒲に触れ、同化していく。
たったそれだけのことで、彼女は周囲の草木を屍鬼に造りかえ、自身の支配下に置いてしまった。誘の本来の力は、あらゆる工程を省き、任意の対象を新たな生命に作り替えること。
屍魂の術とは、本来死者を蘇らせる術ではない。
命の流れの工程を短縮し、人為的に新たな命を産み出そうとする試みだ。恐らく、初代当主はその力を宿す誘を使い、死という終わりのない、新たな人間を造ろうとしたのだろう。
もう古い、千年も前の名残、その欠片が妄執と化した理想に終止符を討とうとしていた。
誘の支配下に置かれた草木が、繊維にまで解け、黒と赤の混じる着物を編み上げながら彼女へと纏わり付いていく。膨大な霊力と共に編み上げられたあの着物は、驚くべきことに生きている。ある種の共生生物のように彼女から命を貰い、彼女に力を与えている。
誘は一本の菖蒲の花を摘むと、それを屍鬼化し、刀の形に変貌させた。
菖蒲の花を鍔のようにした緑色の剣。その剣の形をした生命を秋水へと向けた。
「終わらせましょう、秋水。紫堂家の歴史を見続けた者として、貴方を処断させてもらいます」
秋水は疲れたようにため息を吐くと、くしゃくしゃと髪を梳いた。
「千年。長い時間だ。その時間のなかで、あの家の者たちの生き死にを見続けたあんたなら良くわかるだろ。僕たち
が死を取り除くために、どれだけの犠牲を払ったかを!」
秋水は骨刀を地面に突き刺し、誘へ向けて幾つもの骨の刃を出した。誘は緑の剣を振るう。菖蒲から造られた剣は先端から分かれ、鞭のようにしなって骨の刃を寸断した。
「そのあんたが、何故僕の邪魔をする! 何故彼らの犠牲を無駄にしようとする!」
「無駄になんてなっていませんよ。歪んだ形ではあるかもしれないけれど、わたしたちが培った技術は社会に取り入れられています。怪異という危機から人を守るという形で」
「……公彦と同じことを言うんだな、あんたは。やるための土台も、チャンスだってある。実行するための技術も、才能もあった。なのにあの男は屍法曼荼羅を広げようとしなかった。あの男は臆病者だ。悲願を成すことよりも保身を選んだのさ」
彼が理解出来ないことを哀れむように誘は首を横に振った。
「違います。公彦は臆病ではありません。彼は賢明だったんです。公彦は紫堂家が求めたものが、もう古い夢だということを理解していた。死がなくなった所で人は変わらない。幸福の形が増えたように、悲劇を生み出す理由も昔より多様になった。今あなたの勝手で人々から死を取り除けば、生まれるのは新たな混乱です。それは本来、段階を踏んで人々が自ら選択すべきこと。あなたの身勝手で変えて良いものではない」
「……笑えるね。あんたのいう選択で何が変わった? 何も変わってないさ。環境が変わっただけで、人間は本質的には何一つ成長していない。僕はずっと過去を見続けた。かつての当主たちの経験を見続けたんだ。けど幾ら遡っても、幾ら昔と今を比較しても、人間は変わらなかった。死も病も争いも、同じ悲劇を延々繰り返すだけだった。自分たちで成長出来ない生き物に、これ以上何を期待すればいい。それなら何時か成長するのを待つよりも、ここで強引にでも成長を促した方がマシだ。肉体はより強靭に、精神はより社会性に富むものに。あんたの言う混乱も、曼荼羅の力を使えば抑え込むことは可能だ。あらゆる悲劇は苦悩から生まれる。なら僕はその芽を摘むことに専念するだけだ」
秋水の構えた骨刀から成長するように骨が生まれる。
その骨が、鎧となって秋水の体を覆っていく。
「僕たちの過去を蔑ろにするあんたは、もう家の守り神でもなんでもない。一族の首を斬り続けたただの疫病神だ。ここにいるあんたも、里にいるあんたも、僕が必ず壊してやる」
白の鎧が完全に形成されると、秋水は一歩踏み込み、一瞬で誘の背後に移動した。
宝珠による転移。この場の支配を奪われても、彼にはまだ多くを成す力が残されている。
秋水は彼女の首を断とうと、骨刀を振り抜いた。だが彼の刃が届くよりも速く、誘の足下の草花が急激に成長する。草花は寄り、強靭な盾となって秋水の一撃を防いだ。
草木の成長は彼女の足下だけに留まらない。この一帯の草花が驚くべき速度で成長し、菖蒲と藤の花に彩られた薄紫の森を造り上げていく。
誘の力で屍鬼化した植物は、もはや地上のどの植物にも当て嵌まらない怪物となった。
巨木と化した藤の蔓が、一斉に秋水を襲う。だが彼に当たる直前、蔓は自らその身をくねらせ、最後には捩じ切られてしまった。死霊の力を強化して行った念動力。曼荼羅の無面を操る機能を実体化ではなく、現世への干渉力のみを与えた攻撃だ。
「あんたが幾らこの場を掌握しようが、まだこっちには曼荼羅がある。そう簡単に僕の異界を食い破れると思うなよ」
洞の壁や床が法曼荼羅で埋め尽くされていく。曼荼羅の粛清機能による霊力と生命力の略奪。本来、個人に使用するそれを、秋水は空間そのものに使用した。
動物のように自在に蔓をしならせていた藤が一気に朽ちていく。誘の付与した生命力が枯渇したのか地面を飾る菖蒲の花も次々に萎れていく。
さらに秋水は曼荼羅によるバックアップで自身の身体能力と霊的干渉力を強化した。
再び、彼は転移で間合いを詰める。彼女に振り下ろされた一撃は、最初のものより遥かに重い。衝撃で地面は割れ、誘は地面に膝をつく。
そのまま彼女を叩き潰そうと、秋水は刀に込める力を強めた。
曼荼羅による略奪は、彼女自身にも影響を与えている。刀は重く、力は今も奪われ続けている。時間の経過とともに、彼女の力は弱まっていくのだ。
長期戦になれば負ける。それを理解してか、誘は周囲の草木に干渉した。
菖蒲や藤の木から、先程宿った紅揚羽たちが花が咲くように現れる。元々紅揚羽の能力は、命の付与ではなく、霊力と生命力の略奪にある。誘はこの場にある命が完全に枯渇するより前にそれを利用しようとしたのだ。
数千はいる紅揚羽のうちの数十羽が誘のもとへ戻る。周囲の草木から奪った生命力が還元され、再び彼女に力が戻る。その力で、誘は秋水を弾き、大きく後退させた。
秋水は舌を打ち、骨刀に霊力を込める。骨刀に鮫の牙じみた鋭利な骨が次々に造り出される。刀を振ると、牙の骨が弾丸となって一斉に射出された。宙を突き進むなか、骨の牙は残りの霊力で数十センチにまで成長する。その刃が次々に誘へと降り掛かる。
誘は洞の壁へと跳躍し、牙の群れを躱す。壁に緑の剣を突き立て、剣から成長させた根で全身を固定すると、洞に舞う蝶たちへと干渉した。
数千羽の紅い蝶が一斉に秋水へと向かう。紫色で塗り潰されていた場所が、絵の具をぶちまけたかのように赤色へと変わっていく。
これほどの蝶の略奪を受ければ、例え曼荼羅を手中に納める秋水でも必ず絶命する。
だが秋水は一切動じることなく、骨刀を地面に突き刺した。彼の足下を中心に、骨の刃が次々に地面から顔を出す。紅揚羽と同じく、数千はあるであろうその刃は、曼荼羅の強化を受けると同時に、一斉に射出された。
下から上へと突き上げる刃の嵐。狙いなど付けずに放たれた刃は、圧倒的な物量で紅い蝶たちを串刺しにしていく。羽を身体を頭を貫かれ、蝶たちは次々に失墜する。数秒の後には、数千羽いた筈の蝶は、一羽たりともいなくなっていた。
「終わりだ。あんたが操れる命は全て尽きた。これで……」
秋水の言葉はそれ以上続かなかった。音が出ないのだ。幾ら声を出そうとしても、パクパクと鯉のように口が動いただけで、言葉は発さない。
それどころか僅かに残る傷痕から、沸騰したかのように血液が蒸発していく。
よく見れば、空中には紅揚羽の鱗粉のようなものが漂っていた。
この空間にある生命力は消えてなどいない。誘は、この空間にある大気を屍鬼化し、自身の支配下に置いていた。数千の蝶は、生命力を大気に移すための媒介に過ぎない。
誘のモデルとなったのは、天津神・伊耶那美。あらゆる万象に命を宿した神話と同じく、彼女もその力を宿している。洞を満たす大気が、渦巻くようにして誘のもとへと集っていく。真空となった空間に大気が戻ろうとするが、彼女は力づくで大気を操り、緑の剣に集中させた。
紅い鱗粉を含む風は、圧縮・加速され、まるで台風のように回転速度を上げていく。小型の台風に僅かに触れた壁が、容易く削られ、粉微塵となった。
秋水は身を守るため、自身の周囲に曼荼羅により強化した結界を張った。さらに、骨刀に力を注ぎ、数十メートルはある巨大な骨の武者を権限させる。
武者の肋骨が、彼を守るようにして閉じ、さらにその上から鎧が形作られていく。
誘は極小の台風を宿した刃を骨の武者へと向け、全力で壁を蹴った。
風の流れを操り、跳躍を加速させ、流星のように真空のなかを直進する。
武者が誘に向けて、その巨大な太刀を振り下ろす。
誘は極小の台風を、武者の太刀に叩き付けた。
圧縮と加速を続けた風は、削岩機のように骨の刀を削っていく。
だが曼荼羅の力も利用して造られた武者の強度は凄まじい。
削られると同時に、穿たれた泥が元の形に戻るように再生を続ける。
誘は追い風をさらに強くし、台風の回転速度をさらに上げ続けた。
雄叫びとともに、骨の武者へと極小の台風を押し込んでいく。
削られ、巻き取られた骨の破片が、周囲へと飛び散っていく。
極小の嵐は回転を続け大きくなり、やがて巨大な嵐となり、空間を包み込んだ。
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「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
サモンブレイブ・クロニクル~無能扱いされた少年の異世界無双物語
イズミント(エセフォルネウス)
ファンタジー
高校2年の佐々木 暁斗は、クラスメイト達と共に異世界に召還される。
その目的は、魔王を倒す戦力として。
しかし、クラスメイトのみんなが勇者判定されるなかで、暁斗だけは勇者判定されず、無能とされる。
多くのクラスメイトにも見捨てられた暁斗は、唯一見捨てず助けてくれた女子生徒や、暁斗を介抱した魔女と共に異世界生活を送る。
その過程で、暁斗の潜在能力が発揮され、至るところで無双していくお話である。
*この作品はかつてノベルアップ+や小説家になろうに投稿したものの再々リメイクです。
日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。
勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です!
僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。
つねやま じゅんぺいと読む。
何処にでもいる普通のサラリーマン。
仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・
突然気分が悪くなり、倒れそうになる。
周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。
何が起こったか分からないまま、気を失う。
気が付けば電車ではなく、どこかの建物。
周りにも人が倒れている。
僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。
気が付けば誰かがしゃべってる。
どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。
そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。
想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
気が付けば2人だけになっていて・・・・
スキルも2つしか残っていない。
一つは鑑定。
もう一つは家事全般。
両方とも微妙だ・・・・
彼女の名は才村 友郁
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召喚魔王様がんばる
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主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
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『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる
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「ようこそおいでくださいました。勇者さま」
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勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定
私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。
ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。
他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。
なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。
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