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第10話「寂しさと同情」
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ハアハアと息を整えながら、朦朧としている神崎を横目に、相楽は冷静に、太腿までずり下ろしていた神崎のショートパンツと下着を、彼女の足から引き抜いた。
そして相楽は、着ていたシャツを脱ぎ、履いていたハーフパンツとトランクスを、同時に脱ぎ捨てた。
相楽は、まだイッたばかりで、朦朧としている神崎の脚を開かせ、腰を掴んで自分に手繰り寄せる。
神崎は、体を引き寄せられた方向を見てギョッとした。自分の恥丘の向こうに、既にガチガチに勃起した、相楽の男性器が目に入ったからだ。
その大きくて太い、腹まで反り返っている凶悪なものに、神崎は血の気が引いた。
「……ちょっ、ダメ! これ以上はダメだって! 本当にダメ! 妊娠しちゃうって!」
神崎は、自分の腰を掴んでる相楽の両腕を掴んで、更に泣きそうになりながら懇願した。
既に自分のものを片手で持ち、当たり前のように神崎の膣口に、照準を合わせようとしていた相楽は「そっか」と、ある事に気が付いた。
「ちょっと待ってて」と神崎の額に軽くキスすると、相楽はベッドを降りた。
(……よ、良かった……危なかった……)
神崎は何が何だか分からなかったが、とりあえず相楽が思い止まってくれたと安堵し、ベッドの上でホッと脱力した。
相楽は先程コンビニで密かに買っていた、コンドームの箱をレジ袋から取り出すと、封を開け、蛇腹状になっているゴムの袋を一つ切り離し、残りを乱雑にローテーブルに置いて、ゴムの袋を切りながらベッドに戻って来た。
(……!)
神崎は相楽のその行動に唖然とし、思わずゆらりと上半身を起こし、固まったまま相楽を凝視した。
相楽は、本当にこれを使う事になるとはと思いながら、自分の性器にゴムをスルスルと着けていったが、その様子を固まったまま見つめながら、神崎は驚いたように吐き出した。
「……な、何よっ! ……やっ、やっぱり、そのつもりだったんじゃん!」
「え?」
「駅で会った時は、そんなつもりなかったって、さっき言ったじゃない⁉︎」
神崎はワナワナと震え出した。ここに来て、相楽は嘘の上塗りをして来たのだ。何でこんな奴を友達と思ってたんだろうと、自分の愚かさに涙が溢れそうになる。
相楽はその神崎の様子に、うっとなりバツが悪そうに、神崎から視線を逸らした。
「……はじめは、本当にそんなつもりで家に誘ったわけじゃないんだって……ただ……」
「何よ⁉︎」
「その、さっき寄ったコンビニで……ゴムのパッケージ見つけちゃって……お前とそういう事してる妄想が一瞬頭に浮かんで……気が付いたら、買ってた」
相楽は、事の経緯を正直に告白した。
「……なに、それ……」
すまなそうに告白する相楽に、神崎は呆れつつも、段々と相楽が哀れで可哀想に思えてきて、溜め息を吐いた。
数週間前、彼女の浮気が原因で、相楽が彼女と別れたと、風の噂で神崎は聞いていた。
神崎からしてみれば、殆ど同情のようなものだった。今日の事が無ければ、元々神崎は相楽が嫌いではなかったし、友人としては馬が合うし付き合いやすく、いい奴だと思っていた。
異性としてどうかと聞かれると、全くタイプじゃないし、そういう風に考えた事もなかったのだが、今こんなに迫られても生理的嫌悪感のようなものはなかったし、寧ろ体を弄られて、自分の体にも火がついてしまっている事に神崎は気が付いた。
神崎は改めて相楽を見た。
友人としては好きだった。いい奴だと思ってた。ただ異性としてどう思っているかと聞かれると、それは恋愛感情ではない。
相楽も自分に対して恋愛感情を持っていたようには思えない。ただ今は、完全に肉欲に負けているだけなのだろうと思った。
もっと言えば、この一人きりの寂しいクリスマスに、誰かに慰めて貰いたかっただけなのだろうと思うと、神崎は冷ややかな冷気のようなものが、心に流れくるのを感じた。
朝からの哀れな運命に打ちのめされ、精神が弱りきっていたとしても、男の部屋にノコノコとやって来てしまった自分も、きっと寂しかったのだ。誰かにそばにいて慰めて貰いたかったのだと、神崎は気が付いた。
お互いの利害が一致している事が分かると、神崎は改めて自分の価値の無さに嫌気がさした。
ただ今この世界でたった一人だけ、どんな理由であれ、自分を必要としてくれている人間がいる。それが相楽なのだと思った。
散々なクリスマスイヴだったと改めて神崎は思った。相楽はどう思っているか分からないが、この一線を越える事で、自分はもう相楽をただの友人とは思えなくなるだろうと、神崎は感じていた。
友人を一人失う事になると頭では分かっているのに、神崎は寂しさと体の疼きを、抑えられそうになかった。
(……)
「……分かった。いいよ」
神崎は消え入るような声で、真っ赤になりながら呟いた。
相楽はその告白にギョッとして、神崎の顔をマジマジと見つめる。
「……私もこんなにされて、もう……おさまらないし、最後まで……責任取ってよ」
神崎は、更に耳まで赤くし俯きながら囁いた。
相楽はその囁きに突き動かされるように、神崎の両腕を強く掴んだ。突然の事に神崎はビクッとなり、相楽に慌てて懇願した。
「……ちょっ、優しく! お願いだから、優しくして!」
相楽は神崎の腕を掴んだまま、目を丸くした。でも次第に顔を綻ばせてはにかんだ。
「……分かった」
相楽はそう柔らかく囁くと、そのまま神崎を引き寄せて、優しく彼女にキスをした。
つづく
そして相楽は、着ていたシャツを脱ぎ、履いていたハーフパンツとトランクスを、同時に脱ぎ捨てた。
相楽は、まだイッたばかりで、朦朧としている神崎の脚を開かせ、腰を掴んで自分に手繰り寄せる。
神崎は、体を引き寄せられた方向を見てギョッとした。自分の恥丘の向こうに、既にガチガチに勃起した、相楽の男性器が目に入ったからだ。
その大きくて太い、腹まで反り返っている凶悪なものに、神崎は血の気が引いた。
「……ちょっ、ダメ! これ以上はダメだって! 本当にダメ! 妊娠しちゃうって!」
神崎は、自分の腰を掴んでる相楽の両腕を掴んで、更に泣きそうになりながら懇願した。
既に自分のものを片手で持ち、当たり前のように神崎の膣口に、照準を合わせようとしていた相楽は「そっか」と、ある事に気が付いた。
「ちょっと待ってて」と神崎の額に軽くキスすると、相楽はベッドを降りた。
(……よ、良かった……危なかった……)
神崎は何が何だか分からなかったが、とりあえず相楽が思い止まってくれたと安堵し、ベッドの上でホッと脱力した。
相楽は先程コンビニで密かに買っていた、コンドームの箱をレジ袋から取り出すと、封を開け、蛇腹状になっているゴムの袋を一つ切り離し、残りを乱雑にローテーブルに置いて、ゴムの袋を切りながらベッドに戻って来た。
(……!)
神崎は相楽のその行動に唖然とし、思わずゆらりと上半身を起こし、固まったまま相楽を凝視した。
相楽は、本当にこれを使う事になるとはと思いながら、自分の性器にゴムをスルスルと着けていったが、その様子を固まったまま見つめながら、神崎は驚いたように吐き出した。
「……な、何よっ! ……やっ、やっぱり、そのつもりだったんじゃん!」
「え?」
「駅で会った時は、そんなつもりなかったって、さっき言ったじゃない⁉︎」
神崎はワナワナと震え出した。ここに来て、相楽は嘘の上塗りをして来たのだ。何でこんな奴を友達と思ってたんだろうと、自分の愚かさに涙が溢れそうになる。
相楽はその神崎の様子に、うっとなりバツが悪そうに、神崎から視線を逸らした。
「……はじめは、本当にそんなつもりで家に誘ったわけじゃないんだって……ただ……」
「何よ⁉︎」
「その、さっき寄ったコンビニで……ゴムのパッケージ見つけちゃって……お前とそういう事してる妄想が一瞬頭に浮かんで……気が付いたら、買ってた」
相楽は、事の経緯を正直に告白した。
「……なに、それ……」
すまなそうに告白する相楽に、神崎は呆れつつも、段々と相楽が哀れで可哀想に思えてきて、溜め息を吐いた。
数週間前、彼女の浮気が原因で、相楽が彼女と別れたと、風の噂で神崎は聞いていた。
神崎からしてみれば、殆ど同情のようなものだった。今日の事が無ければ、元々神崎は相楽が嫌いではなかったし、友人としては馬が合うし付き合いやすく、いい奴だと思っていた。
異性としてどうかと聞かれると、全くタイプじゃないし、そういう風に考えた事もなかったのだが、今こんなに迫られても生理的嫌悪感のようなものはなかったし、寧ろ体を弄られて、自分の体にも火がついてしまっている事に神崎は気が付いた。
神崎は改めて相楽を見た。
友人としては好きだった。いい奴だと思ってた。ただ異性としてどう思っているかと聞かれると、それは恋愛感情ではない。
相楽も自分に対して恋愛感情を持っていたようには思えない。ただ今は、完全に肉欲に負けているだけなのだろうと思った。
もっと言えば、この一人きりの寂しいクリスマスに、誰かに慰めて貰いたかっただけなのだろうと思うと、神崎は冷ややかな冷気のようなものが、心に流れくるのを感じた。
朝からの哀れな運命に打ちのめされ、精神が弱りきっていたとしても、男の部屋にノコノコとやって来てしまった自分も、きっと寂しかったのだ。誰かにそばにいて慰めて貰いたかったのだと、神崎は気が付いた。
お互いの利害が一致している事が分かると、神崎は改めて自分の価値の無さに嫌気がさした。
ただ今この世界でたった一人だけ、どんな理由であれ、自分を必要としてくれている人間がいる。それが相楽なのだと思った。
散々なクリスマスイヴだったと改めて神崎は思った。相楽はどう思っているか分からないが、この一線を越える事で、自分はもう相楽をただの友人とは思えなくなるだろうと、神崎は感じていた。
友人を一人失う事になると頭では分かっているのに、神崎は寂しさと体の疼きを、抑えられそうになかった。
(……)
「……分かった。いいよ」
神崎は消え入るような声で、真っ赤になりながら呟いた。
相楽はその告白にギョッとして、神崎の顔をマジマジと見つめる。
「……私もこんなにされて、もう……おさまらないし、最後まで……責任取ってよ」
神崎は、更に耳まで赤くし俯きながら囁いた。
相楽はその囁きに突き動かされるように、神崎の両腕を強く掴んだ。突然の事に神崎はビクッとなり、相楽に慌てて懇願した。
「……ちょっ、優しく! お願いだから、優しくして!」
相楽は神崎の腕を掴んだまま、目を丸くした。でも次第に顔を綻ばせてはにかんだ。
「……分かった」
相楽はそう柔らかく囁くと、そのまま神崎を引き寄せて、優しく彼女にキスをした。
つづく
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