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第6話 初めての戦闘?
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「え……? えっ…………!?」
レア度がいくつからいくつまであるのか分からないが、とりあえず大変なものを拾ってしまったんだということは分かる。
鑑定の結果からじゃ何かも分からないが、常闇蟲の蟲って文字になんとなく嫌な予感がした。
だからといって戻すという選択肢はない。
一応アイテムボックスに入れておくことにする。
レアアイテムを集めることが嫌いな人間はいないはずだ。
「封印盤だから封印しておこう……!」
一人呟き足を進めていく。
というよりこんな訳わからんものがあるってことは、やはりというかわけわからん遺跡ということなんだろうか。
モンスターも出ない。なんの仕掛けもない。
けれどなんだか壁に描かれている壁画が禍々しいような気がする。
ドラゴンが街を焼いているような絵だったり、魔女のような人間が人を大鍋で煮込んでいるような絵だったり。
こんな場所にスタート地点を置く意味が分からん。
内心で毒づいていると奥から聞こえてくる、ゴゴゴゴといった振動音。
「うおっ。嫌な予感が……!」
その音は段々とこちらに向かって近付いてきている。
嫌な予感はどんどん膨れ上がる。衝動的に逃げたいという感情も膨れ上がる。
しかし間に合わない。
奥から現れたのは簡素で軽そうな橙色の軽装鎧に身を包む女性。
やたらとポケットが付いた鎧下を着こんでおり腰には短めの小太刀のような剣が三本。
とそれを追っているのか、全身に赤、青、緑と煌びやかな宝石のような石が輝く巨神像のような姿だった。
といっても顔は人でも無機物という感じでもなく、ロボットのような顔つきをしているのだが。
思わず叫び声をあげると、女性が驚きの表情で俺を見つめる。
モスグリーンの髪がショートカットで荒々しく揺れる美しき女性。
やたらと強気そうな顔立ちをしている。逃げているというのに。
「うおおおおおおお!?」
「なっ!? なんだお前っ!?」
叫ぶ俺にそう言ったが一瞥するだけで入口のほうへと走って逃げていく。
俺も逃げる。ひたすら逃げる逃げる。女性の足の方が速いがそれを追うように逃げる。
駄目っぽい様子なのは、俺のレベルが低いのか周りのレベルが高いのか。
どんどん女性には引き離されていき、歩く石像はぐんぐんと迫ってくる。
このままでは追いつかれる事は自明の理。
どういう理由で追いかけてるのかは知らんが、巻き込まれるだけで俺はミンチになる自信がある。
「やっべぇって! そ、そうだ。落とし穴を……」
下が石造りの場所で使えるか分からないが、使えなかったら俺は死ぬ。
女神様ひどいと思いつつ神頼みをするという、訳の分からん心境で俺は落とし穴を作成してみたところ、問題なく作ることができた。
嬉しさからついつい口から口笛が飛び出る。
「ぴゅぅ~」
掘り起こされたという感じではなく、空間に穴が開いたといった雰囲気だ。
表面上の見た目に全く歪みがないが俺には分かる。
俺が昨晩作ったカバーをかけた落とし穴ではなく、表面に立体映像が見えるような状態となっているということが。
落とし穴がそこにあるというのが判別できるのが俺だけだという仕組みらしい。
と、なんとなく頭で理解できていた。
「おっしゃ。そのまま落ちて砕けろ!」
像の大きさは楽々二メートルを越えるのでそんなことは無理だろうが、時間を稼ぐことはできるはず。
そう思いつつ俺はもう一つ足止めと思って落とし穴を設置した。
勿論逃げながらである。
けれど、どうなるかはちょっと見てみたいと思ってチラと振り向く。
するとどうだろうか。
まず一つ目の落とし穴に足を落としてよろめいた像は、体勢を崩し倒れ込む。
そのまま足止めと思って設置した二つ目の落とし穴の角のところに顔から倒れ込んだ。
ガガァンと巨大な音を立てながら、顔がぐしゃりと潰れて粉砕されると倒れてそのまま動かなくなる、という奇跡が起きたのだ。
全く狙っていなかった。
というより狙ったとしても成功するかは分からない。
もしかしたら俺は運極者なのではないかと錯覚してしまうくらいである。
「えっ、倒したの? 嘘だろ……」
あまりにあっけない勝利に心臓がばくついているが、俺の方が信じられない。
命の危機でもあったはずだ。
けれど初戦闘はなんとももやもやした気持ちを抱えながら、こうしてあっけなく勝利で飾ることとなった。
「いやっほーい!」
名称 レンジュ・アリムラ
年齢 17
レベル 10
種族 人族
職業 罠師
体力 1280/1280
魔力 1640/1840
攻撃力補正 2
防御力補正 13
スキル習得用SP 9
スキル習熟用SP 9
共通スキル
言語習得 鑑定 アイテムボックス(無制限)
固有スキル
落とし穴(1)
魔法
なし
称号
ダーツ得意、無礼者、罠好き、守護像の破壊者
賞金額
200,000シリカ
所持金
0シリカ
現在習得可能固有スキル
ネズミ捕りの罠(消費魔力50)消費SP1
移動の罠(消費魔力100)消費SP2
発火の罠(消費魔力100)消費SP3
指定した地上に、触れると火柱を上げる罠を設置する。有効時間5分。
粘着の罠(消費魔力50)消費SP2
指定した接地面に、粘着剤を流布する。有効時間5分。
煙爆弾の罠(消費魔力100)消費SP3
指定した場所に、触れると大量の煙幕を作り出す罠を設置する。有効時間5分。
上昇の罠(消費魔力100)消費SP1
指定した場所に、触れると上方へ二メートル飛ばす罠を設置する。対象の質量体によりその距離は増減する。有効時間5分。
レア度がいくつからいくつまであるのか分からないが、とりあえず大変なものを拾ってしまったんだということは分かる。
鑑定の結果からじゃ何かも分からないが、常闇蟲の蟲って文字になんとなく嫌な予感がした。
だからといって戻すという選択肢はない。
一応アイテムボックスに入れておくことにする。
レアアイテムを集めることが嫌いな人間はいないはずだ。
「封印盤だから封印しておこう……!」
一人呟き足を進めていく。
というよりこんな訳わからんものがあるってことは、やはりというかわけわからん遺跡ということなんだろうか。
モンスターも出ない。なんの仕掛けもない。
けれどなんだか壁に描かれている壁画が禍々しいような気がする。
ドラゴンが街を焼いているような絵だったり、魔女のような人間が人を大鍋で煮込んでいるような絵だったり。
こんな場所にスタート地点を置く意味が分からん。
内心で毒づいていると奥から聞こえてくる、ゴゴゴゴといった振動音。
「うおっ。嫌な予感が……!」
その音は段々とこちらに向かって近付いてきている。
嫌な予感はどんどん膨れ上がる。衝動的に逃げたいという感情も膨れ上がる。
しかし間に合わない。
奥から現れたのは簡素で軽そうな橙色の軽装鎧に身を包む女性。
やたらとポケットが付いた鎧下を着こんでおり腰には短めの小太刀のような剣が三本。
とそれを追っているのか、全身に赤、青、緑と煌びやかな宝石のような石が輝く巨神像のような姿だった。
といっても顔は人でも無機物という感じでもなく、ロボットのような顔つきをしているのだが。
思わず叫び声をあげると、女性が驚きの表情で俺を見つめる。
モスグリーンの髪がショートカットで荒々しく揺れる美しき女性。
やたらと強気そうな顔立ちをしている。逃げているというのに。
「うおおおおおおお!?」
「なっ!? なんだお前っ!?」
叫ぶ俺にそう言ったが一瞥するだけで入口のほうへと走って逃げていく。
俺も逃げる。ひたすら逃げる逃げる。女性の足の方が速いがそれを追うように逃げる。
駄目っぽい様子なのは、俺のレベルが低いのか周りのレベルが高いのか。
どんどん女性には引き離されていき、歩く石像はぐんぐんと迫ってくる。
このままでは追いつかれる事は自明の理。
どういう理由で追いかけてるのかは知らんが、巻き込まれるだけで俺はミンチになる自信がある。
「やっべぇって! そ、そうだ。落とし穴を……」
下が石造りの場所で使えるか分からないが、使えなかったら俺は死ぬ。
女神様ひどいと思いつつ神頼みをするという、訳の分からん心境で俺は落とし穴を作成してみたところ、問題なく作ることができた。
嬉しさからついつい口から口笛が飛び出る。
「ぴゅぅ~」
掘り起こされたという感じではなく、空間に穴が開いたといった雰囲気だ。
表面上の見た目に全く歪みがないが俺には分かる。
俺が昨晩作ったカバーをかけた落とし穴ではなく、表面に立体映像が見えるような状態となっているということが。
落とし穴がそこにあるというのが判別できるのが俺だけだという仕組みらしい。
と、なんとなく頭で理解できていた。
「おっしゃ。そのまま落ちて砕けろ!」
像の大きさは楽々二メートルを越えるのでそんなことは無理だろうが、時間を稼ぐことはできるはず。
そう思いつつ俺はもう一つ足止めと思って落とし穴を設置した。
勿論逃げながらである。
けれど、どうなるかはちょっと見てみたいと思ってチラと振り向く。
するとどうだろうか。
まず一つ目の落とし穴に足を落としてよろめいた像は、体勢を崩し倒れ込む。
そのまま足止めと思って設置した二つ目の落とし穴の角のところに顔から倒れ込んだ。
ガガァンと巨大な音を立てながら、顔がぐしゃりと潰れて粉砕されると倒れてそのまま動かなくなる、という奇跡が起きたのだ。
全く狙っていなかった。
というより狙ったとしても成功するかは分からない。
もしかしたら俺は運極者なのではないかと錯覚してしまうくらいである。
「えっ、倒したの? 嘘だろ……」
あまりにあっけない勝利に心臓がばくついているが、俺の方が信じられない。
命の危機でもあったはずだ。
けれど初戦闘はなんとももやもやした気持ちを抱えながら、こうしてあっけなく勝利で飾ることとなった。
「いやっほーい!」
名称 レンジュ・アリムラ
年齢 17
レベル 10
種族 人族
職業 罠師
体力 1280/1280
魔力 1640/1840
攻撃力補正 2
防御力補正 13
スキル習得用SP 9
スキル習熟用SP 9
共通スキル
言語習得 鑑定 アイテムボックス(無制限)
固有スキル
落とし穴(1)
魔法
なし
称号
ダーツ得意、無礼者、罠好き、守護像の破壊者
賞金額
200,000シリカ
所持金
0シリカ
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発火の罠(消費魔力100)消費SP3
指定した地上に、触れると火柱を上げる罠を設置する。有効時間5分。
粘着の罠(消費魔力50)消費SP2
指定した接地面に、粘着剤を流布する。有効時間5分。
煙爆弾の罠(消費魔力100)消費SP3
指定した場所に、触れると大量の煙幕を作り出す罠を設置する。有効時間5分。
上昇の罠(消費魔力100)消費SP1
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