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農場の仕事も一段落し、日々の世話は雇い人に任せた所で俺の耳に嫌な言葉が飛び込んでくる。
――街の外の森に空を飛ぶ異形の化け物が出た。
慌てた様子で足をもつれさせながら通りに倒れ込む男。
腕からは出血しており、顔には火傷のような痕ができていた。
「おい、いったいどうしたんだ? 街の外ってどこだ? 現在がどういう状況か分かる範囲で教えてくれ!」
尋ねかけたが男からは反応はない。俺を見て驚き、声を失っているといった様子だ。
「エト、一度にたくさん、しかもそんな剣幕で尋ねてもあわててしまって答えられなくなってしまいますよ。
……何を見たのか教えていただいてもよろしいですか?」
エリーゼが優しげな声で男に尋ねかける。
こういうところは女の子には敵わないと痛感させられる。
アリゼッタもエリーゼが反応するのを見て様子を伺っているようであるし、流石は貴族の教育を受けているということなのだろう。
「女の子って凄いな」
「あら、今頃気付いたんですの? 私はエリーゼほど心優しくはないですけど」
「いや、そんなことはないよ。アリゼッタが本当の悪人じゃないってことは一緒にいるからわかっているさ」
「べ、別に悪人とは言ってませんわ!」
僅かに頬を染めるアリゼッタを可愛いなと思っていると、エリーゼの話が終わったのか状況を教えてくれる。
既に男は手当のために運ばれていっていて、心配する程の傷ではないようだ。
男を襲ったのは大きな翼をもちトカゲのような顔をしていて炎を吐く化け物。
俺の脳裏にドラゴンという言葉が過ったが、ドラゴンならもっと被害は大きいはずと考える。
街の南方で見かけたようで、現在は見回っていた兵士が対応しているようだが、この国は閉鎖的であるゆえに戦争などの実践の経験がほとんどない。
おそらくまずいことになっている、と思いつつ俺は二人と共に駆け出した。
魔法が使える俺たちが現状おそらく最高戦力のはずなのだ。
トレーニングと魔法技術の向上により驚くほど速い速度で走ることが出来る。
土属性硬化魔法で身体を補強し、風属性の力で軽やかに走っていく。
勿論人目があるので、ほどほどに抑えてはいるのだが。
街を出て青々と茂る草原をかけていると見えてくる惨状。
兵士三人のうち二人は顔を苦悶に歪め、ところどころ出血が見える。
確かに男の言った通りの魔物だが、俺の想像していたドラゴンではやはりなかった。
胴体も体も小さめのワイバーンと呼ばれる翼竜ではないかと思う。
兵士が盾を構えて槍を突き出す。しかし空を飛ぶワイバーンには当たっていない。
よく見れば俺が剣術や武器術の指導をしてもらっている騎士団長アウルの姿もあった。
翼竜の炎を盾でガードし怪我はしていないが、攻撃も届かず攻めあぐねている様子だ。
「アリゼ風を飛ばせ! リーゼはそれを狙って炎を飛ばせ!」
「分かりましたわ!」
「はい、狙います! アリゼ、掛け声をお願いします!」
「行きますわよ、2、1、0!」
二人は俺の作戦に異を唱えることなく瞬時に連携をとってみせた。
二人の手から僅かの時間差で、バスケットボール大のうねる風の玉と炎の玉が一直線にワイバーンへと向かう。
属性論。
風は炎を吹き上げ威力を増幅するという狙いは当たり、燃え上がる火球は風弾によりさらに炎を強めワイバーンの身体に直撃した。
ワイバーンは耳をつんざくような鳴き声を上げたが、その時には俺は風の力を使い上空へと飛び上がっていた。
腰に差していた練習用の剣を握ると、全力で力を込めワイバーンに向かって振り下ろす。
剣は頭から抜け胴体の半分まで切り込んだ、がそこで剣は折れてしまう。
とはいえ頭を両断しているので死んだのは確実。あとは俺が上手く着地できるかどうか。
なぜなら俺は15メートルほども飛び上がってしまっているのだから。
――街の外の森に空を飛ぶ異形の化け物が出た。
慌てた様子で足をもつれさせながら通りに倒れ込む男。
腕からは出血しており、顔には火傷のような痕ができていた。
「おい、いったいどうしたんだ? 街の外ってどこだ? 現在がどういう状況か分かる範囲で教えてくれ!」
尋ねかけたが男からは反応はない。俺を見て驚き、声を失っているといった様子だ。
「エト、一度にたくさん、しかもそんな剣幕で尋ねてもあわててしまって答えられなくなってしまいますよ。
……何を見たのか教えていただいてもよろしいですか?」
エリーゼが優しげな声で男に尋ねかける。
こういうところは女の子には敵わないと痛感させられる。
アリゼッタもエリーゼが反応するのを見て様子を伺っているようであるし、流石は貴族の教育を受けているということなのだろう。
「女の子って凄いな」
「あら、今頃気付いたんですの? 私はエリーゼほど心優しくはないですけど」
「いや、そんなことはないよ。アリゼッタが本当の悪人じゃないってことは一緒にいるからわかっているさ」
「べ、別に悪人とは言ってませんわ!」
僅かに頬を染めるアリゼッタを可愛いなと思っていると、エリーゼの話が終わったのか状況を教えてくれる。
既に男は手当のために運ばれていっていて、心配する程の傷ではないようだ。
男を襲ったのは大きな翼をもちトカゲのような顔をしていて炎を吐く化け物。
俺の脳裏にドラゴンという言葉が過ったが、ドラゴンならもっと被害は大きいはずと考える。
街の南方で見かけたようで、現在は見回っていた兵士が対応しているようだが、この国は閉鎖的であるゆえに戦争などの実践の経験がほとんどない。
おそらくまずいことになっている、と思いつつ俺は二人と共に駆け出した。
魔法が使える俺たちが現状おそらく最高戦力のはずなのだ。
トレーニングと魔法技術の向上により驚くほど速い速度で走ることが出来る。
土属性硬化魔法で身体を補強し、風属性の力で軽やかに走っていく。
勿論人目があるので、ほどほどに抑えてはいるのだが。
街を出て青々と茂る草原をかけていると見えてくる惨状。
兵士三人のうち二人は顔を苦悶に歪め、ところどころ出血が見える。
確かに男の言った通りの魔物だが、俺の想像していたドラゴンではやはりなかった。
胴体も体も小さめのワイバーンと呼ばれる翼竜ではないかと思う。
兵士が盾を構えて槍を突き出す。しかし空を飛ぶワイバーンには当たっていない。
よく見れば俺が剣術や武器術の指導をしてもらっている騎士団長アウルの姿もあった。
翼竜の炎を盾でガードし怪我はしていないが、攻撃も届かず攻めあぐねている様子だ。
「アリゼ風を飛ばせ! リーゼはそれを狙って炎を飛ばせ!」
「分かりましたわ!」
「はい、狙います! アリゼ、掛け声をお願いします!」
「行きますわよ、2、1、0!」
二人は俺の作戦に異を唱えることなく瞬時に連携をとってみせた。
二人の手から僅かの時間差で、バスケットボール大のうねる風の玉と炎の玉が一直線にワイバーンへと向かう。
属性論。
風は炎を吹き上げ威力を増幅するという狙いは当たり、燃え上がる火球は風弾によりさらに炎を強めワイバーンの身体に直撃した。
ワイバーンは耳をつんざくような鳴き声を上げたが、その時には俺は風の力を使い上空へと飛び上がっていた。
腰に差していた練習用の剣を握ると、全力で力を込めワイバーンに向かって振り下ろす。
剣は頭から抜け胴体の半分まで切り込んだ、がそこで剣は折れてしまう。
とはいえ頭を両断しているので死んだのは確実。あとは俺が上手く着地できるかどうか。
なぜなら俺は15メートルほども飛び上がってしまっているのだから。
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