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大体必要な知識を吸収した俺たちは、ついに魔法という未知の力に着手する。
勿論のことながら筋トレは続けている。
2人の全身は筋肉が表面に出過ぎない程度に引き締まり、身体の動きが変わり以前とは違う世界を感じることができる程らしい。
「凄いですわね。しかし、よくこんな変わったやり方を知ってましたわね。
休息することが逆に大事だなんて聞いたことがなかったですの」
アリゼッタは引き締まった足や腰を見ながら満足げな顔を浮かべた。
もう二人はドレスなどは着ておらず、少し綺麗に装飾された通常の服を着こんでいる。
「ああ。王家に伝わる秘伝の技術だ。だから誰にも言うなよ?」」
王家に伝わる技術ではなく、現代スポーツ科学の技術に感謝した。
転生前に筋トレを物凄く頑張っていたという訳ではないが、知識だけは知っていたしほどほどにはやっていた。
今は俺の手に二人の女の人生がかかっているから、その時とは比べ物にならないほど頑張れる。
「でだ、騎士団長に話をつけているので、そろそろ実戦用の技術も習得していく」
「じ、実戦用技術って……一体私たちに何をやらせるつもりなんですの?」
「何をやるにしても基礎は必要だ。だが二人のメインは魔法となると思っている。今日から魔法について試していくぞ!」
「あの、魔法ってのは結局なんなんですか? 本だけは読んで内容は覚えましたけど……」
俺はこの日のためにこっそり試しておいた魔法を披露することにした。
が、その前に魔力量のチェックだ。
清潔な水に指を入れて力を込めた時の発光の度合いで、魔力量が分かるというのが本に書かれていた魔力の判別法。
上下水道設備は整っているこの国だが、日本の水のように塩素消毒されているものではない。
一度沸かして殺菌消毒をしておいた水をガラス瓶に入れて持ってきている。
「この水の中に指を入れて力を込めてみるんだ。指先に体中から何かを集めるような感じだな。
もう知識では知ってるからやり方は分かっているだろ?」
「分かってますわ。分かってますけど本当に水が光ったりするのか半信半疑なのよ。エ、エリーゼから先に試してみては?」
「こういった場合は爵位が上の人間が進む道を示すというモノではないでしょうか」
「こういった時だけ爵位を持ち出すなんて……エリーゼも中々に性格が悪いわね……」
「いえいえ、そんなことはないですよ。アリゼッタが不安だというなら私が先に試してみましょうか?」
静かであるがバチバチと二人の視線が交わっているような気がする。
まだまだ仲が良いと言えるのか怪しいが、おそらく以前とは違いライバルのような意識になっているのかもしれない。
「私が不安になってるですって!? いいわ、先に試してみるわ! エリーゼよりも強く光らせてやるんだから」
ズボンと指を突っ込み目を瞑る。
しばらくして水は白く発光した。
「きゃぁぁぁ! ほんとに光ったわ! 本当にただの水が光りましたの! 見ましたか? 二人とも!」
「ちょ、ちょっとアリゼッタ、抜け駆けは禁止です! でも、本当に光りましたね……」
嬉しそうに喜び俺の腕をぎゅっと掴んでくる、のをエリーゼが引きはがしに来た。
少しばかり残念であるが、エリーゼの嫉妬心が垣間見れて少しうれしい。
そのままエリーゼも同じように行い、光は二人とも同じ程度の発光の度合いだった。
「ふん。私の方がより光ってましたわ!」
「私の光の方が綺麗でしたよ?」
「綺麗って同じ白い光じゃない!」
「白の光でもその澄んだ色に違いはある物なのです。ね、エトワイア」
そうは言っているが同じ色、同じ発光度合いだ。これが女の戦いというやつなのだろうか?
「二人とも仲良くしろよ。俺には同じようにしか見えなかったぞ? じゃ、俺が試してみるな」
俺の水の光り方は二人とはまるで違うモノであった。
勿論のことながら筋トレは続けている。
2人の全身は筋肉が表面に出過ぎない程度に引き締まり、身体の動きが変わり以前とは違う世界を感じることができる程らしい。
「凄いですわね。しかし、よくこんな変わったやり方を知ってましたわね。
休息することが逆に大事だなんて聞いたことがなかったですの」
アリゼッタは引き締まった足や腰を見ながら満足げな顔を浮かべた。
もう二人はドレスなどは着ておらず、少し綺麗に装飾された通常の服を着こんでいる。
「ああ。王家に伝わる秘伝の技術だ。だから誰にも言うなよ?」」
王家に伝わる技術ではなく、現代スポーツ科学の技術に感謝した。
転生前に筋トレを物凄く頑張っていたという訳ではないが、知識だけは知っていたしほどほどにはやっていた。
今は俺の手に二人の女の人生がかかっているから、その時とは比べ物にならないほど頑張れる。
「でだ、騎士団長に話をつけているので、そろそろ実戦用の技術も習得していく」
「じ、実戦用技術って……一体私たちに何をやらせるつもりなんですの?」
「何をやるにしても基礎は必要だ。だが二人のメインは魔法となると思っている。今日から魔法について試していくぞ!」
「あの、魔法ってのは結局なんなんですか? 本だけは読んで内容は覚えましたけど……」
俺はこの日のためにこっそり試しておいた魔法を披露することにした。
が、その前に魔力量のチェックだ。
清潔な水に指を入れて力を込めた時の発光の度合いで、魔力量が分かるというのが本に書かれていた魔力の判別法。
上下水道設備は整っているこの国だが、日本の水のように塩素消毒されているものではない。
一度沸かして殺菌消毒をしておいた水をガラス瓶に入れて持ってきている。
「この水の中に指を入れて力を込めてみるんだ。指先に体中から何かを集めるような感じだな。
もう知識では知ってるからやり方は分かっているだろ?」
「分かってますわ。分かってますけど本当に水が光ったりするのか半信半疑なのよ。エ、エリーゼから先に試してみては?」
「こういった場合は爵位が上の人間が進む道を示すというモノではないでしょうか」
「こういった時だけ爵位を持ち出すなんて……エリーゼも中々に性格が悪いわね……」
「いえいえ、そんなことはないですよ。アリゼッタが不安だというなら私が先に試してみましょうか?」
静かであるがバチバチと二人の視線が交わっているような気がする。
まだまだ仲が良いと言えるのか怪しいが、おそらく以前とは違いライバルのような意識になっているのかもしれない。
「私が不安になってるですって!? いいわ、先に試してみるわ! エリーゼよりも強く光らせてやるんだから」
ズボンと指を突っ込み目を瞑る。
しばらくして水は白く発光した。
「きゃぁぁぁ! ほんとに光ったわ! 本当にただの水が光りましたの! 見ましたか? 二人とも!」
「ちょ、ちょっとアリゼッタ、抜け駆けは禁止です! でも、本当に光りましたね……」
嬉しそうに喜び俺の腕をぎゅっと掴んでくる、のをエリーゼが引きはがしに来た。
少しばかり残念であるが、エリーゼの嫉妬心が垣間見れて少しうれしい。
そのままエリーゼも同じように行い、光は二人とも同じ程度の発光の度合いだった。
「ふん。私の方がより光ってましたわ!」
「私の光の方が綺麗でしたよ?」
「綺麗って同じ白い光じゃない!」
「白の光でもその澄んだ色に違いはある物なのです。ね、エトワイア」
そうは言っているが同じ色、同じ発光度合いだ。これが女の戦いというやつなのだろうか?
「二人とも仲良くしろよ。俺には同じようにしか見えなかったぞ? じゃ、俺が試してみるな」
俺の水の光り方は二人とはまるで違うモノであった。
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