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「ちゃんとやるから、絶対成功させるから、私を捨てないで!」
廃れた街の今は使われてないホテルの部屋にまだ幼い少女の声が聞こえた。
その声の向かう先は黒ずくめの男。手には銀製のナイフが1本握られていた。
それを、少女の前に突き立てる。
ささくれた木の板の地面に座っていた少女はそのナイフを手に取り部屋を出た。
汚れたボロ布のワンピースひ裸足、手には銀製のナイフ。一見怪しく見える格好でも、この街だとなんの違和感もない。毎日のように殺人が起き毎日人がどこかで死ぬ。
そんな街で少女といえ女の子が身を守る手段は武器しかない。
──ハァハァハァ…………
1軒の小さな家に着いたら、少女はナイフを隠し裏口へと回った。
生い茂った草木の隙間を通り静かに潜む。
裏口をゆっくりと開け、室内へ入った瞬間、頭の横に冷たい感覚があった。銃だ。
「こっちを見るな。そのまま正面を向いたまま質問に答えろ。何しに来たの?」
「た、食べ物が欲しくて」
「あいにく食い物はやれない。武器は持ってるか?」
「持ってるように見えますか?」
「それもそうだな、いきなり銃を突きつけて悪かった。食い物はダメだが水ぐらいならやれるぞ?」
銃を引いた。
振り返り、男に抱きつく。
「おいおい、そんなに嬉しいのかよ──っ!?」
ハグ?
こんな男にする訳ない。穢らわしい、汚らしい、身も心も全てあの人のためにある。
抱きつくと見せかけ男にナイフを突き刺した。狙うは肝臓。1突きで確実に狙う。突き刺し半回転捻じる、そして更に押し込む。
瞬間、男は私を殴った。私の体は軽々と飛び、背後の壁にぶつかり落ちた。
「小娘が!優しくしたらつけ上がりやがって」
「1つ、教えてあげます。そのナイフ抜いた方がいいですよ?毒ついてますから」
男は慌ててナイフを抜いた。
毒なんてついてない、抜いた瞬間、男の着ていた白の肌着は一瞬で赤く染め上がった。
男が倒れていく。
正直自信がなかった。今まで正確に刺せたことが1度もなかったから。
大量の水が吹き出すように赤いワイン色の液が吹き出す。
手が震える。足が震える。
激しく頭を振られたように目眩がする。
殴られたからじゃない。
殺してしまったから。
私は現金と銃を抱え あの方の元に戻った。
あの方は椅子に座り足を組み私を待っていた。
「その様子だと、やったようだな」
「…………はい」
男の声がいつもより重く暗く聞こえた。
私は無言でお金と銃を渡し、部屋のドアの前に立った。
「脱げ」
「……はい」
私は服を脱ぎ立つ。
あの方は銃を構え引き金を引く。耳をかすり血が出るその場にしゃがみ耳を抑え必死に痛みを堪える。
涙がでた。
あの方を見るとこちらを見ていた。
「明日、街を出る。着いてこい」
「…………はい」
「ノエルだ。今日からお前はノエルだ。いいな?」
今までにないくらいに嬉しかった。
初めてのプレゼント。
あの方は、私ごときに名前をくれたのだ。
廃れた街の今は使われてないホテルの部屋にまだ幼い少女の声が聞こえた。
その声の向かう先は黒ずくめの男。手には銀製のナイフが1本握られていた。
それを、少女の前に突き立てる。
ささくれた木の板の地面に座っていた少女はそのナイフを手に取り部屋を出た。
汚れたボロ布のワンピースひ裸足、手には銀製のナイフ。一見怪しく見える格好でも、この街だとなんの違和感もない。毎日のように殺人が起き毎日人がどこかで死ぬ。
そんな街で少女といえ女の子が身を守る手段は武器しかない。
──ハァハァハァ…………
1軒の小さな家に着いたら、少女はナイフを隠し裏口へと回った。
生い茂った草木の隙間を通り静かに潜む。
裏口をゆっくりと開け、室内へ入った瞬間、頭の横に冷たい感覚があった。銃だ。
「こっちを見るな。そのまま正面を向いたまま質問に答えろ。何しに来たの?」
「た、食べ物が欲しくて」
「あいにく食い物はやれない。武器は持ってるか?」
「持ってるように見えますか?」
「それもそうだな、いきなり銃を突きつけて悪かった。食い物はダメだが水ぐらいならやれるぞ?」
銃を引いた。
振り返り、男に抱きつく。
「おいおい、そんなに嬉しいのかよ──っ!?」
ハグ?
こんな男にする訳ない。穢らわしい、汚らしい、身も心も全てあの人のためにある。
抱きつくと見せかけ男にナイフを突き刺した。狙うは肝臓。1突きで確実に狙う。突き刺し半回転捻じる、そして更に押し込む。
瞬間、男は私を殴った。私の体は軽々と飛び、背後の壁にぶつかり落ちた。
「小娘が!優しくしたらつけ上がりやがって」
「1つ、教えてあげます。そのナイフ抜いた方がいいですよ?毒ついてますから」
男は慌ててナイフを抜いた。
毒なんてついてない、抜いた瞬間、男の着ていた白の肌着は一瞬で赤く染め上がった。
男が倒れていく。
正直自信がなかった。今まで正確に刺せたことが1度もなかったから。
大量の水が吹き出すように赤いワイン色の液が吹き出す。
手が震える。足が震える。
激しく頭を振られたように目眩がする。
殴られたからじゃない。
殺してしまったから。
私は現金と銃を抱え あの方の元に戻った。
あの方は椅子に座り足を組み私を待っていた。
「その様子だと、やったようだな」
「…………はい」
男の声がいつもより重く暗く聞こえた。
私は無言でお金と銃を渡し、部屋のドアの前に立った。
「脱げ」
「……はい」
私は服を脱ぎ立つ。
あの方は銃を構え引き金を引く。耳をかすり血が出るその場にしゃがみ耳を抑え必死に痛みを堪える。
涙がでた。
あの方を見るとこちらを見ていた。
「明日、街を出る。着いてこい」
「…………はい」
「ノエルだ。今日からお前はノエルだ。いいな?」
今までにないくらいに嬉しかった。
初めてのプレゼント。
あの方は、私ごときに名前をくれたのだ。
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