121 / 137
終章 決戦
終章-10:マイコの入社と、決起会の開宴
しおりを挟む
「どうして感謝してるんだ、命彦!」
「せや! 弱みに付け込まれて6000万もかすめ取られたんやで!」
親達が会議室を出た後、空太と勇子が不満そうに命彦へ詰め寄る。
舞子も、多少の疑念を顔に出していた。その3人へ、梢が言う。
「空乃さんや拳人さんはね、命彦が仇討ちに失敗する場合のことも考えて、〈転移結晶〉を寄付させたのよ」
「「はあ?」」
「ど、どういうことですか?」
疑問符を浮かべる3人。ミツバが苦笑して、舞子の質問に答えた。
「現時点での、三葉市の軍や警察の戦力は、ほぼ全てが迷宮の防衛線に配備されています。眷霊種魔獣が現れる場所、時刻も不明である以上、軍や警察の戦力はこの防衛線から簡単には動かせません。防衛線が突破されれば、他の魔獣達が三葉市に進攻して来る。つまり、ここも決しておろそかにはできません」
「今分かっているのは、命彦やメイアが狙われていること。その可能性が極めて高いということだけよ? 2人の前には遠からず眷霊種魔獣が現れるでしょうけど、相手がどういう時に現れるのかは、眷霊種魔獣の気分次第ってわけ」
「戦力不足の現状では、いつどこに現れるかも不明の魔獣のために、軍や警察の戦力を遊ばせておくことはできません。よって、命彦さん達の傍に、軍や警察の戦力をずっと置いておく余力がありません。眷霊種魔獣対策だけを考えれば、命彦さんとメイアさんを防衛線に連れて行くのが一番ですが、そうすると、恐らく都市魔法士管理局や国家魔法士委員会がゴネるでしょう」
「命彦はともかく、メイアは一応【神の使徒】候補として、管理局や委員会にも知られているからね? 都市に万が一のことがある場合を想定して、できれば都市の近くへいてもらいたい、都市を守ってもらいたい、という思惑があるのよ。そのせいで、メイアを防衛線に連れて行くのは難しいわけ。眷霊種魔獣に、メイアが狙われていることは百も承知だけれど、それでも、気まぐれで眷霊種魔獣が三葉市に魔法攻撃を加えた時、メイアが都市の近くにいる時の方が、犠牲が減らせると、管理局も委員会も試算してるんでしょう」
「実際、空乃さんや拳人さんも、メイアさん達が狙われていると知ったにもかかわらず、軍や警察の防衛線に来いとは言いませんでした。メイアさんは三葉市に置くべきだ、という上の意思が働いていると思われます」
梢とミツバの発言を聞き、勇子が会議室の机を叩いて言う。
「か、勝手過ぎるわっ! メイアを盾にしとるだけやんけ!」
「そうよ? そもそも魔法士という人種自体が、魔獣に対する人類の盾であり矛でもあるわ。メイアはその魔法士である上に、最高の魔法系統と謳われる神霊魔法が使える。つまりは人類にとって最高の盾であり、矛でもあるわけよ。【神の使徒】は誰もがそう見られている、忘れたの勇子?」
「うぐっ!」
梢の言葉に絶句する勇子の肩をポンと叩き、苦笑するメイアが首を横に振った。
自分は全て承知している、そうメイアの目が告げていた。
ミツバが痛ましそうに2人を見詰め、口を開く。
「眷霊種魔獣が出現した場合、軍や警察は防衛線の一部戦力を、眷霊種魔獣の出現場所に空間転移させることで、対処しようとするでしょう。だからこその〈転移結晶〉です」
「〈転移結晶〉が30個もあれば、軍も警察も相当数の魔法士を一気に都市へ戻せるわ。勿論その分防衛線の戦力が落ちるから、危険と言えば危険だけれど、現状の対応策ではこれが最善よ。命彦とメイアの前に眷霊種魔獣が現れ、交戦し、苦戦している場合でも、すぐに軍や警察の魔法士が助勢できるわ。あんた達の親はね、とても情に厚い人達よ。命彦の心情に配慮しつつ、自分達だけで戦う時間をわざわざ与え、その上で、できる限り命彦達を守れるように、きちんと手立てを考えていた。自分達の職分が許す限りの手立てをね?」
梢の言葉を聞き、勇子と空太が後悔の表情を浮かべた。
その2人へ、命彦は苦笑して言う。
「お前らの親は、俺の心まで守ろうとしてくれたんだ。ああいう人が、本物の軍人であり、警察官だと俺は思う」
「そうですね、ちゃんと考えた上での条件だったとは、お2人のことを誤解していました。素晴らしい親御さんですね?」
「……後で謝っとくよ」
「うちもや」
はずかしそうに顔を赤らめる空太と勇子を見て、命彦が笑った。
その後、メイア達と一緒に会議室を出た命彦の脳裏に、突然ミサヤの意志探査魔法《思念の声》が響く。
『マヒコ、今よろしいですか? 〈秘密の工房〉の件ですが』
『ああ、構わん。どうだった?』
命彦も《思念の声》で応答すると、ミサヤの喜びの念が伝わった。
『行けそうです。ユイトの書斎を漁っていたら思ったとおり、門を半開きにする方法を記した書物がありました。今、マイトが確かめています。ただ本来の機能とは言い難いため、安定には少し手を加える必要があり、時間がかかると言っていますが……』
『よくやった! さすがは俺の見初めた2人だ。これで揃いそうだ、俺の切り札が』
命彦がニヤリとドス黒く笑う。
周囲にいたメイア達が、それを見て引いていたが気にせず、命彦は思念を飛ばした。
『宴会までもう少し時間がある。挨拶を上で考えるつもりだから、その時に詳しく聞くよ』
『分かりました。お待ちしています』
ミサヤの思念が切れて、命彦が言った。
「俺は一度別荘階に戻る。時間通りに宴会が始められそうだったら、ポマコンで呼んでくれ」
「分かったわ。……その顔、良いことでもあった?」
「ああ。眷霊種魔獣に一泡吹かせられそうだ。目途が立ったらお前らにも教える。楽しみに待ってろ」
そう言うと、命彦は急いで店舗棟6階を目指し、走り出した。
その場に取り残されたメイア達に、梢が言う。
「そう言えば、勇子に聞いたけど、快気祝いを取りやめて決起会にしたのよね?」
「ええ。店の皆も巻き込んで、対眷霊種魔獣用の切り札を作るみたいですよ?」
「ふふふ、そうでしたか。あの様子を見ると、すでにモノができてそうですね。頼もしい限りです」
ミツバがギラつく命彦を見送って、淡く笑った。
6階の別荘へと戻る命彦を見送った後、舞子は、家族を地下農場に連れて行くために一旦旅館に戻ったメイア達と別れ、梢やミツバと一緒に店舗棟1階で買い物をしていた。
有事だからと、消費型魔法具の〈魔傷薬〉を店員から多量に寄付される梢の横で、緋色の外套、防具型魔法具の〈火炎の外套〉を手に取り、一括払いで購入して、着用した舞子。
その舞子を見て、梢が感心するように言う。
「200万もする魔法具を一括買いかー……ここ数日で、舞子ってば随分儲けたわよね?」
「そうですね、命彦さん達にただくっ付いてただけですけど」
「意外と役に立ったとも聞いていますよ?」
ミツバの言葉に、舞子が苦笑を返す。
「全然です。はずかしいくらい足手まといでしたからね? 今だったら、ほんの少しはお役に立てると思うんですけど。まあでも、まだまだですよ」
「ふーん。以前より地に足が付いたって感じがするわね?」
「いいことですよ、姉さん。そう言えば、舞子さんのご両親もここに避難されているのではありませんか?」
ミツバの問いかけに、きょとんとして舞子が答える。
「え、ええ。3階の社宅村にある旅館にいますよ?」
「そう。宴会には参加するの、親御さん?」
「まさか。招待もされていませんし……それに、私が参加するのだって、実はおこがましいと思ってるんですよ、これでも」
「あら? 【魔狼】小隊の一員だったら、小隊長の主催だし、出席するのが礼儀でしょ? 親御さんがいるんだったら、一緒に出席すればいいのに」
「いやあの、梢さん、分かってます? ウチの親は、私が迷宮へ行くことに反対してる人達ですよ? 命彦さんに会わせるのだって、色々と迷ってるのに……」
「あんたが娘の依頼を受けたから、娘が迷宮に行ってしまったんだーって、親御さん達が命彦を責めると思ってるの? 私達が以前舞子を自宅に運んだ時に話した限りでは、少し感性がズレてるけど、どこにでもいる普通の親って感じだったわよ?」
「そうですね、常識人という印象を受けました。舞子さんが迷宮に潜っているのも、舞子さん自身の意志だと分かっていらっしゃいますし、舞子さんが常人とは違う思考、少々ぶっ飛んだ頑固さをお持ちであることも、分かっておられます。親御さんは命彦さんを責めるより、恐らく必死に頼むと思いますが?」
「娘をよろしく頼みます、生きて返してくださいって? あははは、確かにそっちの方がありえそうね?」
「笑い事じゃありませんよ、もう! でも実際、私は【魔狼】小隊の新人というだけで、【精霊本舗】ともこれといって関係がありませんし、親だってまだ命彦さんと会っていません。勇子さんや空太さんは昔からここに出入りしてて、よく魔法具を購入してるお得意様ですし、メイアさんは雇用形態はどうあれ、社員としてここで働いておられます。ご家族も命彦さんと顔見知りですから、宴会に参加してもいいでしょうが、ウチの親は……」
「ふむ。店との関係性が薄いから、親を連れて来ることに気後れしてるわけね? まあその気持ちは理解できるわ。でもね、宴会はどういう趣旨であっても、みんなでわいわいするのが楽しいのよ? 欝々とした空気の時は特にそう。両親を出席させるのに理由が必要だって言うんだったら、私が作ってあげるわ」
「はい? あの、理由を作るって?」
まじまじと梢を見返す舞子。梢がミツバを一瞥すると、ミツバがジーっと舞子を見て言う。
「胸もありますし、顔も美形。声も良く、性格も明るめ。広報にピッタリですね。【精霊本舗】の営業部、それも広報課で、魔法具の通信販売をさせると受けるかと。歌って踊れますから、宣伝役に最適です」
「早速ソルティアに連絡よ」
ポカンとしてる舞子の前でポマコンを操作し、平面映像を投影して、エルフ女性と話す梢とミツバ。
数分後、平面映像が切れると、梢とミツバが笑みを浮かべて言った。
「良かったわね? ソルティアも実は狙ってたらしいわよ、舞子のこと。親御さん、影響力あるものねえ。広告のために、是非とも利用したいって黒い笑顔で言ってたわ。3階の旅館まで契約書類持って、迎えに来てくれるって? ご両親へも説明するそうよ。こういうのをコネ入社って言うのよね?」
「研修生として即採用するそうです。仮ですが、一先ず従業員の立場を手に入れましたよ? これで、親御さんを連れて宴会に行けますね。【精霊本舗】は従業員の家族であれば、店の行事参加が可能ですので」
「え、ええぇーっ!」
「さあ、親御さんと一緒に地下農場へ行きましょうか」
「楽しむべき時はとことん楽しむべきです。死んだ時にホントに後悔しますからね」
驚く舞子の手を引いて、梢とミツバが歩き出す。
実は命彦が勇子達の親に会う前、舞子の両親が世間に相当の影響力を持つ作曲家と知り、店のためにその力を取り込みたいと画策していた計算高いエルフ女性の営業部長が、消費型魔法具の依頼所への多量寄付と引き換えに、梢とミツバに舞子の取り込みを依頼していたのである。
梢達の無理矢理過ぎる一連の行動も、全てそのための演技であった。
かくて舞子は、梢とミツバ、エルフの女性部長によって【精霊本舗】へ雇用され、両親と共に宴会に参加する理由を手にしたのである。
午後6時、当初の予定時間通りに1階店舗は閉店し、決起会という趣旨の宴会は始まった。
ポマコンで呼び出された命彦と命絃は、魅絃が用意してくれていた揃いの背広姿で、地下農場の特設舞台に登る。
開宴の際の、従業員達への挨拶は考えていたが、憶えるのは時間的に無理だったので、命彦の言葉が止まったら、肩に乗るミサヤに《思念の声》でこっそり教えてもらい、切り抜ける手筈だった。
特設舞台には、命彦達や梢達の宴席の他、部長職に就く者達の宴席もある。
しかし、エルフ女性の横、ドワーフ翁と禿頭の老人、白衣白髪の鬼人女性の席は、それぞれ空席であった。
禿頭の老人と鬼人女性の老夫婦は、今も命彦の祖母と交渉しており、ドワーフ翁も《戦神》用の魔法具の製作工程表を作り、作業の分担計画を練っていた。
宴会に参加するのが少し遅れる可能性があると、3人から命彦に連絡があったのである。
子犬姿のミサヤが、スッと首を伸ばした。命彦も壇上から宴会場を見回す。
従業員とその家族、友人知人達を合わせて、300人以上が宴席に座っていた。
ズラーっと長い机の上に、ホカホカと湯気立つ料理が載っていて、宴会に出席した子ども達が料理を食べたそうに見ている。
人数に圧倒されて速かった心臓の鼓動が、子ども達のおかげで若干緩み、命彦は苦笑して口を開いた。
「あー……腹が減ってる子達もいるようだから、挨拶は手短にしたいんだが、まず皆、心配かけてごめん。俺も母さんも眷霊種魔獣に殺されかけたが、見てのとおりどうにか無事だ。トト婆の診断じゃ、母さんも明日には目を覚ます」
命彦の言葉を聞き、ホッと頬を緩める従業員達の様子が見えた。命彦が言葉を続ける。
「ただ、皆も知るとおり、今の三葉市は危機に陥ってる。【逢魔が時】が発生してるのに、頼みの【神の使徒】、梓さんが関東に行ってて留守だし、軍や警察の魔法士も、戦力が平時の半分以下と報道されてる。おまけに眷霊種魔獣に【迷宮外壁】をぶち抜かれて、街の盾が失われてる状態だ」
従業員達が一斉に不安そうにする。命彦の言葉も止まった。
どうやら、従業員達の表情に目を引かれ、考えていた言葉を一瞬忘れたらしい。
目を閉じて、言葉を整理してる風を装い、ミサヤの助けを待つ。
検知しにくいほどの魔力が微かに走り、思念が届いた。
『マヒコ、私の言うとおりに』
『ああ、すまんミサヤ。どこまで言ったか、飛んじまった』
手筈通りに行こうと目を開けた命彦の視界に、自分をじっと見る従業員達が映り、命彦はふと考えを改めた。
『……ミサヤ、補助はいいや。自分の言葉で話してみるよ』
思い付いたままに話そう。そう思い、静かに感情を込めて、命彦が口を開く。
「俺は……俺は、この街を守りたい。店を守り、家族を守りたい。その上で、母さんを傷付けた魔獣を八つ裂きにしたいと思ってる。仇を討ちたいんだ、俺の手で。でも、俺1人じゃ勝てねえ。つい数時間前に、負けたばっかだ」
命彦が宴席の一人一人を見回して言う。
「ずっと考えてたんだ。俺1人でダメだったら、ミサヤの手を借りて、姉さんの手を借りて、メイアの手を借りてって、眷霊種魔獣に勝てる方法を考えてた。でも足りねえ。家族や戦友の力を借りても、まだ届かねえ気がした。また負ける気がした。だから、店の力を、皆の力を……俺に貸して欲しい。頼む」
料理に目が行っていた子ども達が、いつの間にか命彦の方をじっと見ていた。
頭を下げた命彦。沈黙が宴会場に降りる。
顔を上げた命彦が、失敗したかと思った時である。宴会場に声が響いた。
「ワシが力を貸しますぞい?」
「ワシも貸すぞ、若様!」
「あたしらはもう力を貸してるだろうに、まったく……若様、力は貸したよ? 交渉成功だ」
「ドム爺とタロ爺に、トト婆! いいところへ来てくれた」
命彦が笑顔を浮かべる。ドワーフ翁と禿頭の老人、白衣白髪の鬼人女性が舞台上に上がる。
「若様が力を貸してくれと、頼んどる」
「ゆえに、ワシらは力を貸すことにした」
「あたしらの力で、若様を眷霊種魔獣に勝たせるんだ。面白いだろ、皆?」
そう言って、3人は自分達の宴席に座った。
宴会場の空気が、にわかに活気づき始める。子ども達が言った。
「ウチもワカサマにちからかすぅ!」
「ワウも!」
「「ぼくも!」」
口々に言う子ども達に続き、従業員達も声を上げた。
「私も手を貸します、若様!」
「俺もだ!」
「あたいもだよ!」
従業員達の言葉に感謝し、命彦が言う。
「ありがとう。感謝するぞ皆! 宴会後にドム爺の主導で、魔法具の制作が待ってる。突貫作業で徹夜の地獄だが、その魔法具を装備して、俺は眷霊種魔獣をぶちのめすつもりだ。いつ魔獣が現れるか分かんねえから、作業を急ぐ必要があるが、その前に、皆には英気を養ってもらいたい。たらふく食ってくれ! それじゃあ、乾杯だ!」
命彦が宴席から飲み物を取り、天に掲げる。
参加者も飲み物を掲げ、決起会が開宴した。
「せや! 弱みに付け込まれて6000万もかすめ取られたんやで!」
親達が会議室を出た後、空太と勇子が不満そうに命彦へ詰め寄る。
舞子も、多少の疑念を顔に出していた。その3人へ、梢が言う。
「空乃さんや拳人さんはね、命彦が仇討ちに失敗する場合のことも考えて、〈転移結晶〉を寄付させたのよ」
「「はあ?」」
「ど、どういうことですか?」
疑問符を浮かべる3人。ミツバが苦笑して、舞子の質問に答えた。
「現時点での、三葉市の軍や警察の戦力は、ほぼ全てが迷宮の防衛線に配備されています。眷霊種魔獣が現れる場所、時刻も不明である以上、軍や警察の戦力はこの防衛線から簡単には動かせません。防衛線が突破されれば、他の魔獣達が三葉市に進攻して来る。つまり、ここも決しておろそかにはできません」
「今分かっているのは、命彦やメイアが狙われていること。その可能性が極めて高いということだけよ? 2人の前には遠からず眷霊種魔獣が現れるでしょうけど、相手がどういう時に現れるのかは、眷霊種魔獣の気分次第ってわけ」
「戦力不足の現状では、いつどこに現れるかも不明の魔獣のために、軍や警察の戦力を遊ばせておくことはできません。よって、命彦さん達の傍に、軍や警察の戦力をずっと置いておく余力がありません。眷霊種魔獣対策だけを考えれば、命彦さんとメイアさんを防衛線に連れて行くのが一番ですが、そうすると、恐らく都市魔法士管理局や国家魔法士委員会がゴネるでしょう」
「命彦はともかく、メイアは一応【神の使徒】候補として、管理局や委員会にも知られているからね? 都市に万が一のことがある場合を想定して、できれば都市の近くへいてもらいたい、都市を守ってもらいたい、という思惑があるのよ。そのせいで、メイアを防衛線に連れて行くのは難しいわけ。眷霊種魔獣に、メイアが狙われていることは百も承知だけれど、それでも、気まぐれで眷霊種魔獣が三葉市に魔法攻撃を加えた時、メイアが都市の近くにいる時の方が、犠牲が減らせると、管理局も委員会も試算してるんでしょう」
「実際、空乃さんや拳人さんも、メイアさん達が狙われていると知ったにもかかわらず、軍や警察の防衛線に来いとは言いませんでした。メイアさんは三葉市に置くべきだ、という上の意思が働いていると思われます」
梢とミツバの発言を聞き、勇子が会議室の机を叩いて言う。
「か、勝手過ぎるわっ! メイアを盾にしとるだけやんけ!」
「そうよ? そもそも魔法士という人種自体が、魔獣に対する人類の盾であり矛でもあるわ。メイアはその魔法士である上に、最高の魔法系統と謳われる神霊魔法が使える。つまりは人類にとって最高の盾であり、矛でもあるわけよ。【神の使徒】は誰もがそう見られている、忘れたの勇子?」
「うぐっ!」
梢の言葉に絶句する勇子の肩をポンと叩き、苦笑するメイアが首を横に振った。
自分は全て承知している、そうメイアの目が告げていた。
ミツバが痛ましそうに2人を見詰め、口を開く。
「眷霊種魔獣が出現した場合、軍や警察は防衛線の一部戦力を、眷霊種魔獣の出現場所に空間転移させることで、対処しようとするでしょう。だからこその〈転移結晶〉です」
「〈転移結晶〉が30個もあれば、軍も警察も相当数の魔法士を一気に都市へ戻せるわ。勿論その分防衛線の戦力が落ちるから、危険と言えば危険だけれど、現状の対応策ではこれが最善よ。命彦とメイアの前に眷霊種魔獣が現れ、交戦し、苦戦している場合でも、すぐに軍や警察の魔法士が助勢できるわ。あんた達の親はね、とても情に厚い人達よ。命彦の心情に配慮しつつ、自分達だけで戦う時間をわざわざ与え、その上で、できる限り命彦達を守れるように、きちんと手立てを考えていた。自分達の職分が許す限りの手立てをね?」
梢の言葉を聞き、勇子と空太が後悔の表情を浮かべた。
その2人へ、命彦は苦笑して言う。
「お前らの親は、俺の心まで守ろうとしてくれたんだ。ああいう人が、本物の軍人であり、警察官だと俺は思う」
「そうですね、ちゃんと考えた上での条件だったとは、お2人のことを誤解していました。素晴らしい親御さんですね?」
「……後で謝っとくよ」
「うちもや」
はずかしそうに顔を赤らめる空太と勇子を見て、命彦が笑った。
その後、メイア達と一緒に会議室を出た命彦の脳裏に、突然ミサヤの意志探査魔法《思念の声》が響く。
『マヒコ、今よろしいですか? 〈秘密の工房〉の件ですが』
『ああ、構わん。どうだった?』
命彦も《思念の声》で応答すると、ミサヤの喜びの念が伝わった。
『行けそうです。ユイトの書斎を漁っていたら思ったとおり、門を半開きにする方法を記した書物がありました。今、マイトが確かめています。ただ本来の機能とは言い難いため、安定には少し手を加える必要があり、時間がかかると言っていますが……』
『よくやった! さすがは俺の見初めた2人だ。これで揃いそうだ、俺の切り札が』
命彦がニヤリとドス黒く笑う。
周囲にいたメイア達が、それを見て引いていたが気にせず、命彦は思念を飛ばした。
『宴会までもう少し時間がある。挨拶を上で考えるつもりだから、その時に詳しく聞くよ』
『分かりました。お待ちしています』
ミサヤの思念が切れて、命彦が言った。
「俺は一度別荘階に戻る。時間通りに宴会が始められそうだったら、ポマコンで呼んでくれ」
「分かったわ。……その顔、良いことでもあった?」
「ああ。眷霊種魔獣に一泡吹かせられそうだ。目途が立ったらお前らにも教える。楽しみに待ってろ」
そう言うと、命彦は急いで店舗棟6階を目指し、走り出した。
その場に取り残されたメイア達に、梢が言う。
「そう言えば、勇子に聞いたけど、快気祝いを取りやめて決起会にしたのよね?」
「ええ。店の皆も巻き込んで、対眷霊種魔獣用の切り札を作るみたいですよ?」
「ふふふ、そうでしたか。あの様子を見ると、すでにモノができてそうですね。頼もしい限りです」
ミツバがギラつく命彦を見送って、淡く笑った。
6階の別荘へと戻る命彦を見送った後、舞子は、家族を地下農場に連れて行くために一旦旅館に戻ったメイア達と別れ、梢やミツバと一緒に店舗棟1階で買い物をしていた。
有事だからと、消費型魔法具の〈魔傷薬〉を店員から多量に寄付される梢の横で、緋色の外套、防具型魔法具の〈火炎の外套〉を手に取り、一括払いで購入して、着用した舞子。
その舞子を見て、梢が感心するように言う。
「200万もする魔法具を一括買いかー……ここ数日で、舞子ってば随分儲けたわよね?」
「そうですね、命彦さん達にただくっ付いてただけですけど」
「意外と役に立ったとも聞いていますよ?」
ミツバの言葉に、舞子が苦笑を返す。
「全然です。はずかしいくらい足手まといでしたからね? 今だったら、ほんの少しはお役に立てると思うんですけど。まあでも、まだまだですよ」
「ふーん。以前より地に足が付いたって感じがするわね?」
「いいことですよ、姉さん。そう言えば、舞子さんのご両親もここに避難されているのではありませんか?」
ミツバの問いかけに、きょとんとして舞子が答える。
「え、ええ。3階の社宅村にある旅館にいますよ?」
「そう。宴会には参加するの、親御さん?」
「まさか。招待もされていませんし……それに、私が参加するのだって、実はおこがましいと思ってるんですよ、これでも」
「あら? 【魔狼】小隊の一員だったら、小隊長の主催だし、出席するのが礼儀でしょ? 親御さんがいるんだったら、一緒に出席すればいいのに」
「いやあの、梢さん、分かってます? ウチの親は、私が迷宮へ行くことに反対してる人達ですよ? 命彦さんに会わせるのだって、色々と迷ってるのに……」
「あんたが娘の依頼を受けたから、娘が迷宮に行ってしまったんだーって、親御さん達が命彦を責めると思ってるの? 私達が以前舞子を自宅に運んだ時に話した限りでは、少し感性がズレてるけど、どこにでもいる普通の親って感じだったわよ?」
「そうですね、常識人という印象を受けました。舞子さんが迷宮に潜っているのも、舞子さん自身の意志だと分かっていらっしゃいますし、舞子さんが常人とは違う思考、少々ぶっ飛んだ頑固さをお持ちであることも、分かっておられます。親御さんは命彦さんを責めるより、恐らく必死に頼むと思いますが?」
「娘をよろしく頼みます、生きて返してくださいって? あははは、確かにそっちの方がありえそうね?」
「笑い事じゃありませんよ、もう! でも実際、私は【魔狼】小隊の新人というだけで、【精霊本舗】ともこれといって関係がありませんし、親だってまだ命彦さんと会っていません。勇子さんや空太さんは昔からここに出入りしてて、よく魔法具を購入してるお得意様ですし、メイアさんは雇用形態はどうあれ、社員としてここで働いておられます。ご家族も命彦さんと顔見知りですから、宴会に参加してもいいでしょうが、ウチの親は……」
「ふむ。店との関係性が薄いから、親を連れて来ることに気後れしてるわけね? まあその気持ちは理解できるわ。でもね、宴会はどういう趣旨であっても、みんなでわいわいするのが楽しいのよ? 欝々とした空気の時は特にそう。両親を出席させるのに理由が必要だって言うんだったら、私が作ってあげるわ」
「はい? あの、理由を作るって?」
まじまじと梢を見返す舞子。梢がミツバを一瞥すると、ミツバがジーっと舞子を見て言う。
「胸もありますし、顔も美形。声も良く、性格も明るめ。広報にピッタリですね。【精霊本舗】の営業部、それも広報課で、魔法具の通信販売をさせると受けるかと。歌って踊れますから、宣伝役に最適です」
「早速ソルティアに連絡よ」
ポカンとしてる舞子の前でポマコンを操作し、平面映像を投影して、エルフ女性と話す梢とミツバ。
数分後、平面映像が切れると、梢とミツバが笑みを浮かべて言った。
「良かったわね? ソルティアも実は狙ってたらしいわよ、舞子のこと。親御さん、影響力あるものねえ。広告のために、是非とも利用したいって黒い笑顔で言ってたわ。3階の旅館まで契約書類持って、迎えに来てくれるって? ご両親へも説明するそうよ。こういうのをコネ入社って言うのよね?」
「研修生として即採用するそうです。仮ですが、一先ず従業員の立場を手に入れましたよ? これで、親御さんを連れて宴会に行けますね。【精霊本舗】は従業員の家族であれば、店の行事参加が可能ですので」
「え、ええぇーっ!」
「さあ、親御さんと一緒に地下農場へ行きましょうか」
「楽しむべき時はとことん楽しむべきです。死んだ時にホントに後悔しますからね」
驚く舞子の手を引いて、梢とミツバが歩き出す。
実は命彦が勇子達の親に会う前、舞子の両親が世間に相当の影響力を持つ作曲家と知り、店のためにその力を取り込みたいと画策していた計算高いエルフ女性の営業部長が、消費型魔法具の依頼所への多量寄付と引き換えに、梢とミツバに舞子の取り込みを依頼していたのである。
梢達の無理矢理過ぎる一連の行動も、全てそのための演技であった。
かくて舞子は、梢とミツバ、エルフの女性部長によって【精霊本舗】へ雇用され、両親と共に宴会に参加する理由を手にしたのである。
午後6時、当初の予定時間通りに1階店舗は閉店し、決起会という趣旨の宴会は始まった。
ポマコンで呼び出された命彦と命絃は、魅絃が用意してくれていた揃いの背広姿で、地下農場の特設舞台に登る。
開宴の際の、従業員達への挨拶は考えていたが、憶えるのは時間的に無理だったので、命彦の言葉が止まったら、肩に乗るミサヤに《思念の声》でこっそり教えてもらい、切り抜ける手筈だった。
特設舞台には、命彦達や梢達の宴席の他、部長職に就く者達の宴席もある。
しかし、エルフ女性の横、ドワーフ翁と禿頭の老人、白衣白髪の鬼人女性の席は、それぞれ空席であった。
禿頭の老人と鬼人女性の老夫婦は、今も命彦の祖母と交渉しており、ドワーフ翁も《戦神》用の魔法具の製作工程表を作り、作業の分担計画を練っていた。
宴会に参加するのが少し遅れる可能性があると、3人から命彦に連絡があったのである。
子犬姿のミサヤが、スッと首を伸ばした。命彦も壇上から宴会場を見回す。
従業員とその家族、友人知人達を合わせて、300人以上が宴席に座っていた。
ズラーっと長い机の上に、ホカホカと湯気立つ料理が載っていて、宴会に出席した子ども達が料理を食べたそうに見ている。
人数に圧倒されて速かった心臓の鼓動が、子ども達のおかげで若干緩み、命彦は苦笑して口を開いた。
「あー……腹が減ってる子達もいるようだから、挨拶は手短にしたいんだが、まず皆、心配かけてごめん。俺も母さんも眷霊種魔獣に殺されかけたが、見てのとおりどうにか無事だ。トト婆の診断じゃ、母さんも明日には目を覚ます」
命彦の言葉を聞き、ホッと頬を緩める従業員達の様子が見えた。命彦が言葉を続ける。
「ただ、皆も知るとおり、今の三葉市は危機に陥ってる。【逢魔が時】が発生してるのに、頼みの【神の使徒】、梓さんが関東に行ってて留守だし、軍や警察の魔法士も、戦力が平時の半分以下と報道されてる。おまけに眷霊種魔獣に【迷宮外壁】をぶち抜かれて、街の盾が失われてる状態だ」
従業員達が一斉に不安そうにする。命彦の言葉も止まった。
どうやら、従業員達の表情に目を引かれ、考えていた言葉を一瞬忘れたらしい。
目を閉じて、言葉を整理してる風を装い、ミサヤの助けを待つ。
検知しにくいほどの魔力が微かに走り、思念が届いた。
『マヒコ、私の言うとおりに』
『ああ、すまんミサヤ。どこまで言ったか、飛んじまった』
手筈通りに行こうと目を開けた命彦の視界に、自分をじっと見る従業員達が映り、命彦はふと考えを改めた。
『……ミサヤ、補助はいいや。自分の言葉で話してみるよ』
思い付いたままに話そう。そう思い、静かに感情を込めて、命彦が口を開く。
「俺は……俺は、この街を守りたい。店を守り、家族を守りたい。その上で、母さんを傷付けた魔獣を八つ裂きにしたいと思ってる。仇を討ちたいんだ、俺の手で。でも、俺1人じゃ勝てねえ。つい数時間前に、負けたばっかだ」
命彦が宴席の一人一人を見回して言う。
「ずっと考えてたんだ。俺1人でダメだったら、ミサヤの手を借りて、姉さんの手を借りて、メイアの手を借りてって、眷霊種魔獣に勝てる方法を考えてた。でも足りねえ。家族や戦友の力を借りても、まだ届かねえ気がした。また負ける気がした。だから、店の力を、皆の力を……俺に貸して欲しい。頼む」
料理に目が行っていた子ども達が、いつの間にか命彦の方をじっと見ていた。
頭を下げた命彦。沈黙が宴会場に降りる。
顔を上げた命彦が、失敗したかと思った時である。宴会場に声が響いた。
「ワシが力を貸しますぞい?」
「ワシも貸すぞ、若様!」
「あたしらはもう力を貸してるだろうに、まったく……若様、力は貸したよ? 交渉成功だ」
「ドム爺とタロ爺に、トト婆! いいところへ来てくれた」
命彦が笑顔を浮かべる。ドワーフ翁と禿頭の老人、白衣白髪の鬼人女性が舞台上に上がる。
「若様が力を貸してくれと、頼んどる」
「ゆえに、ワシらは力を貸すことにした」
「あたしらの力で、若様を眷霊種魔獣に勝たせるんだ。面白いだろ、皆?」
そう言って、3人は自分達の宴席に座った。
宴会場の空気が、にわかに活気づき始める。子ども達が言った。
「ウチもワカサマにちからかすぅ!」
「ワウも!」
「「ぼくも!」」
口々に言う子ども達に続き、従業員達も声を上げた。
「私も手を貸します、若様!」
「俺もだ!」
「あたいもだよ!」
従業員達の言葉に感謝し、命彦が言う。
「ありがとう。感謝するぞ皆! 宴会後にドム爺の主導で、魔法具の制作が待ってる。突貫作業で徹夜の地獄だが、その魔法具を装備して、俺は眷霊種魔獣をぶちのめすつもりだ。いつ魔獣が現れるか分かんねえから、作業を急ぐ必要があるが、その前に、皆には英気を養ってもらいたい。たらふく食ってくれ! それじゃあ、乾杯だ!」
命彦が宴席から飲み物を取り、天に掲げる。
参加者も飲み物を掲げ、決起会が開宴した。
0
お気に入りに追加
40
あなたにおすすめの小説
エラーから始まる異世界生活
KeyBow
ファンタジー
45歳リーマンの志郎は本来異世界転移されないはずだったが、何が原因か高校生の異世界勇者召喚に巻き込まれる。
本来の人数より1名増の影響か転移処理でエラーが発生する。
高校生は正常?に転移されたようだが、志郎はエラー召喚されてしまった。
冤罪で多くの魔物うようよするような所に放逐がされ、死にそうになりながら一人の少女と出会う。
その後冒険者として生きて行かざるを得ず奴隷を買い成り上がっていく物語。
某刑事のように”あの女(王女)絶対いずれしょんべんぶっ掛けてやる”事を当面の目標の一つとして。
実は所有するギフトはかなりレアなぶっ飛びな内容で、召喚された中では最強だったはずである。
勇者として活躍するのかしないのか?
能力を鍛え、復讐と色々エラーがあり屈折してしまった心を、召還時のエラーで壊れた記憶を抱えてもがきながら奴隷の少女達に救われるて変わっていく第二の人生を歩む志郎の物語が始まる。
多分チーレムになったり残酷表現があります。苦手な方はお気をつけ下さい。
初めての作品にお付き合い下さい。
食うために軍人になりました。
KBT
ファンタジー
ヴァランタイン帝国の片田舎ダウスター領に最下階位の平民の次男として生まれたリクト。
しかし、両親は悩んだ。次男であるリクトには成人しても継ぐ土地がない。
このままではこの子の未来は暗いものになってしまうだろう。
そう思った両親は幼少の頃よりリクトにを鍛え上げる事にした。
父は家の蔵にあったボロボロの指南書を元に剣術を、母は露店に売っていた怪しげな魔導書を元に魔法を教えた。
それから10年の時が経ち、リクトは成人となる15歳を迎えた。
両親の危惧した通り、継ぐ土地のないリクトは食い扶持を稼ぐために、地元の領軍に入隊試験を受けると、両親譲りの剣術と魔法のおかげで最下階級の二等兵として無事に入隊する事ができた。
軍と言っても、のどかな田舎の軍。
リクトは退役するまで地元でのんびり過ごそうと考えていたが、入隊2日目の朝に隣領との戦争が勃発してしまう。
おまけに上官から剣の腕を妬まれて、単独任務を任されてしまった。
その任務の最中、リクトは平民に対する貴族の専横を目の当たりにする。
生まれながらの体制に甘える貴族社会に嫌気が差したリクトは軍人として出世して貴族の専横に対抗する力を得ようと立身出世の道を歩むのだった。
剣と魔法のファンタジー世界で軍人という異色作品をお楽しみください。
異世界で穴掘ってます!
KeyBow
ファンタジー
修学旅行中のバスにいた筈が、異世界召喚にバスの全員が突如されてしまう。主人公の聡太が得たスキルは穴掘り。外れスキルとされ、屑の外れ者として抹殺されそうになるもしぶとく生き残り、救ってくれた少女と成り上がって行く。不遇といわれるギフトを駆使して日の目を見ようとする物語
【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する
雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。
その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。
代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。
それを見た柊茜は
「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」
【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。
追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん…....
主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します
【完結】義妹とやらが現れましたが認めません。〜断罪劇の次世代たち〜
福田 杜季
ファンタジー
侯爵令嬢のセシリアのもとに、ある日突然、義妹だという少女が現れた。
彼女はメリル。父親の友人であった彼女の父が不幸に見舞われ、親族に虐げられていたところを父が引き取ったらしい。
だがこの女、セシリアの父に欲しいものを買わせまくったり、人の婚約者に媚を打ったり、夜会で非常識な言動をくり返して顰蹙を買ったりと、どうしようもない。
「お義姉さま!」 . .
「姉などと呼ばないでください、メリルさん」
しかし、今はまだ辛抱のとき。
セシリアは来たるべき時へ向け、画策する。
──これは、20年前の断罪劇の続き。
喜劇がくり返されたとき、いま一度鉄槌は振り下ろされるのだ。
※ご指摘を受けて題名を変更しました。作者の見通しが甘くてご迷惑をおかけいたします。
旧題『義妹ができましたが大嫌いです。〜断罪劇の次世代たち〜』
※初投稿です。話に粗やご都合主義的な部分があるかもしれません。生あたたかい目で見守ってください。
※本編完結済みで、毎日1話ずつ投稿していきます。
凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。
ドロップキング 〜 平均的な才能の冒険者ですが、ドロップアイテムが異常です。 〜
出汁の素
ファンタジー
アレックスは、地方の騎士爵家の五男。食い扶持を得る為に13歳で冒険者学校に通い始めた、極々一般的な冒険者。
これと言った特技はなく、冒険者としては平凡な才能しか持たない戦士として、冒険者学校3か月の授業を終え、最低ランクHランクの認定を受け、実地研修としての初ダンジョンアタックを冒険者学校の同級生で組んだパーティーでで挑んだ。
そんなアレックスが、初めてモンスターを倒した時に手に入れたドロップアイテムが異常だった。
のちにドロップキングと呼ばれる冒険者と、仲間達の成長ストーリーここに開幕する。
第一章は、1カ月以内に2人で1000体のモンスターを倒せば一気にEランクに昇格出来る冒険者学校の最終試験ダンジョンアタック研修から、クラン設立までのお話。
第二章は、設立したクラン アクア。その本部となる街アクアを中心としたお話。
第三章は、クラン アクアのオーナーアリアの婚約破棄から始まる、ドタバタなお話。
第四章は、帝都での混乱から派生した戦いのお話(ざまぁ要素を含む)。
1章20話(除く閑話)予定です。
-------------------------------------------------------------
書いて出し状態で、1話2,000字~3,000字程度予定ですが、大きくぶれがあります。
全部書きあがってから、情景描写、戦闘描写、心理描写等を増やしていく予定です。
下手な文章で申し訳ございませんがよろしくお願いいたします。
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる