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ロスト・ホーム
帰れない・自宅
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数分の静寂が流れていた。
仕方ないじゃないか、事実なんだから。
怪奇現象を知らない俺では偏食漠に対処出来ない。覆しようの無い、回避する事のできない事実だ。
「全く、情けない」
静寂を破ったのはひとねである。腕を組み、挑発するように俺を見る。
「私の助手だと聞いていたけど、随分と視野が狭いようだね」
「俺の何を知っている」
「偏食漠、その怪奇現象は此処にいた頃に読んでいる。大方の予想はつくさ」
こちらでも変わらぬ、しかしどこか整っている長いポニーテールが揺れる。
「怪奇現象に個人的感情とか過去は関係ない。確かに偏食漠は存在を知らなければ対処が難しい。でもね……」
ひとねは言葉を途切らせ簡易キッチンを指でなぞる。
「掃除はされているが使った形跡があるね。私はもちろん使っていないが」
視線を向けられた外食派のトシもかぶりを振る。
「つまり私と彼の間にもう一人誰かが此処に入った事になる。キッチンを使うような人がね。それが君だった可能性は高いだろう?」
「すっごーい! ひとねちゃんてばホントーに探偵みたい!」
「もっと褒めてもいいのだよ?」
ひとねと下里が盛り上がる中、俺はひとねの推理を頭で繰り返していた。
確かに矛盾なし、咎める手がない。
「俺も……何処かにいるのかな」
呟くと隣にいた森当くんが口を開く
「今回不可能な事は考えない、です。 前向きに行きましょう」
「そうだな、もう少し考えてみよう」
「盛り上がっている所悪いけど」
トシが部屋にある時計を指す。
「女性はそろそろ帰った方がいいんじゃないのかネ?」
仕方ないじゃないか、事実なんだから。
怪奇現象を知らない俺では偏食漠に対処出来ない。覆しようの無い、回避する事のできない事実だ。
「全く、情けない」
静寂を破ったのはひとねである。腕を組み、挑発するように俺を見る。
「私の助手だと聞いていたけど、随分と視野が狭いようだね」
「俺の何を知っている」
「偏食漠、その怪奇現象は此処にいた頃に読んでいる。大方の予想はつくさ」
こちらでも変わらぬ、しかしどこか整っている長いポニーテールが揺れる。
「怪奇現象に個人的感情とか過去は関係ない。確かに偏食漠は存在を知らなければ対処が難しい。でもね……」
ひとねは言葉を途切らせ簡易キッチンを指でなぞる。
「掃除はされているが使った形跡があるね。私はもちろん使っていないが」
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「つまり私と彼の間にもう一人誰かが此処に入った事になる。キッチンを使うような人がね。それが君だった可能性は高いだろう?」
「すっごーい! ひとねちゃんてばホントーに探偵みたい!」
「もっと褒めてもいいのだよ?」
ひとねと下里が盛り上がる中、俺はひとねの推理を頭で繰り返していた。
確かに矛盾なし、咎める手がない。
「俺も……何処かにいるのかな」
呟くと隣にいた森当くんが口を開く
「今回不可能な事は考えない、です。 前向きに行きましょう」
「そうだな、もう少し考えてみよう」
「盛り上がっている所悪いけど」
トシが部屋にある時計を指す。
「女性はそろそろ帰った方がいいんじゃないのかネ?」
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