怪奇探偵・藤宮ひとねの怪奇譚

ナガカタサンゴウ

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靴箱失踪事件

先人の置き土産

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「森当くん、この怪奇現象が起こったのはいつから?」
「ちょうど一週間前ですかね。月曜日だったので土日に発生していれば分かりませんが」
「一週間開かれていないとなれば幾分か絞れそうだな」
 少なくとも生徒が普段使いする下駄箱などはないだろう。
「あまり使わない物と言えばなんだ?」
「誰も振り分けられておらず、使ってない下駄箱などでしょうか」
「ううん、それは無いと思うよ」
 下里は部室のホワイトボードに様々な場所を書いていく。
 玄関、下駄箱、教室、職員室……などなど
「なんだそれは」
「レイちゃんのルートです」
「誰だよ」
「いつも放課後に掃除してくれてる人です」
 いわゆる掃除のおばちゃんである。
 レイコかレイカか、或いはミレイ……いや、レイちゃんさんの名前はどうでもいい。
「レイちゃんは使ってない場所も掃除してます」
「なら掃除ルート外か……部室は違うようだな」
「ですね。職員室と部室以外の校内になります」
「ある程度減ったとしても多いな」
 もう少し絞り込みたいが……
「何処にでも使わない場所はあるからなあ……」
「やはり人海戦術です? 三人ですけど」
 それならひとねを待つほうが早い気がする。
「何か見方を変えたいな」
「校内に爆弾が設置されました、各自確認を! とか放送して見ます?」
「確認の前に逃げるだろ」
「僕たちが怒られるという事には突っ込まないのですね」
「とりあえず却下だ」
 何か見方を変えたい。怪奇現象自体を利用して特定できないものか……

「案外この部室かもですねー」
 下里が普段使っていない扉を開いていく。
「うげっ!」
 幾つか目の扉が開かれると同時に下里が呻き声をあげる。勢いよく扉を閉め、鼻を摘んで俺の後ろに隠れる。
「何して……うっ!」
 ツンとした臭いが鼻を突き刺してきた。思わず下里と同じようにする。
「何があったんだよ」
「わかんないです、なにかが腐ったものですよー!」
 扉を閉めた事もあり、臭いは窓から逃げていった。
「……先輩、どーにかしてください」
「どーにかて」
「あ、ビニール袋使いますか?」
 森当くんから袋を貰う。テッシュを複数枚掴んで扉に近づく。
 部屋の一番端、普段近づかないから気づかなかったが開く前からほんのりと臭いがする。
「……これだ!」
 閃いた!扉を開いて中にある謎の黒い物体を指す。
「これを使えば解決できる!」
「いいから回収してください!!」
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