104 / 150
まだらの推理
探偵の役目はおわる
しおりを挟む
「犯人と被害者は友人関係にある。前述の通り部屋に入るのは容易だっただろう。
ここで被害者の部屋の鍵をポケットに忍ばせ、それと同時に果物ナイフをすり替える。
ああ、この時点で毒はもう塗ってある。後は何事も無かったかのように部屋を出る。
被害者が毒塗りナイフを使い毒が回った頃に……そうだね、彼は被害者に対して何度も電話をかけていた。恐らくはそれが毒が回ったかの確認だったのだろう。
確認の後、鍵を使って侵入。すり替えたナイフを元通りに戻し、犯行は完了……するはずだった。
ここで犯人に二つの誤算が襲いかかる。
一つ目は被害者がまだ生きていた事。電話に出られないくらいだから助けを呼んだりはできない段階、何をしても手遅れではあるけどね。それでも被害者は未だ絶命してはいなかった。
二つ目はもちろん殺人魔、そこで犯人に魔がさしてしまった事。
放っておけば被害者は死んでいただろうけど生きている。ならば殺人衝動は治らない。
衝動に身を任せてサバイバルナイフで被害者を殺す。
恐らく犯人の計画通りならばアリバイ工作も出来ていたのだろうが、計画は破綻。
故に犯人は偽装した。被害者の死や時間では無く、死因を。
ナイフを刺したまま残し、あたかも刺殺であるように偽装した。そんな所だろう。つまり……」
ここまで言って一呼吸。どういう風にいるかもわからぬ怪奇現象に向けてひとねは言い放つ。
「犯人は二宮、死因は毒殺だ」
瞬間、音が鳴った。
まるで瓦が割れるような音。
屋根あたりにはあるだろうがこの部屋に瓦はない。奇妙な音を立てるのは怪奇的なものだと相場が決まっている。
つまりは……
「おお、鬼の顔が割れているじゃないか」
一件落着である。
*
その後の展開は特筆に値しなかった。
ロープウェイの復旧、警察の到着。角野さんを通して伝えられたひとねの推理がきっかけとなり、二宮さんが逮捕された。
そうこうしているうちにチェックアウトの時間となる。
角野さん、堀さんとの別れも呆気ないものであり、俺たちは各々感想を述べながら、無事帰路につくのであった。
そして夏の休みは終わりゆく____
ここで被害者の部屋の鍵をポケットに忍ばせ、それと同時に果物ナイフをすり替える。
ああ、この時点で毒はもう塗ってある。後は何事も無かったかのように部屋を出る。
被害者が毒塗りナイフを使い毒が回った頃に……そうだね、彼は被害者に対して何度も電話をかけていた。恐らくはそれが毒が回ったかの確認だったのだろう。
確認の後、鍵を使って侵入。すり替えたナイフを元通りに戻し、犯行は完了……するはずだった。
ここで犯人に二つの誤算が襲いかかる。
一つ目は被害者がまだ生きていた事。電話に出られないくらいだから助けを呼んだりはできない段階、何をしても手遅れではあるけどね。それでも被害者は未だ絶命してはいなかった。
二つ目はもちろん殺人魔、そこで犯人に魔がさしてしまった事。
放っておけば被害者は死んでいただろうけど生きている。ならば殺人衝動は治らない。
衝動に身を任せてサバイバルナイフで被害者を殺す。
恐らく犯人の計画通りならばアリバイ工作も出来ていたのだろうが、計画は破綻。
故に犯人は偽装した。被害者の死や時間では無く、死因を。
ナイフを刺したまま残し、あたかも刺殺であるように偽装した。そんな所だろう。つまり……」
ここまで言って一呼吸。どういう風にいるかもわからぬ怪奇現象に向けてひとねは言い放つ。
「犯人は二宮、死因は毒殺だ」
瞬間、音が鳴った。
まるで瓦が割れるような音。
屋根あたりにはあるだろうがこの部屋に瓦はない。奇妙な音を立てるのは怪奇的なものだと相場が決まっている。
つまりは……
「おお、鬼の顔が割れているじゃないか」
一件落着である。
*
その後の展開は特筆に値しなかった。
ロープウェイの復旧、警察の到着。角野さんを通して伝えられたひとねの推理がきっかけとなり、二宮さんが逮捕された。
そうこうしているうちにチェックアウトの時間となる。
角野さん、堀さんとの別れも呆気ないものであり、俺たちは各々感想を述べながら、無事帰路につくのであった。
そして夏の休みは終わりゆく____
0
お気に入りに追加
34
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。


ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
Arachne 2 ~激闘! 敵はタレイアにあり~
聖
ミステリー
学習支援サイト「Arachne」でのアルバイトを経て、正社員に採用された鳥辺野ソラ。今度は彼自身がアルバイトスタッフを指導する立場となる。さっそく募集をかけてみたところ、面接に現れたのは金髪ギャルの女子高生だった!
年下の女性の扱いに苦戦しつつ、自身の業務にも奮闘するソラ。そんな折、下世話なゴシップ記事を書く週刊誌「タレイア」に仲間が狙われるようになって……?
やけに情報通な記者の正体とは? なぜアラクネをターゲットにするのか?
日常に沸き起こるトラブルを解決しながら、大きな謎を解いていく連作短編集ミステリ。
※前作「Arachne ~君のために垂らす蜘蛛の糸~」の続編です。
前作を読んでいなくても楽しめるように書いたつもりですが、こちらを先に読んだ場合、前作のネタバレを踏むことになります。
前作の方もネタバレなしで楽しみたい、という場合は順番にお読みください。
作者としてはどちらから読んでいただいても嬉しいです!
第8回ホラー・ミステリー小説大賞 にエントリー中!
毎日投稿していく予定ですので、ぜひお気に入りボタンを押してお待ちください!
▼全話統合版(完結済)PDFはこちら
https://ashikamosei.booth.pm/items/6627473
一気に読みたい、DLしてオフラインで読みたい、という方はご利用ください。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。


ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる