怪奇探偵・藤宮ひとねの怪奇譚

ナガカタサンゴウ

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異界十字路

異界十字路

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「えー! ひとねちゃんの方も同じー!?」
「そのようだね」
「ただ単純に身体の向きを変えられたって訳じゃあなさそうだな」
「異界です、わたしたち三人は異界に迷い込んだんですよ! まさに怪奇現象です!」
「一つ、訂正しておこう。迷い込んだのは三人では無く四人だ」
 ひとねは俺たち三人が向いていなかった最後の方向を指す。その先には一人の男子生徒の背中。
 耳にイヤホンを付け、胡座をかいて瞑想でもしているかのように動かない。
「幽霊、ですかね?」
「違うぞ」
「君の知り合いかい?」
 襟に付いている大きめのバッジ、あの持ち主は……
「生徒会長だ」

 *

「驚いた、いつの間にか人がいたなんて。音楽を聞いていて気づかなかった」
 幽霊でないと分かった途端に接触した下里に悲鳴を上げた後、生徒会長は咳払いをしてそう言った。
「この異界十字路に迷い込んだのは今さっきだ」
「異界十字路? ここはそういう名前なのか……ん? もしかしてこの場所について何か知っているのかな?」
「ここは異界の交差点、この廊下の四分の三はパラレルワールドだろう」
 生徒会長は思ったよりも冷静である。この空間に驚く段階は過ぎ去ったのかもしれない。
「君は……失礼、君はだれかな? 一年生二人と二年生である事はわかるのだけれど」
「わたし達は図書部員でーす! こっちがひとねちゃんでこっちが健斗先輩。そしてわたしが下里くだりちゃんです」
「図書部……ああ、そういえば部員が三人を超えたと報告があったな。僕は……」
「会長さんですよね、入学式で見ました」
「その通りだ……さて、いきなり本題に入らせて貰うけどひとねさん、君はこの空間からの脱出法を知っていたりするのかな?」
 ひとねは頷いて四方を見渡す。
「ここから脱出する方法は単純明快でひとつだけ。歩いてきた道を引き返すだけだ」
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