怪奇探偵・藤宮ひとねの怪奇譚

ナガカタサンゴウ

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悪魔と狸と時々探偵

悪魔は何をしているか

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「合わせ鏡による悪魔がやっている事は二つある。まず一つ目は入った者の魂を抜き十三つ集めて持っていくという事、これが目的だ」
「あと二人……」
 呟く上野を無視してひとねは続ける
「もう一つは悪魔自身を現世に縛り付ける鏡を守る事。鏡がないと悪魔はこの世界に干渉できない」
「じゃあ鏡を壊せばいいってことか」
「まあ、結論から言えばそうだね。悪魔が通ったことで鏡の強度も弱くなっているだろう、ノックをすれば壊れるくらいにね」
「じゃあすぐに解決しそうだな」
「ちゃんと聞いていたのかい? 悪魔はそれを防ぐために鏡を守っているんだ。具体的には鏡の周りにある物を壊れないようにしている」
 決して壊れない怪奇現象に会ったことはある。異世界に迷い込ませる電車がそうだったはずだ。
 あの時は窓をバットで殴っても割れたりはしなかった。あまりに固いので振動を喰らって痛かったほどだ。
「まあ、それと同じ類だよ。触ることもできるし揺らしたりすることもできる。ただただ壊れないだけだ」
「じゃあ壊すのは無理なんじゃ……」
 ひとねがため息をつく
「鏡を直接殴ればいいだろう」
「……………………」
 全くもってその通りである。

 *

「じゃ、よろしく」
 笑顔のひとねが俺にバットを渡してきた。
「……行けってか」
「よくわかっているじゃないか」
 今度は俺がため息をついて小屋の扉を開けて中に入る。まあ今回は鏡をバットでたたき割るだけ……
「……あれ」
 中に入ると聞いていた通り六枚の鏡がそれぞれ向かい合っていた。それは問題ない。
 しかし鏡はむき出しではない。鏡と俺の間にはプラスチックでできた板があるのだ。
 試しにそのプラスチックを叩いてみたが……もちろん壊れはしない。
「おい! こわせないぞ!」
 俺……やばくないか?
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