怪奇探偵・藤宮ひとねの怪奇譚

ナガカタサンゴウ

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浮遊霊は二人

浮遊霊は二人

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 ホワイダニット。中本トシはなぜ浮遊霊になったのか。そしてなぜこの土地には建物が建てられないのか。
 その答えは同一。ひとねはこう言った。
「中本トシの家が迷い家になっていたからだよ」
 家はこの世に存在していた。しかし見つからない地下にあった。そして迷い家が地下にある事で求められてない人から見ればそこは空洞となった。
 そんな大きな空洞があるとなれば建物は建てられない、そういうことだ。

 *

 地下図書館に帰った俺たちから真相を聞いたトシは心底驚いていた。
「なんと! なんと! ワタシの家が迷い家に! まさか二つも迷い家に出逢うとは!」
「まだ未練がそれと決まったわけじゃない。可能性は高いけどね」
「では検証しにいこう! と、その前に……これは報酬だ」
 トシはひとねにUSBを渡す。
「なんだいこれは」
「この地下図書館にある怪奇現象知識を纏めたものだ」
「ここにあるなら別に情報化しなくても……」
「いやいや、浮遊霊が成仏すればその浮遊霊が残したものは消えてしまう。ここの知識が消えるとキミもこまるだろう?」
「でもこのUSBだって浮遊霊が残したものだ」
「だから、キミがキミの手でそれをコピーするのさ。そのUSBは消えるけどコピーしたものはキミが残すものになる」
「なるほど、じゃあ今のうちに」
 作業を始めたのを見て、トシは俺を呼んでひとねに背を向ける。
「これはキミに、彼女のいないところで開きなさい」
「は、はあ……」
 スマートフォンにデータを入れられた。ひとまずコピーした所でひとねが立ち上がる。
「コピー終了。さて、検証にいこうか」

 *

「これは、確かにワタシの家!」
 飛び降りたトシが掛けたハシゴを使い、俺たちも中に入る。
 なんて事のない普通の家だ。少しレトロ感があるからこの都会では浮いていたかもしれない。
「ああ、この扉の先は懐かしきリビング」
 瞳に水を溜めながらトシが扉を開く。
 テレビの向かいにあるソファーの上に人影が見えた。
 それを視界に入れた瞬間、トシは涙を流す。
「ああ……やはり……ワタシの未練はココにあった……」
 トシの身体が眩い光に包まれ、眩んだ目が戻った時にはそこには人影一つ残ってなかった。
 その光景を一緒に見ていたひとねは頰を緩める。
「まったく……最初から未練なんて忘れていなかったんじゃないか」
 こうして二人の浮遊霊は未練を晴らし、無事に成仏していった。
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