47 / 150
赤顏酒会
0と1には裏がある
しおりを挟む
「うーん」
俺は電車の中で頭を掻く。ピンポイントの調査と言ってもアカウントを見るくらいしかやれそうな事が無いのだ。
どうしたものかと考えていると電車は例の会社の最寄り駅に着く。
入ってきた数人の社会人の中にあのバッジをつけた二人組の女性がいた。
調査をするべきかと思っていたが、その女性らは俺の隣に座った。
座るなり二人はスマホを弄りながら雑談に花を咲かせる。話題は後輩社員についてのようだ。
今回の事件には関係なさそうな人の話
、『bostter』で見たような部長と次長の話。そんな話が続く。
「でさー、浦和っていっつもスマホ触ってない?」
「浦和? 誰だっけ?」
「ほら、あの細いの。部長と次長に連れまわされてる」
「あー、あの子かー。そんなに触ってる?」
一人の女性がそう聞くともう一人が声を高くする。
「ホントずっとだよ、ずっと。スマホかパソコンのどっちか触ってるよ」
「へぇー」
どうやら細身は浦和というらしい。いつもスマホかパソコンを触っている、か……スマホを触りながら言う事じゃあないよなぁ。
何か手がかりになるかと考えようとするが、空腹がそれを邪魔した。
今日はもういいだろう。俺はさっきの女性二人のアカウントを頭の中で反復して記憶する。
「……よし」
記憶が終わった頃には最寄り駅が近づいていた。俺は最寄り駅で降り、地下図書館に向かう事にした。
*
俺はそのまま地下図書館に行き、ひとねに説明をした。
「ずっとスマホを触っている、か」
「まあ、今日の収穫はそんなところだ」
「お疲れ様、今日も食べていくといい。今日はガッツリしたものがいいな」
労うというより料理が食いたいだけじゃねぇか……ふざけるな。
文句を言う前にひとねは椅子を回転させてパソコンの電源を入れる。
電車にいたあの女性二人のアカウントを開く。
『いつも帰ってる女の同期、愚痴しか言わなくてマジうざい』
『あいつ私の話聞いてないし(怒)』
電車内ではあれだけ話していたというのに
「これが裏か、人って変わるもんだな」
「…………」
「ひとね?」
返事がない。ひとねは目を閉じ口の上を揉むように摘んでいる。
最近わかったのだがこれはひとねが考えてる、推理している時の癖らしい。
少ししてから目を開けたひとねに俺は問う
「何か分かったのか?」
「……まあね、でもまだ確証は得られていない。引き続き調べていてくれたまえ。明日アカウントがわからなければ強行する」
「アカウントさえ分かればいいんだな」
「ああ」
自信たっぷりにひとねは頷いた。
恐らく謎は解けたのだろう。アカウントが欲しいのは念のため、という事だ。
俺は電車の中で頭を掻く。ピンポイントの調査と言ってもアカウントを見るくらいしかやれそうな事が無いのだ。
どうしたものかと考えていると電車は例の会社の最寄り駅に着く。
入ってきた数人の社会人の中にあのバッジをつけた二人組の女性がいた。
調査をするべきかと思っていたが、その女性らは俺の隣に座った。
座るなり二人はスマホを弄りながら雑談に花を咲かせる。話題は後輩社員についてのようだ。
今回の事件には関係なさそうな人の話
、『bostter』で見たような部長と次長の話。そんな話が続く。
「でさー、浦和っていっつもスマホ触ってない?」
「浦和? 誰だっけ?」
「ほら、あの細いの。部長と次長に連れまわされてる」
「あー、あの子かー。そんなに触ってる?」
一人の女性がそう聞くともう一人が声を高くする。
「ホントずっとだよ、ずっと。スマホかパソコンのどっちか触ってるよ」
「へぇー」
どうやら細身は浦和というらしい。いつもスマホかパソコンを触っている、か……スマホを触りながら言う事じゃあないよなぁ。
何か手がかりになるかと考えようとするが、空腹がそれを邪魔した。
今日はもういいだろう。俺はさっきの女性二人のアカウントを頭の中で反復して記憶する。
「……よし」
記憶が終わった頃には最寄り駅が近づいていた。俺は最寄り駅で降り、地下図書館に向かう事にした。
*
俺はそのまま地下図書館に行き、ひとねに説明をした。
「ずっとスマホを触っている、か」
「まあ、今日の収穫はそんなところだ」
「お疲れ様、今日も食べていくといい。今日はガッツリしたものがいいな」
労うというより料理が食いたいだけじゃねぇか……ふざけるな。
文句を言う前にひとねは椅子を回転させてパソコンの電源を入れる。
電車にいたあの女性二人のアカウントを開く。
『いつも帰ってる女の同期、愚痴しか言わなくてマジうざい』
『あいつ私の話聞いてないし(怒)』
電車内ではあれだけ話していたというのに
「これが裏か、人って変わるもんだな」
「…………」
「ひとね?」
返事がない。ひとねは目を閉じ口の上を揉むように摘んでいる。
最近わかったのだがこれはひとねが考えてる、推理している時の癖らしい。
少ししてから目を開けたひとねに俺は問う
「何か分かったのか?」
「……まあね、でもまだ確証は得られていない。引き続き調べていてくれたまえ。明日アカウントがわからなければ強行する」
「アカウントさえ分かればいいんだな」
「ああ」
自信たっぷりにひとねは頷いた。
恐らく謎は解けたのだろう。アカウントが欲しいのは念のため、という事だ。
0
お気に入りに追加
34
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。


ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
Arachne 2 ~激闘! 敵はタレイアにあり~
聖
ミステリー
学習支援サイト「Arachne」でのアルバイトを経て、正社員に採用された鳥辺野ソラ。今度は彼自身がアルバイトスタッフを指導する立場となる。さっそく募集をかけてみたところ、面接に現れたのは金髪ギャルの女子高生だった!
年下の女性の扱いに苦戦しつつ、自身の業務にも奮闘するソラ。そんな折、下世話なゴシップ記事を書く週刊誌「タレイア」に仲間が狙われるようになって……?
やけに情報通な記者の正体とは? なぜアラクネをターゲットにするのか?
日常に沸き起こるトラブルを解決しながら、大きな謎を解いていく連作短編集ミステリ。
※前作「Arachne ~君のために垂らす蜘蛛の糸~」の続編です。
前作を読んでいなくても楽しめるように書いたつもりですが、こちらを先に読んだ場合、前作のネタバレを踏むことになります。
前作の方もネタバレなしで楽しみたい、という場合は順番にお読みください。
作者としてはどちらから読んでいただいても嬉しいです!
第8回ホラー・ミステリー小説大賞 にエントリー中!
毎日投稿していく予定ですので、ぜひお気に入りボタンを押してお待ちください!
▼全話統合版(完結済)PDFはこちら
https://ashikamosei.booth.pm/items/6627473
一気に読みたい、DLしてオフラインで読みたい、という方はご利用ください。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる