怪奇探偵・藤宮ひとねの怪奇譚

ナガカタサンゴウ

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赤顏酒会

依頼探しの図書館

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「明日は図書館に寄ってから来ると言っていたね?」
 和菓子を食べ終わったひとねはパソコンを操作しながら俺に尋ねる。
「ん、そのつもりだけど」
「じゃあ、お使いを頼みたいんだ」
 ひとねが差し出してきた紙の束を受け取る。どうやら怪奇探偵のチラシのようだ。
「最近依頼が少なくてね……これを図書館の本とかに挟んできてくれ、もちろん怪奇現象についての本に、だ」
「図書館の本にモノを挟んじゃダメだろ……」
「いいから、行ってくるんだ。絶対だよ」
「はいはい……」
 全く、人使いの荒いやつだ。

 *

「ちゃんと挟んできたぞ」
 翌日。図書館の職員にバレないようにチラシを挟み地下図書館の奥、ひとねの部屋に入ると怪訝な顔をされた。
「依頼の為にチラシを渡したが、依頼人を連れてこいとは言っていないよ」
「……は?」
 ひとねの視線の先、後ろを見る。
「…………」
 誰もいない。
「何言ってんだよ」
「隠れているのはわかっているんだ」
 ひとねがそう言うと、本棚の影から人が出てきた。
 見た目からして恐らく中学生。ショートカットの黒髪に白くて細い身体、性別は……わからない。どっちだろうか。
「あらら、バレていましたか」
 舌を出した中学生を見て、ひとねは溜息をつく。
「健斗、君はつけられていた事にも気づかなかったのか……」
「うっせぇ」
「まあいい……ここは普通の学生が来るような所じゃない。 帰りの案内をしてやってくれ」
 ひとねが興味なさそうに言ってパソコンに向かう
「待ってください。ここは怪奇探偵の事務所ですよね」
「事務所?」
 聞くと中学生はポケットからチラシを取り出した。さっき俺が挟んできたチラシだ。
「……へえ、依頼者なんだね」
 ひとねがまたこっちを向く。
「じゃあ、話を聞こうか」
 頷いて中学生は口を開く
「友達の父親が飲むとおかしくなるそうなんです」
「飲むとおかしく……酔っているのだろう?」
 ひとねの冷静なツッコミに中学生は首を横に振る。
「そうじゃないんです。飲むと……妖怪になるんです」
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