怪奇探偵・藤宮ひとねの怪奇譚

ナガカタサンゴウ

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無意識かつ奇跡的

両親の行く先は

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 問題点は定まった。私は彼の母親の部屋を見渡す。
「何か手がかりは……お」
 見つけたのは一冊のノート。どうやら家計簿のようだ。最終ページを開く。
 母親がどう行動したかの参考になるであろう場所を
『四月十八日・ミライデパート
 四月二十日・烏谷ハイランド
 四月二十三日・スーパーサカヤ
 四月二十五日・スーパーサカヤ
 四月三十日・酒屋白水
 五月二日・皆坂デパート』
「こんなものか」
 辺りを見渡したが、他に手がかりになりそうな物は無い。
 その後、幾つかの部屋を回ったが特に手がかりは無かった。
 最後に入った部屋は彼の父親の部屋。家計簿などはもちろん見当たらない。
 代わりに見つけたのは一冊のメモ帳、表紙には『ネタ帳』と書かれている。芸人……ということは無いだろう。
 中を見ると箇条書きで様々な事が書かれていた。何のネタ帳かもわからない。
「特に手がかりは無し……ん?」
 最後のページにURLが書かれていた。
 私は近くにあったパソコンの電源を入れる、幸いにもパスワードは手帳に書かれていた。
「URLを……む」
 いつも使っている検索ソフトと違う。このままでもいいけど……頭の中に余計な物を入れたくない。
 いつもの検索ソフトは容易にインストールできた筈だ、その間に再度リビングを捜索して……
 ここで私の思考は止まる。いつもの検索ソフトがインストールできない。どうやら既にインストールされているようだ。
 パソコン内検索で場所を探すとそれは幾つものフォルダの奥底、隠されるように置かれていた。
「……今はそこじゃないな」
 私はいつもの検索にURLを打ち込む。
 画面が映し出したのはブログだ。おそらく彼の父親の物だろう。
 このブログを辿る事で父親の行動がわかるだろう。
『五月二十九日・ミキリドライブ
 六月一日・バイクカナミチ』
 ここまで見たところで、リビングで電話がなった。
 電話の液晶を見る『沢口の叔母さん』出るべきか……
 少し迷った後に、私は受話器を取る。
『あらケンちゃん、今日は家にいるのね。最近休みの日にまでどこ行って……ケンちゃん?』
「えっと……違います」
『あら? 女の子……もしかしてケンちゃんの彼女!?』
「いえ、私はく……」
 途中で口を閉じる。ここで腐れ縁は無いだろう……少し考える。く……く……
「クラスメイトです」
『あらら、まだクラスメイトなのね』
 曲解されたが……まあ、好都合だろう。
『で? ケンちゃんは?』
「彼は今風邪で寝ていて……伝言はありますか?」
『いえ、特に用は無いんだけどね。一人暮らしは大丈夫かなーって』
 この人は彼の両親がここにいない事を知っている。
「あの、彼の両親は……」
『あら? 聞いてないの?』
「いえ、詳しくは……」
『うーん……ま、彼女さんならいいでしょう』
 曲解が酷くなっている……のはいいか。重要な証言を聞き漏らさないように、私は集中する。
『二人とも……事件に巻き込まれて死んじゃったのよ』
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