30 / 150
無意識かつ奇跡的
ハマグリ暗号
しおりを挟む
「やあ、来たね」
地下図書館の部屋に入ると、ひとねはパソコン用の椅子に座っていた。
ひとねが調べ物をする事といえば……
「なんだ、また甘味探しか?」
「……違う」
うわ、不機嫌そうな顔……
「依頼だよ、依頼」
「ああ……」
怪奇現象関係の依頼か。少し気になったのでパソコンを覗く。
画面に映し出されていたのはメールに添付されていた一枚の画像だ。
どこかのサイトを写したもののようだが……
「文字化け?」
サイトに書いてあるのは文字ではなかった。パソコンで表現できるような記号じゃない
「これが怪奇現象なのか?」
「まあ、そうだね」
ひとねは体をパソコンの方にくるりと回してマウスを動かす。
「今回の怪奇現象は……現代版蜃気楼だね」
「蜃気楼? それって気象とか科学的なものじゃないのか?」
「確かにそうだ。しかし蜃気楼が科学的に証明されるまで、それは妖怪として扱われていたんだよ」
そう言ってひとねは机に置いてあった本を突き出してきた。付箋が貼られてあるページを開く。
大きな貝が霧のようなものを出している絵が描かれている。
「蜃気楼はもともとハマグリの妖怪として語り継がれていたんだよ」
「いや、それはいいけどさ……この文字化けのどこが蜃気楼なんだよ」
「怪奇現象として蜃気楼を起こしても、今では科学的なものだと認識されてしまう……それは怪奇現象が存在していないと同義になるんだよ。怪奇現象は人による認識を重視する、人に認識されようと主張する、だよ」
「でも蜃気楼と今回の現象に関連性がなさすぎないか? 怪奇現象ってそんなものでいいのか?」
「本当に質問ばっかりだね……」
ひとねはため息をつく
「関連性はあるよ、どちら視覚的に人を惑わしているんだ。まあ……それくらいの関連性でいいくらいには適当なんだよ」
「ふうん……」
怪奇現象の由来にそれほど興味もない、俺はパソコンに視線を移す。
「……で? この怪奇現象はそうやって解決するんだ」
ひとねはまたため息をついた。
「たまには頭を動かしたらどうだい……そうだ」
なにか思いついたような顔をしたひとねは、パソコンの画面をスクロールさせる。
新たに数枚の写真が画面に表れる。
それにしてもこのサイト……
「なんか不気味だな」
「犯罪予告サイトというらしいよ、最初はおふざけだったんだろうけど……最近になって幾つかの書き込みが本当の犯罪予告だったことが判明して一部で話題らしい」
「へえ、物騒な話だな」
変な流行りだ。
「それでも九割方は嘘の、おふざけの犯罪予告らしいけどね……お、あったあった」
ひとねの手招きでパソコンを覗く。読むことのできない謎の記号が羅列しているなか、意味はわからないが一応判別できるものが並ぶ箇所があった。
『◯.9 □.8 ◯.5、
☆/2.7 △.0 ◯.1 □/2.0
かくはだんじはれつ』
「この暗号を解くのが、今回の怪奇現象を解決する方法だよ」
地下図書館の部屋に入ると、ひとねはパソコン用の椅子に座っていた。
ひとねが調べ物をする事といえば……
「なんだ、また甘味探しか?」
「……違う」
うわ、不機嫌そうな顔……
「依頼だよ、依頼」
「ああ……」
怪奇現象関係の依頼か。少し気になったのでパソコンを覗く。
画面に映し出されていたのはメールに添付されていた一枚の画像だ。
どこかのサイトを写したもののようだが……
「文字化け?」
サイトに書いてあるのは文字ではなかった。パソコンで表現できるような記号じゃない
「これが怪奇現象なのか?」
「まあ、そうだね」
ひとねは体をパソコンの方にくるりと回してマウスを動かす。
「今回の怪奇現象は……現代版蜃気楼だね」
「蜃気楼? それって気象とか科学的なものじゃないのか?」
「確かにそうだ。しかし蜃気楼が科学的に証明されるまで、それは妖怪として扱われていたんだよ」
そう言ってひとねは机に置いてあった本を突き出してきた。付箋が貼られてあるページを開く。
大きな貝が霧のようなものを出している絵が描かれている。
「蜃気楼はもともとハマグリの妖怪として語り継がれていたんだよ」
「いや、それはいいけどさ……この文字化けのどこが蜃気楼なんだよ」
「怪奇現象として蜃気楼を起こしても、今では科学的なものだと認識されてしまう……それは怪奇現象が存在していないと同義になるんだよ。怪奇現象は人による認識を重視する、人に認識されようと主張する、だよ」
「でも蜃気楼と今回の現象に関連性がなさすぎないか? 怪奇現象ってそんなものでいいのか?」
「本当に質問ばっかりだね……」
ひとねはため息をつく
「関連性はあるよ、どちら視覚的に人を惑わしているんだ。まあ……それくらいの関連性でいいくらいには適当なんだよ」
「ふうん……」
怪奇現象の由来にそれほど興味もない、俺はパソコンに視線を移す。
「……で? この怪奇現象はそうやって解決するんだ」
ひとねはまたため息をついた。
「たまには頭を動かしたらどうだい……そうだ」
なにか思いついたような顔をしたひとねは、パソコンの画面をスクロールさせる。
新たに数枚の写真が画面に表れる。
それにしてもこのサイト……
「なんか不気味だな」
「犯罪予告サイトというらしいよ、最初はおふざけだったんだろうけど……最近になって幾つかの書き込みが本当の犯罪予告だったことが判明して一部で話題らしい」
「へえ、物騒な話だな」
変な流行りだ。
「それでも九割方は嘘の、おふざけの犯罪予告らしいけどね……お、あったあった」
ひとねの手招きでパソコンを覗く。読むことのできない謎の記号が羅列しているなか、意味はわからないが一応判別できるものが並ぶ箇所があった。
『◯.9 □.8 ◯.5、
☆/2.7 △.0 ◯.1 □/2.0
かくはだんじはれつ』
「この暗号を解くのが、今回の怪奇現象を解決する方法だよ」
0
お気に入りに追加
34
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。


ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
Arachne 2 ~激闘! 敵はタレイアにあり~
聖
ミステリー
学習支援サイト「Arachne」でのアルバイトを経て、正社員に採用された鳥辺野ソラ。今度は彼自身がアルバイトスタッフを指導する立場となる。さっそく募集をかけてみたところ、面接に現れたのは金髪ギャルの女子高生だった!
年下の女性の扱いに苦戦しつつ、自身の業務にも奮闘するソラ。そんな折、下世話なゴシップ記事を書く週刊誌「タレイア」に仲間が狙われるようになって……?
やけに情報通な記者の正体とは? なぜアラクネをターゲットにするのか?
日常に沸き起こるトラブルを解決しながら、大きな謎を解いていく連作短編集ミステリ。
※前作「Arachne ~君のために垂らす蜘蛛の糸~」の続編です。
前作を読んでいなくても楽しめるように書いたつもりですが、こちらを先に読んだ場合、前作のネタバレを踏むことになります。
前作の方もネタバレなしで楽しみたい、という場合は順番にお読みください。
作者としてはどちらから読んでいただいても嬉しいです!
第8回ホラー・ミステリー小説大賞 にエントリー中!
毎日投稿していく予定ですので、ぜひお気に入りボタンを押してお待ちください!
▼全話統合版(完結済)PDFはこちら
https://ashikamosei.booth.pm/items/6627473
一気に読みたい、DLしてオフラインで読みたい、という方はご利用ください。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる