怪奇探偵・藤宮ひとねの怪奇譚

ナガカタサンゴウ

文字の大きさ
上 下
21 / 150
ちのみごカラス

低級なる自己像幻視

しおりを挟む
「自己像幻視」
「なんだまた唐突に」
「さっき言った今回の依頼の内容だよ」
 電車での移動中、ひとねはまた唐突に切り出した。
「簡単に言ってしまえばドッペルゲンガーだ」
「ドッペルゲンガー?」
 確かもう一人の自分を見る現象だったよな……
「ドッペルゲンガーにも色々あってね、今回のドッペルゲンガーは『ぺんたちころおやし』という妖怪が引き起こした物と、私は予測しているよ」
「それは……厄介なのか?」
 ひとねは首を横に振る。
「ドッペルゲンガーとしても妖怪としても低級だね、対処も簡単だ」
「え?」
「目の前に現れたドッペルゲンガーに質問をするんだ。彼らは記憶までは真似できない、その矛盾を指摘してやるんだ」
 つまりは……
「自分が本物だという事を証明すればいいのか?」
「まあ、そういう事だね」
「なら……」
 俺の言葉にかぶせるようにひとねが声を出す
「ならば、私がわざわざ行く必要は無いのではないか。そう言いたいのだろう?」
「……まあ、そうだけどさ」
 そこまで「わざわざ」を強調しなくてもいいんじゃ……
 俺が小さくため息をつくと、ひとねは俺の肩を勝手に支えにしながら立ち上がった。
「さ、ここで降りるよ」
「ちょ、荷物降ろさなきゃ」
「早くしないと置いていくぞ」
 そう言ってひとねはずんずんと歩いていく。足取りは以前より軽くはなったが……
「うわっと……危ない」
 何もないところでつまづく頻度はまだ多い。
「早くしないと置いていくぞ」
 何事も無かったかのように姿勢を戻したひとねがそう言って進んでいく。
「……はあ」
 全く、自分勝手なものだ。
 俺はまた小さくため息をついた。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

雨の向こう側

サツキユキオ
ミステリー
山奥の保養所で行われるヨガの断食教室に参加した亀山佑月(かめやまゆづき)。他の参加者6人と共に独自ルールに支配された中での共同生活が始まるが────。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

職場のパートのおばさん

Rollman
恋愛
職場のパートのおばさんと…

処理中です...