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勝利の大味は大犬も喰わぬ
ドッグ・オープニングアクト
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パブロフ乱入騒動は国営傭兵団を主体に対処された。
数時間後には白狼討伐隊の緊急会議が行われ、その報告会が開催される運びとなった。もちろん俺たちも参加する。
言葉飛び交う会議室の中でいきなり襟に手を突っ込まれた。
「ちょ、なにするんですか」
「いや、そろそろ取っておこうと思ってな」
先生が持っているのは一枚の紙。どうやら名刺のようだ。
『怪盗・参上!! 次は言葉を交わそうね!』
「これってさっきの……」
「錬金が自由すぎるヤツだろ。ワタシもあった」
「先生のところにもですか?」
裏を見るとサインらしきものが書かれていた。俺の知っている言語ではなさそうだ。
裏を向けてコカナシに渡す。サインだからか崩された字なのだろう、少し間を置いてから口を開く。
「ニャル……と書かれています」
どうやら彼女はニャルと言うらしい。文面から見てまた会うことになりそうだが……
「緊急会議の報告を始めるぞー!」
凄まじく大きい団長の声が響き、皆が同じ方向を見る。
「面倒だから結論から言う。白狼討伐の時間を早めることが決定した」
本来は三日後の午後だったはず。騒めく会場の中、団長に代わり棋王が前に出る。
「白狼の到達予測は変わっていない。しかしパブロフの一部が想定より早く此方へ来ている。パブロフに進行された後の白狼戦は困難だと判断した。」
まるで先発隊だ。賢いとは聞いていたがまさかそこまで……?
少し皆が鎮まるのを待った棋王は咳払いをして口を開く。
「よって白狼討伐隊出陣の時を三日後の午前とする!」
*
緊急会議から三日後。つまり白狼討伐戦当日である。
場所はハンス・グレーテから少し離れた平原。遠くの方に小さく競技場が見える。
「パブロフ到達予測時間まで約十分、全員心の準備はいいか!」
前の方にいる戦士が大きな声をあげる。
後方で治療するから比較的安全とはいえ、どうしても緊張してしまう。
「……きたぞ!」
団長の大声から少し遅れて野を駆ける音がした。ここまで聞こえているのなら前衛では視認しているかもしれない。
「敵は未だパブロフのみ、恐れる事はない! 防衛隊開け! 一番隊……突撃!」
防御の要である防衛隊が左右に分かれその間を一番隊が駆け抜ける。
団長は一番隊の少し後ろで指揮を取り、棋王は防衛隊の後ろで戦況を見極める。
今回の副隊長であるグリムさんは……一番隊にはいないようだ。
遠くの方で鈍い金属音が鳴り響いた。恐らく一番隊とパブロフの集団が衝突したのだろう。
少しして棋王が扇をあげる。その色を見て先生含む遊撃班が戦火に突入する。
遊撃班、中継班を通じて数人が運ばれてくる。幸い大事には至っていないが足を捻挫したり前衛に立つのは困難だと思われた人だ。
治療班でもベテランの人が数人の治療にあたる。どうやら俺の出番はまだ先のようだ。
しかし火蓋は切って落とされた。
白狼討伐戦、開始である。
数時間後には白狼討伐隊の緊急会議が行われ、その報告会が開催される運びとなった。もちろん俺たちも参加する。
言葉飛び交う会議室の中でいきなり襟に手を突っ込まれた。
「ちょ、なにするんですか」
「いや、そろそろ取っておこうと思ってな」
先生が持っているのは一枚の紙。どうやら名刺のようだ。
『怪盗・参上!! 次は言葉を交わそうね!』
「これってさっきの……」
「錬金が自由すぎるヤツだろ。ワタシもあった」
「先生のところにもですか?」
裏を見るとサインらしきものが書かれていた。俺の知っている言語ではなさそうだ。
裏を向けてコカナシに渡す。サインだからか崩された字なのだろう、少し間を置いてから口を開く。
「ニャル……と書かれています」
どうやら彼女はニャルと言うらしい。文面から見てまた会うことになりそうだが……
「緊急会議の報告を始めるぞー!」
凄まじく大きい団長の声が響き、皆が同じ方向を見る。
「面倒だから結論から言う。白狼討伐の時間を早めることが決定した」
本来は三日後の午後だったはず。騒めく会場の中、団長に代わり棋王が前に出る。
「白狼の到達予測は変わっていない。しかしパブロフの一部が想定より早く此方へ来ている。パブロフに進行された後の白狼戦は困難だと判断した。」
まるで先発隊だ。賢いとは聞いていたがまさかそこまで……?
少し皆が鎮まるのを待った棋王は咳払いをして口を開く。
「よって白狼討伐隊出陣の時を三日後の午前とする!」
*
緊急会議から三日後。つまり白狼討伐戦当日である。
場所はハンス・グレーテから少し離れた平原。遠くの方に小さく競技場が見える。
「パブロフ到達予測時間まで約十分、全員心の準備はいいか!」
前の方にいる戦士が大きな声をあげる。
後方で治療するから比較的安全とはいえ、どうしても緊張してしまう。
「……きたぞ!」
団長の大声から少し遅れて野を駆ける音がした。ここまで聞こえているのなら前衛では視認しているかもしれない。
「敵は未だパブロフのみ、恐れる事はない! 防衛隊開け! 一番隊……突撃!」
防御の要である防衛隊が左右に分かれその間を一番隊が駆け抜ける。
団長は一番隊の少し後ろで指揮を取り、棋王は防衛隊の後ろで戦況を見極める。
今回の副隊長であるグリムさんは……一番隊にはいないようだ。
遠くの方で鈍い金属音が鳴り響いた。恐らく一番隊とパブロフの集団が衝突したのだろう。
少しして棋王が扇をあげる。その色を見て先生含む遊撃班が戦火に突入する。
遊撃班、中継班を通じて数人が運ばれてくる。幸い大事には至っていないが足を捻挫したり前衛に立つのは困難だと思われた人だ。
治療班でもベテランの人が数人の治療にあたる。どうやら俺の出番はまだ先のようだ。
しかし火蓋は切って落とされた。
白狼討伐戦、開始である。
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