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幽霊監獄の流行病
アカイヌ
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「ここがネズミの巣、ですか」
コカナシがそう言いながら恐れもせずに入って行く。
「コカナシちゃんの肝が一番座っているな」
彼女を先頭に俺たちも入って行く。なんだか情けない……
朽ちかけた扉を開けると奥の方で沢山の物音がした。恐らくはネズミだろう。
「……行きますか?」
「正直行きたくはないけど……情報がないと僕たちは死んでしまうからな」
全員がしぶしぶ進んで行く。電灯などはもちろん切れており、だんだん暗くなっていく。
目の前がようやく見えるか見えないか、音を頼りに俺たちは進んでいった。
*
「何もないじゃねぇか!」
ネズミの巣から出て叫ぶ。
アカサギが入れないとか沢山のネズミとか目の前が見えないほど暗い場所とか……いかにも何かありそうな雰囲気を醸し出していたじゃねぇか!
「確かに残念だったけど一応収穫はあったじゃないか」
「これは……収穫なのか?」
俺の鞄に入っているのは一匹のネズミ。
「見つかったのは一匹だけですし良いものかもしれませんよ?」
「でもただのネズミだしなぁ」
そうただのネズミ。ヌードマウスでは無く毛の生えた普通のネズミである。
「僕が見るにヒトネズミであることは間違いないと思うよ。βヌードマウスは意図的に遺伝子組み換えをしたネズミだから……先祖返りってやつかもしれない」
「先祖返り……役に立つのかな」
まだぎりぎり息のあるそのネズミをカバンに入れ、俺たちは帰路についた。
*
「いや、使えないな」
毛のあるネズミを調べた先生は躊躇いもなくそう言い放った。
「今後使えるかもしれないから保存はしておこう」
「今後があれば、の話だけどな」
俺と先生にしか聞こえない軽悪口の発信源を睨みつける。
「あんまし睨むなよ。心配しなくても希望は見えているともさ」
「……はあ?」
「アカサギの言う通りだ」
先生がニヤリと笑う。
「……?」
アカサギの声が聞こえていない二人が首を傾げたのを見て先生は言い直す
「希望の光は見えた。上手くいけばワタシたちはここを生きて出られるぞ」
「本当かい!」
「さすがキミア様! どんな方法ですか!」
二人のテンションが見るからに上がっている。かくいう俺もハイテンションだ。
そんな俺たちの様子にご満悦な先生は立ち上がって俺たちに問いかける。
「お前らがネズミを調査したのはなぜだ?」
「この状況下で生き残っているのなら抗体があるはず……だろう?」
「そう、しかしその予想は外れていた。しかし同じ理論で考えてみろ」
「…………」
皆で考えるが答えは出ない。さっきからニヤニヤしているアカサギは答えを知っているのだろう。
と、いうか先生がすごく活き活きとしている。探偵気分なのだろうか。
「考えろ。ここに生きているのはネズミだけか?」
「……虫、かい?」
「ワタシ達と構造が違いすぎる。抗体を持っていても役には立たん」
もういい。先生に答えを聞いてしまおうと思ったその時、大人しくしていたナディが手を上げる。
「わかった! みえちゃん!」
数秒の沈黙。俺たち三人は同時に声を上げた。
「ナディちゃん!」
そう、俺たちが来る前からナディはここにいた。あまりにも自然すぎて見逃していたのだ。
なんと馬鹿らしい結末だろうか。ともあれこれで一安心である。
コカナシがそう言いながら恐れもせずに入って行く。
「コカナシちゃんの肝が一番座っているな」
彼女を先頭に俺たちも入って行く。なんだか情けない……
朽ちかけた扉を開けると奥の方で沢山の物音がした。恐らくはネズミだろう。
「……行きますか?」
「正直行きたくはないけど……情報がないと僕たちは死んでしまうからな」
全員がしぶしぶ進んで行く。電灯などはもちろん切れており、だんだん暗くなっていく。
目の前がようやく見えるか見えないか、音を頼りに俺たちは進んでいった。
*
「何もないじゃねぇか!」
ネズミの巣から出て叫ぶ。
アカサギが入れないとか沢山のネズミとか目の前が見えないほど暗い場所とか……いかにも何かありそうな雰囲気を醸し出していたじゃねぇか!
「確かに残念だったけど一応収穫はあったじゃないか」
「これは……収穫なのか?」
俺の鞄に入っているのは一匹のネズミ。
「見つかったのは一匹だけですし良いものかもしれませんよ?」
「でもただのネズミだしなぁ」
そうただのネズミ。ヌードマウスでは無く毛の生えた普通のネズミである。
「僕が見るにヒトネズミであることは間違いないと思うよ。βヌードマウスは意図的に遺伝子組み換えをしたネズミだから……先祖返りってやつかもしれない」
「先祖返り……役に立つのかな」
まだぎりぎり息のあるそのネズミをカバンに入れ、俺たちは帰路についた。
*
「いや、使えないな」
毛のあるネズミを調べた先生は躊躇いもなくそう言い放った。
「今後使えるかもしれないから保存はしておこう」
「今後があれば、の話だけどな」
俺と先生にしか聞こえない軽悪口の発信源を睨みつける。
「あんまし睨むなよ。心配しなくても希望は見えているともさ」
「……はあ?」
「アカサギの言う通りだ」
先生がニヤリと笑う。
「……?」
アカサギの声が聞こえていない二人が首を傾げたのを見て先生は言い直す
「希望の光は見えた。上手くいけばワタシたちはここを生きて出られるぞ」
「本当かい!」
「さすがキミア様! どんな方法ですか!」
二人のテンションが見るからに上がっている。かくいう俺もハイテンションだ。
そんな俺たちの様子にご満悦な先生は立ち上がって俺たちに問いかける。
「お前らがネズミを調査したのはなぜだ?」
「この状況下で生き残っているのなら抗体があるはず……だろう?」
「そう、しかしその予想は外れていた。しかし同じ理論で考えてみろ」
「…………」
皆で考えるが答えは出ない。さっきからニヤニヤしているアカサギは答えを知っているのだろう。
と、いうか先生がすごく活き活きとしている。探偵気分なのだろうか。
「考えろ。ここに生きているのはネズミだけか?」
「……虫、かい?」
「ワタシ達と構造が違いすぎる。抗体を持っていても役には立たん」
もういい。先生に答えを聞いてしまおうと思ったその時、大人しくしていたナディが手を上げる。
「わかった! みえちゃん!」
数秒の沈黙。俺たち三人は同時に声を上げた。
「ナディちゃん!」
そう、俺たちが来る前からナディはここにいた。あまりにも自然すぎて見逃していたのだ。
なんと馬鹿らしい結末だろうか。ともあれこれで一安心である。
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