錬金薬学のすすめ

ナガカタサンゴウ

文字の大きさ
上 下
190 / 199
神童の別れ

決別

しおりを挟む
「……決して邪魔を入れるな」
 俺たちに小さくそう言った先生の錬金石が光る。今までにない強い光、生命力の光りだ。
 視界を変えるとコカナシとエルフの血には既にコネクトしていた。
「よく見ておけ」
「アルス!?」
 いつの間にか隣にアルスがいた。その後ろにはこれまたいつの間にか警戒を解いていた三匹のキメラ。
「構えずともよい」
「…………」
「よく見ておけ、アレが天才の錬金術だ」

 *

 強い光の中央で先生はコカナシの散らばった内臓を結合させていく。
 弱った部分には強化を、足りない部分はエルフの血を持ちいて補修を。身体の中に人工臓器を直接作り出していると言えば分かりやすいかもしれない。
 ともかく普通ではあり得ない錬金術だった。

 *

「…………」
 錬金術が終わる。俺の目で見た限りコカナシの内臓に異常はない。
「ハハハハ!流石だ!」
 アルスが叫ぶ
「やはりキミア、お前は天才だ! 惜しい、錬金薬学なんぞに使うには惜しすぎる才能だ!」
「アルス……決着をつけよう」
「ハハ……決着、か」
「きっとワタシたちは一生平行線だ」
「ああ、そうだろうな」
「だから決着をつけよう」
「いいだろう……方法はアレで、本気のアレでいいな」
「ああ」
 先生の答えを聞いたアルスは身を翻す。
「一時間後だ、お互いに万全の状態でいこうじゃないか」
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

伯爵夫人のお気に入り

つくも茄子
ファンタジー
プライド伯爵令嬢、ユースティティアは僅か二歳で大病を患い入院を余儀なくされた。悲しみにくれる伯爵夫人は、遠縁の少女を娘代わりに可愛がっていた。 数年後、全快した娘が屋敷に戻ってきた時。 喜ぶ伯爵夫人。 伯爵夫人を慕う少女。 静観する伯爵。 三者三様の想いが交差する。 歪な家族の形。 「この家族ごっこはいつまで続けるおつもりですか?お父様」 「お人形遊びはいい加減卒業なさってください、お母様」 「家族?いいえ、貴方は他所の子です」 ユースティティアは、そんな家族の形に呆れていた。 「可愛いあの子は、伯爵夫人のお気に入り」から「伯爵夫人のお気に入り」にタイトルを変更します。

転売屋(テンバイヤー)は相場スキルで財を成す

エルリア
ファンタジー
【祝!第17回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞!】 転売屋(テンバイヤー)が異世界に飛ばされたらチートスキルを手にしていた! 元の世界では疎まれていても、こっちの世界なら問題なし。 相場スキルを駆使して目指せ夢のマイショップ! ふとしたことで異世界に飛ばされた中年が、青年となってお金儲けに走ります。 お金は全てを解決する、それはどの世界においても同じ事。 金金金の主人公が、授かった相場スキルで私利私欲の為に稼ぎまくります。

第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。

黒ハット
ファンタジー
 前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。  

髪の色は愛の証 〜白髪少年愛される〜

あめ
ファンタジー
髪の色がとてもカラフルな世界。 そんな世界に唯一現れた白髪の少年。 その少年とは神様に転生させられた日本人だった。 その少年が“髪の色=愛の証”とされる世界で愛を知らぬ者として、可愛がられ愛される話。 ⚠第1章の主人公は、2歳なのでめっちゃ拙い発音です。滑舌死んでます。 ⚠愛されるだけではなく、ちょっと可哀想なお話もあります。

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

異世界日帰りごはん【料理で王国の胃袋を掴みます!】

ちっき
ファンタジー
【書籍化決定しました!】 異世界に行った所で政治改革やら出来るわけでもなくチートも俺TUEEEE!も無く異世界での日常を全力で楽しむ女子高生の物語。 暇な時に異世界ぷらぷら遊びに行く日常にちょっとだけ楽しみが増える程度のスパイスを振りかけて。そんな気分でおでかけしてるのに王国でドタパタと、スパイスってそれ何万スコヴィルですか!

柱神の巫女~貴方の「愛」は信じない~

蓮実 アラタ
恋愛
フローランズ王国は人間の外敵である魔素と、その魔素から派生する魔物の侵入を拒む『天蓋』に覆われた国。 その『天蓋』を支える存在──神に選ばれし巫女、『柱神』であったリステラは10年の時を経てその役目を終えた。 役目を終えた彼女に国王は長年国を支えてくれた功績を讃え、リステラと王太子の婚約を発表する。 それは、リステラを愛している王太子自身の望みでもあった。 しかし、リステラはこの婚約を破棄する。 彼女は知っていたのだ。 王太子が本当に自分を愛しているわけではないと。 ※そこまで長引かせないつもりの息抜きの短編です。 小説家になろう様にも投稿しています。

怪力幼女は恋愛関係おことわり!

白生荼汰
ファンタジー
恋愛のいざこざに巻き込まれて死んだ榊千尋は、気がつけば見知らぬ世界で幼女となっていた。 声が小さいコミュ障の美形ロイの厄介になりつつ、千尋改めチーロは異世界で生きていく。 カクヨム、小説家になろうにも投稿してます。

処理中です...