151 / 199
錬金集合智『トリスメギストス』〜神愛なる少女〜
キメラの母
しおりを挟む
「生命力が見える、それって……」
智野の視線は俺に向けられている。それは、俺のと同じ……いや、異界の才能ではないだろうから先生と同じ
「エルフの目、ですか?」
「ええ、だけどわたくしはエルフではないのです。目を移植したのです、視力回復には至らなかったのですが生命力は見えるのです」
「目の移植? ここの医療ってそこまで進んでるのか?」
「実例はあるはずだよ、国の認可は出てないけどね」
答えたアデルは顎を撫でて続ける
「でも……エルフの目? それはおかしい」
純血のエルフは既に絶滅している、しかし……
「先生と同じでハーフエルフの類いだろ? エルフから三親等はハーフエルフだから結構いるって聞いたぞ」
「エルフの目は二親等まで、しかも稀だって言ってたよ」
「いやいや、そこじゃないんだ」
始まりそうになった智野との考察をアデルが制してきた。
「そもそも別種族の移植はまだ成功例が無いって聞いたんだよ」
テケリ視線が集まる。答えは彼女のみが知るのだ。
「だってコレは医療ではありませんもの、これは錬金術の賜物なのです」
「移植の錬金術……」
もしそれが本当ならば……智野の足を治すのに利用できるかもしれない。
「その話、詳しく聞きたいです。その錬金術を行なったのは誰ですか?」
「ココに住む錬金術です。でも何かに利用するというのならオススメはしません」
「何か副作用が?」
「ええ、視力を失います。わたくしは元々視力を失っていたので……裏技みたいなやり方です」
「なるほど……」
それは、ダメだな。
「話を交わすのはとても良いけど、本来の目的を忘れてないかい」
「あ、そうだ。ニャルだニャル」
「数時間前まではいたのですが……すみません、何処にいるかはわからないのです」
「何処に行くとか言ってなかったですか?」
「さあ……あの子は神出鬼没ですから。狙って会うのは大変ですよ。ゲラシノスがやっているように人海戦術が一番でしょう」
*
「情報は手に入ったかい?」
「いや、人海戦術が有効って事ぐらい」
通路を進みながらカリが溜息をつく
「やっぱり別れて探しますか?」
「そうだねぇ、二人ずつがよさそうだねぇ」
「何を探しているんじゃ?」
「何って、そりゃあニャル……」
ちょっとまて、誰だ今の。
後ろを見ながら一歩離れる。たぶんゲラシノスではないが……
「カッカッカッ、そう警戒するな青年」
そこにいたのは一人の男性。白髪の髪はサイドにしか残っておらず見えた歯は何本か抜けている。
スマートな白衣風の服を身にまとい、目にはゴーグルのように分厚い眼鏡が光っている。
「いつもは研究室にこもってる癖に、間の悪い男だね」
「マッカファミリーまで一緒か、まあニャルを探すなら適任じゃわな」
男はケタケタと笑ってズレた眼鏡をかけなおす。
「錬金術師もおるようじゃし自己紹介をしておこうか。儂はビルケ、宗教面は知らんが技術面を取り締まっておる……トリストメギスのNo.2じゃ」
智野の視線は俺に向けられている。それは、俺のと同じ……いや、異界の才能ではないだろうから先生と同じ
「エルフの目、ですか?」
「ええ、だけどわたくしはエルフではないのです。目を移植したのです、視力回復には至らなかったのですが生命力は見えるのです」
「目の移植? ここの医療ってそこまで進んでるのか?」
「実例はあるはずだよ、国の認可は出てないけどね」
答えたアデルは顎を撫でて続ける
「でも……エルフの目? それはおかしい」
純血のエルフは既に絶滅している、しかし……
「先生と同じでハーフエルフの類いだろ? エルフから三親等はハーフエルフだから結構いるって聞いたぞ」
「エルフの目は二親等まで、しかも稀だって言ってたよ」
「いやいや、そこじゃないんだ」
始まりそうになった智野との考察をアデルが制してきた。
「そもそも別種族の移植はまだ成功例が無いって聞いたんだよ」
テケリ視線が集まる。答えは彼女のみが知るのだ。
「だってコレは医療ではありませんもの、これは錬金術の賜物なのです」
「移植の錬金術……」
もしそれが本当ならば……智野の足を治すのに利用できるかもしれない。
「その話、詳しく聞きたいです。その錬金術を行なったのは誰ですか?」
「ココに住む錬金術です。でも何かに利用するというのならオススメはしません」
「何か副作用が?」
「ええ、視力を失います。わたくしは元々視力を失っていたので……裏技みたいなやり方です」
「なるほど……」
それは、ダメだな。
「話を交わすのはとても良いけど、本来の目的を忘れてないかい」
「あ、そうだ。ニャルだニャル」
「数時間前まではいたのですが……すみません、何処にいるかはわからないのです」
「何処に行くとか言ってなかったですか?」
「さあ……あの子は神出鬼没ですから。狙って会うのは大変ですよ。ゲラシノスがやっているように人海戦術が一番でしょう」
*
「情報は手に入ったかい?」
「いや、人海戦術が有効って事ぐらい」
通路を進みながらカリが溜息をつく
「やっぱり別れて探しますか?」
「そうだねぇ、二人ずつがよさそうだねぇ」
「何を探しているんじゃ?」
「何って、そりゃあニャル……」
ちょっとまて、誰だ今の。
後ろを見ながら一歩離れる。たぶんゲラシノスではないが……
「カッカッカッ、そう警戒するな青年」
そこにいたのは一人の男性。白髪の髪はサイドにしか残っておらず見えた歯は何本か抜けている。
スマートな白衣風の服を身にまとい、目にはゴーグルのように分厚い眼鏡が光っている。
「いつもは研究室にこもってる癖に、間の悪い男だね」
「マッカファミリーまで一緒か、まあニャルを探すなら適任じゃわな」
男はケタケタと笑ってズレた眼鏡をかけなおす。
「錬金術師もおるようじゃし自己紹介をしておこうか。儂はビルケ、宗教面は知らんが技術面を取り締まっておる……トリストメギスのNo.2じゃ」
0
お気に入りに追加
68
あなたにおすすめの小説

調子に乗りすぎて処刑されてしまった悪役貴族のやり直し自制生活 〜ただし自制できるとは言っていない〜
EAT
ファンタジー
「どうしてこうなった?」
優れた血統、高貴な家柄、天賦の才能────生まれときから勝ち組の人生により調子に乗りまくっていた侯爵家嫡男クレイム・ブラッドレイは殺された。
傍から見ればそれは当然の報いであり、殺されて当然な悪逆非道の限りを彼は尽くしてきた。しかし、彼はなぜ自分が殺されなければならないのか理解できなかった。そして、死ぬ間際にてその答えにたどり着く。簡単な話だ………信頼し、友と思っていた人間に騙されていたのである。
そうして誰もにも助けてもらえずに彼は一生を終えた。意識が薄れゆく最中でクレイムは思う。「願うことならば今度の人生は平穏に過ごしたい」と「決して調子に乗らず、謙虚に慎ましく穏やかな自制生活を送ろう」と。
次に目が覚めればまた新しい人生が始まると思っていたクレイムであったが、目覚めてみればそれは10年前の少年時代であった。
最初はどういうことか理解が追いつかなかったが、また同じ未来を繰り返すのかと絶望さえしたが、同時にそれはクレイムにとって悪い話ではなかった。「同じ轍は踏まない。今度は全てを投げ出して平穏なスローライフを送るんだ!」と目標を定め、もう一度人生をやり直すことを決意する。
しかし、運命がそれを許さない。
一度目の人生では考えられないほどの苦難と試練が真人間へと更生したクレイムに次々と降りかかる。果たしてクレイムは本当にのんびり平穏なスローライフを遅れるのだろうか?
※他サイトにも掲載中

婚約者が隣国の王子殿下に夢中なので潔く身を引いたら病弱王女の婚約者に選ばれました。
ユウ
ファンタジー
辺境伯爵家の次男シオンは八歳の頃から伯爵令嬢のサンドラと婚約していた。
我儘で少し夢見がちのサンドラは隣国の皇太子殿下に憧れていた。
その為事あるごとに…
「ライルハルト様だったらもっと美しいのに」
「どうして貴方はライルハルト様じゃないの」
隣国の皇太子殿下と比べて罵倒した。
そんな中隣国からライルハルトが留学に来たことで関係は悪化した。
そして社交界では二人が恋仲で悲恋だと噂をされ爪はじきに合うシオンは二人を思って身を引き、騎士団を辞めて国を出ようとするが王命により病弱な第二王女殿下の婚約を望まれる。
生まれつき体が弱く他国に嫁ぐこともできないハズレ姫と呼ばれるリディア王女を献身的に支え続ける中王はシオンを婿養子に望む。
一方サンドラは皇太子殿下に近づくも既に婚約者がいる事に気づき、シオンと復縁を望むのだが…
HOT一位となりました!
皆様ありがとうございます!
素材採取家の異世界旅行記
木乃子増緒
ファンタジー
28歳会社員、ある日突然死にました。謎の青年にとある惑星へと転生させられ、溢れんばかりの能力を便利に使って地味に旅をするお話です。主人公最強だけど最強だと気づいていない。
可愛い女子がやたら出てくるお話ではありません。ハーレムしません。恋愛要素一切ありません。
個性的な仲間と共に素材採取をしながら旅を続ける青年の異世界暮らし。たまーに戦っています。
このお話はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。
裏話やネタバレはついったーにて。たまにぼやいております。
この度アルファポリスより書籍化致しました。
書籍化部分はレンタルしております。
異世界着ぐるみ転生
こまちゃも
ファンタジー
旧題:着ぐるみ転生
どこにでもいる、普通のOLだった。
会社と部屋を往復する毎日。趣味と言えば、十年以上続けているRPGオンラインゲーム。
ある日気が付くと、森の中だった。
誘拐?ちょっと待て、何この全身モフモフ!
自分の姿が、ゲームで使っていたアバター・・・二足歩行の巨大猫になっていた。
幸い、ゲームで培ったスキルや能力はそのまま。使っていたアイテムバッグも中身入り!
冒険者?そんな怖い事はしません!
目指せ、自給自足!
*小説家になろう様でも掲載中です

【完結】転生したら悪役令嬢だった腐女子、推し課金金策してたら無双でざまぁで愛されキャラ?いえいえ私は見守りたいだけですわ
鏑木 うりこ
恋愛
毒親から逃げ出してブラック企業で働いていた私の箱推し乙女ゲーム「トランプる!」超重課金兵だった私はどうやらその世界に転生してしまったらしい。
圧倒的ご褒美かつ感謝なのだが、如何せん推しに課金するお金がない!推しがいるのに課金が出来ないなんてトラ畜(トランプる重課金者の総称)として失格も良い所だわ!
なりふり構わず、我が道を邁進していると……おや?キング達の様子が?……おや?クイーン達も??
「クラブ・クイーン」マリエル・クラブの廃オタク課金生活が始まったのですわ。
*ハイパーご都合主義&ネット用語、オタ用語が飛び交う大変に頭の悪い作品となっております。
*ご照覧いただけたら幸いです。
*深く考えないでいただけるともっと幸いです。
*作者阿呆やな~楽しいだけで書いとるやろ、しょーがねーなーと思っていただけるともっと幸いです。
*あと、なんだろう……怒らないでね……(*‘ω‘ *)えへへ……。
マリエルが腐女子ですが、腐女子っぽい発言はあまりしないようにしています。BLは起こりません(笑)
2022年1月2日から公開して3月16日で本編が終了致しました。長い間たくさん見ていただいて本当にありがとうございました(*‘ω‘ *)
恋愛大賞は35位と健闘させて頂きました!応援、感想、お気に入りなどたくさんありがとうございました!

【完結】王太子殿下が幼馴染を溺愛するので、あえて応援することにしました。
かとるり
恋愛
王太子のオースティンが愛するのは婚約者のティファニーではなく、幼馴染のリアンだった。
ティファニーは何度も傷つき、一つの結論に達する。
二人が結ばれるよう、あえて応援する、と。

元捨て子の新米王子様、今日もお仕事頑張ります!
藤なごみ
ファンタジー
簡易説明
転生前も転生後も捨て子として育てられた少年が、大きく成長する物語です
詳細説明
生まれた直後に病院に遺棄されるという運命を背負った少年は、様々な境遇の子どもが集まった孤児院で成長していった。
そして孤児院を退寮後に働いていたのだが、本人が気が付かないうちに就寝中に病気で亡くなってしまいす。
そして再び少年が目を覚ますと、前世の記憶を持ったまま全く別の世界で新たな生を受ける事に。
しかし、ここでも再び少年は生後直ぐに遺棄される運命を辿って行く事になります。
赤ん坊となった少年は、果たして家族と再会する事が出来るのか。
色々な視点が出てきて読みにくいと思いますがご了承ください。
家族の絆、血のつながりのある絆、血のつながらない絆とかを書いて行く予定です。
※小説家になろう様でも投稿しております
拝啓、愛しの侯爵様~行き遅れ令嬢ですが、運命の人は案外近くにいたようです~
藤原ライラ
ファンタジー
心を奪われた手紙の先には、運命の人が待っていた――
子爵令嬢のキャロラインは、両親を早くに亡くし、年の離れた弟の面倒を見ているうちにすっかり婚期を逃しつつあった。夜会でも誰からも相手にされない彼女は、新しい出会いを求めて文通を始めることに。届いた美しい字で洗練された内容の手紙に、相手はきっとうんと年上の素敵なおじ様のはずだとキャロラインは予想する。
彼とのやり取りにときめく毎日だがそれに難癖をつける者がいた。幼馴染で侯爵家の嫡男、クリストファーである。
「理想の相手なんかに巡り合えるわけないだろう。現実を見た方がいい」
四つ年下の彼はいつも辛辣で彼女には冷たい。
そんな時キャロラインは、夜会で想像した文通相手とそっくりな人物に出会ってしまう……。
文通相手の正体は一体誰なのか。そしてキャロラインの恋の行方は!?
じれじれ両片思いです。
※他サイトでも掲載しています。
イラスト:ひろ様(https://xfolio.jp/portfolio/hiro_foxtail)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる