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幽霊監獄の流行病
コウダン
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「そろそろ起きてください。タカ」
「ん、ああ……今起きる」
伸びをして目をこすり、数分ボーッとしてからようやく立ち上がる。
錆びついた扉が開いて置いてある人形が浮かび上がる。
「ああ、おかえり」
外にでると麻袋が置いてあり、その中にネズミの肉が入っている。
この肉は夜の間に幽霊が取って捌いてくるらしい。因みにこの幽霊生きている者は触れないらしく、ナイフで殺してからようやくネズミに触れるのだという。
幽霊とは人形の他に土と棒での筆談でコミュニケーションをとっている。ナディは文字の読み書きが出来ないからその方法は俺たちに限られている。
と、この三日間で分かったのは幽霊の事ばかり。幽霊は監獄に収容されていた囚人で目隠しされてここに連れてこられたらしく場所の把握には至っていない。
「あー怠い」
一応毛布はあるが床が硬い。倦怠感とか頭痛が酷いのだ。後なんか所々痒い。
「早く帰りたい……」
小さく呟いた後、麻袋を持って戻る。
ここから出るのはいつになるのだろうか……
*
「起きろー!」
「ぐふっ……うう……」
ナディが上に乗ってアデルを揺らしていた。
「いやホント……無理……タカ助けて……」
「……?」
いつものアデルならナディを持ち上げて回るくらいの事はしそうなのだが……寝起きとはいえテンションが低すぎる。
「ナディちゃん。ちょっと降りてねー」
「やー!」
嫌がるナディを降ろして屈む。
「大丈夫か?」
「身体が怠い……起き上がるのも辛い……」
「え、ホントにヤバイ感じか」
少し赤みを帯びたアデルの顔。おでこを触ると中々の熱さが感じ取れた。
「風邪引いてるんじゃないか……コカナシ、先生を呼んで来てくれ」
軽食を作っていたコカナシに呼びかけてから持っていたバックを漁る。
「薬草とかあったかな……」
「オヤジたいへん?」
「んー、少しキツイかな。近づかないほうがいいよナディちゃん」
「えー」
「邪魔だ。下がってろ」
駄々をこねるナディを先生が後ろにやる。
「タカ、とりあえず解熱剤……念の為効果の薄いやつを錬金しろ。コカナシ、ワタシの鞄から材料を持ってこい」
「了解です」
俺たちが解熱剤を作っている間に先生の診察が始まる。
「脱がすぞ」
「ちょ、そこまでやる必要はあるのかい……?」
「こういう環境で最初に疑うべきは動物からの感染だ……ほらあった」
俺が錬金を終わらせたと同時に先生がアデルの肩に傷を見つけた。
何かの歯型のような傷だ。
「炎症しているな……何かウイルスが入った恐れがある」
「うう……すまない」
「ワタシの鞄にマスクがあるから全員使え。コカナシはここに居ろ、ナディをあまり近づけるな」
アデルに解熱剤を飲ませた先生は立ち上がって手招きした。
「タカ……あとお前もこい」
お前というのは幽霊だろう。人形が頷いた。
*
俺たちを連れて外に出るた先生は前置き無く本題に入った。
「捨てたわけでは無く徐々に衰退していったような廃墟、監獄にしても厳重すぎる大きな壁……ここに何があった?」
「それってどういう……」
「老朽化していたとしてもこれほどの監獄を捨てる理由が見当たらない。もし捨てたとしても周りの環境に配慮して取り壊すなりするとするのが普通じゃないのか?」
「…………」
この世界の普通は分からない。それ以上に分からないのは……
「なんで俺連れてこられたんですか?」
「ん? ああ、いつまでもワタシ一人が見えていたんじゃ不便だと思ってな」
「それはそうですけど……」
「だからお前にも見えるようにする」
「え? 見えるように?」
視界の端で可愛い人形が首を傾げた。
「ん、ああ……今起きる」
伸びをして目をこすり、数分ボーッとしてからようやく立ち上がる。
錆びついた扉が開いて置いてある人形が浮かび上がる。
「ああ、おかえり」
外にでると麻袋が置いてあり、その中にネズミの肉が入っている。
この肉は夜の間に幽霊が取って捌いてくるらしい。因みにこの幽霊生きている者は触れないらしく、ナイフで殺してからようやくネズミに触れるのだという。
幽霊とは人形の他に土と棒での筆談でコミュニケーションをとっている。ナディは文字の読み書きが出来ないからその方法は俺たちに限られている。
と、この三日間で分かったのは幽霊の事ばかり。幽霊は監獄に収容されていた囚人で目隠しされてここに連れてこられたらしく場所の把握には至っていない。
「あー怠い」
一応毛布はあるが床が硬い。倦怠感とか頭痛が酷いのだ。後なんか所々痒い。
「早く帰りたい……」
小さく呟いた後、麻袋を持って戻る。
ここから出るのはいつになるのだろうか……
*
「起きろー!」
「ぐふっ……うう……」
ナディが上に乗ってアデルを揺らしていた。
「いやホント……無理……タカ助けて……」
「……?」
いつものアデルならナディを持ち上げて回るくらいの事はしそうなのだが……寝起きとはいえテンションが低すぎる。
「ナディちゃん。ちょっと降りてねー」
「やー!」
嫌がるナディを降ろして屈む。
「大丈夫か?」
「身体が怠い……起き上がるのも辛い……」
「え、ホントにヤバイ感じか」
少し赤みを帯びたアデルの顔。おでこを触ると中々の熱さが感じ取れた。
「風邪引いてるんじゃないか……コカナシ、先生を呼んで来てくれ」
軽食を作っていたコカナシに呼びかけてから持っていたバックを漁る。
「薬草とかあったかな……」
「オヤジたいへん?」
「んー、少しキツイかな。近づかないほうがいいよナディちゃん」
「えー」
「邪魔だ。下がってろ」
駄々をこねるナディを先生が後ろにやる。
「タカ、とりあえず解熱剤……念の為効果の薄いやつを錬金しろ。コカナシ、ワタシの鞄から材料を持ってこい」
「了解です」
俺たちが解熱剤を作っている間に先生の診察が始まる。
「脱がすぞ」
「ちょ、そこまでやる必要はあるのかい……?」
「こういう環境で最初に疑うべきは動物からの感染だ……ほらあった」
俺が錬金を終わらせたと同時に先生がアデルの肩に傷を見つけた。
何かの歯型のような傷だ。
「炎症しているな……何かウイルスが入った恐れがある」
「うう……すまない」
「ワタシの鞄にマスクがあるから全員使え。コカナシはここに居ろ、ナディをあまり近づけるな」
アデルに解熱剤を飲ませた先生は立ち上がって手招きした。
「タカ……あとお前もこい」
お前というのは幽霊だろう。人形が頷いた。
*
俺たちを連れて外に出るた先生は前置き無く本題に入った。
「捨てたわけでは無く徐々に衰退していったような廃墟、監獄にしても厳重すぎる大きな壁……ここに何があった?」
「それってどういう……」
「老朽化していたとしてもこれほどの監獄を捨てる理由が見当たらない。もし捨てたとしても周りの環境に配慮して取り壊すなりするとするのが普通じゃないのか?」
「…………」
この世界の普通は分からない。それ以上に分からないのは……
「なんで俺連れてこられたんですか?」
「ん? ああ、いつまでもワタシ一人が見えていたんじゃ不便だと思ってな」
「それはそうですけど……」
「だからお前にも見えるようにする」
「え? 見えるように?」
視界の端で可愛い人形が首を傾げた。
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