錬金薬学のすすめ

ナガカタサンゴウ

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異世界へすすめ

異世界への渦

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 何枚ものガラスの向こうに脱出用ポッドのような物が幾つも並んでいる。
「もう五年以上経つんだな……」
 俺はその中の一つ、一番手前のポッドを見つめて呟く。その中で冷凍保存、コールドスリープしているのは中学時代からの恋人、屋久路智乃だ。
「俺はもうおっさんだぜ」
 彼女が冷凍保存されて数年、日々医学は進歩しているが脳死の人間を目覚めさせる術は見つかっていない。
 彼女が目を覚ますわけでもないのに見ていても仕方ない、明日の講義も早いんだ。俺はそんな事を考えてガラスに背を向ける。
「またくる……おっと?」
 躓いたわけでも無いのによろめいてしまう。
「……?」
 体制を立て直そうとするがうまくいかない。真っ直ぐ立とうとするとまたよろめいてしまう。まるでこの部屋の空間自体が揺れているような、そんな感覚。
 仕方がないので座ろうとした俺の下に、それは現れた。
 大きな黒。CGで作られたブラックホールのような黒だ。
 突然現れた渦巻く黒、立ち上がる暇もなく俺はそれに飲み込まれた。
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