眩しい君と眼鏡な僕

阿吽の呼吸

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眩しい君と初めての出会いは去年の11月
もう1年も終わりに近づいていて
こんな中途半端な時期にここに来てよかったのかっていう気持ち半分とやっと自分の夢が叶いそうで胸がいっぱいいっぱいな気持ちの半分半分だった。



「 はじめまして、山田賢也やまだけんやです 」



ぴかぴかのまだ新品の匂いすらするスーツに
一緒に国家試験を乗り越えた眼鏡
先日切ったばかりの髪
そして初めての教室人生が幕を開けようとしていた



「 山田先生、よろしくお願いしますね 」



そして眩しい君と出会った。
彼は今年の春からここの学校へ来たと言う。
まだ傍から見れば新人なのに僕とは少し違った
眩しかった。

僕が来たのは人材不足だから、だった。
僕がもっている教科は社会科
3年生の社会科の担当をしていた先生が体調不良となり彼が代わりにその先生の担当しているクラスを担当していたそうなのだが、
なにせ彼も新人。だから僕が来ることとなった。



「 ...よろしくお願いします 」



第一印象はただただ眩しい。だった
僕はどちらか大人しいタイプでインドアだった。
だけども彼は活発なタイプで社会人のサッカーチームにも入っているそうだ。
僕とは違う
そうはっきりと思った




それから僕は彼の元につくこととなった。
ついてから分かったことは
彼はとても人気、という事だ。
彼と居ると何人か女子生徒に声をかけられたり男子生徒に絡まれたりした。
最初のうちは僕も絡まれた。
みんな珍しそうに僕を見た
そして、彼とも打ち明けることが出来た。
彼は誰に対しても気さくだったから



「 これで授業を終わります。 」



僕も暫くしないうちに授業にもなれ
声も張れるようになり
色んな生徒に声をかけて貰えるようになった。
生徒と打ち解けれた事は正直かなり嬉しかった



「 山田先生、学校には慣れました? 」

「 ああ、..はい。慣れたと思います.. 」



彼は相変わらず僕と一緒に仕事する事が多かった。
僕も彼も新人だから色んなところに引っ張りだされた。
彼と初めて会った時からもっと仲良くなってからはお互いの授業に出ることもあった。
多くは彼が僕の授業を見に来てくれていた。






初めて僕がこの学校にきてから4ヶ月が過ぎようとしていた。
だんだんとあったかくなっていき
春の陽気が覗いていた。
僕たちが担当している3年生はそろそろ別れの時期だ。
実際卒業式の練習は始まったし
皆もどの高校へ行くかそわそわしていた。
この4ヶ月間で生徒たちは顔付きがやはり変わっていた。
彼は僕も変わったと笑って褒めてくれた。
僕にも変化があったと思う。
彼とだんだん仲良くなる度に
どんどん彼が忘れられなくなっていたから。



「 先生泣きそうでしたね、 」

「 な、泣いてなんかないですよ。でも寂しくなります 」



卒業式の前日。
生徒たちはサプライズで僕たちに向けてサプライズムービーを作ってくれていた
彼を含め周りの先生たちは泣いていた。
勿論僕も。
たった4ヶ月しかいない僕が泣いてしまうんだ。
3年間、1年間一緒にいたほかの先生たちは
僕が想像できないくらいに考え深かったと思う



「 ...卒業。しましたね 」

「 ....そうですね、 」



卒業式が今日終わった。
今日はまさに天気が良かった。
日差しも出ていて風も暖かった、まさに彼らの門出を神様が祝福しているように
卒業式や諸々が終わり、僕たち教師で打ち上げをした。
やはり考えるものがあるのだろう、ほかの先生たちは思い出を話したりして涙を流していた。
この門出の日に告白した生徒たちもいるのだろう、
そう思うと負けていられないと、なぜかそう思った。



「 ...小瀧おだき先生 」

「 ...?どうしました? 」

「 あの、..僕。ずっと好きだったんですよ、先生の事 」

「 ...え? 」



お酒の力もあったんだろう。
つい口走ってしまった、やばい。
あの頃の彼とは差があった。でも、今は距離が近い
だからこそ口走ってしまった。
忘れてくれ、ただただ走りながらそう思っていた



「 先生、ちょっといいですか 」

「 えっ...あ、はい 」



告白してから数日後。
僕は彼に呼び出しをくらった
多分あの件だろう。なかったことにして欲しい
そう言われるのだろうと思っていた。



「 この間の告白って、..まだ有効ですか 」

「 ....え? 」

「 俺、....もっ!すき、...なんで。先生の事 」

「 はあ、...? 」

「 だからっ、...その、 」



夢だと思った。
だから、自分の頬を抓ってみたけど痛い、
夢ではないんだ、
そう思った瞬間涙がこぼれた。
あれ
なんでだろうか
悲しくないのに。
雨が降ったのかと思った。
そしたら、彼が慌てふためくから
やっぱり好きだなあって笑ったら
彼は困ったように笑った、





「 ...僕たちが高校一緒なの気付いてますか? 」

「 え、...うん。 」



僕と眩しい君が結ばれてから3ヶ月
僕は君にそう言った。
僕は君と高校が一緒でその頃から好きだったんだよって話したら
あのやけにあたたかくてぽかぽかした日の時みたいに君は困ったように笑った。





「 初めまして、山田賢也です。 」



眩しい君と眼鏡の僕が社会人になって初めて会ったあの日と同じ挨拶を
初めて出会うこの子たちに向けて話す。
あの頃とは違う
先生として成長して彼の隣に胸を張って笑える僕で
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