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弐章 国づくり
89 防衛戦
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妖魔に占拠された要塞の都、不楽に留まる七人。
彼らの周囲に張られた結界だが…。
今にも壊れそうな程にヒビが入り放たれている光が徐々に弱くなっていく。
「もう、もちません!!」
巫女のコウカはそう叫ぶと右手を八咫鏡から離しホタルの前に迫る黒い霧に向け手を伸ばす。
黒い霧は光る薄い布の様な物に覆われ、もとあった封印されていた場所へと移動し始めた。
「武器を構えて!!
妖魔達がなだれ込んできます!」
ホタルが叫ぶと同時。
大鬼が振るう巨大な棍棒が当たる。
それと同時にバキンと音を立て光と共に薄い光の壁が粉々に砕けちった。
それと同時に全員が動き出し近寄る大蜘蛛の群れを次々と黒い霧に変えていく。
だが…。
中には大狼や大百足の姿がちらほらと見え、全員の意識にこの場所が危険な死地にあるという事実を再認識させる。
「ムメイさん!
少し場所を変わりましょう!
こっちの大百足の討伐をお願いします!!」
ムメイはホタルに視線を送り軽く頷く。
それを確認しホタルは守る陣形の配置を入れ変わるべく走りムメイと入れ替わった。
「大狼は私に任せて!」
ホタルは大狼に斬りかかりムメイは大百足へと殴りかかる。
全員が周囲の有象無象を倒す中。
大鬼だけは同じ様に倒す事はできずにいた。
僧兵のコクシュウが棍を使い打撃を与えるがよろめきも呻きもせず。
忍びのトコヨが手裏剣や忍者刀による切り傷を与えるもののその傷はすぐに塞がってしまう。
「コクシュウ!
トコヨ!
下がれ、私が足止めする!!」
シデンは雷切丸を構え大鬼を睨み棍棒を同じく構え攻撃を繰り出そうとしている大鬼の前に立つ。
だが、シデンが動くより前に横から黒い影が走り抜け大鬼の前に飛び出した。
「どけ…、邪魔だ…」
ムメイはそう呟くと同時に黒い手袋を捨て黒い服の袖を捲り赤い腕と手で大鬼の胸に掌底を放った。
「彼岸花(ひがんばな)」
ムメイがそう言うと同時に大鬼はよろめき背中が弾け血と臓器が地面を赤く染める。
「なにっ!?」
しかし、大鬼は黒い霧へと変わらずそれどころかムメイを睨み手に持つ棍棒を振るい反撃が飛ぶ。
棍棒がムメイに迫りぶつかる寸前、大鬼に電撃が走りピタリと動きが止まった。
ムメイが下を向きシデンを見ると刀を地面に突き刺している姿が見える。
「少し離れた方が良いよ…。
三尺秋水」
(さんじゃくのしゅうすい)
ムメイが地面に着地すると同時にリオンが動きスキルによる水の斬撃を大鬼の足と胴体に向け飛ばす。
水の斬撃は硬い鎧のような皮膚をスッと切り裂き大鬼の胸と足を切断した。
だがそれでもなお…大鬼は黒い霧へと変化しない。
「嘘…もしかしてまだ生きてるの」
トコヨは蒸気を体中から放ち傷をまるで時間を巻き戻しているかのように再生していく大鬼の姿を見た。
「大鬼は頭が弱点です!
蛍火…爽昧!!」
光の斬撃がホタルの刀から飛び大鬼の顔を含む体を縦に切り裂くと大鬼は黒い霧へと変わった。
彼らの周囲に張られた結界だが…。
今にも壊れそうな程にヒビが入り放たれている光が徐々に弱くなっていく。
「もう、もちません!!」
巫女のコウカはそう叫ぶと右手を八咫鏡から離しホタルの前に迫る黒い霧に向け手を伸ばす。
黒い霧は光る薄い布の様な物に覆われ、もとあった封印されていた場所へと移動し始めた。
「武器を構えて!!
妖魔達がなだれ込んできます!」
ホタルが叫ぶと同時。
大鬼が振るう巨大な棍棒が当たる。
それと同時にバキンと音を立て光と共に薄い光の壁が粉々に砕けちった。
それと同時に全員が動き出し近寄る大蜘蛛の群れを次々と黒い霧に変えていく。
だが…。
中には大狼や大百足の姿がちらほらと見え、全員の意識にこの場所が危険な死地にあるという事実を再認識させる。
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少し場所を変わりましょう!
こっちの大百足の討伐をお願いします!!」
ムメイはホタルに視線を送り軽く頷く。
それを確認しホタルは守る陣形の配置を入れ変わるべく走りムメイと入れ替わった。
「大狼は私に任せて!」
ホタルは大狼に斬りかかりムメイは大百足へと殴りかかる。
全員が周囲の有象無象を倒す中。
大鬼だけは同じ様に倒す事はできずにいた。
僧兵のコクシュウが棍を使い打撃を与えるがよろめきも呻きもせず。
忍びのトコヨが手裏剣や忍者刀による切り傷を与えるもののその傷はすぐに塞がってしまう。
「コクシュウ!
トコヨ!
下がれ、私が足止めする!!」
シデンは雷切丸を構え大鬼を睨み棍棒を同じく構え攻撃を繰り出そうとしている大鬼の前に立つ。
だが、シデンが動くより前に横から黒い影が走り抜け大鬼の前に飛び出した。
「どけ…、邪魔だ…」
ムメイはそう呟くと同時に黒い手袋を捨て黒い服の袖を捲り赤い腕と手で大鬼の胸に掌底を放った。
「彼岸花(ひがんばな)」
ムメイがそう言うと同時に大鬼はよろめき背中が弾け血と臓器が地面を赤く染める。
「なにっ!?」
しかし、大鬼は黒い霧へと変わらずそれどころかムメイを睨み手に持つ棍棒を振るい反撃が飛ぶ。
棍棒がムメイに迫りぶつかる寸前、大鬼に電撃が走りピタリと動きが止まった。
ムメイが下を向きシデンを見ると刀を地面に突き刺している姿が見える。
「少し離れた方が良いよ…。
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だがそれでもなお…大鬼は黒い霧へと変化しない。
「嘘…もしかしてまだ生きてるの」
トコヨは蒸気を体中から放ち傷をまるで時間を巻き戻しているかのように再生していく大鬼の姿を見た。
「大鬼は頭が弱点です!
蛍火…爽昧!!」
光の斬撃がホタルの刀から飛び大鬼の顔を含む体を縦に切り裂くと大鬼は黒い霧へと変わった。
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