77 / 90
弐章 国づくり
77 茶屋
しおりを挟む
「美味しぃ……」
ルークは頬を抑え表情を緩める。
アラネアと目指している都のちょうど途中にある茶屋で2人。
ルークとアイノスケが長椅子に座り、温かいお茶と団子を味わっていた。
「旦那…それにしてもよく食べますねぇ」
「そうか?」
「そんな小さい体の一体どこに入ってるんですかい…」
アイノスケは塔の様に積み上がった団子の皿を見て、少し引きぎみにルークを見る。
「ふぅ…食べた食べた…っと」
ルークはお腹をポンポンと叩き長椅子に横になった。
「あの…そろそろお子様が食べたお会計をお願いしたいんですけど…」
アイノスケはビクリと肩を動かし驚くと声のした後ろをゆっくりと振り向く。
そこには茶屋の娘がお盆を持ち、おかわりのお茶を長椅子に寝ているルークの横に置いている所だった。
今のルークには角や腕といった人のものでは無い、鬼と見分けられる特徴は無く見た目だけは寝ているただの人の子だ。
茶屋の娘は目の前に鬼が幻術を使い人の見た目に化けているとは考えも思いもせず。
良い天気の中、気持ち良さそうに昼寝をしているルークの寝顔を見て微笑む。
「姉ちゃん。
大体、銭は幾らくらいだい」
「お会計は…そのお団子が50個で…150文(もん)になります…」
「ひゃくごじゅっ…!?」
アイノスケは一瞬驚いたが残ったお茶をススる事で平静を装う。
150文と言うとだいたい足軽の月給がだいたい125文、辺り。
つまり足軽の月給より少し多いくらい。
間違いなく大金だ。
「旦那…だそうですぜ。
銭持ってますかい」
アイノスケは横で昼寝をしているルークに対し茶屋の娘には聞こえない様に小声で話しかける。
「んん…うるさい。
そう慌てるな…問題ない」
そう言うと寝ながらルークは指をパチンと鳴らした。
「ここは私が…」
ルークが指を鳴らすと気づけば目の前にサルトビが跪き懐からお金の入った巾着袋を取り出していた。
サルトビは茶屋の娘に銀貨を一枚渡す。
「お釣りは取っておけ。
では…」
そう言い残しサルトビは再び消えた。
「いやー本当に忍びって奴は本当に相変わらず凄いと言うか何というか…」
アイノスケは辺りを見渡し何処にいったのかと探しながら、自分が団子の会計を払う事にならなくて良かったと心の底からそう安堵した。
………
アラネアの外れにある人間の村落、イズワ村がある。
「本当にそんな人間だけをお連れにして出発されるのですか?」
「そんな人間……?」
ステラはアイノスケの呟きを無視しルークに話を続ける。
「私達の中におります、戦闘に長けた若い衆を数名ほど連れて行かれた方がよろしいのでは?」
不安そうに問いルークを見つめ上を見た。
「それにあの者を連れ共に行くなど…」
ステラが見上げる木の上にはサルトビが気配を消し隠れておりこちらを見下ろしている。
「ああ…奴はどうやらシンゲンと言う大きな地域を収める武将の忍びらしいからな。
情報収集のついでにシンゲンとやらと交渉する為に連れて行く。
もしその後、俺から連絡が無いか殺されたなら…」
ステラはルークが話す、その言葉の続きを躊躇なく答える。
「はい、すぐ様、他の忍び数名を惨殺し。
ルーク様の仇討ちの為
今保有しているアラネア現在の全兵力を持って人間界へと進軍いたします」
「おっ……おう……」
ルークはそのステラの迷いの無い答えに戸惑いながらも、サルトビがゴクリと唾を飲み緊張している事を確認し横目に頷いた。
ルークは頬を抑え表情を緩める。
アラネアと目指している都のちょうど途中にある茶屋で2人。
ルークとアイノスケが長椅子に座り、温かいお茶と団子を味わっていた。
「旦那…それにしてもよく食べますねぇ」
「そうか?」
「そんな小さい体の一体どこに入ってるんですかい…」
アイノスケは塔の様に積み上がった団子の皿を見て、少し引きぎみにルークを見る。
「ふぅ…食べた食べた…っと」
ルークはお腹をポンポンと叩き長椅子に横になった。
「あの…そろそろお子様が食べたお会計をお願いしたいんですけど…」
アイノスケはビクリと肩を動かし驚くと声のした後ろをゆっくりと振り向く。
そこには茶屋の娘がお盆を持ち、おかわりのお茶を長椅子に寝ているルークの横に置いている所だった。
今のルークには角や腕といった人のものでは無い、鬼と見分けられる特徴は無く見た目だけは寝ているただの人の子だ。
茶屋の娘は目の前に鬼が幻術を使い人の見た目に化けているとは考えも思いもせず。
良い天気の中、気持ち良さそうに昼寝をしているルークの寝顔を見て微笑む。
「姉ちゃん。
大体、銭は幾らくらいだい」
「お会計は…そのお団子が50個で…150文(もん)になります…」
「ひゃくごじゅっ…!?」
アイノスケは一瞬驚いたが残ったお茶をススる事で平静を装う。
150文と言うとだいたい足軽の月給がだいたい125文、辺り。
つまり足軽の月給より少し多いくらい。
間違いなく大金だ。
「旦那…だそうですぜ。
銭持ってますかい」
アイノスケは横で昼寝をしているルークに対し茶屋の娘には聞こえない様に小声で話しかける。
「んん…うるさい。
そう慌てるな…問題ない」
そう言うと寝ながらルークは指をパチンと鳴らした。
「ここは私が…」
ルークが指を鳴らすと気づけば目の前にサルトビが跪き懐からお金の入った巾着袋を取り出していた。
サルトビは茶屋の娘に銀貨を一枚渡す。
「お釣りは取っておけ。
では…」
そう言い残しサルトビは再び消えた。
「いやー本当に忍びって奴は本当に相変わらず凄いと言うか何というか…」
アイノスケは辺りを見渡し何処にいったのかと探しながら、自分が団子の会計を払う事にならなくて良かったと心の底からそう安堵した。
………
アラネアの外れにある人間の村落、イズワ村がある。
「本当にそんな人間だけをお連れにして出発されるのですか?」
「そんな人間……?」
ステラはアイノスケの呟きを無視しルークに話を続ける。
「私達の中におります、戦闘に長けた若い衆を数名ほど連れて行かれた方がよろしいのでは?」
不安そうに問いルークを見つめ上を見た。
「それにあの者を連れ共に行くなど…」
ステラが見上げる木の上にはサルトビが気配を消し隠れておりこちらを見下ろしている。
「ああ…奴はどうやらシンゲンと言う大きな地域を収める武将の忍びらしいからな。
情報収集のついでにシンゲンとやらと交渉する為に連れて行く。
もしその後、俺から連絡が無いか殺されたなら…」
ステラはルークが話す、その言葉の続きを躊躇なく答える。
「はい、すぐ様、他の忍び数名を惨殺し。
ルーク様の仇討ちの為
今保有しているアラネア現在の全兵力を持って人間界へと進軍いたします」
「おっ……おう……」
ルークはそのステラの迷いの無い答えに戸惑いながらも、サルトビがゴクリと唾を飲み緊張している事を確認し横目に頷いた。
0
お気に入りに追加
25
あなたにおすすめの小説

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

絶対に間違えないから
mahiro
恋愛
あれは事故だった。
けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。
だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。
何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。
どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。
私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
【商業企画進行中・取り下げ予定】さようなら、私の初恋。
ごろごろみかん。
ファンタジー
結婚式の夜、私はあなたに殺された。
彼に嫌悪されているのは知っていたけど、でも、殺されるほどだとは思っていなかった。
「誰も、お前なんか必要としていない」
最期の時に言われた言葉。彼に嫌われていても、彼にほかに愛するひとがいても、私は彼の婚約者であることをやめなかった。やめられなかった。私には責務があるから。
だけどそれも、意味のないことだったのだ。
彼に殺されて、気がつけば彼と結婚する半年前に戻っていた。
なぜ時が戻ったのかは分からない。
それでも、ひとつだけ確かなことがある。
あなたは私をいらないと言ったけど──私も、私の人生にあなたはいらない。
私は、私の生きたいように生きます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる