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弐章 国づくり
73 夜酒の席
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「さぁ、遠慮せず飲んで食べるといい」
鎌鼬を手懐けルーク達が戻った後の鉄石のタタラ場。
そこでは宴を開くと騒ぎタタラ場の住人が宴会を開いていた。
妖族の鬼族を含む人々はそれぞれ酒や食料を持ち寄り外に机を持ち出し豪華に料理した品々を並べルークや陰陽師のセイヨウ達を持て成す。
「ささ、ルーク様、器(うつわ)を」
「セイヨウ様もどうぞ遠慮せず」
住人達が周りで騒ぎ飲んで食べる中。
ルークそしてセイヨウはタタラの中でも美人な女性陣に囲まれ豪華なごちそうや酒を持てなされていた。
ルークのもとには鬼族の女性が、セイヨウには人間の女性が、そしてその正面では、タタラの長であるトモエゴゼンが座り酒を飲んでいる。
「セイヨウ殿に報酬の銭を」
トモエはセイヨウの横で酌を取る女性にそう指示を出すと、その女性は隣に置いてあった箱を取り膝の上で開けセイヨウに見せる。
「報酬です。
どうぞ、お納め下さい」
「いや…私は何も……」
そんなやり取りを横目にルークは鬼族の女性に盛り付けて貰った食事と注いでもらったお酒を飲みその場の雰囲気を満喫していた。
横に座る美人な鬼たちの服は大胆で高そうな着物を着ているのだが胸や足といった場所を少しはだかせている。
「ささ、どうぞ」
今まで研究室に籠もり、こういった店などといった場所で経験をした事が無い自分にとってはかなり毒だ。
お酒のせいか緊張のせいかまるで赤鬼にでもなったかのように顔を赤く染める。
「…ありがと」
ルークの赤いおちょこにトトト…トッと素晴らしく透き通った美しく透明な酒が注がれる。
その酒からはほのかに、ふくよかな香りがしおちょこに口をつけ一口飲む。
と同時に酒は最初にふんわりと下の上に広がり、同時に春の風を思わせる香りが鼻孔をくすぐりスッと味と共に消えていく。
「なんて、繊細な酒だ……」
元いた世界とは明らかに種類が違う酒だ。
向こうではビールが大半だ。
中にはエールやブランデーといった上流の酒もあるが…この今、目の前にある酒は…。
少なくとも個人的には自分が飲んだ中では一番好きな酒かもしれない。
「さぁ、ルーク様。
こちらも召し上がりください」
そう言われ横を向くと手を添え箸と呼ばれる道具で、干し肉を口まで運んでくれていた。
「お口をお開け下さい。
森で取れた鹿の干し肉でございます」
口を開け美女に食べさせて貰う。
幸せな、ひと時だ。
「まだまだ、ありますよ」
その後もルークは今だけはと少しハメを外し目の前に出された食事を堪能した。
……
「楽しんでいるようで何よりだ」
トモエは酒樽から枡(ます)に酒を注ぎグイと一息に飲む。
トモエはかなり酒で出来上がっているらしくフラフラと千鳥足で近づきルークの隣に座っている鬼族の美女を退け座る。
「いやはや、この度は本当に助かった。
この通りタタラの者達も感謝している。
お礼にハチロクと同盟の話以外にも何か欲しい物はあるか?」
顔を赤らめフラフラとしていたトモエであったがそう話すと真面目な表情になりルークをじっと見つめそして少し微笑んだ。
何か欲しい物…。
ルークはトモエを見返し迷う事無く。
「情報が欲しい。
今から名前を言う4人の居場所と情報を」
スサナ リオン カルナ そしてフィーネ。
しかし…。
トモエはしばらくの間、黙り込み考え込むと口を開いた。
「できれば、その人探し。
協力してやりたかったが…。
すまない。
その情報は持ち合わせていない」
トモエはそう謝罪すると、だが…その代わりにと二つの紙をルークに渡した。
一つはトモエが持っていたこの鉄石タタラ付近の正確な地図。
そして、一つのただの白い紙。
スラスラと何やらその場で筆を使い文を書き最後に赤い家紋の模様が入った判を押しルークに渡した。
そしてトモエは渡した地図の中、一つの都を指差す。
「もしかすると…。
ここにいる奴なら知っているかもしれないよ。
場所はまぁ。
そこに行けば分かる、なんせ派手好きなやつだからね…」
そしてトモエはルークをじっと足から頭へと目線を移動させ、こう続けた。
その都の一番でかい屋敷を探しな
一癖も二癖もあるやつだが…。
お前さんならきっと気に入られるだろうよ。
…と。
鎌鼬を手懐けルーク達が戻った後の鉄石のタタラ場。
そこでは宴を開くと騒ぎタタラ場の住人が宴会を開いていた。
妖族の鬼族を含む人々はそれぞれ酒や食料を持ち寄り外に机を持ち出し豪華に料理した品々を並べルークや陰陽師のセイヨウ達を持て成す。
「ささ、ルーク様、器(うつわ)を」
「セイヨウ様もどうぞ遠慮せず」
住人達が周りで騒ぎ飲んで食べる中。
ルークそしてセイヨウはタタラの中でも美人な女性陣に囲まれ豪華なごちそうや酒を持てなされていた。
ルークのもとには鬼族の女性が、セイヨウには人間の女性が、そしてその正面では、タタラの長であるトモエゴゼンが座り酒を飲んでいる。
「セイヨウ殿に報酬の銭を」
トモエはセイヨウの横で酌を取る女性にそう指示を出すと、その女性は隣に置いてあった箱を取り膝の上で開けセイヨウに見せる。
「報酬です。
どうぞ、お納め下さい」
「いや…私は何も……」
そんなやり取りを横目にルークは鬼族の女性に盛り付けて貰った食事と注いでもらったお酒を飲みその場の雰囲気を満喫していた。
横に座る美人な鬼たちの服は大胆で高そうな着物を着ているのだが胸や足といった場所を少しはだかせている。
「ささ、どうぞ」
今まで研究室に籠もり、こういった店などといった場所で経験をした事が無い自分にとってはかなり毒だ。
お酒のせいか緊張のせいかまるで赤鬼にでもなったかのように顔を赤く染める。
「…ありがと」
ルークの赤いおちょこにトトト…トッと素晴らしく透き通った美しく透明な酒が注がれる。
その酒からはほのかに、ふくよかな香りがしおちょこに口をつけ一口飲む。
と同時に酒は最初にふんわりと下の上に広がり、同時に春の風を思わせる香りが鼻孔をくすぐりスッと味と共に消えていく。
「なんて、繊細な酒だ……」
元いた世界とは明らかに種類が違う酒だ。
向こうではビールが大半だ。
中にはエールやブランデーといった上流の酒もあるが…この今、目の前にある酒は…。
少なくとも個人的には自分が飲んだ中では一番好きな酒かもしれない。
「さぁ、ルーク様。
こちらも召し上がりください」
そう言われ横を向くと手を添え箸と呼ばれる道具で、干し肉を口まで運んでくれていた。
「お口をお開け下さい。
森で取れた鹿の干し肉でございます」
口を開け美女に食べさせて貰う。
幸せな、ひと時だ。
「まだまだ、ありますよ」
その後もルークは今だけはと少しハメを外し目の前に出された食事を堪能した。
……
「楽しんでいるようで何よりだ」
トモエは酒樽から枡(ます)に酒を注ぎグイと一息に飲む。
トモエはかなり酒で出来上がっているらしくフラフラと千鳥足で近づきルークの隣に座っている鬼族の美女を退け座る。
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何か欲しい物…。
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しかし…。
トモエはしばらくの間、黙り込み考え込むと口を開いた。
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協力してやりたかったが…。
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そしてトモエはルークをじっと足から頭へと目線を移動させ、こう続けた。
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