異界門〜魔術研究者は小鬼となり和風な異世界を旅する〜

猫松 カツオ

文字の大きさ
上 下
71 / 90
弐章 国づくり

71 穢多と呼ばれる者達

しおりを挟む
 カスミが悲鳴を上げ倒れる中。
 
 シュラは隙きあり、とばかりに即座に行動に出た。
 
 一瞬で3人の懐に飛び込むとシュラは
 まず手前にいたフウカを足払いしテ倒し、横にいたギョクズイに腹パン。
 最後にジュウゾウを回し蹴りの顎をかすめた一撃でノックアウトさせた。
 
 遊びの無いシュラの一瞬の3連撃に反応それぞれに崩れ落ち気づけば戦闘の場にシュラのみが誇らしげに立っていた。
 
 そして振り向き倒れた四天王、全員を睨み、そして無意識にルークの持ちスキルである【威圧】を発動させ口を開く。
 
 「さぁ選べ。
 死か服従か…」
 
 …………
 
 「おお…戻れた。
 やっぱり精神系の魔法だったのか。
 ………この状況は一体……」
 
 ルークは意識が戻り現実である事を確認すると違和感を覚えた。
 どうゆう訳か気づけば座っている姿勢だ。
 そしてその椅子は大きく硬い。
 
 ルークがいる場所はアラネアの社(やしろ)の中。
 ルークは四天王の一人土蜘蛛のギョクズイの背を椅子にして座り足を組み堂々と座っていた。
 
 
 社の外には残りの四天王の三人。
 カスミは寝かされていたが残り二人は地面に跪き。
 
 更にはアラネアに住まう者達、ステラやテルマを先頭に殆どの蜘蛛達が集まり社の中にいるルークに頭を垂れていた。
 
 「一体何があったんだ…?」
 
 ルークは少し戸惑いそうぼそりと呟く。
 
 『ふん、気にするな。
 全く…妾を心配させおって』
 
 シュラはどこか不機嫌そうにそう言った。
 
 ✿❀✿❀✿❀
 
 穢多(えた)…穢れ多き者。
 そして穢れを祓う者と言う意味を持つ者達の名だ。
 
 彼ら彼女らは各国に存在し将軍に雇われていたり集落を作り暮らしている。
 
 彼等は恐れられ嫌われもしているが必要ともされている存在だ。
 
 そして昔、村の中で仕事をする彼女もまた同じ穢多だった。
 彼女は未だ幼い少女だが不思議な力がある。
 それは人々の内を蝕み喰らう邪気を祓う力だ。
 
 名をホタル。
 
 今では、陽刀ユイネ流68代目道場師範、と言う肩書きを持つが昔は穢れが多いとされる仕事。
 主に馬や牛の解体、毛皮の加工、葬送、町の清掃、廃棄物処理。
 などと言った仕事をこなしていた。
 
 今日は町の清掃。
 皆が嫌がる仕事にしては賃金はそれ程高くなくおまけに町のホタルに対する目は冷やかなものだ。
 
 そんな仕事を済ませ、ほんの少しのお金と途中で農家の人から買ったアワやヒエを手にホタルは穢多の人々が集まっている、街から離れた集落の中にあるボロ小屋の扉を開けた。
 
 「お父さん、ただいま」
 
 ホタルの家は貧しく流行りの疫病で母は他界。
 父はそんな母を救う為、無理に多く穢多の仕事をこなしその結果、寝たきりの状態になってしまっていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?

gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。 そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて 「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」 もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね? 3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。 4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。 1章が書籍になりました。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

絶対に間違えないから

mahiro
恋愛
あれは事故だった。 けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。 だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。 何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。 どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。 私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?

アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。 泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。 16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。 マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。 あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に… もう…我慢しなくても良いですよね? この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。 前作の登場人物達も多数登場する予定です。 マーテルリアのイラストを変更致しました。

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

処理中です...