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弐章 国づくり
60 アラネア帰還
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悪夢を見ていた気がする。
身体全体がズキズキと痛む特に頭がおまけに何故か手も足も動かせない。
しかし感触からもふもふな布団の上で寝ているらしいという事は分かった。
寝ぼけているせいか身体が痛む理由と関連があるのかふわふわと体全体が上下している。
そして瞳を開けると、ムメイは雲一つも無い。
バカみたいに綺麗で信じられない程に広大な青空が目に写った。
「綺麗な空……」
……
ルーク率いる一行は森を抜け見覚えのある山を目の前に立ち止まっていた。
「まじか…」
ルークはトモエに貰った正確な地図を懐にしまい、目の前に広がる田畑を眺めそう呟く。
俺が出かける前は田んぼも未完成だったのだが今はもう既に水路も作り終わり田んぼには水も張られており。
今現在、土蜘蛛の6本の腕で田植えを行っている最中だ。
さらに奥の畑では同じく土蜘蛛たちが手で土を掘り起こし畑を耕し種を蒔いている。
凄まじい成長ぶりにルークやテルマ、アンリは驚き。
ハチロクは、ほう…と関心?しているようだった。
しばらくそこで立ち止まり農業をしている光景を眺めていると走る二人の小さな人影が手を振りながら近づいてくる光景が見える。
「ルーク様ーーー!!」
テンとイナリだ。
二人は先程まで水路で遊んでいたのか服が水で濡れておりヒタヒタと音を立てそして
テンは立ち止まったが、イナリはそのままルークに飛び付いた。
ルークとテンは現在、同じ背丈のため濡れた服がべチョリと体に当たり濡れた髪がほっぺや胸を濡らす。
あまりいい気分はしないが、テンは容赦無く。
まるで元いた世界で体験した事のある獣人特有の挨拶で体をスリスリと擦り付けてくる。
確か…彼らいわく仲間と鼻で認識する為に自分の匂いをつけているのだとか何とか……。
「おかえりなさいませ、ルーク様」
「う…ただいま」
ベチョベチョに濡らされ気分が少し下がる中、テンはそう言い礼儀正しくお辞儀をする。
しかし、テンも水遊びをしたのかイナリに振り回されたのか彼も同じく水浸しだ。
まあ子供なんてこんなものかと納得しイナリの頭を撫でているとピピピ…と腕につけられたNo.16多機能通信ブレスレットから電子音が聞こえた。
「先生、アイラです。
聞こえますか?」
「ああ、通信は良好。
問題ない。
どうした?」
ブレスレットに触れるとアイラが空中に表示された画面に現れ微笑んでいる。
が…その表情は徐々に曇りそして怒りの形相へと変わっていった。
「せっ…先生!!
なにイチャイチャしてるんですか!
不健全ですよ!!」
私と言うものがありながら……。
アイラはそう言い怒るとゴニョゴニョと口を動かし顔を赤らめ顔を背ける。
「アイラ?
一体……どうしたんだ?」
アイラが不機嫌になったのは分かったのだがそこまでの事かと戸惑い。
他に何か不満・問題があるのではないかと…つい。
そうアイラに聞いてしまった。
アイラは余計に機嫌を悪くしたのか口早に…
「これ先生がホノカさんに頼んでた物です!!
もう先生の事なんて知りませんから!!」
…と。
アイラは荷馬車一杯分、複数個の木箱を適当にルークの足元に送るとプイとそっぽを向きそのまま通信を切ってしまった。
「子育てと言うのは難しい者だな…」
ルークはブレスレットと目の前でまだ濡れた髪を押し付けてくるイナリを見てそう呟やき、頭を少し抱えた。
身体全体がズキズキと痛む特に頭がおまけに何故か手も足も動かせない。
しかし感触からもふもふな布団の上で寝ているらしいという事は分かった。
寝ぼけているせいか身体が痛む理由と関連があるのかふわふわと体全体が上下している。
そして瞳を開けると、ムメイは雲一つも無い。
バカみたいに綺麗で信じられない程に広大な青空が目に写った。
「綺麗な空……」
……
ルーク率いる一行は森を抜け見覚えのある山を目の前に立ち止まっていた。
「まじか…」
ルークはトモエに貰った正確な地図を懐にしまい、目の前に広がる田畑を眺めそう呟く。
俺が出かける前は田んぼも未完成だったのだが今はもう既に水路も作り終わり田んぼには水も張られており。
今現在、土蜘蛛の6本の腕で田植えを行っている最中だ。
さらに奥の畑では同じく土蜘蛛たちが手で土を掘り起こし畑を耕し種を蒔いている。
凄まじい成長ぶりにルークやテルマ、アンリは驚き。
ハチロクは、ほう…と関心?しているようだった。
しばらくそこで立ち止まり農業をしている光景を眺めていると走る二人の小さな人影が手を振りながら近づいてくる光景が見える。
「ルーク様ーーー!!」
テンとイナリだ。
二人は先程まで水路で遊んでいたのか服が水で濡れておりヒタヒタと音を立てそして
テンは立ち止まったが、イナリはそのままルークに飛び付いた。
ルークとテンは現在、同じ背丈のため濡れた服がべチョリと体に当たり濡れた髪がほっぺや胸を濡らす。
あまりいい気分はしないが、テンは容赦無く。
まるで元いた世界で体験した事のある獣人特有の挨拶で体をスリスリと擦り付けてくる。
確か…彼らいわく仲間と鼻で認識する為に自分の匂いをつけているのだとか何とか……。
「おかえりなさいませ、ルーク様」
「う…ただいま」
ベチョベチョに濡らされ気分が少し下がる中、テンはそう言い礼儀正しくお辞儀をする。
しかし、テンも水遊びをしたのかイナリに振り回されたのか彼も同じく水浸しだ。
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「先生、アイラです。
聞こえますか?」
「ああ、通信は良好。
問題ない。
どうした?」
ブレスレットに触れるとアイラが空中に表示された画面に現れ微笑んでいる。
が…その表情は徐々に曇りそして怒りの形相へと変わっていった。
「せっ…先生!!
なにイチャイチャしてるんですか!
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私と言うものがありながら……。
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…と。
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