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弐章 国づくり
51 『④』
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ムメイは勝利を確信した。
紅く染まった体でムメイはルークに馬乗りとなった状態で止めの手刀を振り下ろす。
だがその紅い腕の手刀はすんでの所で蒼い鬼の手で受け止められた。
「何っ!?」
ムメイは驚き手を引こうとするが掴む蒼い手はびくともしない。
「そういじめてくれるな小娘。
この体は…妾がせっかく気に入った家なのでな」
「離せ! 小鬼!!」
ムメイは自由な左手を使い手刀を使い胸に穴を開けようと突きを放つ…がその左手もシュラの手により防がれた。
「ふむ…、人を辞めたが妖魔にもなりきれず…か…。
醜いな、まぁ人らしいと言えば人らしいがなっ!!」
シュラはムメイを見てそう言い終わると笑い、頭突きをかます。
シュラの頭突きにより、ムメイは吹き飛び複数の枝を折り幹に体をぶつけようやく止まった。
「カハッ…!!」
ムメイは木を背もたれにしズルズルと崩れ落ち意識を手放した。
角は折れ額からは血を流している。
「なんじゃ?
案外、大した事無いの~」
シュラはそう言うと立ち上がりついた土を払うとムメイのもとまで近づく。
そしてムメイの顔を覗き込むとシュラは顔をしかめる。
「なるほど…混ぜておるのか。
あいも変わらず人間という生き物と言う奴は全く期待を裏切らず進歩もせんな」
シュラはため息をつくと彼女をそのままに皆が野営している野営地へ歩き始めた。
『殺したのか?』
「意なことを言う。
お主が言っておったでは無いか?
我らにはそんな事を決められる程、出来ておらんとかなんとか…とな。
まあ、あの小娘は定めに任せる事としようぞ…」
そんな話をしながら歩いているとミシリと言う音が後方から聞こえた。
「ふむ…?」
『消えた?』
シュラが後ろを振り向くと倒れていたはずだった、ムメイの姿は無くただ月明かりだけが彼女のいた場所を照らしていた。
シュラは辺りを見渡しムメイを探す。
が…首を傾げた。
「殺気も妖気も感じられんな。
妖気は混ざっておるせいか分からんし殺気はさすが刺客と言った所か?
それとも…」
グァガアアアアアア!!
森の静寂を破り、人の物でも獣の物でも無い叫び声が響き渡る。
『どこに居るんだ…?』
「ちと…厄介じゃの…」
何処から攻撃が仕掛けられるか分からずルークとシュラは警戒し辺りを見渡す。
するとかすかに風を切る音が後方より聞こえた。
シュラは即座に反応し、足を上げ振り下ろす。
「鬼瓦割り!」
シュラの攻撃は当たらず空を切り大地にぶつかった瞬間、爆音を響かせ大地を揺らした。
「む…外した!
こやつ、驚く程に素早いぞ!!」
シュラは目を見開き攻撃を外しクレートとなった地面を見ると何処か嬉しそうに笑う。
『俺の目じゃ、どうもついていけそうも無いな…まぁナンバーズの80番台を使えば別だろうけど……。
お前は素の目で見えてるんだろうな』
ルークの話を聞かずウキウキとした様子で準備運動を始めだす。
そんなシュラにルークは取り敢えず接近戦はシュラに任せとこう…と。
魔法研究者の自分には理解できない世界だと結論づけ、呆れた様子でそう思った。
紅く染まった体でムメイはルークに馬乗りとなった状態で止めの手刀を振り下ろす。
だがその紅い腕の手刀はすんでの所で蒼い鬼の手で受け止められた。
「何っ!?」
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「そういじめてくれるな小娘。
この体は…妾がせっかく気に入った家なのでな」
「離せ! 小鬼!!」
ムメイは自由な左手を使い手刀を使い胸に穴を開けようと突きを放つ…がその左手もシュラの手により防がれた。
「ふむ…、人を辞めたが妖魔にもなりきれず…か…。
醜いな、まぁ人らしいと言えば人らしいがなっ!!」
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そしてムメイの顔を覗き込むとシュラは顔をしかめる。
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「意なことを言う。
お主が言っておったでは無いか?
我らにはそんな事を決められる程、出来ておらんとかなんとか…とな。
まあ、あの小娘は定めに任せる事としようぞ…」
そんな話をしながら歩いているとミシリと言う音が後方から聞こえた。
「ふむ…?」
『消えた?』
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が…首を傾げた。
「殺気も妖気も感じられんな。
妖気は混ざっておるせいか分からんし殺気はさすが刺客と言った所か?
それとも…」
グァガアアアアアア!!
森の静寂を破り、人の物でも獣の物でも無い叫び声が響き渡る。
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「ちと…厄介じゃの…」
何処から攻撃が仕掛けられるか分からずルークとシュラは警戒し辺りを見渡す。
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